評価額とは?家の評価額を知る方法や、必要になるタイミングを解説!

不動産の価値を示す「評価額」には、いくつかの種類があります。今回は、家の売却を検討したいときに役立つ地価の種類や、固定資産税の税額を調べたいときに必要な固定資産税評価額と、その調べ方についてご説明します。

目次
  1. 家の評価額とは?
  2. 家の売買をするときに役立つ評価額
  3. 家の税金を知るときに役立つ評価額
  4. 売却時の評価額を調べるには?
  5. 売値や税金は評価額が大きく影響する
記事カテゴリ 売却
2023.02.10

家の評価額とは?

家の評価額は、通称「不動産評価額」と呼ばれます。不動産評価額とは、土地や建物にかかわるさまざまな税を計算するときに、基準になる不動産の価値を表す価格のことです。

自分の家にはどのくらいの価値があるのかは、不動産売却を検討するときや、税金を支払うときに気になるのではないでしょうか?

この評価額にはいくつか種類があり、それぞれ決め方に違いがあります。「家の売り出し価格を決める参考にしたい」あるいは「税金がいくらかかるのか調べたい」といった、目的に合った評価額を参考にすることがポイントです。

そこで今回は、家の売買をするとき、税額を調べるときにそれぞれ役立つ評価額について分かりやすく解説します。自分の目的に合わせて正しい評価額を調べ、役立てられるようになりましょう!

家の売買をするときに役立つ評価額

家を売買する際、参考にできる評価額が「公示地価」「基準地価」「時価(実勢価格)」です。いずれも、家の売り出し価格を決めたり、相場を把握したりするときの目安になります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

虫眼鏡と家の模型と電卓

公示地価と基準地価

不動産の価格を知りたいときに、参考になる評価額が公示地価と基準地価を指す公示価格です。

公示地価(地価公示価格)
公示地価とは、国土交通省が発表する毎年1月1日時点での土地の価格のことで、地価公示価格とも呼ばれます。都市計画区域(自治体が都市計画法に基づいて指定した地域)内の標準的な土地(標準地)を、2人以上の不動産鑑定士が鑑定して評価を決めます。

公示地価は毎年3月下旬に発表されており、ネットで閲覧することができます。売却する家に近い土地を検索し、公示地価を調べてみると参考になるでしょう。

●公示地価のネットでの閲覧方法はこちら

基準地価
基準地価は、公示地価に似ている評価額で、各都道府県が発表する7月1日時点での土地の価格です。都市計画区域外の土地も対象に含まれます。基準地価の発表は9月下旬と、公示地価の発表と約半年離れているので、お互いの評価額を補正し合う関係といえます。

時価(実勢価格)

公示地価と基準地価は公的機関が評価した土地の価格です。これに対して、実際に市場で売買された価格を示すのが時価(実勢価格)になります。

なお、時価はその取引が行われた時点での価格であるため、市場の需要や景気の動向が変われば変動する場合があります。よって、あくまで過去の参考価格として見るようにするとよいでしょう。

●土地の評価額に関する記事はこちら
土地価格の基礎知識:土地の評価額

住宅用の更地

家の税金を知るときに役立つ評価額

家や土地などの不動産には、固定資産税、または相続税や贈与税がかかります。これらの税額を調べるのに役立つ評価額は、次の通りです。

固定資産税評価額

固定資産税を知りたいときの参考になるのが、固定資産税評価額です。固定資産税額の基準(課税標準)となる評価額で、通常は「固定資産税評価額 × 税率1.4%」という計算式で税額を算出できます。なお、税率は自治体によって異なる場合があります。ほかに都市計画税、不動産取得税、登録免許税の計算にも用いられます。

固定資産税評価額は、総務省が定めた「固定資産評価基準」に基づいて、各自治体が土地と家屋それぞれに対して決めるものになります。

土地のおおよその固定資産税評価額は、公示価格の70%程度、建物についてはその建物を今もう一度建てるのにかかる費用である再建築価格の50~70%程度になります。ちなみに、建物の新築時は再建築価格の50~70%程度で評価されますが、その後は「経年減点補正比率」により減価していき、20%が下限となります。経年減点補正率とは、経年劣化による物件の減価を表したものです。

なお、木造住宅よりも鉄筋コンクリート造の住宅、一戸建てよりもマンションといったように、建てるコストが高い建物ほど固定資産税評価額は高くなります。

また、ほかにも固定資産税評価額が変化する場合があります。1つは、トイレやシステムバスなどの大きさや数の違いです。家屋の床面積が同じ平米数・同じ構造だったとしても、これらの違いによって固定資産税評価額は変わります。

さらに、固定資産税評価額は築年数によっても変化します。新築家屋の場合と比較して、中古家屋で鉄筋コンクリート造の場合は築20年、木造の場合は築10年で固定資産税評価額は約半分になります。

このように、固定資産税評価額は変化するため、3年に1度「評価替え」といって固定資産税評価額が見直され、納税額が変わる可能性があることを覚えておきましょう。また、評価をするとき、経年劣化の分は控除されて評価が決定されます。

家の模型と計算機

路線価

土地にかかる相続税や贈与税を知りたいときには、路線価(相続税路線価)を用います。路線価とは、道路に面している土地1㎡あたりの価格で、国土交通省が毎年7月に発表するものです。目安としては、公示価格の80%程度の価格となります。路線価を確認するためには、路線価の情報が掲載されたマップである路線価図が必要です。この路線価図は、国税庁のホームページや税務署で確認できます。

また、路線価を用いて評価する方法を路線価方式と呼び、路線価に面積をかけたものが土地の相続税評価額となります。この相続税評価額を基準に相続税や贈与税を算出します。

売却時の評価額を調べるには?

ここまでは、家を売買するとき、家にかかる税額を知りたいときにそれぞれ役立つ評価額についてご紹介してきました。

次は、売却を検討するために家の価値を知りたいとき、評価額を自分で調べる方法について見ていきましょう。

固定資産税納税通知書で知る

家屋と土地の固定資産税評価額を知るには、納税通知書に同封されている「固定資産課税明細書」を確認してみましょう。納税通知書は、お住まいの自治体から毎年5~6月頃に届きます。紛失してしまった際は、所定の身分証明書を提示すれば役所で再発行してもらうこともできます。

固定資産税評価額は公示価格の70%とされているため、「固定資産税評価額 ÷ 0.7」という計算方法で公示価格を求めることができます。公示価格は、一般的に実勢価格の代用とされることが多いため、公示価格を不動産価格の相場の参考にすることができます。

固定資産税評価額は、固定資産税の税額を知ることができるだけでなく、家を売却するときにも役立ちます。おおよその売却相場が分かれば、住み替えの新居購入のための資金計画も立てやすくなるでしょう。

なお、課税明細書には「課税標準額(税率を実際にかける金額)」も記載されています。通常、家屋の課税標準額は固定資産税評価額と同額になりますが、土地の課税標準額は、さまざまな特例や評価替えによって税額が急激に増えないように負担調整をすることによって、固定資産税評価額より安くなります。そのため、課税標準額と固定資産税評価額を混同しないように気をつけましょう。

コインと家の模型と裁判官の小槌

固定資産評価証明書で知る

固定資産評価証明書とは、物件や土地といった固定資産の評価額を証明する書類のことです。固定資産評価証明書に書かれた固定資産税評価額から、上記と同様に「固定資産税評価額 ÷ 0.7」という計算方法で公示価格を求めることができます。

しかし、固定資産評価証明書は資産に関する個人情報なので取り扱いが厳しく、前述の固定資産課税明細書のように、自動的に送付されるものではないため、自ら入手する必要があります。固定資産評価証明書を入手する場合は、市町村の役所の窓口で所得するか、必要書類を書いて郵送してもらいましょう。

固定資産評価証明書の取得による手数料は1枚数百円程度かかります。不動産1件につき1枚使用され、一戸建ての場合は、土地と家屋でそれぞれ1枚ずつ使用するため、合計2枚必要であることに注意しましょう。

また、固定資産評価証明書はその土地・家屋の所有者か同居の親族のみと取得できる人が限られています。取得が必要な際は早めに申請しておきましょう。

●固定資産評価証明書や、入手に必要な書類についてはこちら
固定資産評価証明書とは?手数料や取得の方法などを分かりやすくご紹介

ネットで知る

公示地価と基準地価は、国土交通省のウェブサイト「土地総合情報システム」で調べることができます。「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」のページで、売却する家がある地域の標準地や基準地を絞り込んで検索してみましょう。

また、実際に取引されている価格である時価を調べるのにも、「土地総合情報システム」が役立ちます。

パソコンに向かう男性

査定で知る

訪問査定を行うことで、自身の不動産の価値を具体的に知ることができます。訪問査定とは、不動産会社が実際に現地に訪問して細かに査定を行うものです。正確な査定額が出るため、家の価値についてより詳しく把握することができますよ。

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【土地の売却】相場を調べて金額の決め方のポイントを知ろう!

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不動産価格査定とは?売却に向けた方法をご紹介

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不動産の簡易査定の方法と費用、高く売るポイントを徹底解説!

売値や税金は評価額が大きく影響する

不動産の売り出し価格や納税額には、不動産の価値を示す評価額がかかわっています。一方、実際の取引に影響するのは、市場の需要と供給のバランスを反映した時価です。納税額も、不動産売買ほど時価の影響を受けることはないとはいえ、時勢によっては公的機関による評価の影響が及ぶ場合はあるでしょう。

各評価額の特徴を把握し、目的に応じて上手に活用することで、スマートな不動産所有に役立ててくださいね!

三井のリハウスでは、無料査定を行っております。不動産を売却したい、自身の不動産の評価額を詳しく知りたいと考えている場合は、まずは相談してみてはいかがでしょうか?

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けに節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/