投資用マンションの売り時は?タイミングや査定について解説

投資用マンションの売却は、一般的な居住用マンションとは異なる点がいくつかあります。また、少しでも高く売るためには、売却のタイミングも重要です。この記事では、投資用マンションの売り時や流れ、査定方法などについて解説します。

目次
  1. 投資用マンションを売却する理由
  2. 投資用マンションの売り時
  3. 投資用マンションの査定方法
  4. 投資用マンション売却の流れ
  5. 投資用マンション売却にかかる費用
  6. 投資用マンションの査定を受ける不動産会社選びのポイント
  7. 投資用マンションの査定を依頼してみよう
記事カテゴリ 売却 マンション
2024.03.08

投資用マンションを売却する理由

投資用マンションには、家賃という不労所得を得られたり、所得税や住民税を軽減できたりなど、さまざまなメリットがあります。

しかし、投資用マンションを所有している方のなかには、売却を検討している方もいるのではないでしょうか?投資用マンションは、一般的な不動産とは売却のタイミングやポイントが異なるため、必要な情報、知識を事前に押さえておくことが大切です。

まずは、投資用マンションを売却するきっかけとなるいくつかの理由についてご紹介します。

投資用マンションが多い都会

相続した不動産を現金化したいため

相続人が複数いる場合、不動産を平等に分けるのは難しく、どう分割するかでトラブルに発展することがあります。スムーズに遺産分割するには、不動産を相続した後に売却し、売却代金を相続人で分ける換価分割という方法を取るのがおすすめです。換価分割は、ほかの遺産分割の方法に比べて手続きが簡単であることから、不動産を相続した人によく選ばれています

まとまった資金が必要になったため

まとまった資金が必要になったときも、不動産のような高額な資産は売却の対象とされやすいものです。たとえば、家の買い替えのための資金、事業資金、子どもの教育費、事故や病気などによる医療費が必要になったときは売却の可能性が出てくるでしょう。また、転勤や親の介護などで引越しの必要が出てきたとき、所有している投資用マンションを売却して、新生活のための資金に充てるケースも考えられます。

空室が続くため

投資用マンションを賃貸物件として人に貸す場合、空室になるリスクは避けられません。特にワンルームや1Kなどの単身者用マンションの場合、ファミリータイプのマンションに比べて賃貸期間が短いため、空室のリスクが高くなる傾向にあります。

空室が続くと、家賃収入を得られなくなるばかりか、ランニングコストだけがかかることになるでしょう。借り手が長期間見つからない場合は、費用がかさんで赤字になってしまうので、売却してしまったほうがよい場合もあります。

投資用マンションの売却に悩む

投資用マンションの売り時

投資用マンションを売却する際は、できるだけ高値で売却したいですよね。そのためには、売却のタイミングが重要です。ここからは、売却するのにおすすめのタイミングと、その理由について解説します。

金利の低い時期に売却する

金利の低い時期に売却すると、投資用マンションを高く売りやすくなります。その理由は、金利が低いとローンの利息額も低くなり、不動産を購入しやすくなることで、あらゆる不動産の需要が高まるからです。つまり、投資用マンションも高く売れやすいということになります。

所有期間が5年をすぎてから売却する

投資用マンションを売却するのは、所有期間が5年をすぎてからがおすすめです。投資用マンションは、売却時に利益が発生すると税金がかかることがありますが、所有期間が5年以下か超えるかによって、税率がおよそ2倍異なります

売却する年の1月1日の時点において、所有期間が5年を超えるときは「長期譲渡所得」、5年以下のときは「短期譲渡所得」となり、それぞれの税率は以下の通りです。

所得の種類所有期間所得税率
※復興特別所得税を含む
住民税率
短期譲渡所得5年以下30.63%9%
長期譲渡所得5年超15.315%5%

そのため、売却して譲渡益が発生しそうな場合は、投資用マンションの所有期間が5年をすぎてから売却すると税額を抑えることができます。

金利に左右される投資用マンションの売却

大規模修繕中は売却を避ける

マンションは、約12年に一度、大規模修繕が行われるのが一般的です。

この大規模修繕が行われている、または近いうちに行われる予定がある場合、売却時期を再検討したほうがよいでしょう。工事の間は、マンションにかけられるカバーによって日当たりが悪くなったり、騒音が発生したりと、内覧をしても物件の魅力が伝わりにくい状態になってしまうためです。

売却のタイミングは先になりますが、大規模修繕によってきれいになった物件は、買い手が見つかりやすくなる傾向にあります。同時に、当分の間、大規模修繕が行われないことは、購入希望者に対するセールスポイントにもなります。次の大規模修繕が行われるのはいつ頃かを確認し、大規模修繕中はなるべく売却を避けるようにしましょう。

投資用マンションの査定方法

査定方法にはさまざまなものがありますが、投資用マンションは「収益還元法」で計算されるのが一般的です。収益還元法とは、「将来どれくらいの利益を得られるか?」という収益力を基準に不動産の査定額を算出する方法です。

さらに、収益還元法には「直接還元法」と「DCF法」の2種類があり、計算方法の難易度と、精度の高さが異なります。

今回は、自分でも計算しやすい直接還元法の計算方法をお伝えします。直接還元法とは、1年間の家賃収入から管理費や、修繕費、税金といった運用コストを差し引いた純利益を還元利回り(不動産の収益性を表す利率)で割る計算法で、不動産価格は以下の式で求められます。

不動産価格 = 1年間の純利益 ÷ 還元利回り

不動産会社に査定を依頼する前に、指標の1つとして計算してみてくださいね。

投資用マンションの査定

投資用マンション売却の流れ

投資用マンションを売却する流れは、以下のようなステップを踏んでいきます。

[ 1 ] 査定の依頼
[ 2 ] 媒介契約の締結
[ 3 ] 売却活動開始
[ 4 ] 売買契約の締結
[ 5 ] 引渡し・決済
[ 6 ] 賃貸人の地位承継通知

また、通常のマンション売却と異なる点は以下の通りです。

内覧は行われないこともある

居住用マンションを売却する際は、購入検討者のために内覧を行うのが一般的です。一方、投資用マンションの場合は、入居者がいる状態で売りに出されることもあり、その場合は基本的に内覧が行われず、書類のみで売買契約が完了することになります。

なお、入居者が居住している状態で売却することを「オーナーチェンジ」といい、入居者は変わらず、オーナー(所有者)だけが変わります。投資用マンションでよく使われる売買形態なので、ぜひ覚えておきましょう。

賃料の精算を行う

投資用マンションの場合、引渡し時に固定資産税の精算だけでなく、賃料に関しても精算を行うケースがあります。

通常、賃料については、翌月分が前月払いとなっているため、不動産の売買時、売主は翌月の家賃を既に受け取っていることが多くなります。売主が賃料を受け取り過ぎている場合は、その分を精算する必要があることを覚えておきましょう。

賃貸人変更通知書を発行する

投資用マンションをオーナーチェンジ物件として売却する場合、売主は「賃貸人変更通知書」を発行し、入居者にオーナーが変更することを知らせるのが一般的です。その際は、賃料の新しい振込先や、管理会社の変更の有無などを記載して通知します。

法的に、賃貸人変更通知書を出さなければならないという決まりはありませんが、管理会社や家賃の振込先が変わったことを入居者が知らずにいると、トラブルを招く恐れもあります。詳しい手続きが分からない場合は、委託先の賃貸管理会社に相談してみましょう。

抵当権抹消の手続き

投資用マンション売却にかかる費用

投資用マンションの売却が完了するまでには、さまざまな費用が発生します。なかでも主な費用は以下の通りです。

・仲介手数料
・印紙税
・抵当権抹消のために必要な費用

仲介手数料

仲介手数料とは、不動産会社に売却の仲介を依頼した場合に発生する成功報酬です。ただし、あくまで成功報酬なので、支払うのは投資用マンションの売買が成立したときのみとなります。

一方、不動産会社に直接買い取ってもらう買取を選んだ場合、仲介手数料は発生しません。しかし、仲介で売却する場合に比べて、成約価格が相場の6~8割程度になってしまうことには注意する必要があります。

印紙税

印紙税とは文書に課税される税金で、印紙税法で定められているものです。不動産売買では、売買契約書に定められた金額の印紙を貼り、印紙の再使用を防止するために消印(割印)をします。印紙税額は、契約書に記載されている売買価格によって決まり、売買契約書は2通作成され、通常は売主と買主が1通分ずつ負担します。

●印紙税についてはこちら
国税庁 | No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで

抵当権抹消費用

投資用ローンを組んで投資用マンションを購入している場合は、売却にあたり、残債を一括返済して抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権の抹消登記には、不動産1件につき登録免許税が1,000円かかります一般的なマンションの場合、土地と建物それぞれに登録免許税がかかるため、合計2,000円が抵当権抹消登記に必要となります。加えて、司法書士に登記を依頼する場合は、別途費用が必要です。

●抵当権抹消の手続きについてはこちら
抵当権抹消手続きを自分で行う方法を4つのステップで解説!

対応が早い不動産会社

投資用マンションの査定を受ける不動産会社選びのポイント

上記で説明した通り、投資用マンションの売却は査定を受けるところから始まります。重要なのは、どの不動産会社に査定を依頼するかで査定額が異なることです。

不動産会社を選ぶときは、以下の点が決め手となります。

・査定額に根拠がある
・不動産の売却実績が豊富である
・対応が誠実でスピーディーである

査定額に根拠がある

信頼できる不動産会社かどうかを見極める1つの方法が、算出する査定額にしっかりした根拠があるかどうかです。

投資用マンションのような収益物件の査定は、収益還元法が用いられることもあり、一般的な居住用マンションに比べて査定額の算出が難しいとされます。提示された査定額の妥当性を確かめるために、どのように算出しているかを聞いてみるとよいでしょう。

不動産の売却実績が豊富である

投資用マンションの査定額の算出は難しいこともあり、投資用マンションの取引件数が多い不動産会社と媒介契約を結ぶことをおすすめします。

投資用マンションの取引実績が豊富な不動産会社のほうが、多くの知見やノウハウを持っており、売却がスムーズにいく傾向があるためです。

対応が誠実でスピーディーである

査定を依頼する際は、不動産会社の営業担当者の対応を見るようにしましょう。やり取りのスムーズさや、疑問に対する説明の分かりやすさなどから、任せて安心な人物であるかがある程度判断できるはずです。

投資用マンションの査定を依頼してみよう

ここまで、投資用マンションの売却のポイント、注意点について紹介してきました。

投資用マンションの売却を検討中の方は、まずは不動産会社に査定を依頼し、所有する不動産の価値を把握することから始めてみましょう。三井のリハウスでは、100万件を超える取引事例に基づいた査定を実施しており、その後の売却サポートも行っておりますので、お気軽にお申し込みください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html