相続不動産に査定が必要な理由とは?査定方法や財産の分割方法について解説

相続財産のなかに土地や家などの不動産が含まれる場合、査定して資産価値を調べることが大切です。この記事では、相続をスムーズに進めたい方に向けて、不動産の査定方法や評価額の調べ方、また複数人で分割する方法についても解説します。

目次
  1. 土地や家などの不動産相続に査定が必要な理由
  2. 相続した土地や家を査定する3つの方法
  3. 複数人で相続不動産を分割する方法は?
  4. 土地や家を相続したら早めに査定しよう
2024.03.28

土地や家などの不動産相続に査定が必要な理由

査定とは、対象となるものを調べてその状態や価値を定めることをいいます。相続する財産のなかに土地や家などの不動産が含まれている場合は、その不動産を査定して資産価値を調べることが大切です。その理由は主に以下の2つが挙げられます。

・ローン残債があった場合に備えるため
・複数人で公平に分けるため

それぞれの理由について詳しくご説明しましょう。

相続した古家付き土地を査定する様子

ローン残債があった場合に備えるため

相続した不動産には、返済中の住宅ローンが残っている場合もあります。被相続人(故人)が団体信用生命保険(団信)に加入している場合は、残債があっても手続きをすれば全額返済されます。しかし、団信に加入していなかったケースでは、相続人が残債を引き継ぎ、毎月返済を続けるか手持ちの資金で完済する、あるいは売却して完済する必要があるのです。そのため、不動産を相続する際には住宅ローンの残債や、団信への加入状況を調べるとともに、売却した場合の推定価格を査定で把握しておくとよいでしょう。ローン残債が大きい場合は、任意売却や相続放棄を検討する必要もあります。

●任意売却に関する記事はこちら
任意売却とは?住宅ローンの支払いが厳しくなったら知っておくべき基礎知識を解説

複数人で公平に分けるため

不動産は分割が難しい財産であるため、相続人が複数にわたる場合はトラブルに発展しやすいといえます。複数人で不動産を分割するにはさまざまな方法がありますが、どの方法を選択するにしても、まずは査定で不動産の資産価値を把握する必要があるのです。複数人で不動産を分割する方法についてはこちらで詳しく解説します。

相続した土地の相続税

相続した土地や家を査定する3つの方法

相続した不動産の資産価値を調べるには、次の3つの方法があります。

・不動産査定を依頼する
・不動産鑑定を依頼する
・自分で評価額を調べる

不動産査定を依頼する

不動産会社に、相続する不動産の市場価値を調べてもらうことを「不動産査定」といいます。不動産査定には、「簡易査定(机上査定)」と「訪問査定」の2つに大きく分けられており、より精度が高く、現実的な査定結果を得るには、実際に家や土地を訪問して調べてもらう訪問査定がおすすめです。

不動産査定は無料で受けられることがメリットですが、法的効力がないことに注意が必要です。万が一、相続人同士でトラブルに発展した場合、査定書を調停や裁判に用いることはできません。そのため、相続するのが自分1人という場合や、売却することが決まっている場合に利用するのがよいでしょう。

三井のリハウスでは、簡易査定や訪問査定のほか、WEB上で物件情報を入力し、その場で結果が分かるAI査定も受け付けています。「すぐにおおまかな資産価値を知りたい」「相続が発生する前に調べておきたい」という方は、以下のサイトからお試しください。

●相続不動産の査定をご希望の方はこちら

●不動産査定に必要な書類についてはこちら
不動産価格査定とは?不動産の売却に向けた査定方法を分かりやすく解説

●マンションAI査定はこちら

不動産鑑定を依頼する

不動産鑑定とは、専門家が不動産の適正な価値を算出するもので、上記の不動産査定と似ているようですが、比較すると大きな違いがあります。不動産査定との違いは、「国家資格者である不動産鑑定士のみが行えること」「不動産鑑定士によって作成される不動産鑑定書に法的効力があること」「有料であること」の3つです。

そのため、複数の相続人同士で不動産を公平に分割したい場合に有効だといえます。不動産鑑定の相場は数十万円とされますが、簡易鑑定で費用を抑えることも可能です。不動産査定と不動産鑑定のどちらを受ければよいか分からない場合は、無料相談が可能な不動産会社へ相談してみましょう。

●不動産鑑定に関する記事はこちら
不動産鑑定とは?査定との違いや不動産鑑定士に依頼する流れを解説

相続した土地の不動産鑑定

自分で評価額を調べる

評価額とは、不動産の価値を表す価格のことです。不動産を相続する場合は、「相続税評価額」を自分で調べてみるとよいでしょう。また、不動産の資産価値に加え、相続税の税額も把握することができるため、不動産査定や不動産鑑定を受ける方も、相続税評価額を調べておくことがおすすめです。

土地と建物それぞれの相続税評価額の調べ方は以下の通りです。

土地の相続税評価額
土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。路線価方式とは、路線価 = 土地に面している道路1㎡あたりの価格を用いて評価する方法で、計算方法は以下の通りです。

路線価 × 地積(土地の面積)

路線価は国税庁のホームページに掲載されている路線価図から確認できます。地積は、固定資産税の納税通知書に記載されています。また、崖地や間口の狭い土地など、活用しにくい宅地のケースでは評価額を下げる「補正率」も乗じる必要がありますが、補正率の計算は複雑であるため、税理士や土地家屋調査士などの専門家に相談することがおすすめです。

倍率方式は、路線価が設定されていない地域に用いられる方法で、計算式は以下の通りです。

評価倍率 × 固定資産税評価額

評価倍率は国税庁のホームページに掲載されている評価倍率表から確認できます。

●固定資産税評価額についてはこちら
評価額とは?家の評価額を知る方法や、必要になるタイミングを解説!

建物の相続税評価額
建物の評価額は、固定資産税評価額と同じものです。固定資産税評価額は、自治体から送付される課税明細書で確認できます。固定資産税の納税通知書に添付されており、「固定資産税評価額」という欄があるので確認してみましょう。

なお、相続する不動産がマンションの場合や投資用物件、借地権付きの物件である場合は計算方法に要素が加わるため、自分で計算するのが不安な方は不動産会社や税理士などに相談するのがおすすめです。

●不動産の相続税評価額の調べ方に関する記事はこちら
不動産の相続税評価額とは?計算方法や抑える方法、相続時の注意点などについて解説

相続した不動産の評価額

複数人で相続不動産を分割する方法は?

複数の相続人が不動産を相続する場合、その分割方法には次の4つがあります。

・現物分割
・代償分割
・換価分割
・共有分割

現物分割

現物分割とは、相続した財産をそれぞれ現物のまま相続人同士で分け合う方法です。たとえば、相続した土地を3人で現物分割する場合、1つの土地を3つに分筆してそれぞれが所有します。

代償分割

代償分割とは、相続人の1人が不動産を取得し、ほかの相続人には法定相続割合に応じた代償金を支払う方法で、代償金は現金で支払うことが一般的です。不動産を売却したくない場合に有効な方法ですが、代償金の金額について不満が出やすいこと、また代償金の用意ができないと、この方法を選択できないことが注意点だといえます。

相続した不動産の代償分割

換価分割

換価分割とは、相続不動産を売却し、その売却で得られた額を相続人同士で分け合う方法です。相続人全員が売却に同意している場合に有効で、平等に財産を分け合えるのがメリットだといえます。ただし、譲渡所得(売却益)に対する税金(住民税や所得税など)は、相続人全員に課せられる点に注意が必要です。

共有分割

共有分割とは、複数の相続人同士で不動産を共有名義とする方法です。平等な分配が可能な一方、将来売却したり、賃貸物件として利用したりする場合は共有名義者全員の同意を得る必要があり、トラブルに発展する恐れがある点に注意が必要です。なお、自分の持分だけを売却することは可能ですが、やはりトラブルになりやすいといえます。共有持分について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

●共有持分の売却についてはこちら
共有持分は売却できる?売却方法やトラブルの事例、対処法について分かりやすく解説

どの方法で遺産を分割するかは、遺言書があればそれに従い、ない場合は相続人同士で遺産分割協議を行って遺産手続きをする必要があります。遺産分割協議で決まった内容は「遺産分割協議書」として書面に残し、後に問題が起きることを防ぎましょう。また、相続不動産を売却する場合には相続登記が必要です。不動産を相続したら速やかに手続きを行いましょう。

●相続登記についてはこちら
相続登記とは?自分で行う流れや必要書類、申請にかかる費用も解説

相続した不動産の共有分割

土地や家を相続したら早めに査定しよう

土地や家などの不動産は、売却にある程度時間がかかるほか、放置するほど価値が変動し、下がってしまう可能性や、固定資産税や管理費などの支出がかさむといった問題があります。そのため、不動産を相続したらなるべく早めに査定をし、資産価値を把握して対処方法を決めることがおすすめです。

三井のリハウスでは、不動産売却の査定や、売却に関連するさまざまなサービスを承っています。経験、知識ともに豊富な担当者が、お客さまのお悩みに親身に寄り添い、査定から売却までの流れを一貫してサポートいたします。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html