
鉄筋と鉄骨の違いを徹底解説!特徴や防音性はどちらが高いかも解説
建物の構造は、住み心地や安全性を左右する重要なポイント。日本の住宅で多数採用されている「鉄筋コンクリート造」と「鉄骨造」の違いを知っておくと、不動産選びで役立ちます。2つの構造の違いや、メリットと注意点、防音性について詳しく解説します。
目次
鉄筋コンクリート造と鉄骨造の違いは?
日本の住宅における木造の割合は年々減っており、平成30年の住宅調査では43.1%※1が非木造となっています。つまり、木造以外の、「鉄筋コンクリート造」や「鉄骨造り」の住宅が増えているのです。この機会に、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の違いを押さえて、不動産選びに役立てましょう。
鉄筋コンクリート造の特徴
鉄筋コンクリート造とは、RC造(Reinforced Concrete Construction)とも呼ばれ、コンクリートに強度の高い鉄筋(鉄の棒)を埋め込んだ構造のことをいいます。日本では、マンションをはじめとする共同住宅の多くが鉄筋コンクリート造です。
タワマンに代表される高層マンションにおいては、以前は、鉄筋コンクリートと鉄骨を合わせて強度を高めた「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」が主流でした。しかし、近年はコンクリートの性能が向上し、鉄筋コンクリート造の高層マンションが一般的になっています。
鉄骨造の特徴
鉄骨造とは、S造(Steel Construction)とも呼ばれ、鉄と炭素の合金である鋼(はがね)を柱や梁などの骨組みに使用した構造のことを指します。
鉄骨造りは、一般的に「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」に大別されます。重量鉄骨造は、6ミリ以上の厚さの鉄骨で造られ、中高層マンションやビルでよく採用されています。一方、軽量鉄骨造は、6ミリ未満の鉄骨で造られ、一戸建てや低層のアパートで採用されることが一般的です。
以下では、それぞれのメリットと注意点について解説していきます。
鉄筋コンクリート造(RC造)のメリットと注意点
日本の分譲マンションの多くは、鉄筋コンクリート造です。コンクリートは重量があるため強固な地盤が必要ですが、耐震性、耐火性など建物の性能は高くなります。
メリット
鉄筋コンクリート造は剛性が高く、耐久性に優れています。国税庁が定める鉄筋コンクリート造(住宅用)の法定耐用年数は47年で、鉄骨造(骨格材の肉厚が4ミリメートルを超えるもの)の34年や、木造の22年に比べて高くなっています。法定耐用年数とは、法令で決められた特定の固定資産が使用できる期間のことです。実際に建物を使える期間はメンテナンス次第で異なってきますが、国が定めた耐用年数が長いということは、ほかの構造の建物よりも耐久性があるといえるでしょう。
また、コンクリートは地震の揺れによる圧縮に強く、耐震性が高いというメリットもあります。ですが、新耐震基準施行の前に建てられた場合は状況が異なるため、専門家による耐震チェックを受けているかどうか不動産会社に確認しましょう。
さらに、コンクリートは耐火性が高く、万が一火事になっても燃え広がりにくいのも特徴です。建物が崩れ落ちることはまれで、有毒なガスも発生しにくいため、安全性が高いといえます。
さらに、天然木を使用する木造に比べてメンテナンスしやすく、リフォームもしやすいのがコンクリートの特長です。特に、柱と梁で建物の骨格を支えるラーメン構造のマンションであれば、壁の位置を変えやすく、大胆な間取りの変更も可能である場合が多いでしょう。
注意点
鉄筋コンクリート造は、重量のある住宅を支えるための基礎工事に時間がかかります。加えて、現場でコンクリートを扱う職人の技術が必要になるため、価格が高くなるのが一般的です。ただ同時に、鉄筋コンクリートは耐久性が高く、長い目で見ると修繕費用を抑えられる面もあります。
また、コンクリートは気密性が高い分、湿気がこもりやすく、カビや結露が発生しがちです。湿気の問題は、断熱効果の高い二重サッシにしたり、空気の流れをよくする24時間換気システムを取り入れたりすることで解消できます。
鉄骨造(S造)のメリットと注意点
鉄筋コンクリート造に比べると数は少ないですが、鉄骨造を採用している分譲マンションもあります。ただし、その場合、6ミリ以上の鉄骨を使用する重量鉄骨造であることがほとんどです。
鉄骨造は、基本構造が金属で、柱と梁のみで建物を支える構造であることから、いくつかのメリットがあります。
メリット
建材は、あらかじめ工場で製造して現場で組み立てるため、工期が短く済み、その分価格も安くなります。また、工場で製造するため建材のバラつきが少なく、職人の腕に頼る部分が少ないので、建物の品質が一定に保たれることもメリットの1つです。
少ない建材で骨組みを造れるため、開放的な吹き抜けを設けられたり、窓を大きく取れたり、間取りに自由が利きやすいのがメリットです。
注意点
鉄骨造は、鉄より強度の高い鋼材を使った構造ですが、耐久性や耐震性、耐火性などの性能は鉄筋コンクリート造より劣るとされます。
一般的に、物件情報に「鉄骨造」とある場合は重量鉄骨造のことをいい、軽量鉄骨の場合は「軽量鉄骨造」と記載されています。気を付けたいのは、明記が義務化されているわけではなく、見た目から判断できない情報ということです。そのため、不明瞭な場合は不動産会社に確認したほうがよいでしょう。
鉄骨造はうるさい?鉄筋と鉄骨の防音性を比較
物件選びにおいて、多くの人が気にするのが防音性です。特に、小さいお子さんがいるご家庭の場合、音漏れや階下への振動が気になるのではないでしょうか?ここからは鉄筋と鉄骨の防音性について解説します。
防音性は鉄筋コンクリート造のほうが優れている
コンクリートの壁は厚く、気密性が高いため、防音性が高いとされています。また、重量が大きい鉄筋コンクリート造の床は、木造や鉄骨造に比べて、階下への重量衝撃音が抑制される傾向があります。このように防音性を優先するならば鉄筋コンクリート造のマンションですが、なかには、住戸間を仕切る壁(戸境壁)が薄かったり、窓やサッシに隙間があったりする物件もあります。その場合、音漏れが気になることもあるので注意が必要です。
鉄骨造の防音性は重量鉄骨造のほうが高い
重量鉄骨造は柱が太く、その分壁も厚いため、軽量鉄骨造に比べると防音性が高いという特長があります。ただし、軽量鉄骨造でも、壁や床にALCパネル(軽量気泡コンクリート板)を施したALC造(鉄骨ALC造)にすることで防音性を上げることは可能です。
結論としては、防音性は、物件情報や図面だけでは判断できない部分が大きいのが実情です。必ず内見を行い、隣の部屋の生活音が聞こえてこないかをチェックし、戸境壁を叩いて壁の薄さを確かめてみましょう。また、過去に騒音トラブルがなかったか、不動産会社の担当者に聞いてみるのもおすすめです。
鉄筋コンクリート造と鉄骨造の違いを踏まえた物件選びをしよう
これまで鉄筋コンクリート造と鉄骨造、それぞれの特徴について解説しました。物件選びを成功させるためにも、違いやメリット、注意点を把握しておきましょう。三井のリハウスでは、中古マンションや一戸建ての豊富な物件をそろえており、サイトから全国各地の物件探しができるため、ぜひ一度お試しください。
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また、物件を売却する予定のある方は、建物の構造や耐用年数など、現状を把握しておくと後々役立ちます。三井のリハウスでは、100万件を超える豊富な取引データに基づく精度の高い査定を行っておりますので、お気軽にお申し込みください。
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※1出典:平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要,総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf
(最終確認:2024年4月24日)


監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html