離婚で家を売ることになったら?最適なタイミングや売却方法について詳しく解説

離婚時に家の財産分与を行う場合、売却し現金化してから分け合うことが一般的です。しかし、売却方法は夫婦の関係性や住宅ローンの状況などによって変わってくるため、状況に合った売却方法を検討することが必要です。この記事では、離婚で家を売る最適なタイミングや方法、注意点などについて解説します。

目次
  1. 離婚で家を売る決断をしたら?
  2. 離婚で家を売る最適なタイミングは?
  3. 離婚で家を売る最適な方法は?
  4. 離婚で家を売る際の注意点
  5. 離婚で家を売る際は不動産査定を受けよう
記事カテゴリ 売却
2023.08.23

離婚で家を売る決断をしたら?

夫婦の離婚が決まったとき、持ち家に夫婦どちらも住まない場合は売却するのが一般的です。売却すれば売却益を住宅ローンの返済に充てられるほか、財産分与がしやすくなるため、金銭面でさまざまなメリットが生まれるでしょう。なお、財産分与とは、婚姻期間中に夫婦間で築いた財産を離婚の際に正当に分け合うことをいいます。

しかし、実際に売却するとなると売却するタイミングや、住宅ローンの残債、名義などさまざまな問題に直面します。また、家は大きな財産であるため、財産分与の際に夫婦間でトラブルに発展するケースも考えられます。そこでこの記事では、離婚で家を売る最適なタイミングや売却方法、注意点などについて解説していきます。家を売る際のポイントや注意点を押さえて、スムーズな売却につなげましょう。

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離婚で家を売る最適なタイミングは?

家を売却するタイミングは、「離婚前」か「離婚後」の2つのパターンが考えられます。適切なタイミングは人によって異なるため、それぞれのポイントをしっかり押さえ、タイミングを見極めましょう。

不動産会社のビジネスイメージ

離婚前

離婚後に相手と連絡を取りたくないという方は、離婚前に売却をするのがおすすめです。なぜなら、家の売却活動には3か月から半年程度かかることが一般的で、その間は相手と連絡を取り合う必要があるためです。もし離婚成立後に売却活動を始め、相手と連絡が取りにくい状況になると、売却がスムーズに進まず、時間がかかってしまうリスクが想定されます。

一方で、離婚前に売却する場合は、早く相手との関係を切りたいために売却を急いで「売り出し価格」を低く設定し、相場よりも安い価格で売却してしまいやすい点に注意が必要です。

離婚後

落ち着いて売却活動を進めたい方は、離婚後に売却するのがおすすめです。離婚時の手続きが多い離婚前に比べて、離婚後は家の売却活動に専念できるため、家を納得のいく形で売却しやすくなるからです。家の売却の際には大きな金額が動くため、落ち着いて慎重に手続きを進めたい方には離婚後の売却が向いているといえます。

ただし、この場合は、家の売却が完了するまで離婚後も相手と連絡を取り合う必要があるため、元配偶者とのやりとりを負担に感じない方でないと難しいでしょう。

財産分与のイメージ

なお、家の売却で得た現金を分けるのは、離婚後にしましょう。離婚前に財産を分けると「贈与」と見なされ、受け取ったほうに「贈与税」が課される場合があります。しかし、離婚後であれば「財産分与」となり贈与税の対象にはなりません。ただし、以下のどちらかに当てはまると贈与税が課税されることがあるため注意が必要です。

・分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額や、そのほか全ての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
・離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合※

離婚で家を売る最適な方法は?

離婚時に家を売る最適な方法は、それぞれの状況によって異なります。ここでは「仲介」「買取」「任意売却」「リースバック」の4つの方法についてお伝えします。それぞれの特徴を捉え、自身に合った売却方法を検討しておきましょう。

税金のイメージ

仲介

高値での売却を重要視する場合は、不動産会社に仲介を依頼するのがよいでしょう。仲介では家を相場に近い金額で売却できる可能性が高くなります。ただし、先ほども述べたように、家を売却するまでは3か月から半年程度かかるため、期間には余裕を持って売却活動を行うことが必要です。

仲介で家を売却する場合は、まず不動産会社に不動産査定を依頼しましょう。不動産査定とは、その家がどのくらいの金額で売れるのか、過去の取引データや市場の動きから見積もり金額を出すことです。

また、住宅ローンの返済をしている途中であれば、売却で得た資金や貯金などを利用してローンを全額返済し、抵当権を抹消する必要があります。抵当権とは、住宅ローンの借り入れの際に、返済できなくなったときの返済の担保として、金融機関が不動産に設定している権利のことをいいます。そのため、住宅ローンの残高と査定額を比較してローンを返済できそうかどうかも、不動産会社に確認しましょう。

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不動産売買契約書

買取

「早く家を売却したい」「家を売りに出していることを周りに知られたくない」などの事情がある場合は、買取という方法が適しています。買取とは、家の購入希望者を一般の個人から募るのではなく、買取を行っている不動産会社に直接買い取ってもらう方法のことをいいます。

買取は最短1週間で売買契約ができ、1か月で残代金の決済までを完了できます。ただし、売却価格は、相場の6~8割程度であるのが一般的です。また、先ほどお伝えした仲介と同様に、家の売却価格で住宅ローンを一括返済できるかを不動産査定で確認しておきましょう。

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任意売却

査定額が住宅ローン残債を下回り、売却してもその資金で住宅ローンを完済できない状態である「オーバーローン」の場合には、任意売却という方法があります。先ほども述べたように、通常、抵当権は住宅ローンを完済しないと解除できず、抵当権が設定されていると基本的には家を売却できません。しかし、任意売却であれば金融機関の了承を得ることで、抵当権を解除してもらい売却することが可能になります。また、任意売却は家を差し押さえて売却する「競売」とは異なり、市場の相場に近い額で売却できる可能性があります。ただし、任意売却を行うと、信用情報に記載されるため慎重に検討しましょう。

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住宅模型とお金

リースバック

家を売却して離婚相手との関係を清算したいものの、「子どもの転校を避けたい」「仕事に支障が出る」といった事情から、このまま家に住み続けたい場合の売却方法として、リースバックという方法があります。リースバックとは、不動産会社やファイナンス会社に家を売却し、売却後は賃貸契約を交わして、毎月家賃を支払いながら住み続ける方法です。

リースバックは買い手が業者となるため、時間をかけずに早く売却できるというメリットがあります。ただし、住宅ローンを完済しなければならないことや、買取業者によりますが、売却金額が相場金額の7割程度になる場合があることに注意が必要です。

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不動産イメージ

離婚で家を売る際の注意点

ここまでは、離婚時に家を売却する際のタイミングや売却方法をご紹介してきました。実際に家を売却する際には、次にご紹介する点に注意が必要です。これらの注意点を押さえ、よりスムーズな売却につなげましょう。

住宅ローンの残債を確認する

上記で売却方法をご紹介した際に、住宅ローンの残債の有無によって、家を売却する方法が異なるとお気付きになった方もいらっしゃるのではないでしょうか?お伝えした通り、原則、家を売るには住宅ローンを完済する必要があります。「ペアローン」や「連帯保証」などの場合も同様です。

ただし、任意売却という方法を利用すれば、住宅ローンの残債があっても売却することが可能です。しかし、手続きや費用が必要になるほか、信用情報にその履歴が記載されるため、離婚時に家を売るときにはまず住宅ローンの残債を確認してから、余裕を持って売却活動を行いましょう。

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名義人でないと家を売却できない

家の売却はその家の名義人にしか行えないため、名義人以外が売却したい場合は名義人の同意が必要となります。なお、夫婦の共有名義になっている場合には、売却には双方の合意が必要です。自分の持分のみなら片方の合意を得なくても売却はできますが、その業者が相手にも持分を売るように交渉してきたり、物件に立ち入ったりすることでトラブルが生じる恐れがあります。

双方の合意を得るうえで、離婚時は夫婦でなかなか話がまとまらない傾向があり、その場合には家の売却について弁護士に早めに相談することをおすすめします。

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離婚で家を売る際は不動産査定を受けよう

この記事では、離婚で家を売る際の最適なタイミングや方法、注意点などについて解説してきました。家の売却方法を検討するには、以下の項目をしっかり確認しておきましょう。

・住宅ローン残債の有無
・家の名義人
・家を売りたい時期や許容できる価格
・家の価格の相場

また、先述しましたが、所有する物件がどのくらいの価格で売却できるのか、目安を知るためには不動産査定を受ける必要があります。不動産査定は不動産会社に依頼して無料で受けることができますよ。

三井のリハウスでも不動産査定を行っており、手軽にできる「AI査定」や「簡易査定」、精度の高い査定結果が得られる「訪問査定」と3種類の査定方法があるので、ぜひお気軽にご活用ください。

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※出典:No.4414 離婚して財産をもらったとき,国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4414.htm
(最終確認:2023年8月1日)

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けに節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/