マンションが売れないのにダブルローンは危険?スムーズな売却方法を解説

マンションの住み替えにダブルローンを利用することは可能ですが、旧居がずっと売れないと返済の負担が大きくなってしまいます。この記事では、事前に知っておきたいメリットと注意点、なるべく早く売却する方法について解説します。

目次
  1. ダブルローンでの住み替えはマンションが売れないときに困る?
  2. ダブルローンのメリット
  3. ダブルローンの注意点
  4. ダブルローンを組んだ後にマンションがずっと売れないときは?
  5. 住み替えローンも検討してみよう
2024.03.28

ダブルローンでの住み替えはマンションが売れないときに困る?

ダブルローンとは、同時に2つの住宅ローンを組むことをいいます。旧居がまだ売れていない状態で新居を購入したいとき、旧居の住宅ローンを支払いながら、新しい住み替え先の住宅ローンも組むことは可能です。ですが、返済の負担が大きくなるのがネックです。

ダブルローンの期間が短ければ乗り切りやすいですが、たとえば旧居の中古マンションがずっと売れない場合、ダブルローンの期間が長引き、経済的負担が大きくなります。こうした事情から、住み替えにダブルローンを利用する際には十分な検討と対策が必要です。

この記事では、ダブルローンのメリットと注意点、ダブルローンの期間をなるべく短くするためのスムーズな売却方法について解説します。

買取業者に依頼

ダブルローンのメリット

ダブルローンは返済の負担が大きいですが、住み替えにおいては次のようなメリットがあります。

・自分のタイミングで住み替えできる
・仮住まいがいらない
・内覧の負担が軽くなる

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

自分のタイミングで住み替えできる

住み替えを行う場合、旧居の売却が決まってから新居を購入する「売却先行」の方法を取るのが一般的です。理由としては、経済的な負担や手間が少なく済むことが挙げられます。

ただ同時に、理想に合う新居を見つけたのに旧居の売却が決まらず申し込めないケースや、旧居の買い手がつかず、なかなか新居探しを始められないケースなど、売却のタイミングに縛られがちです。その点、ダブルローンが組めれば、新居の購入を優先する「購入先行」で住み替えが進められるため、上記のリスクを回避できます。

売却のタイミングに縛られないダブルローン

仮住まいがいらない

売却先行の場合、売却が決まったら旧居の引渡しをしなければならず、新居を購入するまでの仮住まいが必要になることもあります。仮住まいに入居するには、引越しや賃貸契約の手間がかかるうえに、家賃や敷金・礼金などの費用もかかります。ですが、ダブルローンが組めれば、旧居の売却が決まる前に新居へ移れるので、仮住まいを用意せずに済みます

内覧の負担が軽くなる

マンションを売却する際、売主に必要になるのが内覧の対応です。売却先行で内覧を行う場合、自分がまだ住んでいる状態で内覧してもらうことになるため、室内を片付けたり、内覧の日時の調整をしたりする必要が出てきます。また、住んでいる状態での内覧は生活感が目立ちやすく、購入検討者もゆっくり見られないという問題があります。

もし、ダブルローンで住み替えを進められれば、売却時には空き家の状態で内覧を行えます。自身の生活空間を人に見られるストレスもなく、内覧対応も不動産会社に任せられるのは大きなメリットですよね。

不動産会社に内覧を任せる

ダブルローンの注意点

ダブルローンの利用を検討する際は、メリットだけでなく、以下の注意点も把握しておくことが大切です。

・返済の負担が大きい
・住宅ローン控除はダブルで利用できない
・利用可能な銀行が少ない
・売却期限を設定される場合がある

注意点について具体的に見ていきましょう。

返済の負担が大きい

旧居の売却が決まるまでの間、旧居の住宅ローンと新居の住宅ローンの両方を返済していくのは経済的負担が大きくなります。

中古マンションの売却にかかる期間は3か月前後といわれるため、ダブルローンに踏み切る場合は、毎月のローン返済のほかに当座の生活費も確保しておきましょう。また、売却のタイミングによっては、旧居と新居両方の固定資産税も支払わなければならない点にも注意が必要です。

返済の負担が重いダブルローン

住宅ローン控除はダブルで利用できない

ダブルローンにより「旧居の住宅ローン」「新居の住宅ローン」の両方でローンを契約しても、住宅ローン控除を受けることができるのは新居のみです。

住宅ローン控除を受けるには、その家に居住していることが要件の1つであるため、居住していない旧居の住宅ローンに対しては控除が受けられなくなります。新居の住宅ローンに対しては控除を受けられますが、床面積や返済期間などの適用要件を満たしている必要があるため、新居が住宅ローンの要件に該当するかどうかよく調べましょう。

●住宅ローン控除の適用要件についてはこちら

住宅ローン控除を受けられない

利用可能な銀行が少ない

返済リスクが大きいダブルローンは、利用可能な銀行が少ないというのも注意点です。利用が可能な場合であっても審査が厳しく、金融機関から返済負担率(収入に占める、年間の返済額の割合)を30~35%程度に抑えることが求められます

返済負担率は「年間返済額 ÷ 年収 × 100」で求めることが可能です。

たとえば、ほかからの借り入れがなく、毎月支払っていた住宅ローン返済額が10万円で、年収が500万円の場合、返済負担率は24%となります。ですが、ダブルローンになって毎月の返済額が18万円になった場合、返済負担率を30%に抑えるには720万円の年収が必要です。返済負担率を計算し、ダブルローンを組むことが現実的か否かを判断しましょう。

売却期限を設定される場合がある

金融機関によっては、ダブルローンの利用条件に、旧居の売却期限が設定される場合があります。期限内に売却できないと、住宅ローンより金利の高いフリーローンへ切り替えられる場合があるため注意しましょう。

ほかにもダブルローンの審査時には、旧居の住宅ローン残高と物件の担保評価のバランスを見る金融機関も存在し、利用のハードルが高いことが分かります。また、ダブルローンを別の金融機関から借り入れる場合は、現在借入中の金融機関にも相談しておくと安心です。

ダブルローンを組んだ後にマンションがずっと売れないときは?

住み替えにダブルローンを利用した後、旧居がずっと売れないと、ダブルローンの期間が長引いてしまい経済的な負担となります。ここでは、売れない中古マンションをなるべく早く売却するための対策をご紹介します。

・不動産会社を選び直す
・売り出し価格を下げる
・買取業者に依頼する

それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。

ダブルローンを利用してマンションを売り出す

不動産会社を選び直す

不動産売却を成功させるカギは、不動産会社選びにあるといっても過言ではありません。「広告宣伝が足りない」「担当者が親身になってくれない」といった不満を感じる場合は、不動産会社の選び直しを検討しましょう。

不動産会社を選ぶ際は、強みとするエリアや販売実績、担当者の対応の誠実さやスピード感などを基準に候補を絞り込んでみてください。そのうえで不動産査定を申し込み、実際に担当者と話した印象で最終的に判断すると、大きな選択ミスにはならないはずです。

信頼できる不動産会社

売り出し価格を下げる

売却に出してしばらく経過するのに内覧の問い合わせが来ないという場合は、条件に対して価格が高いと思われている可能性があります。その場合は不動産会社の担当者と相談し、自宅周辺の競合物件や市場の相場価格を見直したうえで、売り出し価格の値下げを検討してみるとよいでしょう。ただし、ダブルローンを利用する場合は、売却時にローン残債を完済して抵当権を抹消する必要があるため、値引きはローンの完済が可能な範囲で行うのがポイントです。

買取業者に依頼する

中古マンションをなるべく早く売却したい場合は、「買取」を依頼するのも1つの方法です。買取とは、不動産会社が直接物件を買い取る方法で、不動産会社が個人の買主を探して売却する「仲介」より早く売れるのがメリットです。ただし、売却価格は相場より安くなるため、とにかく早く売却したいという場合にのみおすすめの方法となります。

三井のリハウスでは、買取をご検討のお客さまへ最適な業者をご紹介する「買取サポートシステム」をご案内中です。複数の業者のなかからどこを選べばよいか分からない方や、業者との交渉が不安という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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●不動産買取に関する記事はこちら

マンション売れないけど住み替える

住み替えローンも検討してみよう

ダブルローンは自由度の高い住み替えができる一方、返済負担について慎重に検討する必要があります。売却で得た資金で旧居のローン残債を完済できる見込みがなく、ダブルローンが難しいと思う方は「住み替えローン」を検討してみるとよいでしょう。

住み替えローンでは、旧居の住宅ローンの残債と、新居の購入資金を合算して借り入れできます。ただし、審査が厳しいことに加えて、旧居の抵当権抹消と新居の抵当権設定を同時に行う必要があるため、旧居の売却と新居の購入を同じタイミングで行わなければなりません。住み替えローンを利用する際は、不動産会社やファイナンシャルプランナーに相談し、マネープランを慎重に検討しながら進めましょう。

●住み替えローンに関する記事はこちら

三井のリハウスでは、中古マンションの売却に関するご相談を受付中です。累積取扱件数100万件を超える豊富なデータとプロの知見に基づき、納得のいく売却へつながるよう全力で支援しております。たとえば、住み替えローンの利用で、売却と購入を同時に行わなければならない場合でもスムーズに売却できるようにサポートします。住み替えをご検討中の方は、この機会にお気軽にご相談ください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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