建築確認申請とは?流れや費用などを解説

建物の建築や増改築の際に必要な建築確認申請。その際にどの書類をそろえ、どのような手続きを踏めばよいのか気になる方は多いのではないでしょうか?この記事では、必要書類や申請の流れを解説します。

目次
  1. 建築確認申請とは?
  2. 建築確認申請の際に必要な書類
  3. 建築確認申請にかかる期間と流れ
  4. 建築確認申請にかかる手数料
  5. 建築確認申請が不要な場合
  6. 建築確認申請をしないとどうなる?
  7. 家を建てる際は申請を忘れずに!
記事カテゴリ 購入 費用
2024.05.29

建築確認申請とは?

建築確認申請とは、建物にかかわる人の生命や健康、財産を守るための建築基準法に、建築物が適合しているかどうかを審査するものです。建築確認申請は誰が行うのかというと、本来は建築主(建築を発注した人)ですが、委任状があれば建築士が手続きを代行することも可能です。

また、依頼先は自治体か確認検査機関になります。確認検査機関には、建築確認を担う一般社団法人や私企業が含まれ、それらは政府によって指定されています。全国の確認検査機関は、日本建築行政会議のサイトから確認できます。

●都道府県指定確認検査機関一覧はこちら

建築確認申請を通過しなければ、建物の新築や、床面積の合計が10㎡を超える増改築は着工できません。なお、防火・準防火地域の場合は床面積計10㎡以内の増築であっても申請が必要になります。

今回は、建築確認申請について、必要書類や申請の流れなど、基本的な知識について解説します。

建築確認申請に必要な書類のイメージ

建築確認申請の際に必要な書類

建築確認申請には、複数の書類が必要になります。以下に建築確認の申請に必要となる主な書類をご紹介します。

審査受付票

まず、申請者の連絡先や物件内容、請求書の宛先を記入する審査受付票が必要です。建築確認の受付の際に使用されます。

確認申請書

確認申請書には、建物の住所や設計主、敷地面積、建ぺい率などを記載します。建築基準法や建物の建築予定地にかかる条例に、建物や土地が適合しているかを確かめるために使用されます。

建築計画概要書

確認申請書とおおよそ内容は同じで、建築確認申請の際に確認申請書と一緒に提出します。建築計画概要書は物件が調査される際に参照され、建築後に一般公開されます。

委任状のイメージ

委任状

一般的に、建築確認申請は設計事務所や施工業者が建築主に代わって行うため、委任状が必要になります。委任状に関しては、各委託業者や関係機関のホームページからダウンロードしましょう。

建築工事届

建築主の情報や工事予定期間、建物の主要用途を記した申請書です。この書類は、必ず提出しなければならず、建築着工統計としても利用されます。

シックハウス計算表

シックハウス症候群を引き起こす可能性のある空気を、外部に逃がすための換気計画について記した書類です。シックハウス症候群とは、室内の高気密化によりホルムアルデヒドをはじめとする揮発性有機化合物(VOC)が人体に影響を与え、めまいや頭痛などさまざまな異常を引き起こす症状を指します。

各種図面

各階平面図や配置図、付近見取図などの、建物の内部や周辺環境が分かる図面です。

上記でご紹介した書類は、各自治体のホームページや一般社団法人日本建築センターのホームページから取得可能です。ほかにも書類が必要な場合もあるため、注意しましょう。

一般社団法人日本建築センターのサイトはこちら

建築図面

建築確認申請にかかる期間と流れ

建築確認申請は、工事前に行われます。通常、申請を出してから審査が終了するまでは約1~2か月かかります。建築内容に特段問題がなければ35日以内に完了しますが、建築物省エネ法に基づく適合性判定が必要な場合には、追加で最長35日の期間を要し、70日以内に審査が完了します。

また、工事が完了した後には完了検査を申請しなければなりません。完了検査とは、建築確認申請の内容に沿って工事が行われたかどうかを、建築物を実際に確認して判断するものです。工事が完了してから4日以内に完了検査の申請をしましょう。完了検査の申請後、工事内容に問題が見つからなければ「検査済証」が交付されます。

建築確認申請から検査済証交付までの流れ

・建築確認申請
・自治体・検査機関による書類審査
・建築確認済証の交付
・工事着工
・工事完成
・完了検査の申請
・自治体・検査機関による完了検査
・検査済証の交付

建築確認にかかる手数料のイメージ

建築確認申請にかかる手数料

建築確認申請には手数料が発生し、金額は申請先や床面積によって異なります。申請先は確認検査機関と自治体の2種類から選択可能です。確認検査機関は、自治体に比べて審査が早かったり、対応がきめ細やかだったりする反面、手数料が高い傾向にあります。また、完了検査にも手数料がかかることも理解しておきましょう。

東京都における手数料は、東京都都市整備局のサイトをご覧ください。

●東京都都市整備局の公式サイトはこちら

不要を表すイメージ

建築確認申請が不要な場合

全ての建築や増改築において、建築確認申請が必要なわけではありません。申請不要な例としては以下のようなケースが考えられます。

・都市計画区域外や準景観地区外などに四号建築物を建築する場合
・防火地域、準防火地域外で床面積が計10㎡以内の増改築を行う場合
・建築基準法上の「建築物」に当てはまらない場合
・文化財保護法の対象である建築物

以上のケースについて1つずつ詳しく解説します。

都市計画区域外や準景観地区外などに四号建築物を建築する場合

人がほとんど住んでいない都市計画区域外や準景観地区外では、四号建築物であれば建築確認申請をする必要はありません。四号建築物に当たる条件は以下の通りです。

・特殊建築物に該当しない
・木造建築物の場合は2階以下で構成され、延べ床面積が500㎡以下、高さ13m以下、軒高9m以下をそれぞれ満たす
・木造建築物以外の場合は1階のみで構成され、延べ床面積200㎡以下を満たす

特殊建築物とは、劇場や病院、学校、百貨店など建築基準法の制限がより厳しく設定された建築物のことです。

小さな家のイメージ

防火地域、準防火地域外で床面積が計10㎡以内の増改築を行う場合

床面積が計10㎡以内の増改築を行う場合、対象の建築物の所在が防火地域、準防火地域外であれば建築確認申請は不要です。防火地域、準防火地域とは火災が広がらないように建物の構造が厳しく規制される地域のことを指します。商店街や駅前、市街地の中心部に近い場所など、建築密度の高いエリアが防火地域、準防火地域に指定されます。

建築基準法上の「建築物」に当てはまらない場合

建築基準法上、建築物に当てはまらない場合も建築確認申請は不要になります。建築物の条件※1は以下の通りです。

・土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有する
・上記に付属する門もしくは塀
・観覧のための工作物または地下もしくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫そのほかこれらに類する施設

建築物に当てはまらないものとして、小規模な倉庫があります。たとえば、一般的に庭に配置される置き型の小さな倉庫は、内部に人が入らずとも物を出し入れできるため建築物には当てはまらないのです。

文化財保護法の対象である建築物

文化財に指定されている建物は、一般的な建物とは取り扱い方法が異なるため建築確認申請は不要です。文化財に指定されていない場合でも、文化的に価値が高いと見なされた建物であれば申請は不要になります。しかしまれな事例であるため該当するケースは少ないでしょう。

法律的観点のイメージ

建築確認申請をしないとどうなる?

建築確認申請が必要であるにもかかわらず、申請を出さずに建物の建築や増改築を行うと違法建築物と見なされます。工事中や施工後に、建築確認申請をしていないことが行政によって発覚した場合、工事の中断や使用禁止命令を出されることもあるでしょう。

その後指導された是正措置をとれば解決する場合もありますが、従わなければ罰金刑や懲役刑を科されることがあります。また、申請していない物件は、売却が困難なため注意が必要です。

家を建てる際は申請を忘れずに!

この記事では、建築確認申請に関して必要書類や申請の流れを解説してきました。建築確認申請は、建築基準法に建築物が適合しているかを確認するための重要な手続きです。必要書類や手数料を確認し、確実に把握しておきましょう。

また、建築後に安心して暮らすためだけでなく、近隣住民の安全を守るためにも建築基準法にのっとって建築物を建てる必要があります。建築基準法に適合しているかを確認するという意味でも、建築確認申請は大切であるといえるでしょう。

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※1出典:建築基準法 第二条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201
(最終確認:2024年5月13日)

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html