
借地権は地主へ売却できる?相場や承諾がない場合なども解説
借地権は、承諾が得られれば地主に売却できます。ただし、個人間でのやりとりはトラブルに発展する恐れがあるため不動産会社に仲介を依頼するのがおすすめです。今回は、借地権を地主に売却する流れや注意点について解説します。
目次
借地権は地主に売却できる?
借地権を所有している人のなかに、相続したけれど住む予定がない、引越しの予定があるといった理由で地主に売却したいと考えている方がいるのではないでしょうか?結論からいうと、借地権を地主に売却することは可能です。ただし、地主と交渉を行い、承諾を得なければなりません。なぜなら借地権設定者である地主に対して、借地人が借地権の買取を強制する権利はないからです。
この記事では、借地権を地主に売却する流れや承諾を得られない場合の対処法、注意点について解説していきます。
借地権を地主に売却する際の相場
借地権の地主への売却には、第三者に売却する場合とは異なり、余計な手間や、地主に承諾を得る際の譲渡承諾料などの費用が省けるというメリットがあります。なお、借地権を地主に売却する際には、土地を借りている借地人(借地権者)から話を持ちかける場合と地主からの場合で売却の相場が異なります。
それぞれのケースについて見ていきましょう。
借地人から話を持ちかける場合
借地人から地主へ借地権を売却したいと提案する場合、借地権割合に基づいた金額で交渉したとしても売却相場は地主から借地権の買取を提案するより安くなり、更地価格の50%程度になることもあります。
なぜなら、この取引には、借地人に事情があるため、安い値段を設定しても借地人が承諾してくれる可能性が高いと地主が判断する傾向にあるからです。なお、借地権割合とは、土地の権利のうち借地権が占める割合のことで、相続税や贈与税の計算において、借地権の価額を求める際に使われます。借地権割合は国税庁の財産評価基準書路線価図・評価倍率表に記載されています。
借地権の売却相場の求め方は以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
地主から話を持ちかける場合
地主から借地権の買取を提案した場合、相場は更地価格の60~70%になることが多いようです。これは上記でも説明した借地権割合に基づいており、土地周辺の状況やエリアによっても異なります。また、借地人の新居を用意するための費用や、引越しの費用の補償が加算されることもあります。
借地権を地主に売却する流れ
借地権を地主に売却する流れは以下の通りです。
[ 1 ] 不動産会社を選んで査定を依頼する
[ 2 ] 地主から売却の承諾を得る
[ 3 ] 売買契約を締結する
[ 4 ] 借地権を引渡す
ステップごとに詳しく解説していきます。
[ 1 ] 不動産会社を選んで査定を依頼する
まずは不動産会社を決め、査定を依頼しましょう。なぜなら借地権の売却を地主と借地人の個人間で行ってしまうと、交渉の段階でトラブルに発展する恐れがあるからです。不動産会社に仲介してもらうことで、双方が納得のいく条件で取引できるようにサポートしてもらいます。不動産会社を選ぶ際は、会社の強みは何か、信頼できる担当者であるかなどを確認するとよいでしょう。
三井のリハウスでは、経験・実績ともに豊富な担当者が親身にサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
[ 2 ] 地主から売却の承諾を得る
地主に借地権売却の交渉を行い、買取の承諾を得ましょう。地主に買い取ってもらうためには、前述の通り更地価格の50%を目安に、ある程度相場よりも安い価格に設定されることを想定したうえで価格交渉を行います。その際に、適正な価格で借地権の買取を行ってくれる専門業者にも打診をしておくことで、最終的に地主の応じた価格が安過ぎて納得がいかない場合の対処が可能です。
[ 3 ] 売買契約を締結する
売却の条件が決まり、地主の承諾を得たら売買契約を締結しましょう。また、第三者に売却をする際には、締結時に地主による承諾書を借地権の買主に対して用意しなければなりません。
[ 4 ] 借地権を引渡す
売買契約締結後は、契約内容に沿って決済と引渡しを行います。借地権を登記している場合や、建物も地主に引渡す場合は、所有権移転登記をする必要があり原則、売主と買主が共同で行いましょう。所有権移転登記には、複数の必要書類があるため事前に用意しておくと手続きをスムーズに行えます。
借地権の売却を地主に承諾してもらえない場合の対処法
借地権を地主に売却する場合、地主から承諾を得ないと売却できません。地主に借地権の売却を承諾してもらえない場合、対処法として主に以下の2つがあります。
・第三者への売却を検討する
・借地権を地主に返還する
第三者への売却を検討する
地主に買い取ってもらえない場合、第三者への売却を検討する方法が有効です。ただし、第三者へ売却することについて地主へ承諾を得たり、その際に地主へ承諾料を支払ったりする必要があります。なお、承諾料は借地権価格の10%程度が一般的な相場です。第三者への売却は、地主に売却するよりも高く売れる可能性もあるので、ぜひ一度検討してみましょう。
借地権を地主に返還する
地主が借地権を買い取ってくれない場合は、借地権を地主に返還する方法がありますが、この場合は原状回復の義務を負うことになります。借地権の原状回復とは土地を更地の状態にすることになるため、建物が建っている場合は解体作業が発生します。
第三者への売却も、借地権を地主へ返還することもできない場合は、借地権の存続期間中、借地権を保有したまま借地料を払い続けるしかありません。
借地権を地主に売却する際の注意点
借地権を地主に売却する際に注意したい点は以下の通りです。
・解体費用の負担者を明確にする
・過度な価格交渉を控える
解体費用の負担者を明確にする
家を解体して借地権を地主に売却する場合、建物の解体費用を地主または借地人のどちらが負担するのかを明確にしておくことが大切です。なぜなら契約締結後に、地主と借地人で異なる認識をしてしまっている場合があるからです。解体費用は借地人が負担するのが一般的ですが、交渉の段階で話し合い、後のトラブルを事前に防ぐのがよいでしょう。
過度な価格交渉を控える
特に借地人から借地権の売却提案をする場合、過度な価格交渉は控えましょう。なぜなら高い価格での売却を求め過ぎると、買取を承諾してもらえない恐れがあるからです。事前に借地権売却額の相場を調べ、適正な価格を提案するとよいでしょう。
地主への借地権の売却をスムーズに進めるポイント
借地権の売却をスムーズに進めるポイントは以下の2点です。
・交渉時の条件をまとめておく
・売却の意思をできるだけ早く伝える
交渉時の条件をまとめておく
借地権を地主に売却する際には、事前に譲れない条件や確認事項など交渉条件をまとめておくとよいでしょう。また交渉時は、不動産会社に仲介を依頼するのがおすすめです。前述の通り個人間での交渉はトラブルに発展する恐れがあり、交渉には、専門的な知識が必要になるからです。
売却の意思をできるだけ早く伝える
借地権の売却を検討し始めたら、できるだけ早い段階で地主に伝えることで、互いに検討事項を考える余裕ができるようになります。
また、日頃から地主との良好な関係性を築いておきましょう。気持ちのよい挨拶を心がける、地代を手渡しするなど些細なことでもよいので、気遣うことが大切です。地主との関係を築いておくと、交渉がスムーズに進みやすくなるでしょう。
地主への借地権の売却は不動産会社に相談しよう
ここまで、借地権を地主に売却する際の流れや注意点、ポイントなどを解説してきました。借地権の売却では、地主の意向も踏まえ、慎重に交渉することが大切です。交渉時のトラブルを防ぐために、信頼できる不動産会社に仲介を依頼しましょう。借地権について豊富な知識を持つ不動産会社であれば、交渉から引渡しまでスムーズにサポートしてくれます。
三井のリハウスでは、豊富な経験や実績に基づいた不動産売却に関するきめ細やかなサポートを行っております。借地権の売却についてもご相談を承っておりますので、まずは借地権を売却したい土地について無料査定を依頼してみてはいかがでしょうか?ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。


監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。