
新築の家はすぐに売却するべき?損をせず売るコツや注意点を解説!
購入したばかりの新築物件は、すぐに売却すると高値で売れる可能性が高い反面、注意すべき点もいくつかあります。この記事では、新築物件を損せずに売るコツや売却時の流れ、住宅ローンや税金についての注意点をご紹介します。
目次
新築の家を売却する際は早めのタイミングで!
急な転勤や離婚といったライフスタイルの変化、また住宅ローンの支払いが困難になるなど経済的な理由で、新築の家をすぐに売却しなければならないこともあるでしょう。さらに、住んでみて初めて分かった間取りの不便さ、隣人とのトラブルなども物件売却の理由として挙げられます。
「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、未入居かつ建設が完了してから1年たっていない建物を指すことが「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)で定義されています。建築から1年以内でも既に人が入居していたり、入居していなくても1年以上経過していたりするものは「築浅」に分類され、中古物件の扱いになります。
せっかく購入した新築物件を、すぐに売却するのはとても残念に思うかもしれません。ですが、家を売却するにあたっては、築年数がより浅いほうが高値で売れやすくなります。
今回は、事情があって購入したばかりの新築物件や、築浅の物件を売却しなければならない方に向けて、物件を売る際のコツや流れ、住宅ローンや税金についての注意点をご紹介します。
新築・築浅物件はすぐに売却するべき?
新築・築浅物件を売却するなら、できるだけ早いタイミングで売却するようにしましょう。その理由として、築年数の経過に伴い建物の資産価値は下がるため、新築物件は資産価値が高く、高値で売却できる可能性が高いからです。
前述の通り、建物の資産価値は築年数が古いほど下がるのが一般的です。国土交通省が公表する「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によると、建物の資産価値は築年数が10年経過した一戸建ての場合は約50%、マンションの場合は約20%減少するといわれています。さらに一戸建ての場合、築30~35年が経過すると建物の価値はほぼ0円と査定されることが多いです。
また新築・築浅物件が高値で売れやすい理由には、資産価値の高さだけでなく、購入希望者からの需要が高いことも挙げられます。新しくきれいな物件を、新築分譲価格や新たに一戸建てを新築する場合に比べて安く購入できるため、購入希望者が多いのも納得できますね。
以上の理由から、新築・築浅物件の売却を検討する際は早めに動き出すことをおすすめします。
新築・築浅物件の売却時の注意点
新築・築浅物件は中古物件に比べて売却しやすいといえますが、売却時には注意すべき点もあります。ここからは、新築・築浅物件を売却するときの注意点について、理由も含め順番に見ていきましょう。
新築プレミアムとのギャップがある
築浅物件の場合、新築購入時の価格と、築浅となった物件の相場価格にギャップを感じることがあります。このギャップが起こる理由は、新築物件には「新築」という付加価値、新築プレミアムが付いているためです。そのため、築浅物件は自身で新築購入時の価格から予想した金額よりも、査定価格(査定額)や相場価格が低くなる傾向にあります。築浅物件を売却する際は、新築購入時よりも価格が下がることを認識しておきましょう。
ただし、近年のように不動産価格が上昇している状況においては、新築時よりも価格が上がるケースもあります。
住宅ローンを完済する必要がある
新築・築浅物件の場合、住宅ローンの返済が始まったばかりであるため、売却の際はローンの残債が多い状況が想定されます。しかし、新築・築浅・中古に関係なく、家を売却するには住宅ローンを完済しなければなりません。ローンを完済する理由は、住宅ローンを組んだ際に設定された抵当権を不動産売却時に抹消しないといけないためです。
住宅ローンを組む際に設定する抵当権とは、住宅ローンを融資する金融機関が、債務者の返済が滞った場合に担保にした不動産を売却することで優先的に弁済を受ける権利のことを指します。抵当権が残ったままの不動産は原則として第三者による売却ができないため、売却の際は、ローンを完済して抵当権を抹消させるのが一般的です。そのため、新築物件の売却時でも、売却代金(売却額)や自己資金を充てて必ず住宅ローンを完済するようにしましょう。
どうしても売却代金がローンの残債を下回るオーバーローンになってしまい、自己資金を充てても残債が返済できそうもない場合は、売却ができないこともあります。オーバーローンのときは任意売却という選択肢がありますが、任意売却を行うには、銀行の合意が必要となり、ローンを組んでから間もないときの任意売却は、銀行が認めてくれないことが多いでしょう。
また、オーバーローンの場合には、住み替えローンという選択肢もあります。住み替えローンは任意売却とは異なるため、住み替えローンを利用すれば売却できる可能性は残っています。
●住宅ローンを完済できない場合の対処法に関する記事はこちら
住宅ローンを払えない人が増えている?ローン返済できない場合の対処法
●住み替えローンに関する記事はこちら
住み替えローンとは?利用の注意点や手順を解説
売却益が出た場合の課税率が大きい
不動産を売却して利益が出た場合は、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税と呼ばれる所得税と住民税を納めなければなりません。ただ、マイホームの売却益は、3,000万円までは特別控除があり、非課税となります。そのため、家を売却して3,000万円を超える利益があった場合にのみ、納税の必要があります。
ここで注意する必要があるのが、物件の所有期間が5年以内の場合は、「短期譲渡所得」、5年を超える場合は、「長期譲渡所得」と見なされ、「短期譲渡所得」であれば税率が高くなることです。新築・築浅物件を売却した場合は、短期譲渡所得になりやすいため、納税額が大きくなる点に注意しましょう。それぞれの具体的な税率については、以下の通りです。
マイホームの所有期間 | 所得税(復興所得税を含む) | 住民税 |
---|---|---|
5年以内の「短期譲渡所得」 | 30.63% | 9% |
5年を超える「長期譲渡所得」 | 15.315% | 5% |
課税がされる場合の計算は以下の通りです。
<例>
●条件
・築年数2年
・売却益が4,500万円
・3,000万円までは非課税になるため、残りの1,500万円に対して課税
●譲渡所得税額
・短期譲渡所得の税率が適用
・所得税(復興所得税を含む):1,500万円 × 30.63% = 459万4,500円
・住民税:1,500万円 × 9% = 135万円
・合計:594万4,500円が課税
ただし、買い替えで購入物件において住宅ローン控除を利用する場合は、売却物件で同時に3,000万円の特別控除を利用することができません。
●長期譲渡所得と短期譲渡所得に関する記事はこちら
長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや計算方法、税金を抑える方法について解説
新築・築浅物件をスムーズに売却するコツ
ここからは、新築・築浅の物件をスムーズに売却するコツをお伝えします。
売却理由を明確に伝える
新築・築浅物件を売却するにあたっては、その売却理由を購入希望者に伝える必要があります。「せっかくの新築をどうして手放すのだろう?」「物件に何か問題があるのではないか?」といった購入希望者が抱いている疑問や不安を払拭させることが重要です。速やかな売却につなげるために、売却理由を伝えて購入希望者の不安を解消させましょう。
慎重に価格設定をする
新築・築浅物件の「売り出し価格」を決める際は慎重に行いましょう。売り出し価格とは、売却活動で購入希望者を募る際にチラシやサイトなどに記載する金額のことです。最終的な成約価格は売り出し価格よりも低くなることもありますので、そのことを念頭に置いて売り出し価格を設定するとよいでしょう。
なお、実際に売り出し価格を決める際には、以下の点を意識するようにしてください。
売却する物件の相場をつかむ
適切な価格の設定のためには、あらかじめ売却する家の相場を自分でつかむことが大切です。不動産の相場をつかむには、以下のようなところで情報収集をしましょう。
・レインズマーケットインフォメーション(公益財団法人不動産流通機構)
・土地総合情報システム(国土交通省)
・不動産価格指数(国土交通省)
・不動産情報サイト
・不動産のチラシ
住宅ローンの残債を考慮する
売り出し価格には、家を売却して得られそうなお金と用意できる自己資金の合計額が最低でも住宅ローンの残債を下回らないような額を設定しましょう。売り出し価格を設定する際は、希望の売却価格の上限設定と同時に、ローンの残債を踏まえたうえで、「ここまでなら譲歩できる」という売却価格の下限設定をしておくとよいですね。
不動産会社と相談する
売り出し価格を設定する際には、媒介契約を結んだ不動産会社に相談してみましょう。不動産会社は、これまでの実績や豊富な経験から、地域ごとの新築・築浅物件のニーズや相場を把握しています。プロのアドバイスをもらい、適切な価格を設定するとよいでしょう。
新築・築浅物件の売却にかかる費用は?
新築・築浅物件を売却するためにかかる費用はいくらになるのか、売却活動、売買成立時、売却後別にそれぞれ見ていきましょう。
売却の進捗 | 費用 | 目的 | 費用の目安 | 備考 |
---|---|---|---|---|
売却活動 | ハウスクリーニング代 | 内覧に臨む | 4LDKで空室の場合は4万円~ | 左記は全室を行った場合 |
売買成立時 | 瑕疵担保保険 | 買主に住宅品質の保証をする | 10万円程度 | 「インスペクション」住宅診断も含まれる |
一括返済手数料 | 住宅ローン完済の手続きを行う | 無料~5万円 | 一括返済すると住宅ローン保証料が一部返金される。返金の金額は契約によって異なる | |
抵当権抹消手続きの諸費用 | 抵当権を抹消する | 7,000円~3万円 | 土地と建物で登録免許税は2,000円(不動産1個につき1,000円)、司法書士の報酬は1件につき5,000円~2万円 登記名義の変更が必要な場合は別途費用が発生する | |
売買契約書に貼る印紙代 | 売買契約を成立させる | 売却物件が1,000万円を超え5,000万円以下の場合は2万円(軽減措置期間は1万円) | 印紙代は印紙税として国に納める(軽減措置期間は2024年3月31日まで) | |
不動産会社への仲介手数料 | 売却活動の成功報酬 | 売却価格が3,000万円の場合は105万6,000円、4,000万円の場合は138万6,000円 | 支払いは通常売買契約時、引渡し時に分割される。売買が成立しない場合は発生しない | |
売却後 | 引越し代 | 引越し | 4人家族で同じ県内に引越しするとして、10万円ほど | 転居が多く引越しの繁忙期である3月や4月は、料金が高くなる傾向にある |
譲渡所得税 | 売却益が出た場合にのみ税務を行う | 近年は税金が発生するケースが増えている | 3,000万円特別控除を利用できる場合、売却益3,000万円までは非課税となる | |
目安の総額 | 不動産売却費用 | 不動産売却に必要なおおまかな費用 | 売却代金の4%弱 | 左記は、税金を考慮外とした場合 |
新築の場合は、ハウスクリーニングが必要ない場合も多く、物件の状況によっては抑えられる経費もあります。また、引越しが売却後となっていますが、たとえば賃貸物件に引越すといった場合には、売却活動の内覧前に終わらせておくとスムーズな売却につながるでしょう。
新築・築浅物件を売却する流れ
新築・築浅物件の売却を決めたら、さっそく売却活動に入りましょう。ここでは、売却時の流れを簡単にご説明します。
[ 1 ] 査定依頼
不動産会社への査定依頼には、AI査定、簡易査定、訪問査定の3つがあります。このうちAI査定は、過去の成約事例をもとにAIによって即時に査定価格を算出する方法です。また簡易査定は、物件の情報や類似する物件の取引価格や公示価格などをもとに査定価格が算出され、1~3日で査定結果が分かります。上記のAI査定や簡易査定は、営業担当者を家に招く必要がなく、気軽に査定できるため、売却するかどうか検討中の方におすすめの査定方法といえるでしょう。
なお、訪問査定は不動産会社の担当者が実際に売却予定の物件を訪れ、物件や周辺環境を実際に確かめて評価する方法です。ご紹介したAI査定、簡易査定と比べると査定結果が出るまでに時間がかかりますが、精度の高い結果が得られるという特長があります。そのため、売却の意志が固まった方におすすめの査定方法です。不動産査定を行う際は、売却の検討状況に合わせて査定方法を選択するとよいでしょう。
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[ 2 ] 媒介契約を結ぶ
査定を依頼し、売却活動を任せる不動産会社が決まったら、「媒介契約」を結びます。媒介契約とは、不動産を売却するうえで、売却活動を委託する契約のことです。売買契約が成立したら、成功報酬として不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立しないと発生しません。
●仲介手数料の相場に関する記事はこちら
仲介手数料の相場はいくら?決められた上限と計算方法を解説
不動産会社との媒介契約には、「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類があります。これら媒介契約の3種類は、不動産会社との密接度や売主の売却活動の自由度がそれぞれ異なります。3つの媒介契約について特徴を理解し、比較したうえで最適な契約形態を選ぶようにしましょう。
●媒介契約について詳しくはこちら
媒介とは?仲介や一般媒介などの違いを一挙解説!
[ 3 ] 売却活動
媒介契約を結ぶと、不動産会社が売却活動を行います。売却活動としては、全国の不動産業者のみが閲覧できる「レインズ(不動産流通標準情報システム)」への登録、媒介契約をした不動産会社のサイトや大手不動産情報サイトなどネット上での告知、新聞折込チラシやポスティングなど紙での告知、また問い合わせがあった購入希望者の現地での内覧などがあります。
[ 4 ] 売買契約
売買契約では、原則として事前に買主に対して「重要事項説明書」による説明が行われます。重要事項説明書では、公法上の規制や、建物および施設設備の状況、土地の境界、建物の状況調査の結果が記載されています。買主は、重要事項説明書の内容について確認し十分納得したうえで、売買契約を交わす必要があります。
また売買契約時には、売却物件の手付金や仲介手数料の半額が支払われ、引渡しの時間と場所の設定を行うのが一般的です。
[ 5 ] 引渡し
引渡しでは、鍵や所有権移転に必要な書類などが買主に渡され、売買契約時に不動産会社とともに書類で確認した土地や建物の状況に間違いがないか確認を行います。引渡しに先立ち、事前に現地確認が行われる場合も多いです。また、引渡し時には売主は不動産会社への仲介手数料の残金を支払い、買主から売却価格と日割りで計算された固定資産税の精算額が支払われます。
新築・築浅物件を売却するにはまず査定を依頼しよう!
ここまで、新築・築浅物件を売却する際の注意点や売却の流れをお伝えしてきました。ご説明した通り、不動産の売却を進めるには、まず対象となる物件の相場を知り査定を行う必要があります。
なお三井のリハウスでは、今回ご紹介したAI査定、簡易査定、訪問査定の全ての査定に対応しています。売却を迷っている方や検討中という方は、気軽に実施できるAI査定や簡易査定がおすすめです。一方で、早く売却を進めたい、より精度の高い査定結果が知りたいという方は、訪問査定を依頼してみましょう。豊富な経験・知識を持つ担当者と充実したサービスで、新築・築浅物件の売却をサポートいたしますのでお気軽にご相談ください。
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不動産鑑定士 竹内英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/