仲介手数料の計算方法とは?不動産売買で使える早見表と併せて解説

仲介手数料の価格は、不動産会社によって多少の差があります。しかし、物件の売買価格に応じた上限があるため、事前に上限金額を把握することは可能です。今回は、仲介手数料を計算する方法と、仲介手数料を抑える方法について解説します。

目次
  1. 不動産売買にかかる仲介手数料とは?
  2. 仲介手数料の計算方法
  3. 仲介手数料の早見表
  4. 仲介手数料の計算例
  5. 仲介手数料を計算するなら特例も要確認
  6. 不動産売買にかかる仲介手数料は節約できる?
  7. 成約価格によって費用の負担は抑えられる
  8. よくある質問
記事カテゴリ 売却 費用 税金 マンション
2024.10.02

不動産売買にかかる仲介手数料とは?

家を売買する際には、さまざまな費用がかかります。たとえば印紙税や引越し費用、そして最も大きな金額になるのが、不動産会社に支払う仲介手数料です。

この仲介手数料、「そもそもなぜ支払わなければならないの?」と思っている方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、仲介手数料を支払う意味や金額の仕組み、また負担を抑えることはできるのかについて、改めてご説明しましょう。

●不動産売買について詳しい記事はこちら

不動産会社に成功報酬として支払うもの

仲介手数料とは、物件の売買契約が成立した際、売主・買主の双方が不動産会社に支払う成功報酬のことです。

不動産売買の仲介を行う不動産会社は、売買を成立させるため、物件情報サイトに物件を掲載したり、チラシを作成したり、新聞に広告を出したりといった活動を行います。こうした「仲介サービス」に対して支払う報酬が、仲介手数料なのです。この報酬は、「約定報酬」「媒介報酬」「媒介手数料」とも呼ばれます。

●媒介について詳しい記事はこちら

●仲介手数料の相場について詳しい記事はこちら

仲介手数料について説明する不動産会社

支払いは売買が成立したとき

前述の通り、仲介手数料は成功報酬なので、支払いが発生するのは売買契約が成立したときです。具体的なタイミングは、売買契約時と物件の引渡し時の2回に分けて、半金ずつ支払うのが一般的です。

ただし、不動産会社によっては、物件の引渡し時に仲介手数料の全額支払いを求める場合もあり、必ずしも上記のタイミングとは限りません。トラブルを防ぐためにも、支払うタイミングは事前に確認しておくと安心でしょう。

なお、仲介手数料は「成功報酬」なので、活動の成果として売買契約が成立しない場合や、不動産売却の際に不動産会社に仲介ではなく直接買取をしてもらう場合は、一般的に仲介手数料を支払う必要はありません。

不動産売買の契約成立

仲介手数料の計算方法

ここからは、仲介手数料の計算方法や、消費税がかかる理由について説明します。

仲介手数料の上限額

仲介手数料に「相場」というものはありませんが、宅地建物取引業法による上限額は定められています。不動産会社は、この上限額を超える仲介手数料の請求はできません。

仲介手数料の上限額を求める際には物件の成約価格(取引額)に応じた異なる計算式で算出します。成約価格が「200万円以下」「200万円超〜400万円以下」「400万円超」によって、それぞれ「成約価格の5% + 消費税」「成約価格の4% + 消費税」「成約価格の3% + 消費税」で計算し、それらの数値を合算した額が仲介手数料の上限額となります。

しかし、成約価格を3つに分類してそれぞれ計算を行うと手間がかかるため、「速算式」と呼ばれる手軽な求め方で計算することができます。

速算式で仲介手数料を計算する際は、成約価格に応じて以下の数式を使用します。

成約価格(税抜)仲介手数料の上限
400万円超「成約価格(税抜) × 3% + 6万円 」+ 消費税
200万円超~400万円以下「成約価格(税抜) × 4% + 2万円」 + 消費税
200万円以下「成約価格(税抜) × 5%」 + 消費税

計算で用いられる「 + 6万円」「 + 2万円」の意味は?

速算式で使用されている「 + 6万円」「 + 2万円」は、前述の通り仲介手数料の計算を簡略化するためのものです。

もしも速算式を使わずに仲介手数料を計算する場合、たとえば成約価格が4,000万円なら「200万円以下の部分(200万円)」「200万円超〜400万円以下の部分(200万円)」「400万円超の部分(3,600万円)」と分けて計算し、それぞれ出た金額を合算する必要があります。このような面倒を省略するために考えられたのが、速算式の「 + 6万円」「 + 2万円」なのです。

速算式を使っても使わなくても、算出される総額に差額は生じませんのでご安心くださいね。

仲介手数料にかかる消費税

上記の表の通り、仲介手数料には消費税が加算されます。その理由は、消費税の対象が「国内で事業者が事業として対価を得て行う取引」とされているためです。仲介は、事業者(不動産仲介会社)が提供する事業であり、その対価が仲介手数料なので、消費税がかかります。

●仲介手数料の消費税に関する記事はこちら

電卓と家の模型

仲介手数料の早見表

以下の表は仲介手数料の早見表です。仲介手数料がいくら程度になるのか、目安として参考にするとよいでしょう。

成約価格(税抜)仲介手数料の上限(税抜)
3,000万円96万円
4,000万円126万円
5,000万円156万円
6,000万円186万円
7,000万円216万円
8,000万円246万円
9,000万円276万円
1億円306万円

ただし、仲介手数料の上限額を計算するには、物件の成約価格が必要になります。不動産売却を検討していて不動産会社へ査定を依頼する前なら、AI査定や簡易査定、訪問査定を利用し、推定成約価格である査定額から上限の目安を計算するのも1つの方法です。

また、算出されるのは「上限」の金額なので、実際の仲介手数料は算出額を下回ることがあります。あくまで参考として活用するようにしましょう。

●リハウスAI査定はこちら

●無料査定のお申し込みはこちら

仲介手数料の計算例

先ほどご紹介した速算式を使えば、仲介手数料(上限)を自分で計算することができます。実際に行ってみましょう。

〈例〉
成約価格4,000万円の場合

成約価格が400万円を超えているため、速算式は「成約価格(税抜)× 3% + 6万円 + 消費税」を使用します。

仲介手数料 = 4,000万円(成約価格)× 3% + 6万円 = 126万円(税抜)
消費税額(10%)を加えて、仲介手数料の合計額は138万6,000円(税込)になります。

仲介手数料の計算

仲介手数料を計算するなら特例も要確認

仲介手数料の計算には特例があるため、以下で解説していきます。

低廉な空家等の媒介の特例

まず、低廉な空き家の売却にかかる仲介手数料についての特例です。この特例は、増え続けている空き家の数を減らすために制定されました。

昨今、問題視されている空き家は一般的に低価格で取引されるため、仲介手数料もその分安くなります。仲介手数料が安いと、現地調査や販売活動を行う不動産会社は赤字になる恐れがあるため、空き家売却の仲介に消極的になってしまいます。

そこで、流通性を高め、空き家問題を解決するために設けられたのが、「低廉な空家等の媒介の特例」です。低価格の物件については、先ほどご紹介した仲介手数料の上限を超えて、報酬額を請求できます。

さらにこの特例は改正され、2024(令和6年)年7月1日以降は、以下の変更が適用されています。

・仲介手数料の上限額の拡大
・適用対象の拡大

以下で詳しく見ていきましょう。

仲介手数料の上限額の拡大
改正以前は物件価格が400万円以下の宅地建物について、不動産会社は最大「18万円 + 消費税」の報酬を受領できるというものでした。しかし法改正後は、物件価格が800万円以下の宅地建物については、原則による上限を超えて、最大「30万円 + 消費税」の報酬を受領できるようになり、対象の物件の範囲、報酬の上限ともに拡大しました。

適用対象の拡大
改正前の低廉な空家等の媒介の特例では、対象となるのは売主のみでしたが、改正後は買主も特例の対象となります。そのため、不動産会社は低廉な空き家の仲介業務において、売主・買主の双方から原則による上限を超えた仲介手数料を手にすることが可能です。

上記2点の変更によって、不動産仲介会社が空き家売買の仲介に積極的になることが期待でき、空き家問題の解決が進みやすくなるでしょう。

比較項目改正前改正後
対象物件物件価格が400万円以下の宅地建物物件価格が800万円以下の宅地建物
報酬上限額18万円 + 消費税30万円 + 消費税
対象者売主のみ売主・買主

長期の空家等の媒介の特例

また賃貸借取引についても、長期の空き家にかかわる特例があり、この特例についても改正が行われています。改正後は、現段階で長期間使用されていない、または今後長期間使用される見込みのない宅地建物に関しては、貸主である依頼者から、1か月分の賃料の2.2倍の金額を仲介手数料の上限として受領できるようになりました。

営業担当者と仲介の契約書を書く人

不動産売買にかかる仲介手数料は節約できる?

不動産会社を通して物件の売買が成立したら仲介手数料を支払う必要があるとはいえ、できれば出費は少しでも抑えたいものですね。ここでは、仲介手数料を節約する方法について考えてみましょう。

個人間の売買では仲介手数料はかからない

仲介手数料とは、不動産売買を仲介する不動産会社に支払うものです。従って、不動産会社に頼らず、個人間で不動産売買を成立させた場合には、仲介手数料が発生することはありません。

ただし、不動産の売買には、金額交渉や売買契約書の作成など専門的な作業が発生するため、個人でこなすのは容易ではありません。第三者を交えずにこれらを行うとトラブルが発生する恐れもあるので、注意が必要です。

仲介手数料の安さだけで業者を選ぶのはNG

仲介手数料は本来、売却活動に必要な費用です。仲介手数料の安さや無料をうたっているというだけで不動産会社を選ぶと、必要な広告活動や売買手続き、アフターフォローをきちんと行ってもらえない可能性があります。肝心の営業活動や仲介業務に力を入れてもらえなければ、納得のいく条件で物件を売却することは難しいでしょう。

不動産会社を選ぶときは、親身に話を聞いてくれたり、早く高く売るための販売戦略を考えてくれたりなど、サポート全般に視野を広げて総合的に判断することがポイントです。

売却をサポートする不動産会社

成約価格によって費用の負担は抑えられる

ここまで仲介手数料の計算方法や、負担を抑える方法について解説してきました。不動産売却には、仲介手数料のほかにもさまざまな費用がかかります。諸費用の負担を抑えるには、仲介手数料について無理な値引き交渉をしようとするよりも、「なるべく高く売る」ことが大切なポイントです。

売り出し価格を設定する際には、その価格で諸費用を賄えるかどうかを考慮しましょう。とはいえ、売り出し価格が高過ぎてなかなか買い手が付かない…ということになってしまわないよう、仲介を依頼する不動産会社とよく相談することも大切です。

また、不動産売却を成功させるためには、仲介を依頼する不動産会社選びも非常に重要です。不動産査定を依頼した際には、信頼できそうな不動産会社かどうかを見極めるようにしましょう。

信頼できる不動産会社を見極めるポイントは、「取扱実績が豊富」「不動産売却を得意としている」「販売活動に熱心」「親身になって適切な提案をしてくれる」などが挙げられます。査定額の高さだけでなく、幅広い観点から総合的に不動産会社を選びましょう。

三井のリハウスでは、100万件の取扱件数から得られた経験や知見に基づき、不動産売却をサポートします。不動産の売却であれば、精度の高いAI査定や簡易査定、訪問査定で算出される査定額から仲介手数料の目安を知ることが可能です。おおよその仲介手数料が知りたい方、そのほか不動産売却に関してお悩みの方はぜひ一度三井のリハウスにご相談ください。

●不動産売却をお考えの方はこちら

●リハウスAI査定はこちら

よくある質問

Q:不動産売却の費用のなかで最も大きな金額になるのは何でしょうか?

A:仲介契約を結んだ不動産会社に支払う仲介手数料です。詳しくはこちらをご覧ください。

Q:仲介手数料は節約できますか?

A:仲介業者を使わず、個人間で不動産売買した場合は、仲介手数料が発生しません。ただし、トラブルを避けるためには、仲介のプロを通したほうが安心できますよ。詳しくはこちらをご覧ください。

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けの節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/