
マンション査定シミュレーションをしよう!注意点や相場も解説
マンションの査定をする際、まずはシミュレーション査定がおすすめです。この記事では、手軽に受けられ、マンションとの相性がよいシミュレーション査定について、おすすめする理由や注意点、査定額と売却相場との比較方法などを解説します。
目次
マンション査定シミュレーションで売却価格を予測
不動産を売却する際、まず査定を受けます。売却したい不動産がマンションの場合におすすめなのが、マンション査定のなかで最も手軽に受けられるシミュレーション査定です。シミュレーション査定では、電話番号を入力せずに査定を申し込むことができます。不動産会社からの電話がかかってこないため、マンション売却の検討段階の方には特におすすめの方法です。
この記事では、シミュレーション査定をおすすめする理由や注意点、査定を依頼するときの流れ、査定額と売却相場との比較方法などについてお伝えします。
マンションの査定だけしてもいいの?
マンションのシミュレーション査定をしてみたいけれど、「査定するだけでもいいの?」「査定したら営業電話がかかってくるのでは?」といったことが気になり、迷ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?結論からいえば、マンションの売却をまだ決めていない段階で、「いくらくらいで売れそうか」の目安を知るために査定だけを依頼しても、問題ありません。なぜなら、査定の結果、売却の依頼を断られることは、不動産会社も想定の範囲内としているからです。また、マンションのシミュレーション査定では、一般的に電話番号を登録する必要がないため、査定をしても営業電話がかかってくることはありません。
査定は不動産会社の営業行為の一環として行われるため、売却の有無にかかわらず、無料で不動産会社に依頼することができます。不動産会社に対して仲介手数料の支払いが発生するのは、マンションの売買が成立したタイミングであるため、査定の結果次第で売却するかどうか判断することが可能です。
●マンション査定だけを依頼する場合についての詳しい記事はこちら
マンションシミュレーション査定の特徴と注意点
シミュレーション査定は、過去に取引された成約事例をもとにAI(人工知能)が不動産の査定額を算出する方法で、AI査定ともいわれています。メールアドレスを登録し、マンション名や階数、住所などの物件情報を入力するだけで簡単に受けられ、結果は即時に分かります。
不動産のなかでもマンションは、同じマンション内の物件であれば建物の築年数や品質、土地の条件などに大きな差がないため、同一マンション内の過去の取引事例と比較しやすいのが特徴です。そのため、機械的に算出できる部分が多く、マンション売却は、シミュレーション査定との相性がよいといえるでしょう。
特に、築年数がそれなりに経過しており、戸数が多いマンションの場合は、同じマンション内の取引データが多い傾向にあります。データが多いとAIが比較しやすいため、より精度の高い査定額を算出できるのです。
ただし、シミュレーション査定は査定額を過去の蓄積データのみで算出するため、蓄積されたデータが少ないと、後述する簡易査定や訪問査定に比べて精度が低くなる可能性がある点に注意が必要です。また、築年数が浅い、戸数が極端に少ないなどの取引事例が多くない物件は、精度の高い査定をするに足るだけのデータを探すことが難しく、シミュレーション査定になじまない可能性があります。
三井のリハウスが提供するシミュレーション査定の「リハウスAI査定」では、過去100万件以上の実際に成約したデータをもとに信頼性の高いマンションの査定額を知ることができます。以下のリンクからお気軽にご利用ください。
シミュレーション査定以外のマンションの無料査定は?
シミュレーション査定のほかにも2つの査定方法があります。ここからは、その2つの査定方法について詳しく見ていきましょう。
簡易査定
簡易査定とは、不動産会社の営業担当者が物件情報や似ている物件の取引価格、公示価格、路線価などをもとに査定額を算出する方法です。「机上査定」ともいわれ、担当者が実際に現場を訪問することはありません。
電話やメール、Webから依頼できる簡易査定は、通常数日で査定結果が分かります。個別の特性が多いためAI査定では精度の高い査定額が算出しにくい一戸建てや、築年数が浅く取引事例が少ないマンションの売却を検討中の場合は、簡易査定を受けて、訪問査定を依頼するかどうかを決めるとよいでしょう。
訪問査定
訪問査定は、不動産会社の営業担当者が実際に物件を訪問して査定を行う方法です。室内の状態や部屋からの眺望・日照、建物の瑕疵(かし)、周辺環境、リフォームの有無など、現物を見なければ分からない情報も含めて査定を行うため、訪問査定は3つの査定方法のなかで最も精度の高い査定結果が期待できます。
ただし、訪問査定は査定結果を得られるまでに1週間程度の期間がかかるため、査定を依頼する際は、余裕を持って動くようにしましょう。
また、訪問査定は媒介契約を結ぶ前に営業担当者と対面でコミュニケーションを取れるよい機会です。不動産の売却は何か月もかかり、その間、営業担当者との連携が求められる場面もあります。査定額の根拠を尋ねたり、売却にあたっての相談事項を投げかけたりしたときの対応を見るなかで、営業担当者と信頼関係が構築できそうかどうかも確認しましょう。
●不動産無料査定のご依頼はこちら
マンション査定から媒介契約を結ぶまでの流れ
ここではマンションの査定から仲介会社を決めるまでの流れを具体的にお伝えします。マンション売却の仲介を依頼する際の流れには、おおまかに以下の3つのステップがあります。
[ 1 ] 必要な情報や書類の準備
[ 2 ] 査定依頼
[ 3 ] 不動産会社と媒介契約を結ぶ
[ 1 ] 必要な情報や書類の準備
まずは、マンション査定を依頼する際にあると便利な情報や書類を準備します。マンション購入時の状況と現在の状況が分かる情報や書類は、以下の表をご覧ください。
●購入時の状況が分かるもの
書類 | 情報 |
---|---|
重要事項説明書 | 敷地面積や延床面積、耐震性などを含めた工法、施工主など、建造物の詳細な情報 |
パンフレット | 間取り図 |
●現在の状況が分かるもの
書類 | 情報 |
---|---|
修繕・リフォーム時の書類 | 修繕やリフォームの履歴 |
住宅ローンの債権者である金融機関が発行した返済予定表や残高証明書 | 住宅ローン残高、返済状況 |
登記済証(権利証)または登記識別情報通知書 | 所有者であることを示す資料 |
[ 2 ] 査定依頼
次に査定を依頼し、売却したい物件の相場をつかんでいきます。
マンション売却の意志がある程度固まっている場合には、AI査定や簡易査定は受けずに訪問査定を依頼し、内覧に備え自力でできる範囲で掃除や片付けをしておくとよいでしょう。家をきれいにし、売却するマンションの魅力を伝えることは、不動産会社からよりよい条件で売却してもらうことにつながります。
[ 3 ] 不動産会社と媒介契約を結ぶ
売却の仲介を依頼したい不動産会社が決まったら、その不動産会社と契約を結びます。この契約を「媒介契約」といい、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類が存在します。3つの契約にはそれぞれの特徴があるため、自分に合った契約を選びましょう。
●詳しい媒介契約の違いについてはこちら
マンション査定ではどこを見るの?
マンション査定では査定額を算出する際に基準となる「評点」があります。ここからは、どのような評点があるのか見ていきましょう。
マンション査定における評価項目は、大きく3つの視点に分けられます。1つ目は、「立地」「広さ」「建物仕様」などのマンションを俯瞰する視点、2つ目は、「共用部分」「専有部分」といったマンション内でそれぞれ異なる所有区分をチェックする視点、そして3つ目は、マンションの施工業者や販売業者を問う、仕様の高さや施工の信頼性という視点です。これらはマンション査定に影響し、査定額を大きく左右するポイントになります。査定を受ける際の知識として押さえておくとよいでしょう。
具体的な評価項目は、以下の表の通りです。
●任意売却の期間や流れ
項目 | 評価のポイント | 備考 |
---|---|---|
立地 | 交通の利便性 | 駅や公共施設、商業施設へのアクセス |
周辺環境 | 周辺エリアの住環境、嫌悪施設や公園の有無、自然の豊かさなど | |
地勢による災害リスク | 海抜や河川からの距離、浸水や土砂崩れの可能性 | |
広さ | 敷地面積 | マンションが建っている敷地の広さ、共用庭の整備状況 |
延床面積 | 建物の規模、住戸数 | |
専有面積 | 居住者が使用できる床面積 | |
建物仕様 | 築年数 | 新築時からどれくらいたっているか |
規模 | 大規模か、小規模か | |
構造 | RC(鉄筋コンクリート)、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造など | |
マンション内の位置 | 階数 | 高層階、中層階、低層階のうちのどこか |
部屋の方角 | 主要な開口部が面している方角 | |
光と風 | 日当たり、眺望、通風 | |
共用部分 | 充実度 | 外装、内装、駐車場や駐輪場、エントランス |
管理 | 管理体制、清掃、管理費や修繕積立金の額 | |
専有部分 | 充実度 | 収納スペース、間取りや設備 |
管理 | リフォームや修繕の履歴、設備の劣化状況、壁や床の破損状況、インスペクションの有無 | |
信頼性 | 施工主、販売主 | 施工の信頼性、仕様の高さ、マンションブランド |
マンションの売却相場の調べ方
シミュレーション査定で提示された査定額を相場情報と比較するために、ここでは相場価格や過去の成約価格(取引価格)を調べる方法をご紹介します。具体的に見ていきましょう。
REINS Market Informationで調べる
マンションの売却相場は、不動産流通機構が運営している「REINS Market Information(レインズ マーケット インフォメーション)」のサイトで調べることができます。REINS Market Informationは、実際に取引された価格を「都道府県」と「地域」ごとに検索できるデータベースです。「最寄り駅」や「駅からの距離」「専有面積」「間取り」「築年数」といった条件を指定すると、所有するマンションに近い物件の取引情報が閲覧できます。
不動産取引情報検索サイトで調べる
類似する物件の成約価格(取引価格)は、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」のサイトで知ることもできます。トップページから「不動産取引情報検索」をクリックし、「都道府県」「市区町村」「地区」を選ぶと、実際に不動産の取引を行った人を対象にしたアンケート結果をもとにした取引情報の閲覧が可能です。
なお、以下の記事でもマンションの売却相場について解説しています。ぜひご参考にしてください。
●マンションの売却相場に関する記事はこちら
マンション売却を依頼する不動産会社を選ぶ際のポイント
ここでは媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶ際のコツを解説していきます。
不動産会社が算出した査定額が適切かを見極める
不動産会社を選ぶポイントの1つ目は、査定額が相場と比較して適切な額かどうかです。査定額が高かったとしても、相場と大きく異なる場合には、売れ残ってしまう可能性があります。
たとえば、東日本不動産流通機構が2024年2月に実施した調査結果※によると、各都道府県の中古マンションの成約価格の平均額(㎡単価)は以下の通りです(人口数上位10県)。
エリア | ㎡単価 |
---|---|
東京都 | 101.31万円 |
神奈川県 | 58.46万円 |
大阪府 | 47.67万円 |
愛知県 | 33.56万円 |
埼玉県 | 45.52万円 |
千葉県 | 41.15万円 |
兵庫県 | 38.81万円 |
北海道 | 29.61万円 |
福岡県 | 38.77万円 |
静岡県 | 28.96万円 |
ご紹介した売却相場の調べ方を参考に、マンションの査定額が適切かどうかをご自身の目でしっかりと確認しましょう。
不動産会社それぞれの特徴を理解する
不動産会社には、大手不動産会社と中小不動産会社で異なる特徴があります。それぞれの特徴を理解し、自らの状況に合った会社を選ぶことが大切です。
●大手不動産会社
大手不動産会社はその事業規模を生かしたサービスを用意しています。たとえば、売却したい物件の建物や設備を対象としたホームインスペクションの実施や、引越し業者の紹介など、売主にとって心強いサービスが手厚く用意されている傾向があります。また、販売活動に充てられる十分な費用があり、広告力や宣伝力があるため、購入希望者が見つかりやすいという点もメリットといえるでしょう。このような蓄積がブランド力やブランド自体の信頼性につながっています。
三井のリハウスが提供する「360°サポート」では、売主・買主に向けたさまざまなサポートを行っています。売買契約前の建物・設備調査から、取引後の建物・設備修理などもご利用いただけます。
●「360°サポート」についてはこちら
●中小不動産会社
中小不動産会社は、大手不動産会社のような全国区のブランド力はありませんが、地元とのつながりが強い傾向があります。古くからある地元の不動産会社は、地域の情報を熟知した売却活動を行うことができるでしょう。注意点としては、大手不動産会社と比べて広告宣伝費用が低予算になる傾向があることが挙げられます。
●不動産会社の選び方についての記事はこちら
マンション査定について、リアルな実態をプロにインタビュー
マンションの査定について、リアルな実態を三井のリハウス社員に聞いてみました!気になる疑問について、不動産売却のプロの見解をご紹介します。
ハウスクリーニングはするべき?
よほどの汚れでない限り、お部屋のきれいさは査定額には影響ないといってよいでしょう。ハウスクリーニングをしていただくなら、査定前より内覧(内見)前がおすすめです。お部屋がきれいなほうが買主さまの印象がよくなるからです。
販売価格はどうやって決めるの?
査定額をもとに仲介会社から売り出し価格が提案されますが、最終的には売主さま自身で決めていただきます。三井のリハウスでは、下記3パターンの売り出し価格をご提案するケースが多いです。
・チャレンジ価格:査定額の1~2割増しの価格、半年くらいかけて売る計画
・スタンダード価格:査定額より少し高めの価格(相場)、3か月以内で売る計画
・スピード価格:査定額と同じくらいか少し下げた価格、買取も含めて1か月以内で売る計画
スピード価格の場合、売却スピードを優先して相場より価格を下げて売ることになるので、その分手取りも少なくなってしまいます。そのため、通常はチャレンジ価格とスタンダード価格をご提案し、とにかく早く売りたいというご要望があれば、スピード価格をご提案する場合が多い印象です。
●三井のリハウスへの相談はこちら
マンション売却で、売主が一番大変なことは?
内覧の対応が一番大変だと思います。内覧は「クローゼットを開けてもよいですか」「お風呂を見てもよいですか」といった具合で、お家の中を詳しく見られることになるので、「きれいにしておかないと…」と準備される売主さまが大半です。1回、2回ならよいかもしれませんが、売れるまで毎週末、1日数件の内覧対応をする場合もあるので、売主さまにとっては内覧対応が一番大変だと思います。
不動産鑑定はしたほうがよい?
不動産鑑定は基本的に不要だと思います。マンションを1棟まるごと所有している資産家のような方が、不動産の資産価値を把握するために不動産鑑定をするケースは聞いたことがありますが、一戸建て1件やマンション1室で不動産鑑定をするケースはまれですね。不動産査定は無料ですが、不動産鑑定は不動産鑑定士という特別な資格を持った人が対応するためお金がかかるのもあり、基本的には不動産会社が無料で行う不動産査定で十分だと思います。
マンションシミュレーション査定を無料で受けよう
ここまで、シミュレーション査定をおすすめする理由や注意点、査定額と売却価格相場との比較方法などを解説してきました。シミュレーション査定は手軽に査定額を知ることができるため、売却を検討している方は実際に売却するかどうかを決める判断材料になります。
また、不動産売却をスムーズに進めるためには、不動産会社ごとの特徴や査定方法を理解し、ご自身や物件に合った選択をすることが重要です。お伝えしたように、訪問査定は不動産会社の営業担当者と直接コミュニケーションを取れる機会があり、信頼できるかを見極めるよいチャンスです。査定を依頼する目的を明確にし、目的に沿った不動産会社と査定方法を選びましょう。
三井のリハウスでは、100万件を超える取引実績や豊富な経験で培われた確かな知見に基づいた、精度の高い「AI査定」「簡易査定」「訪問査定」を無料で提供しています。マンションを売却する方、売却を検討している方は、ぜひお気軽にご活用ください。
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※出典:月例マーケットウォッチ(2024年2月度), 東日本不動産流通機構・中部圏不動産流通機構・近畿圏不動産流通機構・西日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/
(最終確認:2024年3月19日)


不動産鑑定士 竹内英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/