公示価格とは?調べ方や路線価・実勢価格との違いをわかりやすく解説

公示価格とは、国土交通省が発表している「土地の価格」のことです。土地や家を売買する際、適切な売り出し額を決めるために役立ちます。今回は、路線価との違いや調べ方について詳しく解説します。

目次
  1. 公示価格とは?
  2. 公示価格の種類
  3. 2023年最新の公示価格
  4. 公示価格と路線価・実勢価格の違い
  5. 公示価格を調べる方法
  6. 公示価格以外の土地の価格の調べ方
  7. 公示価格を正しく理解しよう
記事カテゴリ 売却 費用 マンション
2023.11.20

公示価格とは?

土地や家の価格を決める要素のうちの1つに、「公示価格」があります。公示価格とは、地価公示法に沿って国や都道府県が毎年決定している土地の価格のことです。毎年決まった日に、参考となる標準地(基準地)の1㎡あたりの価格を判定します。

毎年定められた場所の価格が公表されるので、地価の変動が分かりやすく、土地の売買や資産評価の目安として活用されています。そのため、不動産売却を検討している方は、公示価格について理解を深めておくとよいでしょう。今回は、公示価格の調べ方や路線価、実勢価格(実際の取引価格)との違いなどについて解説します。

土地の価格変動

公示価格の種類

公示価格には公示地価と基準地価の2種類があり、調査する土地や時期などが異なります。まずはそれぞれについて解説します。

公示地価

公示地価とは、国土交通省の土地鑑定委員会のもと、2名以上の不動産鑑定士が全国約2万6,000か所にある「標準地」を、鑑定・評価した結果に基づいて決められた土地価格のことです。標準地は、都市計画区域(各自治体が街づくりを実施するために指定した区域)から土地鑑定委員会が選定しています。

なお、公示地価は毎年1月1日時点での価格であり、同年3月に国土交通省によって発表されます。令和5年の最新の地価はこちらから確認できます。

基準地価

一方で基準地価とは、1名以上の不動産鑑定士が全国2万か所以上ある「基準地」を調査し、それをもとにして決められる土地価格のことです。基準地は、各都道府県が主体となって決めており、都市計画区域以外の地点の価格も算出されます。また、基準地価は毎年7月1日時点での価格を、同年9月に各都道府県が発表しています。

公示価格の相談

2023年最新の公示価格

国土交通省発表の令和5年(2023年)地価公示の概要※1(国土交通省が標準地の価格を公表すること)によると、全国的に住宅地の地価は2年連続で上昇しており、前年度と比べて1.4%上昇しています。東京圏、大阪圏、名古屋圏は2年連続、地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では、10年連続で上昇傾向にあります。そのほかの地域でも、住宅地は28年ぶりに価格が上がりました。

新型コロナの影響で下落傾向にあった地価ですが、景気の緩やかな持ち直しのなかで回復しています。地域により差があるものの、都市部を中心に価格は上昇を続けており、地方圏においても上昇範囲が広がっているため、まさに不動産売却を考えるよいタイミングといえるでしょう。

●土地売却の流れに関する記事はこちら

公示価格が上昇した住宅街

公示価格と路線価・実勢価格の違い

公示価格と同様に土地の価格を示す路線価と実勢価格というものがあります。公示価格とはどのような違いがあるのか見ていきましょう。

路線価との違い

路線価とは、道路に面している土地の1㎡あたりの価格のことで、相続税路線価と固定資産税路線価の2種類があります。相続税路線価とは、毎年国税庁が発表しており、相続税や贈与税を算出する際の基準となる価格です。そのため、不動産の売買をする際に参照される公示価格とは使用目的が異なり、時価の大きな変動によって混乱しないよう、公示地価の8割程度を目安に調整されています。

固定資産税路線価とは、市町村が主体となって決めている、固定資産税や都市計画税などを算出する際に使われる価格です。こちらも税額を算定するために使用され、公示価格の7割程度に調整されます。

実勢価格との違い

実勢価格は実際に取引された土地価格のことです。目安は公示価格の1.1~1.2倍といわれており、都市部の場合は、2倍以上になることもあります。実勢価格と公示価格が異なるのは、同じ標準地にあっても、土地の形状や前面の道路の幅、道路が接している方角、どのようなエリアか(商業地や住宅地)などの影響を受けて変動するためです。

実勢価格は過去に取引された市場価格であるため、当時の経済状況や売り手、買い手の事情も加味して設定されたものです。そのため、売却したい土地の価格を把握するための参考程度に知っておくとよいでしょう。

家とマンション

公示価格を調べる方法

ここからは土地の価格の目安や規準を知りたいときの、公示価格の調べ方を解説していきます。

公示価格は、国土交通省が運営する「標準地・基準地検索システム国土交通省地価公示・都道府県地価調査」から調べることが可能です。

ページにアクセスしたら、地図が表示されるので、調べたい都道府県と市区町村をクリックします。次に、調査年や用途区分などを選択して検索すると、条件に当てはまる市町村内全ての公示価格が表示されます。そのなかから、公示価格を調べたい地域周辺の地名を探し、「価格(円/㎡)」の欄を見てみましょう。「価格(円/㎡)」の欄に記入されている金額が、その土地の公示価格です。

公示価格は、売りたい物件がある土地を更地として考えたときの価格であるため、土地を売却する際の価格の参考にはなりますが、あくまで参考値です。実際の売却額に近い価格を知りたい場合は、実勢価格も参考にするとよいでしょう。

類似物件の実勢価格は、前述した土地総合情報システムを用いて不動産取引価格情報検索を調べることで知ることができます。

更地

公示価格以外の土地の価格の調べ方

公示価格で土地の価値の目安を把握できますが、ほかの方法でも調べることは可能です。ここでは、不動産会社に査定を依頼する方法と、自分でそのほかの指標価格から調べる方法を紹介します。

カウンセリング

不動産査定で調べる

不動産会社の土地査定には、主に簡易査定(机上査定)、訪問査定の2つがあります。簡易査定は、インターネットサイトに売却したい物件の所在地や広さなどの基本情報を入力して査定する方法です。不動産会社が保有する取引事例や、公示価格、路線価をもとに推定売却価格を算出しています。結果は、数日以内に分かるため、気軽に査定を受けたい方におすすめです。

訪問査定では、実際に不動産会社の担当者が不動産の状態を見て査定します。結果が出るまでに時間はかかりますが、簡易査定より精度の高い査定額を出してもらえるだけでなく、不動産会社の担当者と直接コミュニケーションを取れるため、売却が決まっている方におすすめです。

三井のリハウスでは、上記でご紹介した簡易査定、訪問査定を無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。

●三井のリハウスの無料査定はこちら

なお不動産会社での査定以外にも、プロの鑑定士に依頼し、実際に不動産の状態を鑑定評価することで土地の価格を算出してもらう方法がありますが、費用がかかります。売却のために土地の価格を知りたいのであれば不動産会社の無料査定で十分でしょう。

●不動産鑑定に関する記事はこちら
不動産鑑定とは?査定との違いや不動産鑑定士に依頼する流れを解説

固定資産税評価額で調べる

固定資産税評価額とは、固定資産税を計算するときの基準となる資産の評価額のことです。固定資産税評価額は固定資産税を算出するだけでなく、都市計画税・不動産取得税・登録免許税など、さまざまな税金を計算する際の基準にもなります。さらに、融資する金融機関が不動産の担保価値を算出するときにも用いられるため、一戸建てや一棟の土地建物などの売買取引においても目安としてよく活用されます。

固定資産税評価額は、総務省が不動産をどう評価するか定めた「固定資産評価基準」に基づいて各市町村(東京都23区は区)が決定し、発表されるのは毎年3月下旬ごろです。また、固定資産税評価額の基準日は1月1日とされ、3年ごとに見直しが行われており、公示価格の70%程度の価格となります。

なお、固定資産税評価額から土地売却の相場を算出する式は以下の通りです。上記でお伝えしたように、0.7で割り戻すことで固定資産税評価額から公示地価を求め、公示価格のおおよそ1.1倍から1.2倍の価格が実勢価格となることから以下の式となります。なお、こちらの計算式から求められる値は目安として把握しましょう。

土地の売却相場 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1

●固定資産税の計算方法に関する記事はこちら
固定資産税の計算方法は?評価額の決まり方や減税措置も併せて解説!

電卓と虫眼鏡と家

相続税評価額で調べる

相続税路線価に土地面積をかけた相続税評価額からも実勢価格を求められます。相続税評価額とは、相続税や贈与税を算出する際に使用される財産の価値のことです。先ほどご紹介した通り、相続税路線価は公示価格の8割程度を目安に決められているため、相続税評価額からは以下の計算式でおおよその土地の売却相場を算出できます。

土地の売却相場 = 相続税評価額 (相続路線価 × 土地面積) ÷ 0.8 × 1.1

ただし、上記で算出した価格は、おおよその数値であるため、あくまでも売り出し価格を決める際の目安として考えましょう。

●相続税評価額の計算方法はこちら
不動産の相続税評価額とは?計算方法や抑える方法、相続時の注意点などについて解説

●不動産の評価額についてはこちら
「不動産評価額」とは?不動産の4つの価格の調べ方を解説!

下の表に、ここまでご紹介してきた公示地価、基準地価、固定資産税評価額、相続税評価額の違いや特徴をそれぞれまとめていますので、併せてご覧ください。

項目公示地価基準地価固定資産税評価額相続税評価額
用途土地、マンションなど不動産取引の目安公示地価と情報を補い合う関係固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税などの算出相続税や贈与税などの算出
公表時期(毎年)3月中旬9月中旬4月下旬~6月頃
(固定資産課税明細書が届く時期)
自ら計算し、求める
調べ方国土交通省ホームページ国土交通省ホームページ固定資産課税明細書国税庁ホームページで相続税路線価を調べ、土地面積をかける

見取り図と住宅街

公示価格を正しく理解しよう

公示価格やそのほかの地価情報は、土地や家を売却する際、周辺地域の相場状況を把握するのに役立ちます。公示価格や実勢価格、固定資産税評価額など複数の価格を調べ、総合的に判断することで、より適正な相場の把握につながりますよ。

ただし、土地と一緒に一戸建てを売却したい場合、建物の価格が大きく影響するため、公示価格や実勢価格だけでは相場が判断できない可能性が高くなります。

そのため、不動産売却を検討していて、簡単に不動産の相場がいくらかを知りたい方には、無料の不動産査定がおすすめです。三井のリハウスでは、累積取扱件数100万件以上の実績で得た知見による精度の高い不動産査定を無料でご提供しておりますので、一度ご検討してみてはいかがでしょうか?

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●土地売却をご検討中の方はこちら

※1出典:令和5年地価公示の概要, 国土交通省 
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001595069.pdf
(最終確認:2023年10月26日)

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けの節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/