売れない土地は買取業者に依頼すべき?売却できない理由や対処法を解説

売れない土地・売りにくい土地であったとしても、買取を依頼する前に媒介契約や販売戦略を見直すことがおすすめです。今回の記事では、土地が売れない理由やその対処方法、空き地の税金、相続放棄について解説していきます。

目次
  1. 売れない土地は買取を依頼すべきか
  2. 売れない土地の税金はどうなる
  3. 土地が売れない理由と対処法
  4. 売れない土地の相続放棄はできるか
  5. 売れない土地を買取に出す前に
記事カテゴリ 売却 土地
2024.05.10

売れない土地は買取を依頼すべきか

仲介で売りに出した土地がなかなか売れない場合、すぐに買取を依頼するのではなく、媒介契約や販売戦略を見直したり、別の不動産会社に仲介を依頼したりすることをおすすめします。というのも、買取は仲介に比べて2~4割ほど成約価格が下がる傾向にあるためです。

仲介と買取の大きな違いは、土地の買い手です。仲介の場合は土地に自宅を建てたり、駐車場経営やアパート経営などの土地活用を行ったりする一般個人が買主となりますが、買取の場合は買取業者(不動産会社)が買主となります。

買取業者は土地を購入した後、土地を転売・活用することで利益を得ます。つまり、再販売のために費用をかけたり、思うように利益が出なかったりするリスクを負って土地を買い取る必要があるため、買取価格は仲介で売却する価格の6~8割程度になるのです。

そこで今回の記事では、土地が売れない理由やその対策、売れない土地を相続放棄できるのかなどについて解説していきます。

売れない土地

売れない土地の税金はどうなる

一般的に、売れない土地を所有していると、家が建っている場合に比べて税金の負担が重くなります。その理由は、固定資産税の特例措置が受けられないためです。固定資産税の特例措置とは、1月1日時点で住宅用地として利用している土地の固定資産税と都市計画税が減税される措置であり、土地の面積にもよりますが、最大で固定資産税は1/6、都市計画税は1/3となります。

使う予定のない土地や、空き家を解体した後の土地をそのまま放置していると、固定資産税・都市計画税の減税措置を受けられないため、税金の負担が大きくなってしまいます。

かといって、住む予定のない空き家をそのままにしておくのもよくありません。空き家を放置することは、公衆衛生や治安の悪化の原因になったり、老朽化の程度によっては「固定資産税の特例措置」が適用されなかったりなど、注意すべき点が多いといえます。

●空き家放置のリスクについて詳しくはこちら

土地が売れない理由と対処法

土地が売れない理由には、主に以下の6つが挙げられます。対処法と併せて、それぞれ詳しく解説していきます。

・売却方法が適切でない
・不動産会社が合わない
・売り出し価格が高過ぎる
・建物を建てにくい土地である
・環境的・心理的瑕疵のある土地である
・土地の境界が曖昧

売れない土地を専属専任媒介契約で売却する様子

媒介契約方法が適切でない

先ほどもご紹介した通り、土地の売却では仲介・買取のいずれかの方法を選択することが一般的ですが、そのなかでも仲介には以下の3種類の契約方式が存在します。

・一般媒介契約…複数の不動産会社と契約可能
・専任媒介契約…1社のみと契約可能
・専属専任媒介契約…1社のみと契約可能

複数の不動産会社と一般媒介契約を結んで売却を試みたものの、売れなかった場合は、専任媒介契約または専属専任媒介契約への切り替えを検討してみましょう。専任媒介契約や専属専任媒介契約であれば、不動産会社1社との契約になるため、担当者が積極的に販売活動を行ってくれることが期待できます。

一方で、既に専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んでいて土地が売れない場合は、一般媒介契約に切り替えて複数の不動産会社から広告を出し、買い手を募ってみましょう。このように、現在の契約方法を見直すことで売却につながるといったケースもあるため、仲介での売却を希望している場合はぜひ試してみましょう。

●媒介契約の違いについて詳しくはこちら

売れない土地の売却に不慣れな不動産会社

不動産会社が合わない

不動産会社には、物件の種類やエリアによっての得意不得意が少なからずあるものです。たとえば中小不動産会社の場合は、取り扱うエリアが限られることから、売却したい土地に類似した取引実績が少ないこともあるでしょう。

自身が売りたい土地の特徴に合わせて、その売却を得意としている不動産会社を選ぶことで、納得のいくスムーズな売却につながりやすくなります。今一度、各社のホームページや口コミを確認して、自身にあった不動産会社を探してみましょう。

売り出し価格が高過ぎる

売り出し価格が高過ぎるのも、土地がなかなか売れない原因の1つです。相場より高い価格で売り出すには、駅近・角地・整形地など、相応の魅力が備わっていなければなりません。

不動産会社の営業担当者と売り出し価格や販売戦略について話し合うことで、相場に近い価格での売却を目指しましょう。

嫌悪施設

建物を建てにくい土地である

傾斜がきつい・形がいびつといった土地や、建物の再建築ができない土地など、購入後の活用が限られる土地は需要が低く、売れにくい場合があります。法律で住宅の建築が制限されている土地の一例は以下の通りです。

・市街化調整区域にある土地
・接道義務を満たしていない土地

これらの土地は、森林や農地の保護や、安全な居住環境の確保といった観点から住宅の建築が制限されています。このような土地を売却するには、専門の買取業者に依頼する、隣接している土地の所有者への売却を打診するといった対応を取るとよいでしょう。

環境的・心理的瑕疵のある土地である

環境的瑕疵とは、一般的に土地を取り巻く環境に関する欠点のことです。代表的な例としては、嫌悪施設(墓地・風俗店・ごみ処理場など)が近隣にある、土壌汚染や地中埋設物の心配があるといった環境を指します。

また、心理的瑕疵とはいわゆる心理的な嫌悪感・不安感情のことであり、たとえば過去に火災が起きた土地や、殺人事件が起きた土地などがその例です。

上記のような瑕疵がある土地は、一般的な土地に比べてやはり評価は下がってしまいます。売却時には、瑕疵についてあらかじめ不動産会社や買主に報告するとともに、場合によっては汚染調査や、埋設物調査を依頼するのも選択肢の1つでしょう。

とはいえ、調査には相応の費用がかかるので、不動産会社に相談し慎重に検討することをおすすめします。

●環境的・心理的瑕疵について詳しくはこちら

土地の境界が曖昧

古くから所有している土地を相続した場合、隣地との境界線が曖昧になってしまっているケースがあります。購入後に、本来の境界線は隣接しているブロック塀や建物も含んでいたことが発覚する、といったトラブルに発展する恐れがあるため、境界線が曖昧な土地は買主に敬遠されがちです。

境界線が曖昧な可能性のある土地を売却する際は、隣地所有者と境界線についてしっかり話し合い、専門家である土地家屋調査士に境界線の確定を依頼することで、買主の不安を払拭できるでしょう。

土地の境界が曖昧な家

売れない土地の相続放棄はできるか

売れないと思われる土地の相続が発生した場合、その相続を放棄することは可能です。ただし、相続放棄をする場合は、土地だけでなく一切の相続を放棄することになる点には注意が必要です。預貯金や有価証券といったプラスになる財産を相続したいのであれば、売れない土地も相続する必要があります。

相続した土地をどうしても手放したい場合は、不要な土地を国が引き取ってくれる「相続土地国庫帰属制度」を利用してみましょう。相続土地国庫帰属制度の活用には負担金や調査費用が発生するほか、さまざまな要件を満たす必要があるため、以下のホームページでご確認ください。

相続土地国庫帰属制度について詳しくはこちら

売れない土地を買取に出す前に

これまで、買取と仲介の違いや、税金、売れない土地の特徴とその対策についてご紹介してきました。売りにくい土地は、ポイントを押さえた対策を講じることで、売却の成功率を上げやすくなります。

また、売れない土地はすぐに買取してもらうのではなく、媒介契約方法を変える、販売戦略を見直すといった対策を検討してみましょう。そのためにもまずは、不動産会社に相談することをおすすめします。

三井のリハウスでは、高精度な査定と地域密着型の店舗展開を強みに、お客さまにとって最適な売却となるようサポートいたします。土地売却をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html