竣工とは?意味や着工からの流れ、竣工式についても分かりやすく解説

「竣工(しゅんこう)」とは、建築物や土木といった工事が完了することを指す建築用語です。この記事では、竣工の意味や、「落成」や「完成」との違いに加えて、着工からの流れや竣工式についても詳しく解説していきます。

目次
  1. 竣工とは
  2. 竣工前後の流れ
  3. 竣工図書や竣工写真とは?
  4. 竣工についてよくある質問
  5. 知識を押さえて不動産の購入に役立てよう!
記事カテゴリ 購入 マンション 一戸建て
2024.05.21

竣工とは

不動産用語の1つである「竣工」について、何となく聞いたことはあるものの、どんな意味か分からないという方もいるのではないでしょうか?「竣工」以外にも「落成」や「完工」など、似た意味を持つ専門用語もあるため、使い分けを知りたいという方もいるでしょう。

そこで、今回の記事では「竣工」をはじめとする専門用語の意味や、竣工にまつわる基礎知識を解説します。まずは、それぞれの用語について詳しく見ていきましょう。

読み方と意味

「竣工」とは「しゅんこう」と読み、建築物や土木の工事が完了することを指す建築用語です。そのため、建物の工事に取りかかることを意味する「着工」とは対義語の関係にあります。マンションの工事が完了した際には「竣工」を使うのが一般的です。

竣工の類語としては、「落成」や「完工」がありますが、これらの辞書的な意味の違いはほとんどありません。

工事をしている様子

「落成」との違い

建築や土木の工事が完成することを意味します。落成は、竣工と意味はほとんど変わりませんが、場合によって表記の使い分けがされます。

竣工は主に一般住宅が完成する際に用いられますが、落成はビルや社屋、公共の建物などが完成するときに使われる傾向があります。また、落成は、常用漢字ではない竣工に代わって用いられる機会もあり、話し言葉など日常的な場面でも用いられます。なお、建物の完成を祝い、関係者に感謝の意を表す儀式を「落成式」といいます。

完工との違い

「完工」は、辞書に「工事の完成」と記載されており、建築や土木の工事が完了することを意味します。そのため、竣工と意味はほとんど変わりませんが、一戸建ての場合は「完工」や「完成」が使われることが一般的です。

竣功との違い

「竣功」は、建築や土木の工事を完了し、建物が完成することを意味します。そのため、竣工と意味はほとんど変わりませんが、竣功は、神事にかかわる建物の建築が完了した際に用いられる傾向があります。

工事完成後、外観を見ている様子

竣工前後の流れ

建築工事が終わってから竣工に至るまでには、複数の工程があります。竣工から引渡しまでの流れや、かかる期間について詳しく見ていきましょう。

着工から竣工までの流れ

建物の工事に取りかかる着工から、建物の工事が完了する竣工までのおおまかな流れは以下の通りです。

[ 1 ] 地鎮祭
[ 2 ] 基礎工事
[ 3 ] 建方・上棟式
[ 4 ] 木工事・仕上げ工事

それぞれについて詳しく解説していきます。

[ 1 ] 地鎮祭
地鎮祭とは、工事を始める前に行う儀式のことです。地鎮祭は、建築予定の土地を守る神様に対し、土地を使用する許しを請うとともに、工事期間中の安全を祈願する目的で行われます。義務ではなく、施主が塩をまくことで簡易的に済ませる例もあるため、ご自身の状況に合わせて実施を検討するとよいでしょう。

[ 2 ] 基礎工事
基礎工事とは、文字通り建物の基礎部分を造る工事のことで、建物の安全を左右する重要な作業となります。基礎工事と一言にいってもその工程は、掘削工事やコンクリートの流し込みなどの作業があるため、複数の工程に及ぶことが一般的です。

基礎工事をしている様子

[ 3 ] 建方・上棟式
建方(たてかた)とは、土台の工事後に、柱や梁といった建物の主要構造部を現場で組み立てる工程のことです。

一方、上棟式(じょうとうしき)は、棟上げのタイミングで行われる儀式のことです。上棟式は、建物が無事に完成することを祈願するとともに、上棟できたことをお祝いする目的で行われます。これも地鎮祭同様、義務ではないため、ご自身の状況に合わせて実施を検討しましょう。

[ 4 ] 木工事・仕上げ工事
木工事とは、建築物の構造部分の工事のことです。主に、木材の加工、組み立て、取り付けなどを行います。

仕上げ工事とは、建物の内装だけでなく、外装まで含めて不具合がないか確認しつつ仕上げる工事のことです。仕上げ工事は、完成度を左右する重要な工事なので、仕上げ工事が問題なく終われば竣工となります。

木工事をしている様子

竣工から引渡しまでの流れ

竣工はあくまで建物の完成を指すので、実際に引き渡されるまでには、複数回にわたり検査が実施されます。取引によるものの、竣工から引渡しまでの期間は10日から2週間程度かかるのが一般的で、竣工から引渡しまでの流れは以下の通りです。

[ 1 ] 社内検査
[ 2 ] 完了検査
[ 3 ] 検査済証発行
[ 4 ] 竣工検査

それぞれについて詳しく解説していきます。

[ 1 ] 社内検査
社内検査とは、工事が済んだ後に施工側の責任者が工事に問題がないか、計画通りに工事が行われたかをチェックする検査のことです。

ただし、現場にかかわった施工会社の担当者がチェックすることを自主検査、施工会社の現場外の第三者がさらにチェックを行うことを社内検査と、あえて区別して呼ぶ場合もあります。

[ 2 ] 完了検査
完了検査とは、工事で建てた住宅の構造や設備などが建築基準法に適合しているかどうかを専門の機関に確認してもらう検査のことです。

建築主は、工事完了日から4日以内に建築確認の権限を持った建築主事に検査の申請を行う必要があります。不合格になった場合は、計画変更申請および再度の完了検査を申請します。

[ 3 ] 検査済証発行
検査済証とは、完了検査が認証された際に建築主事や指定確認検査機関によって発行される証明書のことです。検査不合格になり認証されなかった場合は、原則合格するまで建物の使用が許可されません。

[ 4 ] 竣工検査
竣工検査とは、建築主が建物内をチェックする最終確認作業のことで、検査済証が交付された後に行われます。施主(住宅の建築を依頼した人)も立ち会うため、施主検査、内覧会と呼ばれる場合もあります。

竣工検査は、引渡し前の最終的な検査であるため、自分の目で不備がないかしっかりと確認し、気になったところは指摘しましょう。

また、検査の際に不安を残さないためにも、不動産会社や施工会社とコミュニケーションを取り、信頼できる関係性を築いておくとよいです。竣工検査で不備が見つかった場合は、手直しされ、再度の確認が終われば引渡しが行われます。

建物内を点検している様子

竣工図書や竣工写真とは?

これまで竣工についての意味や使い分けについて説明してきました。竣工が付いた言葉についても詳しく見ていきましょう。

竣工図書

「竣工図書」とは、その建物に関するさまざまな情報の詳細が詰め込まれた図書のことです。竣工図や竣工写真、設計や工事に関する資料や取り扱いに関する事項などが、まとめられています。また、建設前は設計図書、竣工後は竣工図書と呼ばれることも併せて知っておくとよいでしょう。

竣工写真

「竣工写真」とは、建物の購入や利用を検討中の人に、建物の外観や魅力を伝えるために撮影された写真のことです。建物の工事が完了した段階で撮影するため、完成の記念という意味合いもあります。

竣工についてよくある質問

次に、竣工に関するよくある質問について解説しましょう。

竣工式とは?

竣工後には竣工式というものを行うことがあります。竣工式とは、建築物の工事が無事完了し、ことの成就を感謝するとともに一般に披露する意味で行う神事のことです。一戸建ての住宅ではほとんど行われませんが、主に社屋、商業施設などの大きな建物ができあがった場合に行ないます。施主によって主催され、主に工事関係者や取引先が招かれます。

また、落成式というものもあります。竣工式が建物の完成を神様に報告して繁栄を祈る儀式であるのに対し、落成式は建物の完成にあたって関係者を招待して感謝の気持ちを表す意味合いを持ちます。

かかる費用はどれくらい?
かかる費用は平均して合計10万~30万円程度です。内訳としては、神主への初穂料やご祝儀、引き出物、宴会費などが挙げられます。

どんな服装で参加すればよい?
竣工式は格式の高い式典であるため、主催者は略礼服以上の服装、来賓者はカジュアル過ぎない平服以上の服装で参加するとよいでしょう。

竣工日とはいつのこと?

竣工日とは一般的に、完了検査が終了して検査済証が発行された年月日を指します。完了検査とは、前述の通り竣工後、建物が建築基準法に準じているかを確認してもらう検査のことです。

竣工日の様子

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ここまで、建築用語である竣工について詳しく説明をしてきました。三井のリハウスでは、土地に加え、新築・中古の一戸建て、マンションを各種取りそろえております。物件をお探しの方は、以下のページをご覧ください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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