Column / 2020 11,12

【最新】不動産価格の推移を検証!東京五輪やコロナの影響は?今後の買い時は?【2020年9月】

不動産の購入・売却を考えている人にとって、「物件の価格がどう推移しているのか」「いつが買い時・売り時なのか」は、気になるポイントでしょう。
今なお続くコロナ禍や、東京五輪・大阪万博の開催などによって、国内の不動産市場は今後、どのような価格推移を見せるのでしょうか?

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けにの節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/

不動産価格の推移はどのように知るの?

家の模型とグラフ

不動産の購入・売却を考えている人にとって、「物件の価格がどう推移しているのか」「いつが買い時・売り時なのか」は、気になるポイントでしょう。
今なお続くコロナ禍や、東京五輪・大阪万博の開催などによって、国内の不動産市場は今後、どのような価格推移を見せるのでしょうか?

不動産価格の推移を予測したいと思ったら、「地価公示」をチェックしてみましょう。
地価公示とは、国土交通省が毎年1回、1月1日時点における標準地の1平方メートルあたりの地価(公示地価)を調査し公表するものです。ここで示される公示地価は、土地の評価や取引の基準にもなる、日本の代表的な地価指標の1つとされています。
これを見れば、最近の土地価格の動きが分かるので、不動産価格のおおまかな傾向や今後の推移を予測する参考になります。

また、国土交通省が2012年8月より公表を始めた「不動産価格指数」も、合わせてチェックしておくとよいでしょう。
不動産価格指数とは、IMF(国際通貨基金)ほか国際機関の働きかけによって、不動産価格の動向を示すために作られたものです。指数は、実際の取引価格をもとに、物件の立地や特性といった影響を取り除いて算出されています。
地価公示が地点単位の価格水準を把握するデータであるのに対して、不動産価格指数は不動産取引の時勢を把握するデータといえるでしょう。

主要都市の土地の価格推移

それでは、国土交通省の「令和2年の地価公示結果の概要」から、主要都市の土地の価格推移を見ていきましょう!

住宅地は東京圏、名古屋圏が上昇

住宅地の地価の全国平均は、3年連続で上昇しています。その理由について国土交通省では、雇用・所得環境の改善やマイホーム取得支援策といった需要の下支え効果のおかげで、「交通の利便性や住環境の優れた地域を中心に、地価の回復が進展している」と分析しています。

下の主要都市のグラフを見ると、東京・大阪・名古屋の三大都市圏の住宅地ではやはり地価が上昇しており、特に東京は頭1つ抜けているのが分かります。
また、三大都市の中でも、東京圏と名古屋圏は7年連続して上昇。大阪圏では3年連続上昇、上昇幅も2年連続の拡大となりました。札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方四市も7年連続の上昇となり、上昇幅も6年連続で拡大しています。

主な主要都市における住宅地の「平均」価格の推移

※1 出典:令和2年の地価公示結果の概要, 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001333698.pdf
(最終確認:2020年9月15日)

商業地は東名阪全てで上昇

主要都市での商業地の地価の最高価格は、7年連続の上昇となっています。なかでも大阪圏の上昇率は、三大都市圏で最も高くなりました。地方四市の商業地も、上昇傾向を強めていることが分かります。
これらの理由として挙げられているのは、国内外からの訪問客による収益が見込まれる地域、再開発や交通整備によって利便性が向上した地域などでは、店舗やホテルなどの需要が安定していることです。さらに、鉄道駅周辺のマンション需要も重なることによって、商業地の地価が上昇したとみられています。

主な主要都市における商業地の「最高」価格の推移

※2 出典:主な都市における商業地の「最高」価格の推移, 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001333773.pdf
(最終確認:2020年9月15日)

首都圏の不動産価格の推移

全国的な土地価格の傾向をつかんだところで、次は首都圏のマンションの価格推移を、不動産価格指数を中心に見てみましょう。

マンションの不動産価格指数は伸び続けている

国土交通省によると、2020年5月の不動産価格指数は、住宅地・戸建住宅が前年同月より下落しているのに対して、マンション(区分所有)のみ上昇しています。
また、グラフを見ると、2013年以降、黄色線で示されているマンションの価格が急激に伸びていることが分かります。一方、戸建住宅や住宅地はほぼ横ばいが10年以上続いていますが、これは住宅地が飽和状態にあることを示しています。特に、首都圏をはじめとした大都市圏において、戸建住宅の建設量は約10年間ほとんど変化がありません。

不動産価格指数(住宅)の推移

※3 出典:不動産価格指数, 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
(最終確認:2020年9月15日)

マンションの販売価格は引き続き上昇

不動産経済研究所の「首都圏のマンション市場動向2020年7月度」によると、首都圏マンションの平均価格は6,124万円、1平方メートルあたりの単価91.3万円と、引き続き上昇しています。前年の同月と比較すると、平均価格は448万円(7.9%)のアップ、1平方メートルあたりの単価は5.3万円(6.2%)のアップです。

●地域別マンション平均価格と1平方メートルあたりの分譲単価

地域 地域別平均価格
(万円)
前年同月比
(%)
1平方メートル
あたり分譲単価
(万円)
前年同月比
(%)
東京都区部 8,031 +22.8 124.5 +16.7
東京都下 5,814 +11.7 83.9 +12.5
神奈川県 5,537 +4.7 79.4 +2.1
埼玉県 4,015 -13.9 61.8 -4.0
千葉県 4,637 +12.0 64.3 +12.2

※4 出典:首都圏のマンション市場動向2020年7月度, 不動産経済研究所
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/436/7VzTXftR.pdf
(最終確認:2020年9月15日)

上の表を見ると、首都圏で販売されたマンションの平均価格は、埼玉県を除く全ての地域で前年同月より上昇しています。特に東京都の上昇率は、22.8%増と大きく価格が上がりました。
また、1平方メートルあたりの分譲単価も同様に、埼玉県を除く全ての地域で上昇しています。

今後の不動産市場に影響を与えるトピックとは?

新国立競技場

東京五輪の開催決定後、都内では大規模再開発やインフラ整備が進んでいます。また、2025年万国博覧会(万博)の誘致に成功した大阪でも、夢洲(ゆめしま)までの鉄道延伸をはじめとするさまざまな不動産開発が計画・実施される可能性は高いとみられています。
これらの事柄は、今後の不動産市場に影響を与えるのでしょうか?

東京五輪後も建築需要はおさまらない?

不動産の売買を検討している人にとって、東京五輪終了後の不動産価格の上下落は、特に気になるポイントでしょう。

東京五輪のために作られた選手村は、閉幕後にマンションとして販売されることが決まっています。このため、当地の晴海や勝どきなどのエリアには不動産市場の影響が出ると予想されていますが、ほかのエリアに関してはそれほどの影響は出ないと見られています。
現在、五輪関連施設の建設特需は既に落ち着いているうえ、新型コロナウイルスの感染拡大によって五輪開催も延期されているためです。
ただし、東京では老朽化した建物や設備の潜在的な建て替え需要が強まっています。

生産緑地の2022年問題による地価暴落は起こらない?

「生産緑地」とは、都市部で農業を行うかわりに、固定資産税や相続税などの優遇措置を受けられる農地のことです。ところが、生産緑地の多くが2022年には営農義務を終えて一斉に売却され、それが都市部の地価を暴落させるのではないかといわれています。

この問題の背景にあるのは、1992年に改正された「生産緑地法」です。
生産緑地法で指定された農地は、税制上の優遇を受けられる一方、30年間は農業を行わなければならず、しかも勝手に建物を建てたり、簡単に売却したりもできないといった制限があります。それが2022年になると、最初に指定された1992年から30年が経過し、現在の生産緑地の約8割が営農義務を終えるので、大量の農地が売却されて市場に影響するのではないかといわれているのです。

ですが、実際にはそのような急激な影響はないと考えられています。
理由の1つは、生産緑地に指定された農地を相続した人の多くが、「相続税等納付猶予制度」を利用しているためです。この制度では、営農を20年以下でやめると猶予税額と利子税を支払う決まりになっています。
また、2018年の法改正で、面積要件が500平方メートルから300平方メートルへ引き下げられたり、直売所や農家レストランを設置することが許可されたりと、生産緑地のメリットが増えたことも大きなポイントです。

2025年開催、大阪万博の影響は?

2025年の大阪国際博覧会(万博)を控えた大阪圏の動向が注目を集めるなか、不動産サービス会社のJLLは、大阪万博が大阪の不動産市場に与える影響を分析しました。
それによると、万博により都市インフラの整備や都市機能を担う不動産の開発が促進され、国際都市「大阪」の魅力を発信することで、世界のビジネスを引きつける絶好の機会になると予測しました。

東京五輪では建設などインフラ整備にともなう経済効果は早い段階から確認でき、それよりも早い時期から地価上昇が始まり、不動産価格が跳ね上がりました。JLLは、大阪万博も、インフラ整備と再開発による不動産マーケットの価値向上を予想しています。

不動産売買で失敗しないためには?

不動産売買

不動産価格の推移を知ることは、納得のいく不動産売買を行うための重要なポイントです。地価公示や不動産価格指数のように公開されているデータをチェックして、自分なりに価格相場を捉えてみましょう。売買について不動産会社と話し合うときにも、前知識があるときっと役立ちますよ。