不動産売却にかかる費用は?目安や計算方法まで解説

不動産売却時にかかる費用には、仲介手数料や税金などがあります。今回は、不動産売却に必要な費用や安く抑えるコツについて詳しく解説します。事前に把握しておき、不動産売却をスムーズに進めましょう。

目次
  1. 不動産売却にかかる費用
  2. 不動産売却の費用一覧
  3. 不動産売却にかかる費用の目安
  4. 不動産売却費用を安く抑えるコツ
  5. 不動産売却後の確定申告
  6. 不動産売却にかかる費用を理解して資金計画を立てよう
2024.11.02

不動産売却にかかる費用

不動産売却にかかる費用は、主に不動産会社に払う仲介手数料や税金などです。この記事では、不動産売却を検討している方に向けて、不動産売却にかかる費用の種類やその目安、費用を安く抑えるための方法などについて詳しく解説します。

不動産売却の様子

不動産売却の費用一覧

不動産売却に必要な費用一覧は以下の通りです。

・仲介手数料
・印紙税
・譲渡所得にかかる税金
・登記費用
・住宅ローンの返済手数料
・その他費用

各費用の計算方法や金額の目安について、1つずつ詳しく解説していきます。

仲介手数料

仲介手数料は、不動産売却が成立したとき、仲介を依頼した不動産会社に支払います。個人で買主を探す方法もありますが、トラブルなくスムーズに売却を行うためには、不動産会社に相談しながら売却活動を行うのがおすすめです。なお、仲介手数料の上限額は法律で以下のように定められています。

成約価格(税抜)仲介手数料
200万円以下(成約価格 × 5%) + 消費税
200万円超400万円以下(成約価格 × 4% + 2万円) + 消費税
400万円超(成約価格 × 3% + 6万円) + 消費税

●仲介手数料について詳しくはこちら

印紙税

印紙税とは、売買契約書や領収書といった経済取引を行う際に作成される文書に課税される税金です。収入印紙を購入し、文書に貼り付けて捺印します。このように消印をすることで、それらの書類が再利用できなくなり、納税したと見なされます。

不動産売却では、売主分と買主分の売買契約書を2通作成し、それぞれ印紙税を納めるのが一般的です。ただし、不動産売買契約書の印紙税額については、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの期間は軽減措置が適用されます。

契約金額本則税率軽減税率
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円

軽減税率について詳しく知りたい方は、以下のサイトを参考にしてくださいね。

●印紙税の軽減措置についてはこちら

なお、個人が売主となるマイホームの売却で発行する領収書に印紙税は課税されません。理由は、営利目的の取引ではないからです。そのため、個人が売主であっても、収益用のマンションのように営利目的の不動産売買については、印紙税がかかる場合があります。

また、2022年の5月より、宅地建物取引業法が改正され、電子契約による不動産売買が可能になりました。電子契約を利用する場合、紙でのやりとりがなくなるため、印紙税がかからなくなります。ただし、買主の同意がないと電子契約を行うことはできません。なお、電子契約を利用する際は、データの改ざんや漏えいといったセキュリティー面に注意が必要です。

仲介手数料

譲渡所得にかかる税金

不動産が高く売れて「譲渡所得(利益)」が出た際には、譲渡所得にかかる所得税と住民税の納税が必要です。これらの税金は、譲渡収入金額が売却した物件の取得費と譲渡費用を上回り、利益が発生した際にかかる税金で、譲渡所得税と呼ばれることもあります。譲渡所得は以下の計算式で求められます。

譲渡所得 = 物件を売却した金額(譲渡収入金額) - (物件の購入費用(取得費) + 売却時の諸費用(譲渡費用))

売却する不動産の所有期間によって、所得税と住民税の税率は異なります。それぞれの税率は以下の表を参照してください。

対象税率
短期譲渡所得
(所有期間が5年以下の土地・建物)
39.63%
(所得税30.63%、住民税9%)※復興特別所得税を含む
長期譲渡所得
(所有期間が5年超の土地・建物)
20.315%
(所得税15.315%、住民税5%)※復興特別所得税を含む

三井のリハウスでは、譲渡所得にかかる税金のシミュレーションサービスを提供しています。所得税・住民税がどれくらいかかるか気になる方は、ぜひご利用ください。

●税金のシミュレーションはこちら

譲渡所得の内訳書

登記費用

登記とは、不動産の現状や権利情報を登記簿に明記することを指します。不動産売買の際に必要な登記は主に、抵当権抹消登記と所有権移転登記の2つです。抵当権抹消にかかる費用は売主が負担し、所有権移転登記にかかる費用は買主が負担します。

抵当権抹消登記を司法書士に依頼する際の相場は、1万5,000~2万円程度、住所変更登記を合わせると3万~5万円になることもあります。自分で登記手続きを行うことも可能ですが、専門の知識が必要であるため、時間や手間をかけたくない方は司法書士に依頼するのがよいでしょう。

住宅ローンの返済手数料

不動産売却をする場合、抵当権を抹消しなくてはなりません。抵当権とは、不動産を購入するために住宅ローンを組んだ場合、返済が滞ったら金融機関がその不動産を売って優先的に残債を回収する権利のことです。抵当権を抹消しなければ不動産を売却できないため、売却の際に住宅ローンの残債がある場合は、売却代金や自己資金を充ててローンを一括返済する必要があります。

住宅ローン返済手数料とは、その一括返済時に金融機関に支払うもので、金額の目安は5,000~3万円程度です。金額は金融機関や取引の方法(ネットまたは窓口)によっても異なるため、詳細な金額は住宅ローンを組んでいる金融機関に確認しましょう。

●住宅ローン返済中の家を売る方法について詳しくはこちら

その他費用

その他の費用としては、引越し費用や測量費用、任意のハウスクリーニング費用、家電や家具といった家財の処分費用が挙げられます。

測量費用とは、一戸建てや土地の売却時に土地の測量を行った場合にかかる費用のことです。測量は必須ではありませんが隣地との境界を明確にできるため、隣人とのトラブルを回避できたり、一戸建て売却や土地売却の取引がスムーズになったりします。測量には高額な費用がかかるため、実施するかどうかは不動産会社に相談して判断しましょう。

また、建物を解体して土地として売り出す場合は解体費用も必要です。解体費用の相場は、不動産の構造や坪数、立地条件によって異なります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

●解体費用に関して詳しくはこちら

●ハウスクリーニングの費用に関して詳しくはこちら

登記申請書

不動産売却にかかる費用の目安

不動産売却の費用目安は、一般的に成約価格の3.5~4%程度とされています。これまでご紹介した費用一覧から、物件を売却する際に必要なものを選び、足し合わせることで費用の概算をつかみましょう。

たとえば、抵当権抹消登記と所有権移転登記は負担がかかるものの売主自身で行えば、司法書士への報酬が不要になります。このように、状況に応じてより具体的な資金計画を立てましょう。

不動産売却費用を安く抑えるコツ

不動産売却の際に高額な税金がかかることもあるため、金銭面に不安を感じる方もいるかもしれません。不動産売却にかかる税金は、特例や特別控除を利用することで負担を抑えることが可能です。ここからは、譲渡所得に関する3つの特例について解説します。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

譲渡所得のうち、3,000万円までが控除されるという特例があります。つまり、最高で3,000万円までは課税されないため、不動産売却の費用を大幅に抑えられるでしょう。ただし、この特例を利用するためには、物件に住まなくなってから3年以内に売却したマイホームであることや、前年と前々年にこの特別控除を利用していないなど、複数の要件を満たさなければなりません。詳しくは国税庁のサイトや以下の記事をご覧ください。

●居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例についてはこちら

●居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例について詳しくはこちら

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

10年以上居住したマイホームを売却する場合、課税譲渡所得の6,000万円以下の部分に課税される税率が軽減されるという特例があります。3,000万円の特別控除と併用できるため、併用した場合には3,000万円を差し引いた譲渡所得に軽減税率が適用されます。所有期間のほかにもさまざまな要件がありますので、詳しくは国税庁のサイトや以下の記事を参考にしてください。

●マイホームを売ったときの軽減税率の特例についてはこちら

減税の積み木

特定のマイホームを買い換えたときの特例

特定のマイホームを買い換えたときの特例とは、不動産を売却して新しいマイホームに買い換えた場合、譲渡所得にかかる税金を将来に繰り延べできる措置です。あくまで繰り延べであり、税額が控除されるわけではない点に注意しましょう。この特例が適用されるには、売る家、買う家どちらにも特定の要件があるため、詳しい要件を知りたい方は以下のサイトをご覧ください。

●特定のマイホームを買い換えたときの特例についてはこちら

またこの特例は、上記でご紹介したほかの2つの特例とは併用できません。同年だけでなく、前年や前々年にほかの特例を受けた場合も、特定のマイホームを買い換えたときの特例は受けられないため気を付けましょう。

不動産売却後の確定申告

不動産売却によって譲渡所得が出た場合や、先ほどご紹介した特別控除を受ける場合には、確定申告が必要です。申告期間は、家を売却した翌年の2月16日から3月15日までで、期間中に申告を完了させることが求められます。また、不動産売却によって譲渡損失が発生した場合には確定申告は不要ですが、その際に利用できる税金の軽減措置を受ける場合は必要です。

確定申告書

不動産売却にかかる費用を理解して資金計画を立てよう

不動産売却にかかる費用や、費用を抑えるコツ、不動産売却後の確定申告についてご紹介しました。必要な費用を把握し、適切な資金計画を立てることで、スムーズに売却を進めましょう。

資金計画を立てるには、不動産がどのくらいの価格で売却できそうか見積もる必要があります。不動産売却を検討している方は、まず不動産会社に無料の不動産査定を依頼することをおすすめします。

三井のリハウスでは、100万件以上の取扱実績で積み重ねた知見を生かしてAI査定、簡易査定、訪問査定を行っています。また、不動産売却について経験豊富な担当者が、丁寧にサポートしますのでお気軽にご相談ください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。