
【2024年】マンションの売り時はいつ?売却するタイミングを解説
マンションの売り時を見極めるには、不動産相場の状況、築年数、繁忙期・閑散期、周辺環境の状況といった要素を考慮する必要があります。この記事では、居住用・投資用マンションを売るタイミングについて、それぞれのポイントを解説します。
目次
マンションの売り時を知りたい!
マンションをできるだけ高く売却するにはタイミング、つまり「売り時」を見極めることも重要なポイントです。売り時を賢く見極めるには、相場や物件の状況などさまざまな要素を考慮する必要があります。
そこで今回は、マンションの売り時について、居住用・投資用に分けてそれぞれのポイントを解説します。マンション売却を検討中の方は、ぜひタイミングを判断する参考にしてくださいね。
2024年がマンションの売り時である理由
引き続き、2024年はマンションの売り時であるといえます。その理由として、知っておきたいポイントは以下の通りです。
・高騰し続けるマンション価格
・日銀による利上げ
高騰し続けるマンション価格
国土交通省が公表している不動産価格指数は、上昇を続けています。下記のグラフは、2024年5月31日に公開された2024年2月分までの不動産価格指数(住宅)を示したもので、不動産価格が上昇し続けており、特にマンション価格がひときわ上昇していることが分かります。
※国土交通省より引用
マンション価格高騰の背景には、近年、住宅ローン金利が引き続き低水準であることから住宅需要が高まっていることや、特に新築マンションでは円安や紛争による建築資材の価格や人件費の高騰による建築費の上昇などがあります。ただし、2024年3月に日本銀行(日銀)が利上げを発表したため、住宅ローン金利については、かすかながら上昇傾向が見られます。
また、土地価格上昇によってマンション開発用地の取得が難しくなっているため、新築マンション供給が減少していることに加え、建築費の高騰もあり新築マンション価格は上昇し続けています。こうした背景により、中古マンションの需要も高まっているのです。
日銀による利上げ
2024年3月、日銀がマイナス金利政策の解除と利上げを発表しました。その結果、実際に長期固定金利型住宅ローンの利率がわずかながら上昇する傾向が見られます。ただし、短期プライムレートを基準とする変動金利型住宅ローンの金利にまだ影響はなく、引き続き低金利で推移していくと予想されています。
住宅購入は、住宅ローンを利用するケースが多く、住宅ローン金利の変化は住宅需要に大きな影響を与えます。住宅ローンの金利が低いほど借入可能額が増え、住宅の購入にかけられる予算が高くなるほか、同じ借入金額ならば、毎月の返済額を抑えることが可能です。つまり、住宅ローンが低金利であれば多くの人が住宅を購入しやすくなり、住宅需要が高くなります。
しかし、今後さらに政策金利が引き上げられると、住宅ローン金利も上昇することが考えられます。住宅ローン金利が大きく上昇した場合は、買い控えが起こり、住宅市場が冷え込む可能性もあるでしょう。そのため、マンションの市場価格が高く、一方でまだ住宅ローン金利が低く購入者が買いやすいうちに売るのがおすすめです。
居住用マンションの売り時を見極めるポイントは?
今住んでいるマンションを高く売りたい場合、考慮したい売り時を見極めるポイントは以下の4つです。
・相場の状況
・建物の築年数
・繁忙期と閑散期
・周辺環境の状況
それぞれについて、詳しくご紹介しましょう。
相場の状況
不動産の相場は、国内外の経済状況の影響を受けます。たとえば、国内の金利政策や為替の影響などで、不動産の需要や供給も変化します。需要が多ければ不動産価格は上昇し、需要が少なければ価格は下がるでしょう。
不動産相場を知るには、現在売りに出されている物件の価格を調べるとよいでしょう。具体的には、売りたいマンションと条件の似た物件の売り出し価格を、不動産のポータルサイトや不動産会社のサイトで調べます。たとえば、最寄り駅からの距離、専有部分の面積、築年数などの条件が近いマンションがいくらで売り出されているかを調べることで、おおよその相場の把握が可能です。
また、毎年公表される「地価公示価格(公示地価)」や「基準地価」、先ほどご紹介した「不動産価格指数」などの推移をチェックすることで、上昇や下落といった最近の不動産価格の傾向をつかめます。
●公示地価、基準地価について詳しい記事はこちら
建物の築年数
物件の状態も売り時を判断する際には、重要なポイントですが、特に建物の築年数は、マンションの売り時を判断するポイントの1つです。
一般的にマンションの価格は、築年数が経過するにつれて建物本体や設備の劣化による修繕が必要となり、下がる傾向にあります。築浅の物件であれば、建物自体や室内の劣化もそれほど目立たないため、比較的高値での売却が可能です。
また、マンションにも寿命があります。マンションの寿命は、維持管理の状態によって異なりますが、いつかは建て替えが必要です。マンションの建て替えは、区分所有者(専有部分の持ち主)の合意形成が難しいうえに、合意できたとしても建て替えの費用が発生します。購入してそれほどたたないうちに建て替えとなるようなマンションは、買い手が現れにくいため、建て替えの話が出る前に売るという選択肢もあります。
このようにマンションを高く売却したい方は、築年数を考慮して、なるべく早めに売り出すとよいでしょう。
●築年数ごとのマンション売却について詳しい記事はこちら
繁忙期と閑散期
1年の間でもいつ、どのような時期に売るかということも、売り時を判断するポイントの1つです。不動産にも、物件が売れやすい繁忙期と、逆に売れにくい閑散期があります。一般的に不動産の需要が高く売れやすい繁忙期は、1~3月です。その理由は、進学、就職、転勤などによる人の異動が多く、新年度を迎える前に新居の購入を考える人が増えるためです。
一方、マンション売却には平均3か月程度かかるとされています。そのため、1~3月に売却するためには、できれば前年の12月までに仲介を不動産会社に依頼し、遅くとも1月には売却活動を開始しておく必要があります。
繁忙期とは反対にやや売りにくいといわれる閑散期は、6~8月です。この時期は、会社の人事異動や進学といった転居の理由が少なく、梅雨時の足元の悪さや厳しい暑さから、物件の内覧へとなかなか進まないことが主な理由となっています。
周辺環境の状況
周辺環境の変化も、マンション売却のタイミングを判断する大切なポイントとなります。たとえば、近隣に大型の商業施設がオープンする、大学や企業が誘致されるといった変化や、高速道路のインターの新設、急行や特急の停車、新規路線の乗り入れ、新駅の開設などです。新施設の建設や交通インフラの拡充・整備で人の流れが増えると、不動産の需要が高まるため、不動産価値の上昇につながりやすいといえるでしょう。このように生活にプラスとなる変化は、その恩恵を受ける立地のマンションを売却するのに適したタイミングとなります。
反対に、マンション周辺にある学校施設や大手企業の工場、オフィスなどの移転や、大型ショッピングセンターの閉鎖などがあると、周辺の不動産の価値が下がることもあるため注意が必要です。こうした変化で不動産価格の下落が顕在化する前に、マンションを手放すという売り時もあります。
投資用マンションの売り時を見極めるポイント
投資用マンションの売り時を見極める場合も、上記の居住用マンションでご紹介した「相場の状況」「建物の築年数」「繁忙期と閑散期」「周辺環境の状況」などを考慮するのが基本です。加えて、次のような状況にも注目しましょう。
減価償却期間の終了が近い
減価償却とは、経年とともに価値が劣化していく償却資産(建物や設備など)の購入費用を、法律で定められた期間にわたって、分割して費用計上する会計処理のことです。実際の支払い(支出)が伴わない経費で、減価償却費を経費として計上することによって所得税の節税につながります。
しかし、減価償却が行えるのは、国税庁が定めた法定耐用年数の期間です。耐用年数をすぎるとこれまで計上できた減価償却費がなくなり、経費が減るため、その分の節税効果がなくなります。節税効果はマンション投資の目的の1つでもあるため、投資用マンションの場合、耐用年数がすぎる前に売却するケースも多くあります。
入居者が入らない
投資用マンションの場合、周辺環境の変化や、築年が古くなったことで入居者が入りにくくなってきた場合は売り時といえるでしょう。入居者を獲得するために高額の費用が必要となる前に、売却するケースは多くあります。
投資用マンションは、入居者がいても「オーナーチェンジ物件」として売ることが可能です。購入する投資家側としては、購入後に入居者を新たに募る必要がないという安心感があります。一方、入居者がいない場合は、投資家に限らず、自分(購入者自身)が住みたい人、セカンドハウスが欲しい人など、幅広い層に対しての売却活動が可能です。
特に、自分で住みたい人が購入する場合は、専有面積などの条件はありますが、住宅ローンを利用して購入できるため、投資家に売るより売りやすいケースもあります。そのため、入居者がいない状態で売り出すことも、選択肢の1つとして検討の価値があるでしょう。
マンションの売り時を決める際の注意点
ここまで、マンションの売り時についてお伝えしてきました。ここからは、売却するタイミングを決める際の注意点についてご紹介していきます。
所有期間5年以内で売却すると、課税率が高くなる
不動産を売却した際、譲渡所得がプラスになった(譲渡益が出た)場合にかかるのが、譲渡所得税と呼ばれる所得税(復興特別所得税を含む)と住民税です。不動産を所有した期間が5年超で「長期譲渡所得」、5年以下では「短期譲渡所得」の対象となります。長期譲渡所得と短期譲渡所得のどちらに該当するかで、譲渡益が出た場合の譲渡所得税の税率は異なり、具体的な数値は以下の通りです。
なお所有期間は、マンションを売却した年の1月1日時点で5年超か、5年以下かが判別されるという点に注意が必要です。
種類 | 税率 |
---|---|
短期譲渡所得 | 39.63%(所得税30%、住民税9%、特別復興所得税0.63%※) |
長期譲渡所得 | 20.315%(所得税15%、住民税5%、特別復興所得税0.315%※) |
※特別復興所得税は、所得税の2.1%
取得してからの所有期間が5年に近いときは、譲渡所得の税率が下がる5年を超えてから手放すのも1つの方法といえます。
●短期譲渡所得と長期譲渡所得について詳しい記事はこちら
売却には半年ほどかかる
マンションを売り出したからといって、すぐに買い手が見つかるとは限りません。マンションを売り出してから売買契約が成立するまでに平均3か月程度かかるといわれます。準備を含めると引渡しまでには6か月程度かかる場合もあります。
売り時を逃したくないならば、少なくとも半年前には不動産会社に相談しましょう。早めにスタートすることで、適切なタイミングでスムーズに売却しやすくなります。
マンションを売るタイミングに迷ったら不動産会社へ!
今回はマンションの売り時について、居住用・投資用それぞれのポイントを解説しました。売り時を判断するタイミングはさまざまですが、手放す時期に不安や迷いを感じたら、プロである不動産会社に相談するのがおすすめです。
三井のリハウスは、累積仲介取扱件数100万件以上の経験と実績をもとに、売却や賃貸活用などにおいて、お客さまの希望に応じたベストな方法をご提案し、サポートいたします。マンションを売却すべきかお悩みの方は、ぜひ一度三井のリハウスへ相談してみてはいかがでしょうか?
なお、三井のリハウスでは、物件売却の第一歩となる不動産査定についても無料で承っております。どうぞお気軽にお問い合わせください。
●三井のリハウスへの売却相談はこちら
●無料査定のお申し込みはこちら
●マンションAI査定はこちら
※1出典:不動産価格指数(令和6年2月・令和5年第4四半期分),国土交通省
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001745770.pdf
(最終確認:2024年6月13日)


秋津智幸
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。物件の選び方や資金のことなど、不動産に関する多岐のサポートを行なう。