2023年最新の不動産価格の推移を検証!今後の不動産の動向も解説

不動産の購入・売却を考えると、価格がどう推移しているのか、買いどき・売りどきはいつなのかは気になるポイントでしょう。今回は不動産価格の推移を解説するとともに、国内・海外の動向も踏まえ、今後の不動産市場はどのように推移するのか、2023年最新情報をもとに検証します。

目次
  1. 不動産価格の推移を知るには?
  2. 不動産価格の推移は今後どうなる?
  3. 主要都市における土地価格の推移は上昇傾向
  4. 不動産価格・市場に影響を与える要因7つ
  5. 不動産売買で失敗しないためには?
記事カテゴリ 売却 マンション 一戸建て
2023.10.11

不動産価格の推移を知るには?

不動産の購入・売却を考えると、「物件の価格がどう推移しているのか」「買いどき・売りどきはいつなのか」は、気になるポイントでしょう。

コロナ禍や東京五輪後の影響、大阪万博の開催などによって、国内の不動産市場は今後、どのような価格の推移を見せるのでしょうか?

「不動産価格の推移を予測したい」と思ったら、国土交通省が公表している「不動産価格指数」をチェックしておくとよいでしょう。

不動産価格指数とは、Eurostatほか国際機関による協力のもと、不動産価格の動向を示すために国際的に通用する指標を目指して作られたものです。この指数は、実際の取引価格をもとに、物件の立地や特性といった影響を取り除いて算出されます。

また、不動産価格指数と合わせて「公示地価」をチェックしてみましょう。公示地価とは、国土交通省が年に1回、1月1日時点における標準地の1㎡あたりの地価を調査して公表する地価のことです。土地の評価や取引の基準にもなる日本の代表的な地価指標の1つで、公示地価を見れば、近年の土地価格の動きが分かります。そのため、不動産価格のおおまかな傾向や今後の推移を予測する参考としても用いられます。

以上のことから、不動産価格指数は不動産取引の時勢を把握するデータであるのに対して、公示地価が地点単位の土地価格水準を把握するデータといえるでしょう。

●不動産の相場価格の調べ方に関する記事はこちら
不動産の相場価格はどれくらい?自分で相場を調べる方法を分かりやすく解説!

家の模型と不動産価格の推移を示すグラフ

不動産価格の推移は今後どうなる?

2023年における現状の不動産価格の推移は、建物、土地の価格ともに上昇傾向にあるようです。次はそれらについて不動産価格指数、公示地価をもとに詳しく見ていきます。まずは住宅についての不動産価格指数を全国と関東地方に分け、それぞれ見ていきましょう。

全国の不動産価格の推移

こちらの表は、国土交通省が2023年8月に発表した、全国の住宅をめぐる不動産価格指数の推移※1です。

不動産価格指数のグラフ

※1国土交通省より引用

土地と建物を含めた住宅総合の数値を見ると、現在は上昇傾向です。2023年5月の住宅総合における不動産価格指数は2022年の5月のものと比較して3ポイント増加しています。

さらに詳しく見ると、住宅地の価格は2021年ごろから増加傾向です。また、一戸建て住宅の価格は2020年半ば頃から増加傾向にありますが、2023年は下落の傾向が見られます。マンションの価格は年々大きな上昇傾向にあり、2023年もその傾向があることから需要が特に大きいことが分かります。

以上の不動産価格指数から、コロナ禍の影響からか少々の落ち込みを見せたもののその影響は限定的であり、全体的な住宅価格、特にマンションの価格は上昇傾向といえるでしょう。

関東地方の不動産価格の推移

それでは、関東地方の住宅の価格推移※1を見ていきましょう。2023年8月に発表された2023年5月までの不動産価格指数によると、2021~2023年の不動産価格指数は以下のように変化しています。

2021
年5月
2022
年5月
2023
年5月
住宅総合119.9134.7139.1
住宅地102.1112.9112.4
一戸建て住宅103.1114.8120.2
マンション156.0177.0182.4

関東地方の一戸建て住宅とマンションの価格は、引き続き上昇傾向にあります。

地価が上昇傾向にある地方の土地

主要都市における土地価格の推移は上昇傾向

次に、土地の価格に特化した推移に着目していきましょう。ここでは、国土交通省の「令和5年の地価公示の概要」※2から、土地の価格の動向をご紹介します。

住宅地の地価は総じて上昇傾向

地域や用途により差はあるものの、住宅地の価格は全国総じて2年連続で上昇し、その上昇率も拡大しています。「ウィズコロナ」により、コロナ禍による景気への影響も回復傾向であることや、円安による為替環境などが理由として考えられます。

また、低金利の状態が継続されていること、住宅取得支援施策などが行われているため、東京圏、大阪圏、名古屋圏、地方圏も2年連続で上昇し、その上昇率も拡大しています。地方4市(北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市)については10年連続で上昇し、上昇率は拡大しています。

テレワークの普及に伴った生活スタイルの変化により、ニーズが多様化し、郊外の地価も上昇傾向にあることも特徴です。また、地方4市中心部の地価上昇に伴って、需要が波及した周辺の市町についても高い上昇率を記録しています。さらに、そのほかの地域では28年ぶりに上昇するなど、全国的に土地価格は上昇傾向となっています。

住宅地価の動向(単位:%)

2019 年2020 年2021 年2022 年2023 年
全国0.60.80.40.51.4
三大都市圏1.01.10.60.51.7
東京圏1.31.40.50.62.1
大阪圏0.30.40.50.10.7
名古屋圏1.21.11.01.02.3
地方圏0.20.50.30.51.2
地方4市4.45.92.75.88.6
そのほか0.20.00.60.10.4

商業地も同様の傾向

商業地についても、全国総じて2年連続の上昇傾向であり、住宅用地と同じ動向です。大阪府を中心とした大阪圏では3年ぶりに上昇へと転じています。なお、都市部を中心として店舗需要は回復傾向にあるほか、オフィスの需要やマンション用地の需要が大きいことから地価の回復がより進んでいます。

三大都市圏では再開発が進み、利便性が向上する期待から地価が上昇しているほか、繁華街や観光地でも店舗需要が増加し、地価は回復傾向にあるといえます。地方圏のそのほかの都市も3年ぶりに上昇するなど、商業地についても全国的に価格が上昇傾向です。

商業地価の動向(単位:%)

2019 年2020 年2021 年2022 年2023 年
全国2.83.10.80.41.8
三大都市圏5.15.41.30.72.9
東京圏4.75.21.00.73.0
大阪圏6.46.91.80.02.3
名古屋圏4.74.11.71.73.4
地方圏1.01.50.50.21.0
地方4市9.411.33.15.78.1
そのほか0.00.30.90.50.1

●公示価格に関する記事はこちら
公示価格とは?不動産売却時に知っておくとよい基礎知識と調べ方を解説

新国立競技場

不動産価格・市場に影響を与える要因7つ

ここまで不動産価格の現在までの推移を解説しました。不動産価格は上昇傾向をたどっており、今後も上昇すると予想されています。ではなぜ日本の不動産価格は上昇しているのか、そしてこれらの要因は今後の不動産価格にどのような影響を与えるのか解説していきます。

金利政策

日本銀行(日銀)による金融緩和政策により、住宅ローンの金利が低かったため、不動産の需要が増え価格上昇の一因となっていました。しかし世界ではインフレーションが進んでいるため、金利の引き上げ政策が行われ、日本でも2022年に日銀が長期金利の上限を0.25%程度から0.5%程度へ引き上げています。

しかし、日本では低金利政策がなお維持されています。というのも、2023年に「当面の金融政策運営において、賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定目標を持続的、安定的に実現するまで現行の低金利政策を維持する」という方針を日銀が示しているためです。そのため、今後も引き続き低金利政策は続くと見られます。

円安

2022年以降、急激な円安が続いているため、海外の投資家が日本への不動産投資を行う傾向があります。円安によって、相対的に割安で不動産を購入できることに加え、マンションやオフィスビル需要の高まりによって不動産賃料が上昇しているため、高い利回りが期待できるからです。

さらに、資材を輸入している建物は円安により建築価格が上がるほか、円安によって外国人観光客が増え、ホテルの需要も高まることから不動産価格は今後も上昇することが予測されます。

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症による不動産価格への影響は一時的なもので、現在は回復の傾向が顕著に表れています。むしろ、新型コロナウイルス感染症の流行によってリモートワークが定着し、郊外部の需要が増え、全国的な不動産価格の上昇につながっています。

ウクライナ侵攻

ロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の不安定化に伴って、海外から輸入する原油価格や木材価格が高騰し、住宅価格にも影響しています。また、建物の素材である鉄筋や鉄骨が不足し、価格が高騰する影響で、中古住宅への需要も増え結果として全体的に住宅価格の上昇が考えられます。

東京五輪

2021年夏に終了した東京五輪のために作られた選手村は、閉幕後に晴海フラッグ(HARUMI FLAG)として販売され、1万500件を超える物件エントリーがありました。当地の晴海や勝どきなどのエリアには不動産市場の影響が出ると予想されていますが、ほかのエリアに関してはそれほどの影響は出ないと見られています。

●晴海フラッグに関する記事はこちら
晴海フラッグ(HARUMI FLAG)でのマンションライフの魅力とは?

東京五輪が行われた新国立競技場

2022年生産緑地問題

2022年には、「生産緑地法」によって優遇されていた農地が一斉に売却されるのではないか、それが都市部の地価を暴落させるのではないか、といわれていました。これが「2022年生産緑地問題」です。ですが、現実にはそのような急激な影響は出ておりません。

「生産緑地」とは、固定資産税や相続税などで優遇措置を受けられる都市部の農地のことです。1992年に改正された「生産緑地法」によって、指定された農地は、税制上の優遇を受けられる一方、30年間は農業を行わなければならず、勝手に建物を建てたり簡単に売却したりはできないといった制限が設けられました。

生産緑地法が改正された1992年から30年が経過する2022年に、生産緑地の約8割が営農義務を終えるため、大量の農地が売却されて市場に影響するのではないかといわれていたのです。そこで、この問題を危惧した国が対策を行った結果、現段階では大きな影響は出ておらず、しばらく地価暴落の可能性は薄いと見られています。

虫メガネと家の模型と2022という文字のカード

2025年大阪万博

2025年の大阪国際博覧会(万博)を控えた大阪圏の動向が注目を集めるなか、不動産サービス会社のJLLは、大阪万博が大阪の不動産市場に与える影響を分析しました。それによると、万博により都市としてのインフラ整備や、都市の機能を担った不動産の開発などが進むことで、国際都市としての「大阪」の魅力を国内外にアピールでき、世界のビジネスを引き付ける絶好の機会になると予測しました。

東京五輪ではインフラ整備に伴う経済効果が早い段階から確認でき、それよりも早い時期から地価上昇が始まり、不動産価格が跳ね上がりました。JLLは、大阪万博も、インフラ整備と再開発による不動産価格上昇を予想しています。

不動産売買のイメージ

不動産売買で失敗しないためには?

不動産価格の推移を知ることは、納得のいく不動産売買を行うための重要なポイントです。不動産価格指数や公示地価のように公開されているデータをチェックして、個人でも価格相場を捉えてみましょう。売買について不動産会社と話し合うときにも、ある程度の知識があると役立ちますよ。

不動産価格は、不動産価格指数や公示地価などで捉えながらも、局所的に調べる必要があります。たとえば土地に関していえば、住宅地のほか、商業地があり、住宅に関しても、一戸建て、マンションとそれぞれ需要や平均価格は異なります。

不動産価格は、社会情勢や経済の動向、人々のライフスタイルの変化など、さまざまなものが影響します。不動産売買で失敗しないためには、情報をしっかり押さえながら、その先の予測を立て、信頼できる不動産会社に仲介を依頼することが大切です。三井のリハウスでは、不動産取引に関するご相談を承っています。不動産売買に関しての不安がある方は、ぜひご相談くださいね。

また、不動産の売却を検討している方は自分の不動産には現在どれくらいの価値があるのか査定をしてもらい、査定価格を知ることがおすすめです。三井のリハウスでは、ご紹介した不動産価格を決定する要素や、これまでの豊富な取引データを使用し、相場から乖離の少ない査定価格を算出しております。

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※1出典:「不動産価格指数(令和5年5月・令和5年第1四半期分)を公表」,国土交通省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001626491.pdf
(最終確認:2023年9月27日)

※2出典:令和5年地価公示の概要,不動産・建設経済局(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001595069.pdf
(最終確認:2023年9月27日)

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けに節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/