媒介とは?仲介との違いや種類を分かりやすく解説

不動産売買でよく聞く「媒介」とは、売主と買主の間を取り持ち、取引を成立させることを意味します。媒介契約には3種類あり、自分に合ったものを選ぶことが大切です。今回は、不動産売買の際に耳にするこれらの言葉について解説していきます。

目次
  1. 媒介とは?
  2. 媒介と仲介の違い
  3. 媒介契約は3種類
  4. 媒介契約後の費用
  5. 契約は信頼できる不動産会社としよう
  6. 媒介について、リアルな実態をプロにインタビュー
記事カテゴリ 売却
2024.03.28

媒介とは?

初めて不動産売買を検討する人のなかには、慣れない不動産用語に戸惑ってしまう方は多いのではないでしょうか?たとえば、売買でも賃貸でも耳にすることの多い「媒介(ばいかい)」や「仲介」といった言葉もその1つでしょう。一般的に媒介とは、両者の間に入って仲立ち(なかだち)をすることです。

不動産取引においての媒介とは、売主や貸主などの「不動産を売りたい・貸したい人」と、買主や借主などの「不動産を買いたい・借りたい人」の間に入り、売買契約や賃貸借契約を成立させることを意味します。今回は、不動産売買を検討している方に向けて、媒介についての基礎知識や、媒介契約の選び方などについて解説していきます。

売買契約の場で握手する営業担当者

媒介と仲介の違い

不動産取引において仲介とは、売主や貸主と、買主や借主との間に立って手続きや契約をきちんと成立させることであり、調査や手続きといった行為を含む点に媒介との意味の違いがあります。不動産仲介会社は、こうした売買や賃貸に関連するやりとりをサポートする存在です。なお、媒介契約を結び契約が成立した場合に発生する成功報酬のことは、「媒介手数料」ではなく、「仲介手数料」といいます。

マンションや一戸建て、土地などの不動産を売却したいときは、売主は買主を探してもらうため、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。このときに不動産会社と取り交わす契約が「媒介契約」となります。

不動産会社と媒介契約を結ばずに個人間で取引を行うことも可能です。また媒介契約を締結した場合でも契約の種類によっては、売主が自ら買主を見つけて売買契約する「自己発見取引」が可能です。しかし、不動産の専門知識のない一般個人間で取引を行うのにはリスクが伴います。必要な確認や告知事項、条件などに不備があり、買主とトラブルにつながる恐れもあるため、媒介契約を結び、不動産会社に仲介を依頼することがおすすめです。

家を媒介契約で売買する男性

媒介契約は3種類

媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。売主が、売却の仲介を不動産会社に依頼する際、3種類のなかから自分に合った媒介契約を選択します。

項目一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
自己発見取引できるできるできない
不動産業者との媒介契約複数可1社のみ1社のみ
契約の有効期間指定なし最長3か月最長3か月
レインズ(指定流通機構)※への登録任意媒介契約締結日の翌日から7営業日以内媒介契約締結日の翌日から5営業日以内
業務の報告義務任意2週間に1回以上1週間に1回以上

※登録した不動産業者だけが利用できる、不動産取引の対象物件情報を交換するためのネットワークシステムのこと。物件情報がレインズに登録されると、登録している全国の不動産会社に物件情報が共有できる。募集中の物件情報のほかに、成約情報といった過去の取引情報のほか、登録業者情報なども掲載されている。

上記の表をもとに、それぞれの媒介契約の特徴を見ていきましょう。

家の模型

一般媒介契約

一般媒介契約は、媒介(仲介)の依頼先や取引方法、契約期間に制限がなく、売主の自由度が高い一方で、レインズへの登録や不動産会社からの売主への進捗報告も任意であることが特徴です。複数の不動産会社へ媒介(仲介)を依頼することができるため、自分に合った不動産会社を見つけやすく、1社に情報を独占されて囲い込みをされることもないうえ、媒介契約を途中で解約することもできます。

さらに、複数の不動産会社から広く物件の情報を公開できるため、人気物件であればより希望額に近い価格で売却できる可能性があります。また、不動産会社間で物件情報を共有できるシステムある「レインズ」への登録義務がないため、逆に物件情報を公開しないようにすることも可能です。

ただし、一般媒介では複数の不動産会社へ依頼ができる一方、進捗状況の整理や依頼先への伝達については、自身で管理しなければならないという注意点があります。なお、レインズへの登録は任意となっていますが、登録したほうが広く物件情報が流通して商談の機会が増えるため、特段の事情がなければ一般媒介契約であってもレインズへの登録を不動産会社にお願いする方がよいでしょう。

一般媒介契約に適している方は以下の通りです。

・売却活動を1社に任せるのが不安
・信頼できる特定の不動産会社を見つけられない
・売却活動を自分でコントロールしたい
・事情があって広く物件情報を公開したくない
・自己発見取引の可能性がある

上記のような理由がある場合は、一般媒介契約を選ぶのがよいでしょう。また、一般媒介契約でしばらく買主が決まらなかった場合や、一般媒介契約を依頼した先で「ここに任せたい」という会社が見つかった場合、専任媒介契約や専属専任媒介契約へ切り替えることもできます。

なお、一般媒介では、売主が「明示型」と「非明示型」のどちらかを選びます。その違いは、不動産会社と媒介契約を結ぶ際、ほかの不動産会社との媒介契約の有無を知らせるか知らせないかにあります。明示型のほうが不動産会社からのサポートが得られやすく、売買の取引がスムーズに進む可能性が高まるため、知らせたくない理由が特にないという方は明示型を選択しましょう。

●一般媒介契約について詳しくはこちら
一般媒介契約のメリットとは?専任媒介との違いや注意点を分かりやすく解説!

不動産の前に立つ男女

専任媒介契約

一般媒介契約とは異なり、専任媒介契約の契約期間は最長3か月です。また、不動産会社からの売却活動の業務報告は2週間に1回以上、レインズへの情報登録は媒介契約を結んだ翌日から7営業日以内と義務付けられています。専任媒介契約は、自己発見取引が可能な分、専属専任媒介契約よりも売主自身の販売活動の自由度があり、報告義務や情報登録義務は緩いといえるでしょう。

専任媒介が向いているのは、以下のような方です。

・売却活動にかかる手間を少なくしたい
・信頼できる特定の不動産会社が決まっている
・活動報告をきちんと受けたい
・自分で買主が見つけられる可能性がある

上記のような理由を持つ場合は、専任媒介契約を選ぶのがよいでしょう。また、専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合、不動産会社の特典サービスを受けられることもあります。なお、専任媒介契約で依頼して、最長3か月経過しても売却できなかった場合、他社へ依頼先を変えたり、一般媒介契約へ変更したりすることもできます。

●専任媒介契約について詳しくはこちら
専任媒介契約とは?一般媒介や専属専任媒介との違いも併せて解説

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、売主の自己発見取引ができない分、専任媒介契約と比べても不動産会社への依存度がより高い媒介契約といえます。従って、仮に自分で買主を探すことができたとしても直接取引はできず、不動産会社を通さなければなりません。

また、専属専任媒介契約の契約期間も専任媒介と同じく最長3か月となりますが、業務の活動報告の義務は1週間に1回以上、レインズへの物件情報登録は媒介契約を結んだ日の翌日から5営業日以内です。そのため、専属専任媒介契約が3つの媒介契約のなかで最も不動産会社が負う義務も強く、不動産会社の売却活動に対する責任も重くなっています。専属専任媒介契約は、以下のような方に向いているでしょう。

・売却活動にかかる手間を少なくしたい
・信頼できる特定の不動産会社が決まっている
・高い頻度で活動報告をしてほしい
・自己発見取引の予定がない

上記のような理由がある場合は、専属専任媒介契約を選ぶとよいでしょう。専属専任媒介も依頼後、最長3か月経過しても売却できなかった場合には、他社へ依頼先を変えたり、専任媒介、一般媒介契約へ変更したりすることができます。

打ち合わせをする夫婦と営業

媒介契約後の費用

媒介契約後、不動産会社に販売活動してもらう場合でも活動中に費用は発生しません。ただし、売却活動中に売主が特別な広告を依頼した場合の費用は、依頼者の負担になります。また、上記3種類の媒介いずれの場合も、不動産会社経由で売買(取引)が成立した場合には、仲介手数料が請求されます。なお、仲介手数料は成功報酬であるため、成約しなければ不動産会社への支払いは発生しません。

仲介手数料の金額は、どの媒介契約であっても、宅地建物取引業法(宅建業法)により定められている上限までになります。具体的には以下の計算式で上限金額の算出が可能です。

成約価格(税抜)仲介手数料の計算式
400万円超「成約価格(税抜) × 3% + 6万円 」+ 消費税
200万円超~400万円以下「成約価格(税抜) × 4% + 2万円」 + 消費税
~200万円以下「成約価格(税抜) × 5%」 + 消費税

仲介手数料がこの上限額を超えると、法令違反にあたります。なお、仲介もサービスの提供にあたるため、別途消費税が必要です。仲介手数料の詳しい計算方法については下記の記事でご紹介しています。

●仲介手数料に関する記事はこちら
不動産売買にかかる仲介手数料とは?計算の仕方や負担を抑える方法を解説!

媒介契約の仲介手数料と書かれたブロック

契約は信頼できる不動産会社としよう

不動産会社に仲介を依頼して不動産を売却する場合、まずは媒介契約の種類によって何が違うのか、自分に合った媒介契約はどの契約なのか、ご紹介した内容を踏まえて検討しましょう。そのうえで、所有する不動産が納得いく形で売却できるよう、信頼できる不動産会社と自分に合った媒介契約を結んでくださいね。

不動産会社が自分に合っているか、信頼できるかどうかは、不動産査定の際に担当者の対応で見極めましょう。根拠のある査定額を提示してくれるか、担当者の対応は丁寧か、自分の質問や疑問に対して納得のいく回答が得られるかといった観点から判断できます。

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媒介について、リアルな実態をプロにインタビュー

媒介について、リアルな実態を三井のリハウス社員に聞いてみました!気になる疑問について、不動産売却のプロの見解をご紹介します。

不動産の媒介契約はどれがおすすめ?

やりとりが大変でもよいのでとにかく早く売りたい方や仲介会社を競わせたい方は一般媒介契約がよいでしょう。一方で、やりとりは最小限に抑えたいという方は専任媒介契約、専属専任媒介契約がおすすめです。

一般媒介契約と専任媒介契約・専属専任媒介契約の一番の違いは、売却活動のやりとりを複数社とするか1社とするかです。一般媒介契約の場合、複数社とやりとりする必要があり、特に大変なのが内覧(内見)でしょう。内覧の数が多いのはよいことではありますが、その分、日時のやりとりや希望時間がかぶったときの調整が大変です。また、複数の会社・複数の買主さまから内覧の希望をいただいた場合、優先順位を付けにくいという難点もあります。一方で、専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合、1社とやりとりすればよいので、コミュニケーションが煩雑にならずに済みます。

一般媒介契約のメリットは、各社のポータルサイトに物件が掲載されるので情報の広がりが早く、購入はA社からしかしないという各社お抱えの買主さまにも目に入るという点です。これまでの経験だと、7~8割くらいの売主さまが専任・専属でご契約されますが、A社と専任・専属で契約したものの売れず一般媒介契約に切り替えるパターンもありますね。

査定結果がすごく高い会社と低い会社、どっちがいいの?

査定結果では、まず査定額が提示されたうえで、売り出し価格が提案されます。査定額は、不動産会社各社が基本的には同じ方法(査定額原価法・取引事例比較法・収益還元法)で算出するので大きく変わることはありません。一方で、売り出し提案価格は各社の販売戦略や営業担当者によって異なります。

たとえば、査定価格が5,000万円の物件の場合、下記のような具合です。

A社:売り出し提案価格 5,480~5,680万円
B社:売り出し提案価格 5,580~5,880万円
C社:売り出し提案価格 5,980~6,280万円

極端に高い売り出し提案価格を参考に売り出し価格を決めても、買い手が見つからなければ売り出し価格を下げることになるので、単純に売り出し提案価格が高いというだけで媒介契約する会社を選ぶのは禁物です。高値に惑わされず、金額の根拠を説明できる会社を選ぶのがおすすめです。

この記事のポイント<Q&A>

  • Q媒介とは? A不動産取引で使用される媒介とは、売主や貸主など「不動産を売りたい・貸したい人」と買主や借主など「不動産を買いたい・借りたい人」の間を取り持つことを意味します。詳しくはこちら
  • Q媒介と仲介の違いは? A不動産業界において仲介とは、広い意味で当事者の間に入って物件を扱うことをいい、媒介とは媒介契約を結んだ物件を扱うことをいいます。ところが、媒介によって売買契約が成立した場合に発生する成功報酬のことは「媒介手数料」とは呼ばず、「仲介手数料」と呼びます。詳しくはこちら

秋津智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。物件の選び方や資金のことなど、不動産に関する多岐のサポートを行なう。