【2024年最新】不動産価格の推移を検証!今後の不動産の動向も解説

不動産の購入・売却を考えると、価格がどう推移しているのか、買い時・売り時はいつなのかは気になるポイントでしょう。今回は国内・海外の動向を踏まえ、今後の不動産市場はどのように推移するのか、2024年最新情報をもとに検証します。

目次
  1. 不動産価格の推移を知るには?
  2. 不動産価格の推移は今後どうなる?
  3. 主要都市における土地価格の推移は上昇傾向
  4. 不動産価格・市場に影響を与える要因5つ
  5. 不動産売買で失敗しないためには?
2024.12.23

不動産価格の推移を知るには?

不動産の購入・売却を考えると、「物件の価格がどう推移しているのか」「買い時・売り時はいつなのか」は、気になるポイントでしょう。コロナ禍や円安、大阪万博の開催の影響によって、国内の不動産市場は今後どのような価格の推移を見せるのでしょうか?

「不動産価格の推移を予測したい」と思ったら、国土交通省が公表している「不動産価格指数」をチェックしておくとよいでしょう。不動産価格指数とは、Eurostatのほか、国際機関による協力のもと、不動産価格の動向を示すために国際的に通用する指標を目指して作られたものです。この指数は、実際の取引価格をもとに、物件の立地や特性といった影響を取り除いて算出されます。

また、不動産価格指数と合わせて「公示地価」をチェックしてみましょう。公示地価とは、国土交通省が年に1回、1月1日時点における標準地の1㎡あたりの地価を調査して公表する地価のことです。土地の評価や取引の基準にもなる日本の代表的な地価指標の1つで、公示地価を見れば、近年の土地価格の動きが分かります。そのため、不動産価格のおおまかな傾向や今後の推移を予測する参考としても用いられます。

以上のことから、不動産価格指数が不動産取引の動向を把握するデータであるのに対して、公示地価は地点単位の土地価格水準を把握するデータといえるでしょう。

●不動産の相場価格の調べ方に関する記事はこちら

最新の不動産価格推移

不動産価格の推移は今後どうなる?

2024年における現状の不動産価格の推移は、建物、土地の価格ともに上昇傾向にあるようです。次はそれらについて不動産価格指数をもとに詳しく見ていきます。まずは住宅についての全国の不動産価格指数を見ていきましょう。

こちらの表は、国土交通省が2024年10月に発表した、全国の住宅をめぐる不動産価格指数の推移(※1)です。

不動産価格指数のグラフ

(※1)国土交通省より引用

住宅地の価格は2021年頃から上昇傾向です。また、一戸建て住宅の価格は2020年半ば頃から増加傾向にありましたが、2022年半ばから横ばいの状況が続いています。マンションの価格は年々大きく上昇傾向にあり、2024年もその傾向があることから、需要が高まっていることが分かります。

直近3年(2022年~2024年)の不動産価格指数の推移をまとめると、以下のようになります。

不動産価格指数2022年7月2023年7月2024年7月
住宅総合132.0134.5137.8
住宅地110.4113.2115.0
一戸建て住宅117.4115.9115.6
マンション183.9191.0202.2

2024年7月の住宅総合における不動産価格指数は、2023年の7月のものと比較して3.3ポイント増加しています。またマンションは、2024年に価格指数が唯一200台に達しており、110台の住宅地や一戸建て住宅と大きく差があることが分かります。

以上の不動産価格指数から、全体的な住宅価格、特にマンションの価格は上昇傾向といえるでしょう。

不動産価格指数が高いマンション

主要都市における土地価格の推移は上昇傾向

次に、土地の価格に特化した推移に着目していきましょう。ここでは、国土交通省の「令和6年の地価公示の概要」(※2)から、土地の価格の動向をご紹介します。

住宅地の地価は総じて上昇傾向

例年に引き続き、住宅地の地価は全国規模で上昇傾向にあります。特に、三大都市(東京、大阪、名古屋)や、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)の地価の上昇に伴い、周辺地域の地価にも顕著な上昇が見られます。

また、鉄道新路線の開業により交通利便性がよくなったことで地価が上昇したと考えられる地域もあったようです。さらに、大手半導体メーカーの進出により、工場周辺の土地が従業員用の住宅や事務所として活用する需要が高まり、不動産価格が上昇した地域もありました。

住宅地価の動向(単位:%)2022年2023年2024年
全国0.51.42.0
三大都市圏0.51.72.8
東京圏0.62.13.4
大阪圏0.10.71.5
名古屋圏1.02.32.8
地方圏0.51.21.2
地方四市5.88.67.0
その他▲0.10.40.6

商業地も同様の傾向

再開発が進む地域では、利便性が向上する期待から地価が上昇しているほか、繁華街や観光地でも店舗需要が増加し、地価は上昇傾向にあるといえます。また、商業地のなかで地価の大きな上昇が見られたのが、都市中心部の交通利便性等に優れた地域です。これは、マンション需要との競合の結果と分析できます。

商業地価の動向(単位:%)2022年2023年2024年
全国0.41.83.1
三大都市圏0.72.95.2
東京圏0.73.05.6
大阪圏0.02.35.1
名古屋圏1.73.44.3
地方圏0.21.01.5
地方四市5.78.19.2
その他▲0.50.10.6

●令和6年地価公示の概要はこちら

地価が上昇傾向にある商業地

不動産価格・市場に影響を与える要因5つ

ここまで、不動産価格の現在までの推移を解説しました。不動産価格は上昇傾向をたどっており、今後も上昇すると予想されています。では、なぜ日本の不動産価格は上昇しているのか、今後の不動産価格に影響を与える要因は何なのか、詳しく解説していきます。

金利政策

日本銀行(日銀)による金融緩和政策によって住宅ローンの金利が下がり、その結果、不動産の需要が増えたことが価格上昇の一因となっていました。

またこのような状況のなか、2023年、日銀は当面の金融政策運営について、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していくという方針を示し、日本では引き続き低金利政策が行われています。しかし、2024年3月に実施された金融政策決定会合では、2%の物価安定の目標の実現が見通せる状況にあると判断されたため、今後は方針転換される可能性もあります。

円安

2022年以降、急激な円安が続いているため、海外の投資家が日本への不動産投資を行う傾向があります。円安によって、相対的に割安で不動産を購入できることに加え、マンションやオフィスビル需要の高まりによる不動産賃料の上昇から、高い利回りが見込めるからです。

さらに、円安によって外国人観光客が増え、ホテルの需要も高まることから不動産価格は今後も上昇することが予測されます。

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症による不動産価格への影響は一時的なもので、現在は回復の傾向が顕著に表れています。むしろ、新型コロナウイルス感染症の流行によってリモートワークが定着したことによる郊外部の需要も一部見られます。

ウクライナ侵攻

2024年現在も続くロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の不安定化に伴って、海外から輸入する原油価格や木材価格が高騰し、住宅価格にも影響しています。また、建物の素材である鉄筋や鉄骨が不足し、価格が高騰する影響で、中古住宅への需要も増え、結果として全体的に住宅価格が上昇していると考えられます。

2025年大阪万博

2025年の大阪国際博覧会(万博)を控えた大阪圏の動向が注目を集めるなか、不動産サービス会社のジョーンズ ラング ラサール株式会社(JLL)は、大阪万博が大阪の不動産市場に与える影響を分析し、「2025年万国博覧会 大阪開催決定:大阪不動産市場への影響と世界的都市ブランドの確立」というレポートにまとめています。その分析では、万博により都市としてのインフラ整備や、都市の機能を担った不動産の開発などが進むことで、国際都市としての大阪の魅力を国内外にアピールでき、世界のビジネスを引き付ける絶好の機会になると予測されています。

東京五輪ではインフラ整備に伴う経済効果が早い段階から確認でき、開催決定後から地価上昇が始まり、不動産価格が跳ね上がりました。JLLは、大阪万博においても、インフラ整備と再開発による不動産価値の上昇を予想しています。

大阪のエキスポシティ

不動産売買で失敗しないためには?

不動産価格の推移を知ることは、納得のいく不動産売買を行うための重要なポイントです。不動産価格指数や公示地価のように公開されているデータをチェックして、個人でも価格相場を捉えてみましょう。売買について不動産会社と話し合うときにも、ある程度の知識があると役立ちます。

不動産価格は、経済的要因や国際情勢、人々のライフスタイルの変化など、さまざまなものに影響を受けます。不動産売買で失敗しないためには、情報をしっかり押さえながら、先の予測を立て、信頼できる不動産会社に仲介を依頼することが大切です。三井のリハウスでは、不動産取引に関するご相談を承っています。不動産売買に関して不安がある方は、ぜひご相談ください。

また、不動産の売却を検討している方はご所有の不動産の現在の価値を査定してもらい、査定価格を知ることがおすすめです。三井のリハウスでは、ご紹介した不動産価格を決定する要素や、これまでの豊富な取引データを使用し、相場から乖離の少ない査定価格を算出しております。

手軽に不動産価格を知りたい方は、AI査定、簡易査定(机上査定)を、本格的に不動産売却を検討している方は訪問査定がおすすめです。どの査定も無料で承っておりますので、お気軽にご活用ください。

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※1出典:不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)を公表,国土交通省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001840627.pdf
(最終確認:2024年12月11日)

※2出典:令和6年地価公示の概要,国土交通省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001732032.pdf
(最終確認:2024年12月11日)

宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けに節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/