
【2024年最新】マンションの売却相場は?エリアごとの価格や調べ方を解説
マンション売却価格の相場を知ることは、売りたい物件を高く売るコツでもあります。今回は中古マンション売却を検討している方に向けて、主要地域のマンション価格の相場や、自分で相場を調べる方法、売り時の見極め方などについて解説します。
目次
マンションを売却するなら相場を知ろう
近年、働き方やライフステージの変化によって、マンションの売却や買い替えを考える人が増えています。しかし、マンション売却は、多くの人にとって不安を感じるものでしょう。
希望する期間内で、マンションをできるだけ高く売却するためには、まず所有するマンションがおおよそいくらで売れそうなのかという「相場価格」を知ることが大切です。
相場価格は、不動産市況や景気といった外部要因と、築年数のような物件自体の状態によって変わります。売り出す際の相場価格を知っておけば、査定額の妥当性の判断や、適切な売り出し価格の検討に役立ちます。特に売り出し価格については、高過ぎると買い手が見つかりにくく、逆に安過ぎると損をしてしまうため、事前に相場を把握しておくことが売却を成功させるうえで重要といえます。
この記事では、マンションを高く売りたい方に向けて、2024年最新の主要地域の相場動向や相場の調べ方のほか、マンションを高く売るためのコツなどについて徹底解説していきます。
マンション売却の相場は上昇している!
下記のグラフは、国土交通省が公表している不動産価格指数(全国の不動産の価格推移を月単位で表す指標)です。グラフを見ると、マンションの不動産価格指数は、年々上昇傾向にあり、2024年現在も価格高騰の傾向は継続しています。そのため、今は売り時と考えてよいでしょう。
国土交通省「不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)を公表」から引用(※1)
しかし、2024年3月18日~19日に行われた日本銀行(日銀)の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除が発表されました。これによって、2016年に日銀によるマイナス金利政策がスタートして以来、8年ぶりに金利が復活しました。
日銀の政策転換により、マンション市場で懸念されているのが住宅ローン金利の上昇です。現に、固定金利型住宅ローンにおいては、長期金利の上昇傾向を受け、金利を引き上げる動きが出てきています。一方、変動金利型住宅ローンについても、2024年8月から金利を引き上げる金融機関が徐々に増えており、今後さらに上昇する可能性もあります。そうなると、住宅ローンの毎月の返済額が大きくなり、物件の購入を見送る人や購入予算を下げる人が増えることも考えられるでしょう。
金利の動向は個人がコントロールできるものではありませんが、マンションの売却にあたっては、今後も日銀の動きを追うとよいでしょう。
次に、マンションは実際どのくらいの価格で売れるのか、主要地域における中古マンションの具体的な売却相場をご紹介します。
中古マンションの売却相場
マンションの売却価格相場は、都道府県・市区町村によって異なります。まずは、主要地域・主要都市の中古マンションのおおまかな売却価格について知っておくとよいでしょう。
ここからは、不動産流通機構が2024年9月に発表した「月例速報 Market Watch[全国版]2024(令和6)年8月度」の、都道府県別中古マンションの成約状況(※2)から、主要地域の中古マンション売却価格相場を見ていきます。
東京都のマンション売却相場
2024年8月度における、東京都の中古マンションの売却価格相場は5,802万円となっています。一方、平均㎡単価は101万1,100円で、2023年(前年)8月度は97万6,700円だったため、前年度比で約3.5%上昇しています。
地域 | 平均成約価格 | 平均㎡単価 |
---|---|---|
東京都 | 5,802万円 | 101万1,100円 |
神奈川県のマンション売却相場
神奈川県の、2024年8月度のマンション売却価格相場は3,870万円となっています。平均㎡単価は58万5,100円で、2023年(前年)8月度の相場は55万4,900円だったため、比較すると約5.4%上昇傾向にあります。
地域 | 平均成約価格 | 平均㎡単価 |
---|---|---|
神奈川県 | 3,870万円 | 58万5,100円 |
大阪府のマンション売却相場
2024年8月度の、大阪府におけるマンション売却価格相場は3,529万円となっています。平均㎡単価は53万5,000円で、2023年(前年)8月度の相場は48万6,100円であったため、約10.1%上昇傾向にあります。
地域 | 平均成約価格 | 平均㎡単価 |
---|---|---|
大阪府 | 3,529万円 | 53万5,000円 |
埼玉県のマンション売却相場
埼玉県の、中古マンション売却価格相場(2024年8月度)は2,842万円です。平均㎡単価については、2023年8月度の相場は42万5,600円で、前年8月度の41万9,600円と比較すると約1.4%上昇しています。
地域 | 平均成約価格 | 平均㎡単価 |
---|---|---|
埼玉県 | 2,842万円 | 42万5,600円 |
千葉県のマンション売却相場
千葉県のマンション売却価格相場は、2,772万円(2024年度8月度)となっています。平均㎡単価は38万7,700円で、2023年(前年)8月度の39万500円と比べて約-0.7%とやや下降していますが、7月度で見ると2024年は40万7,200円と、前年度の38万円と比較して約7.2%上昇しています。
地域 | 平均成約価格 | 平均㎡単価 |
---|---|---|
千葉県 | 2,772万円 | 38万7,700円 |
福岡県のマンション売却相場
2024年8月度における、福岡県のマンション売却価格の相場は2,490万円となっています。平均㎡単価は37万9,100円で、2023年(前年)8月度の相場は34万6,000円であったため、前年度比で約9.6%上昇しています。
地域 | 平均成約価格 | 平均㎡単価 |
---|---|---|
福岡県 | 2,490万円 | 37万9,100円 |
愛知県のマンション売却相場
2024年8月度の愛知県のマンション売却価格の相場は、2,472万円となっています。平均㎡単価は34万600円で、2023年8月度は32万9,100円であるため、前年度比で約3.5%上昇傾向にあります。
地域 | 平均成約価格 | 平均㎡単価 |
---|---|---|
愛知県 | 2,472万円 | 34万600円 |
首都圏で2024年4~6月に成約した物件の売却相場
下の表は、首都圏におけるマンションの築年帯別成約状況(2024年4~6月の平均)(※3)を参考に、築年数に伴う価格の推移を示したものです。右の列が、築年数5年以下の価格を100としたときの、築年数ごとの価格の変化(下降率)を表しています。
築年数 | 平均成約価格 | 築5年までの価格に対する割合 |
---|---|---|
~築5年 | 8,170万円 | 100% |
~築10年 | 7,279万円 | 約89% |
~築15年 | 6,702万円 | 約82% |
~築20年 | 5,965万円 | 約73% |
~築25年 | 5,348万円 | 約65% |
~築30年 | 4,140万円 | 約51% |
築30年~ | 2,439万円 | 約30% |
築年数別に見ると、築5年以内は築浅物件であり、設備も新築マンション同様に最新であることが多いため人気が高く、売却価格は中古のなかで最も高額です。
築25年をすぎると、リフォームやリノベーションをしたほうが売りやすい場合があります。しかし、物件購入後に自分でリフォームをしたい買主や、リフォーム代を価格に上乗せされたくない買主もいるため、お金をかけて行う必要があるかどうかは、不動産会社に相談して慎重に検討しましょう。
築30年を超える物件の場合、「旧耐震基準(1981年5月31日までの建築確認において適用されていた基準)」のマンションは特に売却価格が大きく下落する傾向にあります。現在適用されている「新耐震基準」よりも耐震性が低い基準であるため、安全性が不安視されることが原因です。不動産売却の際には、築年数も考慮して価格設定するようにしましょう。
ちなみに、旧耐震基準の物件は住宅ローン控除が適用不可となるケースもあるため事前の確認をおすすめします。ただし、旧耐震基準の物件であっても、現行の耐震基準を満たしていることが証明できれば、住宅ローン控除の対象になることもあります。
●築50年のマンションの売却に関する詳しい記事はこちら
マンションの売却相場の調べ方
マンションを売りたいときは、所有するマンションと条件が近い物件の売却価格を調べると、さらに具体的な価格相場のイメージをつかめます。インターネットを使って自分で調べられるサービスのうち、今回は以下の3つをご紹介します。
不動産情報ライブラリ
国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」は、2024年4月から「土地総合情報システム」に替わって使われているもので、実際に不動産の取引を行った人を対象にしたアンケート結果のデータベースです。売却したいマンションがある地域に絞って、物件の取引価格や地価公示価格(地価公示法に沿って決定される土地の価格)、都市計画情報など、不動産に関する幅広い情報を地図と重ね合わせながら確認できます。
REINS Market Information(レインズ マーケット インフォメーション)
不動産流通機構が運営する「REINS Market Information」は、不動産会社ではない一般個人も、実際に取引された売却価格を検索できるデータベースです。このサイトを活用することで、築年数や間取り、駅からの距離など、幅広い条件から売却したいマンションに近い物件の相場価格を調べられます。
不動産会社サイト
各不動産会社が運営するサイトでも、売却を検討する物件周辺の相場情報を調べられます。たとえば、三井のリハウスのサイトでは、マンションの相場価格やマンションを探している購入希望者情報を地域ごとに調べることができます。間取りや築年数ごとに見ることもできますので、ぜひご自身のエリアの相場を調べてみてください。
【エリアごとのマンションの相場価格を調べる】
・首都圏
東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県
マンションの売却相場の把握後にするべきこと
所有マンションの相場感をつかんだら、実際の売却に向けて以下の2つを行います。
・マンション査定の依頼
・媒介契約の締結
マンション査定の依頼
マンションの売却を検討する際は、まず不動産会社へ査定を依頼します。査定とは、約3か月以内に不動産がいくらで売れそうかという推定価格を算出してもらうことをいい、算出された査定額(査定価格)をもとに、不動産の売り出し価格を決めるのが一般的です。
マンション査定の方法には、主に以下の3つがあります。
AI査定
AI査定とは、過去の取引事例をもとにAIが査定額を算出する方法です。特にマンションの場合、条件が似たマンションの過去の成約事例から機械的に査定額を算出できるため、情報を入力するだけで即時に査定結果を得られる手軽さが魅力です。
ただし、査定の精度は、後にご紹介する簡易査定や訪問査定のほうが高いため、「まだ本格的に売却を検討していないが、物件のおおまかな価値を調べてみたい」という方に適しています。
三井のリハウスでも、マンションのAI査定を行っています。手軽におおよその査定額を知りたいという方はぜひご利用ください。
●リハウスAI査定はこちら
簡易査定(机上査定)
簡易査定(机上査定)は、売りたいマンションに似た物件の売買データや、公示価格、現在の市況などに基づいて査定額を導く方法です。
簡易査定のメリットは、短期間で結果が分かるほか、不動産会社の担当者が査定を行うためAI査定に比べて精度が高い傾向にあることです。しかし、実際の不動産の状態を確認しているわけではないため、この後ご紹介する訪問査定よりは精度が低くなります。よって、売却を検討し始めていて、手軽かつある程度の精度の高さを求めている方におすすめの方法といえます。
訪問査定
訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に現地を訪れ、物件の状態や物件にかかわる権利関係などを調べたうえで査定額を導く方法です。
細かい調査をしたうえで査定を行うため、査定結果を得るまでには、早ければ2~3日、最大1週間ほどの時間がかかりますが、その分精度の高い査定結果を得られます。売却を本格的に検討しており、高精度の査定を求めている方におすすめです。
三井のリハウスでは、AI査定、簡易査定、訪問査定のいずれも無料で行っています。マンションの売却をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
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媒介契約の締結
不動産の売り手と買い手との間を取り持つことを「媒介」といい、媒介を担当する不動産会社と交わす契約を「媒介契約」といいます。媒介契約には3つの種類があるため、それぞれの特徴を理解して、最適な契約を選択しましょう。3種類の契約の違いについての詳細は以下の記事をご覧ください。
●媒介契約に関する詳しい記事はこちら
契約する不動産会社を決める際は、マンション売却に強い、取引件数が多いなど、実績のある会社を選びましょう。さらに、売りたいマンションに条件が近い物件の仲介を豊富に手がけていることやエリアに強いことも重視すると、よりスムーズな売却につながりやすくなります。
●不動産会社選びに関する詳しい記事はこちら
マンション売却は相場だけでなく売り時も見極めよう
売却を失敗しないためには、「売り時」を見極めることも大切です。次のような要素も加味して、適切なタイミングを検討しましょう。
築年数
中古マンションは、築年数が新しいほうが高く、かつ早く売れるのが一般的です。先にご紹介した通り、マンションの価値は築年数が経過するに従って下がる傾向にあり、特に、築30年を超えると売却価格が大きく下がります。築30年を超えて価格が下がり切る前に、築20年前後で一度売却を検討してみるとよいでしょう。
また、築年数が既にかなり経過しており、なかなか売れないという場合、不動産買取業者に買い取ってもらう方法もあります。しかし、不動産買取の場合、買取価格は市場価格の6~8割ほどになる点に注意が必要です。不動産買取のほかに、「リースバック」という方法もあります。リースバックとは、自宅をリースバック業者に売却すると同時に建物賃貸借契約を結び、その家に住み続けるというサービスです。不動産買取と同様、相場より安く売却することになりますが、まとまった資金を受け取れる、同じ家に住み続けられるといったメリットがあります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
●リースバックに関する詳しい記事はこちら
所有期間
マンションは築年数が新しいほうが高く売れる傾向にありますが、譲渡所得(売却益)にかかる税金には注意が必要です。譲渡所得には所得税・住民税などが課せられますが、その税率は不動産の所有期間によって異なります。具体的には、所有期間が5年以下の場合(短期譲渡所得)は、5年を超える場合(長期譲渡所得)と比べると税率は約2倍になり、支払う税金の額に大きな差が出ます。そのため、所有期間が5年に近いときは、長期譲渡所得になったことを確認してから売却するほうが節税につながるでしょう。
また、要件を満たせば特別控除の特例を利用できるケースもあるので、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
●不動産の長期譲渡所得に関する詳しい記事はこちら
季節
一般的にマンションは、1年のなかで春先が最も成約率が高くなる傾向にあります。なぜなら、春は転勤や就職、進学といったタイミングに合わせて住み替えや買い替えをする人が多く、2~3月に需要が高まるためです。マンションを売却するタイミングを2~3月に合わせるためには、12月頃には売却活動をスタートするとよいでしょう。
競合物件の動き
売り出すタイミングを決めるときは、条件が似ている近所のマンションや、同じマンション内の売り出し物件など、競合となる物件の動向にも注目しましょう。周囲に競合物件が多いと、成約につながりにくくなる恐れもあるため、不動産会社の担当者に最新の販売情報を確認するとよいでしょう。
細心の注意を払いたいのは、所有する物件に「眺望のよさ」「駅に近い立地」など、独自のアピールポイントがある場合です。希少性の高い物件は、同じような特徴を持った競合物件の少ない時期を見定めて売却することで、より高値での売却を実現できる可能性が高まります。
マンションを相場よりも高く売却するコツと注意点
不動産会社と媒介契約を結んだら、マンションをより高く売るためのコツと注意点を押さえておきましょう。以下で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
スケジュールに余裕を持たせる
不動産を高く売るためには、余裕を持ったスケジュールで販売活動を行いましょう。スケジュールに余裕がない状態で販売活動を行うと、売却を焦るあまり、相場より安い価格で契約してしまう恐れもあります。
マンションの売却活動は、成約できるまで3か月程度かかります。納得できる売却のために、思い立ったら早めに査定を受けるのがおすすめです。
●査定のお申し込みはこちら
さらに、余裕のあるスケジュールを組むには、売却の流れや必要書類、住宅ローンの手続きなどについて事前に調べておくことが大切です。しっかりと準備をして、納得のいくマンション売却へつなげましょう。
●マンション売却の流れに関する詳しい記事はこちら
内覧時の印象に気を付ける
購入検討者が内覧する際には、可能な限り室内をきれいにしておきましょう。掃除や整頓を行うことで物件の印象がアップし、成約につながりやすくなります。
また、マンションのごみ収集スペースや駐輪場、エレベーターホールなどの共用部分も、住民のマナーや管理組合の状況を判断する重要な要素の1つです。ご自身の部屋の中だけでなく、共用部分にも気を配っておくとよいでしょう。
●マンション売却における内覧に関する詳しい記事はこちら
相場を把握してマンションの売却を成功させよう
売却を検討し始めたら、まず自分でおおまかな相場を把握しておくようにしましょう。そうすれば、不動産会社に提示された査定額が妥当であるかどうか判断できるだけでなく、適正な売り出し価格を設定しやすくなります。所有するマンションを高く売ることができれば、不動産会社への仲介手数料や、売却にかかる諸費用、税金のカバーもできます。
また、マンションの売却相場は自分でもある程度調べられますが、より具体的に売却を検討する際は不動産会社による査定を受けるのがおすすめです。累計100万件以上の取扱実績を誇る三井のリハウスは、これまでの知見を生かした精度の高い査定を行っております。査定のほか、売却に関するさまざまなご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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※1出典:「不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)を公表」,国土交通省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001840627.pdf
(最終確認:2024年11月21日)
※2出典:「月例速報 Market Watch[全国版]2024(令和6)年8月度」,公益財団法人東日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/
(最終確認:2024年11月21日)
※3出典:「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2024年4~6月】」,公益財団法人東日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/
(最終確認:2024年11月21日)


山本直彌
さくら事務所 マンション管理士。マンション管理士、管理業務主任者、マンション維持修繕技術者、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。マンション・ビル管理、不動産仲介、マンション管理コンサルタントなど、不動産の多岐にわたる業務に従事している。
https://www.sakurajimusyo.com/