差し押さえられた不動産でも売却できる?任意売却についても解説

住宅ローンの滞納が続いて差し押さえられた不動産でも、債権者の了承を得られれば、任意売却という方法で一般市場で売ることができます。この記事では、差し押さえられた不動産についての基礎知識のほか、任意売却の方法やメリット、注意点をまとめて解説します。

目次
  1. 差し押さえられた不動産は売却できる?
  2. 不動産が差し押さえられる主な3つの理由
  3. 差し押さえられた不動産は「任意売却」で対処ができる
  4. 差し押さえられた不動産を任意売却するメリット
  5. 任意売却の注意点
  6. 差し押さえられた不動産の売却はできるだけ早く
2024.11.02

差し押さえられた不動産は売却できる?

差し押さえとは、債権者が債務者に対して、強制的にお金を回収するために取る手段です。主に住宅ローンをはじめとする借り入れや税金の支払いを怠っている債務者に対して行われます。差し押さえの対象は、基本的には現金、もしくは不動産をはじめとする現金に換金できるもので、差し押さえられた不動産は、借り入れの滞納の場合は競売へ、税金の滞納の場合は公売へかけられます。

そのため、差し押さえられた不動産はそもそも売却ができないのではと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は、競売の入札が始まる前日までであれば「任意売却」という方法で、売却ができる可能性があります。ここからは、不動産が差し押さえに至る理由を明らかにしたうえで、任意売却の方法、メリットについて詳しくご紹介します。

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住宅と法律

不動産が差し押さえられる主な3つの理由

そもそも不動産が差し押さえられてしまうのはなぜでしょうか?主な理由を3つご紹介します。

住宅ローンやクレジットカードの返済が滞る

最もよくあるのが、住宅ローンやクレジットカードなど、金融機関からのお金の返済を滞納してしまったケースです。通常、不動産の差し押さえ前には、支払いの内容や期日を知らせる督促状が届きます。この時点ですぐに支払えば差し押さえられる危険性は低いといえます。ですが、督促状が届いても返済計画の見直しや返済などの対処を行わずに、そのままにしていると差し押さえに至ってしまいます。

差し押さえが行われるためには、金融機関から裁判所へ手続きが必要です。そのため、督促状が届いてから差し押さえ通知が来るまでは、数か月ほどかかるのが一般的です。

なお、住宅ローンやクレジットカードの支払いを怠ると、延滞が続いた段階でその事実が信用情報機関に登録されてしまいます。今後新たなローンを組む際や、クレジットカードを新規発行する際など、審査が厳しくなる恐れがあるため、注意しておきたいところです。

税金の支払いが滞る

税金の滞納も、不動産が差し押さえられる原因になります。税金の支払いが滞った場合は、裁判所の手続きはありません。その理由は国や地方公共団体の職員による職務権限で差し押さえができるためです。固定資産税や所得税などの各種税金は、期日までに支払いを済ませておきましょう。

一般債務者借金の返済が滞る

個人同士で借金の返済が滞った場合も、不動産の差し押さえに至るケースがあります。たとえば、離婚後の養育費未払いも差し押さえの対象です。個人間の場合も裁判所の手続きを経て督促状が届きますので、早めに対処しましょう。

住宅ローンの計算を行う男性

差し押さえられた不動産は「任意売却」で対処ができる

不動産が差し押さえられると、登記簿にも記され、名義人であっても売却ができなくなります。また、住宅ローンを完済し、借入時に設定された抵当権を抹消できなければ、不動産は第三者に譲渡できません。そのため、通常であれば、差し押さえられた不動産は債権者によって競売や公売にかけられ、市場価格より安値で取引されます。

一方、競売や公売を回避し、一般市場で取引できる「任意売却」という方法があります。任意売却とは、債権者の許可や定めた条件のもとで、不動産を一般市場で売却することをいい、差し押さえ理由のうち、住宅ローンの返済が滞ってしまった場合に利用可能です。

もし差し押さえられた不動産を任意売却したいなら、まずは信頼できる不動産会社へ査定の依頼をしましょう。査定額が分かれば、住宅ローンの残債がどれくらい返済できるか試算しやすくなるため、債権者への交渉材料にできるでしょう。債権者との交渉の結果、許可が得られたら、差し押さえの登記や抵当権を抹消してもらい、任意売却での売却活動がスタートできます。

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不動産の任意売却

差し押さえられた不動産を任意売却するメリット

ここからは、任意売却のメリットを3つ解説していきます。

競売や公売よりも売却価格が高くなりやすい

競売や公売は、滞納された債権を回収するために、債権者が強制的に不動産の売却を行うことです。競売は金融機関や個人などの債権者が裁判所のもとで行い、公売は行政機関が税金の回収のために売却を行います。

競売や公売の場合、一般的に売却価格が市場価格の約50~70%になるといわれている一方で、任意売却がうまくいくと、市場価格の約80~90%で売却できる可能性があります。住宅ローンの残債を返済しやすくするためにも、競売や公売にかけられる前に任意売却ができるように行動するとよいでしょう。

プライバシーが守られやすい

任意売却は、債務者のプライバシーを守ったまま、売却活動ができます。他方、競売や公売の物件情報は所有者の個人情報とともに全国に公表され、裁判所、国税庁、自治体のホームページなどで誰でも閲覧できます。また登記簿も申請すれば誰でも閲覧できるため、差し押さえの登記がされている場合は、不動産が差し押さえられている状況を知られてしまうでしょう。

任意売却では、不動産が差し押さえられていることは公表されません。住宅ローンを滞納していたり、不動産が差し押さえられていたりといったことを外部に知られずに済むのは、任意売却のメリットの1つです。

引越し費用を捻出できる可能性がある

任意売却では、不動産の売却代金は優先的に債権回収の資金に充てられます。任意売却を行うケースのほとんどが売却代金よりも住宅ローンの残債のほうが多いため、家を売却しても債務者が受け取れるお金はないと思っておいたほうがよいでしょう。ですが、債務者によっては新たな住居に引越しするための費用すら持っていないケースがあります。そこで、任意売却の場合では債務者の状況や交渉の内容次第では、売却代金のなかから引越し費用を必要経費として認めてもらえる可能性があります。

必要経費として認めてもらえる費用としては、不動産会社へ支払う仲介手数料や、売却に関連する税金、引越し費用などが主です。競売や公売では、このような必要経費を認めてもらえる可能性は低く、そのうえでも任意売却のメリットは大きいといえます。ただし、これは債権者に対する義務ではなく、善意の結果であるため、必ず引越し費用が認めてもらえるとは限りません。

不動産価格の相場

任意売却の注意点

ここまで任意売却のメリットをご紹介してきましたが、注意点があることも忘れてはなりません。代表的なものを3つご紹介します。

任意売却には期限がある

不動産が差し押さえられている場合、任意売却には期限があります。任意売却は、並行して競売の申し立てが行われていることも多いため、多くの債権者が競売開札日の前日までを期限としています。任意売却を行う場合は、それまでに売却を完了させなければなりません。

できる限り早く任意売却ができるように動く

住宅ローンをはじめとする債権の滞納が続き、返済の余地がない場合は、競売の取り下げができる期限内に任意売却が完了できるよう、早めに行動しましょう。任意売却を行う期限があることはもちろん、債権者との交渉、差し押さえ登記の抹消や抵当権の抹消といったステップが必要です。債権者との交渉や手続きがスムーズに進むとは限らないため、早めの行動を心がけましょう。

任意売却物件の取扱実績がある不動産会社を選ぶ

任意売却は、通常の不動産売却よりも、任意売却に関する法律の知識・経験が必要です。また債権者にあたる金融機関との交渉や、やりとりも発生するため、任意売却について豊富な知見が欠かせません。差し押さえられた不動産の売却を成功させるには、信頼できる不動産会社に相談すると安心です。

不動産会社営業担当者との商談

差し押さえられた不動産の売却はできるだけ早く

ここまで、差し押さえられた不動産の売却方法について解説しました。差し押さえられた不動産でも、任意売却なら一般市場での売却は可能です。ただし、任意売却には期限があり、金融機関との交渉が必要といった注意点もあります。さらに任意売却ができても、住宅ローンの返済が滞ったという事実は信用情報に影響するため、そもそも滞納が生じないように意識するようにしましょう。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。