
マンション購入の注意点とは?後悔しないために確認したい5つのポイント
マンション購入には多額のお金がかかるため、失敗や後悔は避けたいものです。この記事では、マンション購入を検討している方、今住んでいる家を売却して住み替えを検討している方に向けて、注意点を5つのポイントに分けてご紹介します。
目次
マンション購入の注意点【資金計画】
マンションを購入するとき、まず大切なのは無理のない資金計画を立てることです。そのために理解すべきポイントである、「住宅ローン」と「諸費用」についてそれぞれ解説します。
住宅ローン
住宅ローンは、毎月支払うという点で賃貸の家賃と同じように捉えられることがありますが、実際には幅広い視点で考える必要があります。なぜなら、金利タイプによっては毎月の返済額が変わるためです。また返済額のほかに「管理費」「修繕積立金」「固定資産税」「各種保険料」など、さまざまな維持費も発生します。
一般的に、住宅ローンの返済額については、無理のない範囲として「収入の20%~25%」を目安にするとよいでしょう。ただし、年収は昇進や転職などで変動する可能性があり、支出も子どもの教育費や親の介護といったライフステージの変化に伴い増減することがあります。そのため、中長期的な視点を持ちながら、返済期間や金利なども含めて慎重に借入可能額を検討することが重要です。
また、住み替えを検討している方については、現在住宅ローンを返済中であっても、以下の方法で完済することで住み替えに向けて売却活動を行うことができます。
返済方法 | 特徴 |
---|---|
旧居の売却額で一括返済 | ・原則として旧居の売却額で住宅ローン残債を一括返済する ・旧居の売却額が住宅ローンの残債に満たない場合、自己資金で補填して返済することが必要 |
住み替えローンの利用 | ・住宅ローンの残債と新居の購入費を併せて借りるローン ・旧居の売却と新居の購入を同時決済する ・借入額が大きく、審査が厳しくなりやすい |
どちらの方法を選ぶにしても、住宅ローンの残債を確認し、いくらで売れそうか相場を把握したうえで資金計画を立てることが大切です。
また、住宅ローンの完済後には、住宅に設定されていた抵当権を抹消する必要があります。これは、抵当権を抹消しなければ、不動産を第三者に譲渡することができないためです。抵当権抹消の手続きには専門性が求められるため、司法書士に依頼するのがよいでしょう。
●マンションの買い替えについてはこちら
諸費用
マンションを購入する際には、建物の購入代金のほかにも支出が発生します。一般的に、新築マンションは物件価格の3%~7%、中古マンションは物件価格の6%~10%ほどの費用が購入代金とは別にかかると想定しておくとよいでしょう。
諸費用の主な内訳は、以下の表の通りです。新築のみ、中古のみに発生する費用については、表の後半に記載しています。
費用名 | 概要 |
---|---|
手付金 | 売買契約締結時、売買価格の5%~10%程度を契約の証として支払うお金 |
印紙税 | 「課税文書」と呼ばれる特定の書面にかかる税金 |
住宅ローン関係費用 | 事務手数料、保証料、団体信用生命保険料など |
登記関係費用 | 登録免許税、司法書士報酬など |
固定資産税等清算金 | マンションの固定資産税や都市計画税(中古の場合、引渡完了日以降分を日割清算) |
不動産取得税 | 固定資産税評価額にもとづいて算出される税金 |
火災保険料 | 加入期間、地震保険の有無、家具・家財保険の有無等によって異なる |
引越し費用 | 荷物の量や引越しの距離によって異なる |
仲介手数料 | 不動産売買の仲介をした不動産会社に支払う手数料 |
【新築】管理準備金 | 管理組合立ち上げ時に一時的に徴収されるお金 |
【新築】修繕積立基金 | 将来の計画修繕に備えて一時的に徴収されるお金 |
【新築】管理費等 | 引渡完了日以降の管理費・修繕積立金(日割清算) |
【中古】管理費等清算金 | 毎月のマンションの管理費や修繕積立金(引渡完了日以降分を日割清算) |
【中古】リフォーム費用 | リフォーム内容によって異なる |
マンション購入時の諸費用は、現金で支払うことが一般的です。しかし、まとまった現金の用意が難しい場合は、住宅ローンに組み込んだり、諸費用ローンを組んだりすることもできます。ただし、住宅ローンに諸費用を組み込めるかどうかは金融機関によること、諸費用ローンは住宅ローンと比べると金利が高く利息の負担が増える恐れもあることには注意が必要です。これらの注意点も把握したうえで、マンション購入を進めていきましょう。
マンション購入の注意点【物件の条件】
マンションは購入して終わりではなく、長く住み続けるものです。安心して生活し続けられるかどうか、以下の4点を事前に確認しておきましょう。
・災害リスク
・周辺環境と資産価値
・リフォーム・リノベーションの有無
・マンション管理
それぞれ詳しく解説していきます。
災害リスク
マンションを購入する際は、地震や津波、洪水、液状化といった災害リスクを事前に把握することが重要です。まずは、国土交通省や各自治体が出しているハザードマップを確認しましょう。起こり得る災害リスクを把握したうえで、洪水リスクは低いか、土砂災害の危険度や高潮による浸水想定などを確認できると安心です。また、新耐震基準を満たしているかどうかは、建築確認申請書や確認済証で確認できます。
●ハザードマップポータルサイトについてはこちら
周辺環境と資産価値
購入を検討しているマンションの周辺環境が、自分のライフスタイルに適しているかどうかは非常に重要な要素です。気になる物件を見つけたら、実際に現地へ足を運んでみましょう。最寄り駅や商業施設、学校、病院などへのアクセスを確認できるだけでなく、騒音の有無や治安なども肌身で体感できるでしょう。
また、購入したマンションは自分の資産になります。資産価値の高い物件を選べば、売却する、賃貸物件として活用するといった将来の選択肢も広がるでしょう。そのため、物件選びでは中長期的な視点を持つことが大切です。一般的に、立地や管理状態のよい物件は資産価値が下がりにくいといわれます。
リフォーム・リノベーションの有無
購入するマンションが中古の場合は、リフォーム・リノベーションの有無を確認することが大切です。リフォーム・リノベーション済みのマンションは、修繕した設備や内装などが部分的に新築同様の性能になっている反面、価格は高くなる傾向があります。また、不動産買取業者をはじめとした法人による再販物件の場合、販売価格に建物部分の消費税が含まれることに注意が必要です。
リフォームやリノベーションによって専有スペースは新築のような見た目になっていても、建物自体が古いと、給排水管のような目で見て分かりにくい箇所まで管理が行き届いていないケースもあります。そのため、不動産買取業者がどのような工事を行ったのかという履歴をしっかり確認しておきましょう。
一方で、リフォーム・リノベーションをしていないマンションは、築年数が経過するにつれて必要性が高まることもあります。リフォーム・リノベーションが必要になった場合に備えて、制限がないかを事前に管理規約でチェックしておくと安心です。
マンション管理
マンションごとに規定されている管理規約や、将来的な修繕について定めた長期修繕計画にも注意しましょう。
管理規約は、共有部分と専有部分の区分や、管理費・修繕費の金額、算出方法、用途、さらには管理組合の規定などを定めたものです。たとえば、バルコニーや配管など、共有部分か専有部分かの区別を確認しておかないと、将来的な修繕やリノベーションの可否を把握できない恐れがあります。また、管理費や修繕積立金の算出方法、管理組合における区分所有者の権利内容などもあらかじめ理解しておくと、認識のずれによる不都合を防げます。
マンションの共用部の大規模修繕や定期点検について定めた長期修繕計画は、特に中古マンションを購入するにあたって重要です。中古マンションは、新築マンションに比べ設備が劣化している可能性があり、築年数が古くなるほど修繕積立金も増加するのが一般的です。購入直後に修繕積立金が増額することもあるため、修繕積立金の増額予定の有無を確認しておきましょう。
マンション購入の注意点【内覧】
マンションを購入する前には必ず内覧をして、自分の目で物件の状況を確かめましょう。中古マンションならば物件を訪問し、新築マンションならばモデルルームを見学します。ここでは「居室内」「建物全体」のチェックポイントを簡単にご紹介します。
居室内
居室内は、以下の箇所を重点的にチェックしましょう。
チェック箇所 | チェック項目 |
---|---|
設備 | ・必要な設備が整っているか ・不具合がないか |
動線 | ・生活に適した家事動線になっているか ・水回りの配置に問題はないか |
間取り | ・生活に適した広さか ・ライフステージが変わっても住み続けられそうか ・日当たりがよいか |
収納 | ・個数や広さは十分か ・使い勝手はよいか |
建物全体
建物全体は、以下の箇所を重点的にチェックしましょう。
チェック箇所 | チェック項目 |
---|---|
共用設備 | ・必要な設備がそろっているか ・管理体制は適切か |
建物全体 | ・傷や汚れがないか ・セキュリティ設備が備わっているか |
居室内と建物全体のほか、上下左右にどのような人が住んでいるか、周辺環境も含めて実際の住み心地はどうかといった点も、不動産会社の担当者を通じて確認しておくとよいでしょう。
マンション購入の注意点【契約】
契約に関する2つの注意点について、それぞれ解説します。
契約に関する疑問点を残さない
マンションの売買契約の際には、宅地建物取引士による契約内容の確認や重要事項の説明を経て、契約締結へと進みます。登記内容や購入金額、支払い日などの説明を口頭で受けますが、内容が専門的で複雑であるため、重要事項説明書については事前にコピーをもらい目を通しておくことが望ましいでしょう。
署名・捺印をすると合意したと見なされるため、事前に不明点を洗い出し、必ず確認することが重要です。
なお、不動産取引では、不動産会社が売主となっている物件の購入については、土地に定着しないテント張りの案内所等で申し込み等を行った場合、クーリングオフが適用できます。不動産取引におけるクーリングオフとは、購入申し込みや契約締結の状況が冷静な判断を行うには不適当な状況だったとき、購入後一定期間、買主・申込者から通知をすることで申し込みの撤回や契約解除が認められる制度です。宅地建物取引業法上、売主と買主のいずれも業者である場合には適用されません。
資金の事前準備を怠らない
マンションの売買契約時には、契約の証として売買価格の5%~10%程度の手付金を支払う必要があります。売買契約が問題なく進めば、購入代金の一部に組み込まれますが、契約時にはまとまった自己資金が必要なので手付金はしっかりと用意しておきましょう。
不動産会社の仲介で購入する場合は、不動産会社に対して仲介手数料の支払いも生じます。支払いは、売買契約時と物件の引渡し時の2回に分けるのが一般的です。
また、住宅ローンを利用してマンションを購入する場合、売買契約後から引渡し前までに手続きが集中します。住宅ローンの本審査は売買契約後に行いますが、引渡し日には手付金を差し引いた残代金を一括で支払う必要があるため、住宅ローンの手続き期限には注意が必要です。直前になって慌てないように、計画的に進めておきましょう。
●マンション購入の流れについてはこちら
マンション購入の注意点【不動産会社選び】
マンションを購入する際、不動産会社に仲介を依頼すれば、物件探しや契約手続きまで幅広いサポートを受けられます。信頼できる不動産会社かどうかは、「レスポンスの早さ」「契約を急かさない」「対応の手厚さ」といった点を参考にするとよいでしょう。ただし、不動産会社そのものが信頼できても、実際には担当者自身の力量が問われる場面が多いため、対応が気になったときは担当者の変更を相談してみるのも1つの選択肢です。適切なサポートを受けることで、より満足度の高いマンション購入が実現できるでしょう。
●媒介についてはこちら
マンション購入の注意点を押さえて住み替えを成功させよう
マンションの購入は、人生でも数少ない大きな買い物です。後悔することがないよう、上記でご紹介した注意点を押さえて慎重に進めていきましょう。
マンションの購入前に現在の住まいの売却を考えている場合は、売却の仲介を依頼する不動産会社選びも大切です。実績のある不動産会社に仲介を依頼すれば、より高く不動産を売却できる可能性が高まり、新居の購入に充てられる資金が増えるでしょう。
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不動産鑑定士 竹内英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/