リースバックのトラブル事例5選!後悔しないためのポイントを解説
リースバックとは持ち家を売却して現金化し、その後は買主から貸借する形で同じ家に住み続ける方法です。今回の記事ではリースバックの特徴やトラブル事例、後悔しないために押さえておきたいポイントについて解説します。
リースバックのからくり
まとまった現金が必要になったり、住宅ローンや固定資産税などランニングコストが家計を圧迫して困っていたりという場面では、自宅の売却も選択肢の1つでしょう。しかし、持家の売却は、買い手探しや、引越しなど面倒なことも発生します。ところが、リースバックという方法ならば、これらの面倒なく、売却資金を手に入れることが可能です。
リースバックとは、持ち家をリースバック事業者に売却して現金化し、その後買主となったリースバック事業者と賃貸借契約を結んで同じ家に住み続ける仕組みを指します。リースバックの特徴は以下の3つです。
・現金が手に入る
・住宅ローンと固定資産税の支払いが不要
・引越しが不要
このようにリースバックにはまとまった資金を得つつ、同じ家に住み続けられるメリットがありますが、実際には後悔するケースも少なくありません。今回の記事では、リースバックのリスクやトラブル事例について、対策方法と併せて解説します。
●リースバックについての詳しい記事はこちら
後悔しがちなリースバックの欠点
リースバックを後悔しがちな理由として、以下3つの欠点が挙げられます。
・売却価格が安くなる
・賃貸期間に制限がある
・家賃の支払いが発生する
それぞれの欠点について具体的に見ていきましょう。
売却価格が安くなる
リースバックでまず後悔しがちな点は、仲介での売却に比べて売却価格が低くなる傾向があることです。家の状態やリースバック事業者によって売却価格は変動しますが、一般的な市場価格の60~80%程度になることもあります。
自宅の売却相場は、国土交通省のWEBサイト「不動産情報ライブラリ」や、全国指定流通機構連絡協議会による不動産取引の情報提供サイト「レインズマーケットインフォメーション」などを活用して自身で調べることも可能です。とはいえ、より精度の高い相場を知りたい方は不動産会社への査定依頼をおすすめします。
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賃貸期間に制限がある
リースバックを利用するには、賃貸借契約を結ぶ必要があります。契約形態によりますが、契約期間を満了した場合に家から退去しなければならないことも、リースバックについて後悔しがちな点です。
賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。
普通借家契約
普通借家契約とは、決められた契約期間を更新していく一般的な賃貸借契約です。借主が望む限り、契約を更新しながら長期的に住み続けられます。借主側の権利に重きが置かれた契約のため、貸主が一方的に解約したり、退去を迫ったりすることはできません。しかしその分、定期借家契約よりも家賃が高くなりやすい傾向があるので、注意が必要です。
定期借家契約
定期借家契約は、契約期間が事前に決められている賃貸借契約のことです。この契約の場合は、契約期間の更新がなく、契約時に設定された期間が満了した場合、借主は家から退去しなければなりません。
リースバックでは多くの場合、定期借家契約が用いられます。そのためリースバックで売却した不動産に住み続けられる期間は、2~3年が一般的といえるでしょう。
家賃の支払いが発生する
リースバックで不動産を売却すると、住宅ローンや固定資産税といった税金の支払いが不要となる代わりに、家賃が発生するのも後悔しがちなポイントです。売却時にまとまった現金が入るとはいえ、毎月の家賃が高いと負担が大きくなります。
リースバックのトラブル事例5選
リースバックで後悔しがちな点やトラブルの事例は、以下の通りです。
・売却価格が低かった
・買い戻しが難しかった
・ずっと住み続けられなかった
・家賃が高くて負担になった
・別の方法で不動産を活用したほうがメリットが大きかった
【事例1】売却価格が低かった
リースバックで不動産を売却をしたものの、想定していたより売却価格が低く、資金を十分に得られなかった、と後悔するケースはよくあることです。リースバックを検討する際は、複数のリースバック事業者から見積もりを取り、比較して判断しましょう。
【事例2】買い戻しが難しかった
リースバックで売却した不動産は、一度売ってから買い戻しをしたいと思ったときに、売却した際の価格よりも買い戻し価格のほうが高くなる傾向があります。提示された金額を支払えないと買い戻しができないため、契約期間の満了前に買い戻しのための資金を用意しなければなりません。買い戻しの資金が調達できなければ、満了時に退去せざるを得ないので注意が必要です。
賃貸契約期間中は家賃も支払い続ける必要があることを考えると、リースバック後、最終的に不動産を買い戻すことは難しいといえるでしょう。
【事例3】ずっと住み続けられなかった
前述の通り、リースバックにおける賃貸借契約は多くの場合、定期借家契約です。そのため、長期的に住み続けられず、後悔するケースもあります。定期借家契約は、貸主と借主が互いに合意すれば再契約をして物件に住み続けられることもあります。しかし、一般的なリースバック業者は、買い取った物件を第三者に売却することで得られる利益を見込んでいるため、借主が望んだとしても、再契約できない可能性が高いといえます。
【事例4】家賃が高くて負担になった
毎月支払う家賃が負担になって、リースバックを後悔したというケースもあります。リースバックにおける家賃は、基本的に不動産の売却価格と期待利回り、周辺地域の家賃相場を考慮のうえ決まります。
事業者は、収益を生むために周辺の家賃相場よりも高い家賃を設定することがあります。そのため、高く売却できても、毎月支払う家賃の負担が大きくなってしまう恐れもあるのです。
また、契約が更新できる賃貸借契約の場合、貸主側の事情によって更新時に賃料が引き上げられる可能性もあるので注意しましょう。
●リースバックの家賃相場について詳しくはこちら
【事例5】別の方法で不動産を活用したほうがメリットが大きかった
リースバックで不動産を売却したものの、実は立地的に不動産を売却せず、持ち家を賃貸住宅として経営したほうが収入が得られたと分かり、後悔するケースもあります。そのため、リースバックを検討する際は、家賃および住む予定の期間と、売却価格を比べて慎重に判断しましょう。
「仲介を依頼して売却をする」「賃貸住宅経営をする」など、リースバック以外にも所有している不動産を売却・活用する方法はあります。もとの家に住み続けることにこだわらないのであれば、ほかの資金調達方法も検討してみましょう。
リースバックで後悔しないためのポイント
ここまでリースバックの欠点や、5つのトラブル事例についてご紹介しました。リースバックを活用するにあたって、後悔しないためにも押さえておきたい注意点は以下の通りです。
・契約書と契約期間を確認する
・家賃の支払い計画を立てる
それぞれ、具体的に見ていきましょう。
契約書と契約期間を確認する
特に気を付けたいのは、契約が普通借家契約か、定期借家契約かという点です。契約方法や期間によって、次の住まいを探すまでの猶予が異なるので注意しましょう。また、リースバック業者によっても契約条件が異なるため、家賃や買い戻しに関する条件など、契約内容は隅々までしっかり確認することが大切です。
家賃の支払い計画を立てる
前述の通り、リースバックは仲介での不動産売却と比べ、売却価格が安くなる傾向にあることをご説明しました。たとえリースバックを利用し、自宅を売却できたとしても、その後は、月々家賃を支払い続けなければなりません。毎月の家賃で、家計の負担が重くなり過ぎないかどうかを事前にシミュレーションしてからリースバックを検討することが大切です。
リースバックで後悔しないためにも不動産会社に相談を!
ここまでリースバックの特徴やトラブル事例、リースバックで後悔しないために押さえておきたいポイントなどを解説しました。リースバックには、まとまった現金が得られ、急な引越しが不要というメリットがありますが、仲介での売却に比べて売却価格が安い傾向があり、契約次第では数年で退去しなければならないなど、さまざまな注意点もあります。
売却した後も住み慣れた自宅にそのまま住めるというメリットが、今回ご紹介したさまざまな注意点よりも優先させたいことなのかどうか、今一度よく考えてみましょう。単にできるだけ多くの資金が必要な方には、仲介による売却がおすすめです。
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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。