土地を売却するときの見積もりはどうする?査定方法や費用、注意点も併せて解説

土地売却の見積もりを行う際には不動産会社に査定を依頼することが一般的です。査定額(査定価格)は土地の個々の特徴やそのときの相場を反映して算出されるため、高く売るためにも土地売却のプロにお任せするのが安心でしょう。今回は土地の見積もりを依頼する際に用意すべきことや費用、注意点を解説します。

目次
  1. 土地売却の見積もりを出してもらうには
  2. 土地売却に見積もりが必要である理由
  3. 土地売却の見積もりの際に準備しておくこと
  4. 見積もり時の注意点
  5. 土地売却を検討している方は見積もりから!
記事カテゴリ 売却 土地
2023.09.22

土地売却の見積もりを出してもらうには

土地を売却する際は、不動産会社に見積もりを取ってもらう「査定」を依頼しますが、土地の査定には大きく分けて簡易(机上)査定と訪問査定があります。

簡易査定とは、相場や土地の基本的データ、公示価格などを参考に査定する方法です。アプリやネットから簡単に申し込める点や、数日で結果が分かるのがメリットです。一方で、訪問査定と比べて査定する際に参考にする情報が少ないため、その分、査定の精度が低い傾向にあります。おおよその査定額を知りたいときや、土地を売るか検討するきっかけとして活用するのがおすすめです。

売り出された更地

訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に物件所在地へ訪問して周辺環境や日当たりなどの土地の詳細な条件を踏まえて査定する方法です。そのため、簡易査定に比べて情報量が多く、精度の高い査定結果が得られる傾向にあります。ですので、土地の売却を本格的に検討している方は簡易査定を受けずに訪問査定を依頼しましょう。

また、土地の査定には不動産会社に依頼する方法以外に、不動産鑑定士に依頼する方法もあります。相続や離婚時の財産分与などで、裁判所や銀行、税務署などに不動産の価値がどのくらいかの公的な証明を提出する際には、不動産鑑定士による不動産鑑定評価書が必要です。

不動産会社による査定は無料ですが、不動産鑑定士に依頼すると費用がかかります。土地の売却が目的であれば、不動産会社による無料の査定で十分でしょう。

なお、査定額(査定価格)は、あくまで不動産会社がこの価格なら売れるだろうと判断した価格であるため、実際の成約価格と必ずしも一致するとは限りません。

●査定を受ける際の準備や注意点に関する記事はこちら
家の査定を受ける際のポイントは?準備や注意点、不動産売却のコツを解説

査定を行う不動産会社の営業担当者

土地売却に見積もりが必要である理由

以上で述べたような土地の見積額を出すことは、土地を売却するうえでは必須となります。では、そもそもなぜ見積もりをしなければならないのか、その理由を解説していきます。

電卓と見積書

適切な売り出し価格を設定するため

土地を売るときに、売り出し価格の設定が相場より高過ぎると買主が見つからず売れ残ってしまう可能性があり、かといって売り出し価格が低過ぎると売主が損をしてしまいます。そのため、売り出し価格の設定は非常に難しいものです。

しかし、不動産会社であれば、プロの見識から土地の相場や特徴を踏まえたうえで適切な売り出し価格の設定が可能です。また、不動産会社に訪問査定を依頼することで、

・日当たり
・土地の形状
・道路に接している面積
・立地条件
・建築規制の有無

など、それぞれの土地によって異なる特性を価格に反映できます。なお、建築規制が厳しい地域の土地は、建築物を建てる際の制限が多くかかるため、土地の価格は低下する傾向にあります。これらの条件を反映させるには専門的な知識や、知見がないと困難であるため、不動産会社に査定をしてもらうのがよいでしょう。

不動産売買締結の握手

土地の最新の相場を反映させるため

土地自体の特徴だけではなく、相場や経済市況も土地の価格に影響します。再開発が進んでいるといったそのエリア独自の理由で土地の価格が上がることも考えられるため、最新の相場を反映させることは重要といえます。

豊富な取引実績を持ち、地域ごとの最新の情報に詳しい不動産会社に査定を依頼すると、きめ細かく相場を反映できるので安心ですね。また、価格に影響する土地相場の指標には以下のようなものがあります。所有する土地の強みを知るという意味でも、ぜひチェックしておきましょう。

地価公示価格
地価公示価格とは、国土交通省が調査した毎年1月1日時点での標準的な地点での地価のことを指します。適切な相場の目安を提供する役割があり、毎年3月に全国で約2万6,000地点の地価を公表しています。国土交通省のホームページにある国土交通省地価公示・都道府県地価調査から閲覧可能ですので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

路線価
路線価とは、道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額(千円単位)のことで、国税庁が公表しています。主に相続税や贈与税を計算する際に用いられ、土地の価値を知る目安になります。国税庁のホームページ上にある路線価図、評価倍率表で閲覧可能ですのでこちらもチェックしておくとよいでしょう。

実勢価格(時価)
実勢価格とは実際の取引事例から算出される価格であり、経済、市況からの影響を直接受けているため、変化しやすいことが特徴です。一方、以上に述べた路線価は、税額を算出するための指標として用いられているため、急に税額が変わらないよう大きく変化することはありません。

パソコンで土地の価格を検索する男性

土地売却の見積もりの際に準備しておくこと

不動産会社に土地の見積もりを依頼する際には、何を準備すればよいのでしょうか?ここでは不動産会社に査定してもらうときの必要な準備についてご紹介します。その後のスムーズな取引につなげるためにも、しっかりと準備しましょう。

土地の所有者であることの証明書を用意

土地の売却では、土地の所有者を明確にする必要があります。そのために身分を証明できるものとして、以下を用意しておくとよいでしょう。

・身分証明書
・印鑑登録証明書
・住民票

また、査定の段階では必要ありませんが、売却には土地の所有を証明する手段として土地の登記済証(権利証)、登記識別情報を用意する必要があります。平成17年までに発行されたものに関しては登記済証(権利証)、それ以降は登記識別情報に移行しているので、どちらか一方を用意しておきましょう。

また、登記済証(権利証)もしくは登記識別情報を紛失した場合や、盗難された場合は再発行ができません。その場合は有料とはなりますが、司法書士に本人確認の書類を作成してもらうことで名義人であることを証明できます。

登記識別情報通知

土地の利用状況を整理

ほかにも、土地の状況を整理する必要があります。以下の項目を整理しておくとスムーズに売却が進むでしょう。

・敷地内にある建物はすぐに撤去できるのか
・土地は化学物質などで汚染されていないか、またはそのような過去の履歴はないか
・埋まっている障害物はないか

住宅が建ったままの土地を更地として売却する場合は、建物の撤去についての確認がされるでしょう。また、障害物が埋まったままだと建築物を建てにくくなり、土地の価値は下がります。地下に建物があった場合、コンクリートがそのまま埋まっていることもあるので、閉鎖謄本から過去の土地の利用履歴を確認しておきましょう。

境界線を確定

土地の面積は価格に影響するため、見積もりの際に境界線が未確定である場合は、土地家屋調査士に依頼して「確定測量」をしておきましょう。境界線が確定していない土地は、基本的に売ることができないほか、近隣とのトラブルにも発展しかねません。また、古い土地は境界線が曖昧になっていることがあるので注意しましょう。

見積もり時の注意点

土地の見積もり時にはいくつか注意点があります。以下の注意点を確認して納得のいく土地の売却につなげましょう。

見積額の根拠を尋ねる

不動産会社のなかには高額な見積額を提示して、媒介契約を取り付けようとする不適切な会社が存在します。高額な見積額を提示されてもうのみにせず、提示された価格は適正なのか、根拠をしっかりと確認しましょう。その際の見積額が妥当か調べるためにも、相場は自分で事前に確認しておくことがおすすめです。

また、担当者が正当な根拠を誠実な態度で伝えてくれるか確認することで、信頼できる不動産会社か見極めることもできます。

査定をする営業担当者

税金や諸費用も考慮して資金計画を立てる

土地を売却する際にはさまざまな費用がかかります。売却によってお金を得られるだけでなく、諸費用もかかることを事前に理解して、周到な資金計画を立てるようにしましょう。主な費用は以下の通りです。

印紙税
契約書や証明書を作成する際にかかる税金のことで、取引金額によって金額が細かく異なるため、国税庁のホームページをチェックしておきましょう。

登録免許税
土地に抵当権が設定されている場合、売主は抵当権抹消登記を行う必要があります。抵当権とは、住宅ローンを組む際に金融機関が不動産を担保にする権利のことで、抵当権があると基本的に売却はできないため、住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければなりません。抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、不動産1つにつき一律1,000円ですが、司法書士に手続きを代理で依頼した場合は、報酬がかかることも押さえておきましょう。

仲介手数料
土地売却が成功した場合に不動産会社に支払う手数料のことで、成約価格に応じて額が異なります。また、仲介手数料は法律で決められた上限額があり、算出方法は以下の通りです。

・売買価格が200万円以下 : 売買価格(税抜) × 5% + 消費税
・売買価格が200万超~400万円以下 : 売買価格(税抜) × 4% + 2万円 + 消費税
・売買価格が400万円超 : 売買価格(税抜) × 3% + 6万円 + 消費税

ショベルカーと取り壊される家

取り壊し費用
建物が取り壊されていない場合は、取り壊すための費用がかかります。建物の素材によって取り壊し費用は異なり、解体が容易な木造は安く、複雑な鉄筋コンクリートは高くなる傾向にあります。

●家の解体費用に関する記事はこちら
家の解体費用の相場は?費用を左右するポイントや安く抑える方法について詳しく解説

譲渡所得にかかる税金
土地売却によって利益が出た場合は、利益が出た分に対して譲渡所得税と呼ばれることもある所得税や住民税もかかります。不動産の所有期間によって税率が異なり、所有期間が5年以内の場合は税率39.63%、5年を超える場合は税率20.315%となります。

このように、土地の売却価格や所有期間によって税額や費用も変わってくるため、ぜひ見積もりからおおまかな諸費用を割り出して今後の資金計画に生かしましょう。

●土地売却時の税金に関する記事はこちら
土地売却にかかる税金とは?税額の計算方法や節税対策について解説!

土地売却を検討している方は見積もりから!

これまで、土地売却の前に見積もりを依頼する大切さや、準備しておくとよいこと、注意点などをご紹介しました。

土地の売却は、プロである不動産会社にまずは査定を依頼しましょう。土地の特徴や環境、相場などを考慮して見積額を算出してもらえます。三井のリハウスでは累計取扱件数100万件を超える実績から得た知見を生かし、簡易査定や訪問査定を無料で承っています。地域に密着して展開しておりますので、土地の売却をご検討の方はこの機会にぜひ利用してみてはいかがでしょうか?

●土地の無料査定はこちらから

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html