
不動産売却はどこに相談する?ケース別の相談先を詳しく解説
不動産を売却するときの疑問や悩みは多種多様で、どこに何を相談すればよいか、よく分からない方もいるでしょう。今回は不動産売却の流れの各段階で、どの専門家に、何を相談すればよいか、ケース別に9つの相談先を解説します。
目次
不動産売却全般の相談は不動産会社へ
不動産売却全体の手順や方法を相談したい場合は、不動産会社へ相談するとよいでしょう。不動産売却にかかわる一連の工程をサポートしてくれる、パートナーのような存在です。
相談・依頼できる内容
不動産会社に相談・依頼できる内容として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
・土地や家といった不動産売却活動
・不動産査定
・広告宣伝活動
・売買契約書の作成
・物件の引渡し
こんな人におすすめ
不動産会社への相談がおすすめな方は、以下の通りです。
・不動産売却をしたい方
・まずは査定を受けたい方
・不動産売却をするかどうかお悩みの方
・相談したい内容をどこに問い合わせればよいか分からない方
不動産会社は、不動産売却にかかわる多くの工程で生じるさまざまな悩みに対処してくれます。万が一、不動産会社では対応できない事柄であった場合は、適切な相談窓口を紹介してくれるでしょう。「査定では何が見られるの?」「媒介契約のときに必要な書類は?」などの疑問があれば、不動産会社に気兼ねなく質問してみましょう。
なお、不動産会社は、売却が成立したときのみ仲介手数料が発生します。
空き家が売れないときの相談は、市役所(空き家バンク)へ
空き家の売却については、まずは不動産会社に相談しましょう。ただし、空き家の状態によってはなかなか買い手が見つからないということもあり、そういった場合は、市役所に相談してみるという方法もあります。空き家バンクとは、地方自治体が主体となって運営している空き家を流通させるための制度のことです。売却したい空き家をサイト内に登録すると、その空き家の所有者とその空き家に興味を持った人がマッチングする仕組みになっています。
ただし、自治体によっては空き家バンクが設置されていない場合もあるため、まずは空き家バンクがあるかを確認するとよいでしょう。
相談・依頼できる内容
市役所に相談・依頼できる内容として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
・空き家売却に関する情報
・空き家バンクへの登録
こんな人におすすめ
市役所への相談がおすすめな方は、以下の通りです。
・空き家を売却したい方
・不動産会社に空き家の売却を断られた方
・空き家を売り出しているが、なかなか売れない方
2023年12月13日には、国土交通省が、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の一部を改正する法律を施行しています。これにより「管理不全空家」に特定された場合は、固定資産税が最大1/6に減額される住宅用地特例の適用外になってしまいます。空き家バンクへの登録・物件情報の閲覧は誰でも無料でできるため、建物の老朽化が進行する前に対処したい方は確認してみるとよいでしょう。
●国土交通省の法改正についてはこちら
●空き家バンクの総合情報ページはこちら
また、空き家が売れずに悩んでいる方は、不動産会社を見直すのもおすすめです。販売力が高い不動産会社に変更することで、買い手が見つかる可能性もあります。空き家売却に関するお悩みは、ぜひ三井のリハウスにご相談ください。
●三井のリハウスへの無料相談はこちら
農地売却・転用の相談は、行政書士へ
農地の売却・転用を行う際は、一般的な宅地の売却と異なるため、行政書士に相談するとよいでしょう。なぜなら、農地法の規制により、売却には農業委員会からの許可が必要だったり、農地転用の場合には都道府県知事の許可が必要であったりと手続きが複雑になるためです。行政書士に依頼することで、農地の売却・転用に必要な届出・許可申請にかかる手間を省けるでしょう。
相談・依頼できる内容
行政書士に相談・依頼できる内容として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
・農地の売却・転用に関する情報
・農地の売却・転用の申請代行
こんな人におすすめ
行政書士への相談がおすすめな方は、以下の通りです。
・農地の売却や転用を考えている方
・農地の売却をしたいが、複雑な手続きが面倒な方
不動産価値を知りたいときの相談は、不動産鑑定士へ
裁判や税務署への対策など、不動産の価値に対して客観的な根拠が必要になった場合には、不動産鑑定士へ相談してみましょう。たとえば、下記のようなケースにおいて不動産の適正な価格を知りたいときは不動産鑑定士による鑑定評価を取得することが適切です。
・関連会社間や社長と法人の間で不動産の売買を行う場合
・隣地買収あるいは借地権者が底地を買うといった際に、不動産の適正な価格を知りたい場合
相談・依頼できる内容
不動産鑑定士に相談・依頼できる内容として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
・不動産鑑定
・不動産鑑定評価書の作成
こんな人におすすめ
不動産鑑定士への相談がおすすめな方は、以下の通りです。
・相続や財産分与で不動産の正確な価値を把握する必要のある方
・税務署に提出するための不動産鑑定評価書を取得したい方
不動産鑑定士が行う査定は不動産会社の不動産査定と異なり、「不動産鑑定評価書」という書類が作成されます。不動産鑑定評価書は裁判所や税務署に対し証拠書類として提出することが可能です。また、不動産会社が行う不動産査定は無料ですが、不動産鑑定士に依頼する不動産鑑定は有料のため、混同しないようにしましょう。
●不動産鑑定に関する記事はこちら
土地売却に必要な敷地境界や測量の相談は、土地家屋調査士へ
土地の境界を明確にしたい場合や、測量図が必要な場合は、土地家屋調査士へ相談します。隣地や道路との境界が曖昧なまま不動産売却を行うと、後々トラブルを引き起こす恐れがあるため、一戸建てを含む宅地の売買では、土地の範囲について境界を明示する必要があります。隣地や道路との境界が明確になっておらず、買い手が購入の条件として確定測量図や地積測量図の提出を求める場合には、境界確定と測量図の作成を土地家屋調査士に依頼するとよいでしょう。
なお、境界確定と測量図の作成には費用がかかります。
相談・依頼できる内容
土地家屋調査士に相談・依頼できる内容として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
・土地の境界の把握
・測量図の作成
こんな人におすすめ
土地家屋調査士への相談がおすすめな方は、以下の通りです。
・土地の境界を明確にしたい方
・測量図が必要な方
●土地売却の注意点に関する記事はこちら
●土地の売買に関する記事はこちら
不動産売却の登記依頼や相談は、司法書士へ
不動産登記に関する依頼や相談は、司法書士にしましょう。住宅ローンの利用により抵当権が設定されている場合には、売却の際に抵当権抹消登記を行う必要があります。登記は自分で行うこともできますが、売却と同時に抹消する場合には司法書士に依頼して、引渡し当日に行うのが一般的です。
相談・依頼できる内容
司法書士に相談・依頼できる内容として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
・不動産登記に関する相談
・抵当権抹消登記
・所有権移転登記
・必要書類の作成
・登記済証(権利証)または登記識別情報通知書を紛失しているときの対応方法
こんな人におすすめ
司法書士への相談がおすすめな方は、以下の通りです。
・不動産登記について相談したい方
・抵当権抹消登記の方法を知りたい方
登記を司法書士に依頼する際には、報酬を支払う必要があります。また、登記時には法務局に納める登録免許税も別途必要になる点を押さえておきましょう。
●抵当権抹消手続きに関する記事はこちら
不動産売却に関するトラブルの相談は、弁護士へ
不動産売却を進めていくなかで、何らかのトラブルに巻き込まれたら、弁護士に相談するとよいでしょう。弁護士に相談すれば、仲介役として協議を取り持ってもらえるだけでなく、必要があれば代理人として相手と協議を進めてもらうことも可能です。
相談・依頼できる内容
弁護士に相談・依頼できる内容として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
・不動産売却に関連するトラブルの仲裁
・法的トラブルに関する手続き対応
・契約書の確認
こんな人におすすめ
弁護士への相談がおすすめな方は、以下の通りです。
・隣地の所有者や買主とトラブルになってしまった方
・法律に関する相談をしたい方
弁護士に相談できるトラブルとしては、以下の例が挙げられます。
・相続物件で遺産分割協議がまとまらない場合
・借地権のある不動産を売却したいが、地主の同意が得られず困っている場合
弁護士は相談料が設定されていることが一般的であるため、相談するタイミングで費用が発生します。時間あたりで料金が設定されていることが多いため、事前に相談内容を明確に決めておくとよいでしょう。
不動産売却で発生する税金の相談は、税理士へ
所得税や消費税など税金に関する悩みは税理士に相談するとよいでしょう。不動産売却で利益が発生した場合に納める譲渡所得にかかる税金や登記の申請時にかかる登録免許税など、不動産売却で発生する納税額は自身で計算して求められます。しかし、特別控除や軽減税率などの税制上の特例を利用する場合には、税金に関する知識が必要です。「正確な納税額を知りたい」「節税する方法はないのか?」といった相談ごとは、税理士が解決してくれるでしょう。
相談・依頼できる内容
税理士に相談・依頼できる内容として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
・譲渡所得税の計算
・節税対策
こんな人におすすめ
税理士への相談がおすすめな方は、以下の通りです。
・正確な税金の金額を把握したい方
・節税のため控除について知りたい方
なお、税理士に相談する場合は、相談料が発生します。ただし地域によって税務署や自治体、各地域の税理士会主導で、税務に関する無料相談会が開かれることもあるので、相談料を抑えたい方は、詳細を確認してみてください。
●譲渡所得にかかる税金について詳しくはこちら
●不動産売却にかかる税金や特別控除に関する記事はこちら
不動産売却の確定申告の相談は、税務署または国税庁の電話相談センターへ
不動産売却によって利益を得た場合、確定申告をする必要があります。確定申告について、期限や手続きなどについて不明点がある場合は税務署、国税庁の電話相談センターに相談するとよいでしょう。また、費用はかかりますが、税理士に相談するのも1つの方法です。
相談できる内容
税務署、国税庁の電話相談センターに相談できる内容として、具体的には以下のようなものが挙げられます。
・確定申告の方法
・税金の計算方法
こんな人におすすめ
税務署、国税庁の電話相談センターへの相談がおすすめな方は、以下の通りです。
・確定申告の手続きについて知りたい方
・確定申告の期限や必要書類といった情報を知りたい方
なお、税務署は平日の午前8時半~午後5時まで(入場整理券の配付は午後4時まで)となっているため、対面で相談したい場合には計画的にスケジュールを立てて相談することをおすすめします。
また、税務署や国税庁の電話相談センターへの相談は無料ですが、対面での相談は時間制限が設けられていることもあります。
●国税に関する相談についてはこちら
不動産売却の相談窓口まとめ
ここまで不動産売却の相談窓口についてケース別にご紹介してきました。以下は相談窓口が一目で分かる表なので、不動産売却の際にお役立てください。
不動産売却の相談窓口 | 相談内容 |
---|---|
不動産査定や売却の一連の流れ | |
空き家の売却についての相談 | |
農地の売却・転用についての相談 | |
不動産鑑定評価書作成の依頼 | |
土地の境界確定や測量の依頼 | |
引渡し時に必要な不動産登記の手続きの依頼 | |
トラブルについての相談 | |
不動産売却にかかる税金や節税についての相談 | |
売却後の確定申告に関する相談 |
不動産売却の相談先に悩んだら、不動産会社へ
今回、不動産売却の各ステップで生じやすい悩みや相談ごとについて、ケース別の相談窓口をご紹介しました。
不動産の売却活動は、査定から始まります。何か不安なことがあれば、査定の段階で不動産会社の担当者に相談しておくと、その後の売却活動を円滑に進めやすくなるでしょう。三井のリハウスでは、専門的な知識を持つ「宅地建物取引士」がお客さまのご要望に沿ってサポートします。
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不動産鑑定士 竹内英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/