マンションを売りたい!売却の流れと費用、注意点と高く売るためのコツを解説

マンションを売りたいと考え始めたときには、住宅ローンの残債、売りたいマンションの相場、売りたい時期、売却の諸費用の4点について押さえておきましょう。今回はそれぞれのポイントについて詳しくご紹介します。

目次
  1. マンションを売りたい!まず考えることは?
  2. [ 1 ] 住宅ローンの残債があるかどうか
  3. [ 2 ] 売りたいマンションの相場がどのくらいか
  4. [ 3 ] いつまでに売りたいか
  5. [ 4 ] 売却の諸費用がどのくらいかかるのか
  6. マンションを売る流れ
  7. マンションを高く売るコツは?
  8. 信頼できる不動産会社を選んでマンション売却を!
記事カテゴリ 売却 マンション
2022.12.15

マンションを売りたい!まず考えることは?

初めてマンションを売却したいと考えている人のなかには、まず何から手を付ければよいのか分からない人もいるのではないでしょうか?マンションを売却するにあたり、「どのくらいの金額で売れるのか」「残っている住宅ローンはどうすればよいのか」など、さまざまな悩みが出てくることでしょう。

今回は、マンションを売りたいと考え始めた人に対して、確認しておきたい4つのポイントと、具体的な売却の流れやできるだけ高く売るためのコツを紹介します。まずは、考えておくべき以下の4つのポイントについて詳しく見ていきましょう。

[ 1 ] 住宅ローンの残債があるかどうか
[ 2 ] 売りたいマンションの相場がどのくらいか
[ 3 ] いつまでに売りたいか
[ 4 ] 売却の諸費用がどのくらいかかるのか

電卓とマンションの模型

[ 1 ] 住宅ローンの残債があるかどうか

マンションの売却を考えたら、まずは住宅ローンの残債があるかどうかを確認しましょう。住宅ローンの残債の確認方法は、以下の通りです。

・住宅ローンを契約したときに郵送される返済予定表
・契約した金融機関のWebサイト ※ネットサービスに加入している場合
・毎年年末調整用に郵送される残高証明書

住宅ローンの残債があれば、売却に際して住宅ローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。住宅ローンを組む際、金融機関は対象となる物件を担保として、抵当権を設定します。抵当権が付いたままの物件は買い手が現れにくいため、売却する際は、住宅ローンを完済し、抵当権を抹消することが基本です。

住宅ローンを返済するには、自己資金で全額返済する方法と、物件の売却額を利用して返済する方法があります。しかし、物件の売却額を利用しても完済できない場合は、追加で自己資金が必要です。

住宅ローンを完済するそのほかの手段としては、住み替え用のローンを利用するという選択肢もあります。住み替え専用の住宅ローンは、払い切れなかった住宅ローンの金額を、新たに購入する物件のローンに上乗せして借りるローンのことです。

また、残債がある状態で物件を売却する方法として、「任意売却」があります。任意売却は、マンション売却額と自己資金を合わせても住宅ローンを返済できない場合に、債権者の許可を得て抵当権を抹消し、マンションの売却をする方法です。債権者の許可を得ることで住宅ローンが残っていても、抵当権を抹消することができます。

住宅ローンを完済し、抵当権を抹消してから売却する一般的な方法に比べて、住み替え用の住宅ローンや任意売却は、誰でも必ず利用できるとはいえません。また、返済負担が大きくなったり、任意売却の利用によって信用情報に登録される恐れがあったりと、利用した場合のリスクもあります。

そのため、住宅ローンの残債があるのであれば、まずは完済を目指しましょう。もし、完済が難しそうであれば、「住み替えローン」や「任意売却」など自分に合った方法で住宅ローンを返済していきましょう。

●住み替えローンに関して詳しくはこちら
住み替えローンとは?利用の注意点や手順を解説

●任意売却に関して詳しくはこちら
任意売却とは?住宅ローンの支払いが厳しくなったら知っておくべき基礎知識

机に乗っている電卓とスマホとノートと通帳を確認している人

[ 2 ] 売りたいマンションの相場がどのくらいか

住宅ローンの残債の有無が確認できたら、実際に売却の検討をしているマンションが「いくらで売れそうなのか」を確認しましょう。どのくらいの金額で売れるかを確認する方法としては、「似た物件の成約価格や売り出し価格から相場を確認する方法」と「不動産会社に依頼して査定を行う方法」の2種類があります。自分で相場を確認しつつ、不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。ここでは、それぞれの方法に関してご紹介します。

相場を確認する

自分で売却したいマンションの売却額の相場を確認する方法として、不動産ポータルサイトを調べる方法が挙げられます。不動産ポータルサイトで、売却したいマンションと似たような条件のマンションがいくらで売却に出されているかを調べ、相場を確認しましょう。

以下のような条件をもとに、物件を絞り調べてみると、似たような物件がいくらで売りに出されているかを確認することができます。

・築年数
・間取り
・広さ
・最寄り駅
・最寄り駅までの距離

また、国交省の「土地総合情報システム」でチェックするのも、1つの方法です。不動産取引価格情報検索には、過去に実際に行われた不動産取引情報が掲載されており、サイトを利用することで取引価格を調べることができます。

査定を行う

相場の確認が終わったら、不動産会社に査定を依頼しましょう。不動産会社に査定してもらうことで、より現実的な売却予想額が分かります。査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。この2種類の査定を通して、「いくらで売れるか」を確認していきましょう。

机上査定は、Webや電話を利用して、依頼主から提供された情報をもとにその物件の売却想定額を算出する方法で、「簡易査定」とも呼ばれています。物件の築年数や住所、間取りなどのデータをもとにその物件の査定価格が算出されます。

机上査定は、非対面で完結し、結果が即日~数日で分かるため、手軽に行える点が特徴です。しかし、限られた情報をもとに査定をするため、査定価格と実際の売却価格に差が出る場合もあります。

一方で、訪問査定は不動産会社の担当者が実際に物件を訪れて査定価格を算出する方法です。物件のデータに加え、現地で確認した日当たりや周辺環境なども含めて結果を算出します。そのため机上査定と比較すると、査定価格が出るまでに時間がかかる傾向にありますが、より精度の高い査定価格を算出できる可能性が高いのです。また、不動産会社の担当者とやりとりを行うので、その不動産会社の対応の仕方も確認することができます。

査定を依頼する際は、複数の不動産会社にお願いし、査定額や査定時の対応などを比較検討しましょう。そして、仲介を依頼する際には、そのなかから信頼できそうな不動産会社を選ぶようにしましょう。

ルーペと電卓とマンションの模型

[ 3 ] いつまでに売りたいか

マンションの売却相場が分かったら、次は「いつまでに売りたいのか」をもとに売却方法を検討しましょう。一般的に、売却方法には「不動産会社に仲介を依頼して買主を探す方法」と「不動産会社に直接買い取ってもらう方法」の2種類があります。ここでは、売却にかかる時間を軸にこの2種類の特徴を紹介します。

3か月以上先であれば仲介

売却を予定している期日が3か月以上先であれば、仲介が向いています。仲介は、不動産会社が物件の買主を探して売却するまでの手伝いをする売却方法です。仲介を依頼せずに自力で買主を探す方法もありますが、不動産売却の方法としては、仲介を依頼するのが一般的です。不動産会社と契約を結んでから売却が完了するまでの期間は通常3~6か月ほどですが、1年以上かかる場合もあります。

次に紹介する「買取」と比較すると、仲介のほうが相場価格に近く、高い価格で売却できる可能性が高いです。

マンションの売却で不動産会社に仲介を依頼する際には、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」と呼ばれる3種類の契約方法があり、それぞれの特徴は下記の通りです。なお、「指定流通機構」は宅建業法の規定により国土交通大臣が指定した不動産流通機構のことで、レインズとも呼ばれています。

一般媒介契約

専任媒介契約

専属専任媒介契約

複数の不動産会社と契約ができるか

1社のみ

1社のみ

自分で買主を見つけた場合の不動産会社を通さない契約

×

契約期間

なし

3か月以内

3か月以内

指定流通機構への登録義務

なし

媒介契約締結日から7日以内

媒介契約締結日から5日以内

売主への活動報告義務

なし

2週間に1回以上

1週間に1回以上

●媒介契約の種類に関して詳しくはこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!

直近であれば買取

買取は、個人の買い手を募らずに、直接、不動産会社にマンションを買い取ってもらう方法です。売却期間が仲介と比較すると短く、急な転勤や引越しの都合などで早くマンションを売却したい人に向いています。

売却期間が短い一方で、売却価格が相場よりも低くなってしまう可能性があることが注意点です。買い取った物件は、その後不動産会社がクリーニングやリフォームをしてから売りに出すため、仲介と比較すると売却額が安くなる傾向にあります。

マンションを売却する際は、自分に合った売却方法を選んで、納得のいくマンション売却を目指しましょう。

赤鉛筆と印の付いたカレンダー

[ 4 ] 売却の諸費用がどのくらいかかるのか

マンションの売却をすると、出ていくお金もあります。マンション売却において、どのような費用がかかるのでしょうか?ここでは、その費用に関してご紹介します。

仲介手数料

不動産会社と媒介契約をして売却した場合に成果報酬として支払う費用です。仲介手数料は法律で上限額が決まっており、以下の計算式で上限額を算出することができます。

取引価格(税抜)

仲介手数料の上限

400万円超部分

取引価格(税抜) × 3% + 6万円 + 消費税

200万円超~400万円以下部分

取引価格(税抜) × 4% + 2万円 + 消費税

200万円以下部分

取引価格(税抜) × 5% + 消費税

●仲介手数料に関して詳しくはこちら
仲介手数料の相場はいくら?決められた上限と計算方法を解説

印紙税

マンションの売買契約において、契約書に収入印紙を添付して印紙税を納めます。印紙税は売買金額が大きくなるに連れて税額も大きくなり、2024年3月31日までに作成された書類に関しては、軽減措置が用意されています。たとえば、売買契約時に、価格が1000万円超~5000万円以下の場合、印紙税は本則では2万円、軽減措置適用で1万円となります。

ローン一括返済の手続き費用

売却しようとしているマンションの住宅ローンの残債を一括返済する場合は、手数料がかかります。金額は契約している金融機関によって変わりますが、手数料は1万~3万円程度です。また、同じ金融機関でも、窓口での返済手続きやインターネット経由での返済手続きなど、手続き方法が変わると金額も変わる場合があります。住宅ローンを一括返済するときは、契約している金融機関に手数料を確認するとよいでしょう。

登記費用

マンション売却をする際には、不動産の所在や権利関係を明らかにするため、登記を行う必要があります。売却時に行う登記は、「所有権移転登記」と「抵当権抹消登記」の2つです。所有権移転登記は、不動産の所有者を変更するための登記で、抵当権抹消登記はその名の通り、売却時に住宅ローンを完済する際に、金融機関の抵当権を抹消するための登記です。

登記の変更を行う際には、登録免許税という税金がかかります。所有移転登記にかかる登録免許税は、買主が負担することが一般的です。しかし、抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、住宅ローンを完済する人が支払う必要があり、不動産1件につき1000円かかります。

また、抵当権抹消登記も所有権移転登記も自ら行うことができますが、司法書士に依頼して行うことが多く、その場合は、司法書士への報酬を支払わなければいけません。報酬金額は司法書士によって異なるので、依頼する前に確認しましょう。

譲渡所得にかかる税金

譲渡所得にかかる税金は、マンションを売却したときに得た所得にかかる税金です。マンションを売却したときに得る所得(譲渡所得)には、所得税、住民税、復興特別所得税が課税されます。税率は、マンションを売却した年の1月1日時点でのマンションの保有期間により異なり、所得税、住民税、復興特別所得税を併せた税率は、次の通りです。

保有期間

税率

5年以下の場合

譲渡所得の39.63 %

5年超の場合

譲渡所得の20.315 %

●譲渡所得税のシミュレーションはこちら

ほかの費用

上記で紹介してきた費用のほかにも、ハウスクリーニング代や引越し費用などがかかります。ハウスクリーニングは、プロの清掃業者に依頼して行う清掃です。利用は任意ですが、物件をきれいにすることで、購入希望者への印象をよくしたり、早く売りたい場合などに行います。また、売却物件から引越しするときにも費用がかかります。

電卓で計算をする男性

マンションを売る流れ

これまでマンションの売却に関して、査定や売却方法の種類、売却時にかかる諸費用などを解説してきました。ここでは、改めて査定の依頼から引渡し完了までの流れを解説していきます。

[ 1 ]査定を複数の不動産会社に依頼する

マンションの売却を行うのであれば、まず不動産会社に査定依頼を出し、マンションがどのくらいで売却できそうかを確認しましょう。机上査定から行い、そのなかから訪問査定を依頼する会社を絞り込んでいくのがおすすめです。複数の不動産会社に依頼をし、比較検討をしながら媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶ参考にしましょう。

[ 2 ]不動産会社を選び、媒介契約を結ぶ

査定を依頼した不動産会社のなかから信用できそうな会社を選んだら、媒介契約を結びましょう。前述の通り、媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。このなかから自分にあった契約方法を選択し、媒介契約を結びます。

[ 3 ]売り出しを開始する

不動産会社と媒介契約を結んだら、不動産会社の査定価格を参考に売り出し価格を決め、いよいよマンションの販売活動を開始します。主に媒介契約を結んだ不動産会社の担当者に、チラシや広告などを利用して宣伝活動を行ってもらい、購入希望者を募集します。

[ 4 ]内覧に対応する

内覧希望者が現れたら、その対応を行いましょう。内覧での印象が、購入につながる可能性が高いため丁寧に対応することが大切です。内覧では、実際に購入希望者が物件を訪れ、状態を目で見て確認します。少しでも購買意欲を高めるために 、事前に物件内をきれいにしておきましょう。特に、水回りをきれいにしておくと印象も変わりやすくなります。

内覧時に売主の引越しが完了していて空き家になっていれば、内覧の対応を不動産会社の担当者にお願いしてもよいですが、売主が新居に引越していない場合は立ち会いとなるケースがほとんどです。立ち会い時によい印象を持ってもらえるように対応しましょう。

[ 5 ]売買契約を結ぶ

売り出していたマンションに購入希望者が現れたら、売主はその購入希望者と売買契約を結びます。重要事項説明書の読み合わせを行った後に、売買契約書・物件状況等報告書・設備表の読み合わせが行われます。これらの書類の合意が得られたら、それぞれの書類への署名や捺印を行います。その後、買主から売主へ手付金が支払われ、契約が締結されます。

[ 6 ]マンションを引渡す

マンションの引渡し当日は、売主と買主だけでなく、不動産会社や金融機関の担当者も集まり、引渡しが進みます。このときに、所有権移転登記や住宅ローンの諸手続き、売主から買主への鍵の引渡しなどを行います。

マンションを高く売るコツは?

マンションの売却に関して、マンションの売却の流れやかかる費用などを解説してきました。マンションを売却するのであれば、少しでも高く売りたいですよね。ここでは、マンションを少しでも高く売るコツをご紹介します。

売り出すタイミングを考える

マンションを少しでも高く売るためには、売り出すタイミングを考えましょう。特に、新生活に向けて引越しが多くなる春や、過ごしやすくなる秋は需要が高くなる傾向があります。売却までの期間を考えて、12月頃や8月頃に媒介契約を結ぶと、需要が高い時期にタイミングを合わせることができるでしょう。

また、節税の観点で見ると、マンションを購入してから5年以上経ってから売却するのも、利益を多く得るコツです。前述の通り、マンションを購入してから5年以上経過した後に売却すると、譲渡所得にかかる所得税と住民税の税率が低くなるためです。

築年数に伴う売却金額の変動や市場動向などの状況を総合的に考えて、お得になるかどうかを確かめてみるとよいでしょう。

マンション売却に強い不動産会社を選ぶことも大事

マンション売却の経験が豊富な不動産会社や、マンションのある地域に詳しい不動産会社を選ぶことで売却に有利に働く可能性があります。マンションの売却は、媒介契約をした不動産会社に宣伝活動を行ってもらいます。そのため、いつどのタイミングでどこにチラシや広告を打つのかなど、経験豊富でエリアに詳しい不動産会社を選ぶことが重要になります。

内覧時の印象を上げる

購入希望者への内覧時の印象を高めることが、購入してもらうためにも有効な対策になります。そのためにも、内覧の際は、事前にしっかりと掃除をしておきましょう。特に、キッチンやバスルーム、トイレなどの水回りを清潔にしておくと効果的です。ハウスクリーニングを依頼してきれいにしておくのもよいでしょう。また、ものが整理整頓されているだけでも、印象は変わるため、不要なものは片付け、収納場所も整理整頓しておきましょう。

契約書に捺印をする女性とお願いをする男性

信頼できる不動産会社を選んでマンション売却を!

マンションの売却に関して、売却の流れや高く売るコツなどを解説してきました。マンション売却の成功は、信頼できる不動産会社とともに売却活動ができるかどうかにかかっています。マンションの査定の際に、どの会社が信頼できそうなのか、査定額の金額だけではなく、総合的に判断して、信頼できる不動産会社を見極めることが大切です。

信頼できる不動産会社と媒介契約を結んだ後は、売却に関して、分からないことがあったら積極的に担当者に相談して、マンションの売却を成功へ導きましょう!

●まずは無料査定から

物件を案内する男性と案内される男女

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html