Column / 2021 06,17

サブリースとは?毎月固定の賃料が支払われる賃貸の経営方法を解説

「サブリース」とは、持っている物件を一括してサブリース会社に預け、サブリース会社から入居者に転貸しすることをいいます。今回は賃貸オーナーをサポートする賃料固定型のサブリースについて詳しく見ていきましょう。

山本直彌

さくら事務所 マンション管理士。マンション管理士、管理業務主任者、マンション維持修繕技術者、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。マンション・ビル管理、不動産仲介、マンション管理コンサルタントなど、不動産の多岐にわたる業務に従事している。
https://www.sakurajimusyo.com/

サブリースとは?

「サブリース」とは、持っている物件を一括してサブリース会社に預け、サブリース会社から入居者に転貸しすることをいいます。サブリースは賃貸オーナーに安定した収入をもたらす賃貸方法の1つとして注目されています。

現在アパート・マンションの賃貸経営をしている人、賃貸オーナーになる予定がある人、アパートを相続した人のなかには、サブリースを検討している人もいるのではないでしょうか?
サブリースには、家賃保証がない「実績賃料連動型」と家賃が保証される「賃料固定型」があります。今回は賃貸オーナーをサポートする賃料固定型のサブリースについて詳しく見ていきましょう。

アパートの模型と電卓

賃貸経営の1種

サブリースは、賃貸経営方法の1つです。賃貸の経営方法には、自分で運営管理する「自主管理」と不動産会社に委託する「管理委託」、そしてサブリース会社がオーナーから賃貸物件を一括借上げし、又貸しするサブリースがあります。

サブリースの特徴は、毎月サブリース会社から家賃収入が入るほか、空室が出たときにも一定の家賃収入が保証がされることです。

なお、オーナーとサブリース会社の間で結ぶ契約は、「マスターリース(一括賃借契約)」といいます。マスターリース契約は、数十年という長期に渡ることが一般的です。

サブリースはアパート・マンションの経営者だけでなく、分譲マンションや戸建の住まいを持っている個人でも利用できる賃貸方法です。

「1部屋から」「駐車場だけ」も可能

サブリースの管理会社によっては、マンションの1部屋だけ、空き家物件、駐車場などをサブリースする場合もあります。

長期転勤や結婚などで、今の持ち家やマンションを手放さずに賃貸したい場合や、住む予定がない空き家やマンションの1室を長期間貸したいときに、サブリースを利用することができます。

なお、長期でなく期間限定で貸したい場合は、サブリースではなく、短期の賃貸方法「リロケーション」という方法があります。

駐車場に止められた車

サブリースのメリットは?

オーナーにとって、サブリースはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここからは、サブリースのメリットについてお伝えします。

家の模型と鍵を渡す人の手

収入が安定する

賃貸物件をサブリースにする最大のメリットは、収入が安定するという点です。サブリースは、物件を借り受けたサブリース会社がオーナーに家賃保証を行うシステムのため、たとえ空室が出ても、オーナーにサブリース会社から毎月固定の賃料が安定して支払われます

アパート・マンション経営を自主管理や管理委託で行っていると、空室が出てなかなか入居者が決まらない、家賃の滞納があったときはオーナーの収入は減るのが一般的です。サブリースの場合、収入が不安定になることの不安から解放されるというメリットがあります。

管理を一任できる

サブリースでは、入居者募集、契約更新、賃貸の集金や退去、メンテナンスといった全ての管理業務を管理会社に一任できます。オーナーは運営・管理という業務から解放され、手間と労力が減ります。

広告費用や清掃・消毒費を削減できる

サブリースを利用すると、運営・管理にかかる費用を削減できます。たとえば、入居者募集にかかる広告費をオーナーが負担する必要はありません。空き室が出た場合、サブリース会社が募集するための広告費は管理会社が全面的に負担します。

また、入居者が退去すると、オーナーは部屋のクリーニングや消毒をし、現状回復を行う必要がありますが、サブリースの場合、清掃・消毒費などはサブリース会社が負担します。

相続税を抑えられる

サブリースには、相続税を抑える、というメリットもあります。
アパート物件を持つオーナーが亡くなり、相続した場合、通常はその賃貸物件に対して相続税がかかります。このとき、入居率が高いと相続税は低くなります。
相続税は、建物の固定資産税評価額をもとに計算されます。賃貸物件の場合の相続税には減額措置が適用されますが、空室に関しては減額措置が適用されません。

サブリースの場合、たとえ空室があったとしても、全てをサブリース会社に貸しているため、100%満室としてみなされます。そのため、相続税を抑えることができるのです。

確定申告の手間が簡略化できる

サブリース会社に賃貸物件を一括して貸すと、確定申告の負担を軽減することが可能です。入居者の入退去費用の計算が不要になるため、収支の計算が簡単になるというメリットがあります。

サブリースの注意点とは?

ここまではサブリースのメリットについてお伝えしましたが、ここからは注意点についてお伝えします。

不動産会社で説明を聞くカップル

自主管理・管理委託と比較し収入が下がる

サブリースは、アパート・マンションを自主管理し運営する場合に比べて収入が下がる、ということを覚えておきましょう。
自主管理の場合は、家賃の100%が収入になりますが、サブリースの場合は、サブリース会社が仲介するため、仲介手数料が取られます。オーナーに、家賃として支払われる額は正規の家賃のおよそ80~90%になります。

また、新しい入居者から支払われる敷金・礼金、契約更新時の更新料はサブリース会社のものとなり、オーナーは受け取ることができません。
以上の理由から、自主管理・管理委託に比べて、オーナーの家賃収入は下がるのです。

免責期間は家賃保証がない

退去したため空き室になった場合、次の入居者が決まるまで、オーナーに支払う家賃が免責されることがあります。契約によって異なりますが、多くの場合、次の入居者が決まるまで原状回復費と広告費を費やし、営業活動を行うため、契約書に免責期間が設けられていることがあるのです。
なお、サブリースの免責期間は契約によって異なります。多くの場合、1か月から半年間ほどで設定されています。

家賃を保証するサブリースですが、免責期間が設定されている場合は、その期間中は家賃を受け取ることができないので注意しましょう。

数年ごとに家賃保証額が変化する

オーナーに支払われる家賃保証額は、数年ごとに変化する可能性があります。オーナーとサブリース会社が交わすマスターリース契約は、数年ごとに契約の更新を行います。契約の更新は一般的に2年ごとに行われますが、契約によっては、1年ごとという場合もあります。

その際、家賃の見直しが行われるのが一般的です。もし、アパート・マンションの家賃を下げることになったら、それに伴ってオーナーに支払われる保証家賃額も下がります。
オーナーに支払われる保証家賃額は、契約期間中、ずっと同じではなく、契約を更新するたびに変化する可能性がありますから、注意が必要です。

入居者を選べない

サブリースの場合、オーナーには入居者を選ぶ権限はありません。入居者を選ぶのは、サブリース会社になります。
サブリースの場合は、オーナーが入居者を選べないため、サブリース会社が選んだ入居者の部屋の使い方によっては、不動産の資産価値を下げるリスクがあることを理解しておきましょう。

サブリースをするなら6つのポイントを確認しよう!

オーナーにとって全ての管理を任せられるサブリースは、手間を軽減できる賃貸の経営方法です。しかし、ここまでお伝えしたように、契約内容によっては家賃収入が見込めない時期があったり、家賃保証額が減額したりするリスクもあります。サブリースを検討するなら、以下の6つのポイントを確認することが大切です。

マンション模型と電卓

[ 1 ] 保証率

まず、提示された家賃の保証率が適正かどうかを確かめましょう。家賃保証率は、管理会社によって、また物件によっても変わってきますが、一般的な家賃保証率の相場は80~90%です。提示された保証率が適正かどうか見極めるようにしましょう。

また、数年後に保証家賃が下がった場合でも、提示された保証率で利益が出るかどうかを確認しておく必要もあります。

[ 2 ] 諸費用の負担先

求人にかかる広告費や退去時の清掃・消毒費は誰が持つかを確認しましょう。サブリースの場合、広告費や清掃・消毒費用はサブリース会社が持つのが一般的です。しかし、サブリース会社や契約の内容によって異なることもあります。

広告費用と清掃・消毒費用はどちらが負担するか、また設備や建物の修繕費や、物件が古くなった場合に行うリフォーム代はどちらが支払うかなど、細かな点まで確認しておくことが必要です。

そのほかにも予想外の費用負担がかからないかどうか、諸費用に関する契約内容は詳細に確認することをおすすめします。もし、修繕費やリフォーム代をオーナーが負担するのであれば、資金の準備が必要です。契約内容は細部に至るまでチェックしましょう。

契約書に印鑑を押す手元

[ 3 ] 賃料の見直し内容

サブリースに関する契約の更新はいつ行われるか、また保証料の見直しについても確認しましょう。更新時期は、2年ごとに行われる場合もあれば、サブリース会社によって1年ごと、あるいは2年ごと、あるいは10年目から1年ごとなど異なります。

また、先にお伝えしたように、契約の見直し時に家賃の保証率が変わることがあります。家賃保証率を管理会社が下げる場合、どのくらいの限度まで下げるかも確かめておくとよいでしょう。

[ 4 ] 免責期間

空室が出た場合に備えて、免責期間があるかどうかを確認しましょう。
免責期間が契約に設定されている場合は、たとえサブリースであっても、免責期間中はオーナーに家賃の支払いは行われません。免責期間に期限はあるのか、またその免責期間は適切かどうかを判断するようにしましょう。

[ 5 ] 解約の条件

管理会社と交わしたマスターリース契約に関して、解約の条件を確認しておきましょう。契約してからどのくらい経てば解約できるか。解約の予告は何か月前に行うべきか。どんな場合に解約できるかといった条件を事前に確かめて、双方の希望のもと、協議しておくことが大切です。

マスターリース契約においても、借地借家法が適用され、オーナーからの解約希望の場合には、「正当な事由」が必要となります。

もし、サブリースが不要になったり、物件をオーナーの事情で手放すことになったりした場合、解約の条件を事前に調整しておくことで、トラブルなく契約を解除できる可能性が高まります。

[ 6 ] トラブルが起こったときの相談先

サブリースに関するトラブルに備えて、相談先を知っておくとよいでしょう。
サブリースに関するトラブルの相談を受け付ける窓口は、金融庁・消費者庁・国土交通省の合同のサブリースに関するホームページの相談窓口を確認しましょう。

信頼できるサブリース会社を選ぼう

不動産の営業マン

サブリースを検討する際、家賃の保証額はどのくらいか、また契約更新で保証率がどう変わるのかなど、不安なことも多くあるかと思います。家賃の保証額に関して不安な場合は、まず不動産会社に相談し、物件の査定してもらうことをおすすめします。

実際に物件を査定してもらい、自分の物件の賃貸料の適正を把握しましょう。前述したように、サブリースの家賃の保証率は80~90%が一般的ですから、家賃保証額がどのくらいになるか判断できます。

サブリース会社には、建設会社と不動産会社が行っている場合があります。不動産会社が行っているサブリースを利用すると、賃貸のプロとして入居者募集から契約手続き、管理、退去後の対応までしっかり行ってくれるので、おすすめです。

そして、サブリース会社を選ぶには、複数の会社に自分の物件をサブリースにした場合の契約内容を出してもらい、その際の対応なども含めて信頼できるサブリース会社を選ぶことをおすすめします。

なお、検討する際は、契約内容に関する説明をよく聞くことが大切です。
詳しい説明を聞かないまま契約し、後でトラブルが生じてしまっては大変です。サブリースで起こるトラブルを防ぐために、2020年からサブリースを行う管理会社はオーナーに対し、契約の内容をしっかり説明することが法律で義務付けられました。

また、オーナーも重要説明事項を契約前に認知することを国土交通省が推進しています。サブリースを検討する際は、注意点をよく認識し、説明内容をしっかり理解してから、検討するようにしてくださいね!