不動産価値の決まり方とは?査定の基準や資産価値の調べ方、計算方法をご紹介
不動産の資産価値を把握することは、売り出し価格を決める際や投資を行う際に重要な判断材料となります。今回は、不動産の資産価値が何によって決まるのか、また、どのようにして算出されるのかをご紹介します。
目次
不動産の資産価値とは?
不動産の資産価値とは、その不動産を資産として評価した価格のことをいいます。つまり、「その不動産は今いくらなのか」を示す指標だといえるでしょう。
土地や家などの不動産売却を検討している方にとって、自分の不動産がどれほどの価値を持っているかは非常に気になるところでしょう。不動産の資産価値をしっかりと把握していないと、実際の価値より低い売却価格で成立してしまい、損をしてしまうこともあります。逆に相場より高い額で売り出そうとしても、場合によっては購入希望者が現れず、売却が長引くこともあります。
損をしてしまったり、買主が見つからなかったりすることを防ぐためにも、自分の所有する不動産の資産価値を把握することは非常に大切です。加えて、不動産投資を検討している方にとっても、より資産価値の高い不動産の見極めは重要なことでしょう。
そこで今回は、不動産の資産価値は何によって決まるのか、またどのようにして決まるのかを詳しくお伝えします。

不動産価値を決める4つの評価ポイント
不動産の資産価値は、物件や土地の条件をもとに、どのくらい需要がありそうかを見て決定されます。評価に関係する要素は以下のように大きく分けて4つあります。
・土地の立地、広さ、形状
・建物の築年数やデザイン性
・耐震性や地勢・地盤
・周りの環境や駅までの距離
ここからは、4つの要素をそれぞれ見ていきましょう。
土地の立地、広さ、形状
土地を評価するときのポイントには、その土地の立地や面積の広さ、形状、公法上の規制などが挙げられます。マンションの価値には土地の立地が大きく影響します。ただし、一戸建ての場合は、土地の立地だけではなく広さや接道状況、形状が整っているかなども評価の対象になります。なぜなら、住宅設計を目的とした土地の場合、間口の広い整形地(形が整った土地)のほうが有効に活用できるためです。
なお、整形地には正方形と長方形があり、一般的には間口が広く、奥行きがある長方形の土地のほうが利用しやすく価値が高いとされます。不整形地(形がいびつな土地)はデッドスペースが生じやすいため、価値は低くなる傾向があります。
加えて、公法上の規制も土地の価値に大きく影響します。それぞれの土地には都市計画法により、用途の規制や建築可能な建物の規模が定められており、規制が厳しい土地は価値が下がってしまうことがあります。反対に、用途の幅が広く大きな建物を建てられる土地は価値が高くなる傾向があります。

建物の築年数やデザイン性
建物は土地と異なり、年月の経過によって劣化するため、築年数は資産価値に大きくかかわる要素となります。一般的な建物の場合、築年数が新しい建物のほうが資産価値が高いという傾向があります。
築年数以外にも、周辺環境と調和したデザインや、はやり廃りのないデザインの建物は資産価値が維持されやすい傾向があります。一方で、奇抜な外観や珍しい間取りの家の場合、購入希望者が限られるため、一般的な建物に比べて資産価値が低くなることがあります。ただし、有名な建築家が設計した建物や、人気のデザイナーがデザインした建物は例外で、長期的な需要が見込まれるでしょう。
耐震性や地勢・地盤
建物の耐震性は資産価値に大きく影響します。そのため、耐震性を備えている、自然災害に強い建物は、資産価値が高くなります。なかでも、国が定めた基準をクリアしたと認められる「長期優良住宅」のようなサステナビリティに優れた住宅は、築年数が経過しても安心して暮らせるため、一般的な住宅に比べて資産価値が高いと見なされます。
土地の地勢や地盤も不動産の価値に影響する要素の1つです。近年は、豪雨による水害や土砂災害が頻発しているため、高台にある台地のほうが資産価値は高くなる傾向があります。また、地盤が弱いと地震が発生した際に、揺れの増幅や土地の液状化などを招く恐れがあります。そのため、適切な地盤改良が施されていない埋め立て地や水辺に近い土地などは、価値が低くなりがちです。さらに、建物の基礎や地盤が均一に沈下しない「不同沈下」を発生させやすい切り土と盛り土の境目にある土地も、価値は低くなります。加えて、崖下にある土地は、自治体のがけ条例の影響を受けることがあり、有効面積が狭くなる可能性があるため、価値が下がります。
周りの環境や駅までの距離
コンビニやスーパーなどの商業施設や、学校、病院といった公共機関が周辺地域に多く、生活に便利な立地条件の不動産は、資産価値が高くなる傾向があります。逆に、火葬場や産業廃棄物処理場、反社会的勢力の事務所などの嫌悪施設と呼ばれる建物が近くにある場合は、環境的瑕疵(住み心地に悪影響を及ぼす要因)があるとされ、資産価値が低くなりやすいでしょう。
●環境的瑕疵についてはこちら
周辺環境に加えて、駅や都市部までの距離も資産価値を決めるうえで重要な要素の1つです。対象となる不動産から駅までの距離が近かったり、主要都市までアクセスのよいエリアだったりする場合は、不動産に対する需要が高くなるため、資産価値も高くなる傾向があります。ただし、人気のエリアであれば、駅からの距離が離れていても資産価値が高くなるケースがあります。

資産価値を表す不動産価格
不動産の資産価値を決める価格は、「固定資産税評価額」「路線価」「実勢価格」「公示地価」「基準地価」の5つが挙げられます。それぞれの不動産価格を確認できる書類や調べ方について、以下の一覧表にまとめました。
| 不動産価格の種類 | 確認できる書類・調べ方 |
|---|---|
| 固定資産税評価額 | ・課税明細書 ・固定資産課税台帳 ・固定資産評価証明書 (固定資産課税台帳および固定資産評価証明書は、市町村の役場/東京都23区は都税事務所で閲覧、発行申請できる) |
| 路線価 | ・路線価図 (国税庁のホームページや税務署で確認できる) |
| 実勢価格 | ・「不動産情報ライブラリ」内の「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」で調べる ・不動産会社に査定を依頼する |
| 公示地価 | ・「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」 (国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」から閲覧できる) |
| 基準地価 | ・「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」 (国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」から閲覧できる) ・各都道府県のホームページ |
今回は不動産価格のなかでも、固定資産税評価額、路線価、実勢価格について詳しく解説します。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、総務省が定める固定資産評価基準にもとづき、各市町村(東京都23区は都)が3年ごとに1月1日時点での固定資産の価値を評価したものです。この評価額は、固定資産税や登録免許税などの算出に用いられます。土地の固定資産税評価額は、国が毎年公表する土地取引の基準となる公示価格(地価公示価格)の0.7倍程度を目安として評価されています。
路線価
路線価には、「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2つがあります。
相続税路線価とは、相続税や贈与税を算出する際に、土地の価格を算出するために使用される、道路に面した1㎡あたりの価格です。国税庁により、毎年1月1日を評価時点として、7月ごろに路線価図として公表されます。
固定資産税路線価とは、土地や家屋などの固定資産の価値を市町村(東京都23区は都)が評価した価格のことです。固定資産税や都市計画税、不動産取得税などを算出する際に使用され、3年ごとに価格が見直され、4月ごろに公表されます。価格の評価基準日は、前年の1月1日です。
●路線価図についてはこちら
実勢価格
実勢価格とは、実際に成立した取引の成約価格のことです。市場の状況を直接反映しているため、変動が大きいという特徴があります。一般的に実勢価格は公示地価の1.1倍ほどの価格といわれますが、都心と地方で需要の差があるため、都心ではこの差がさらに大きくなります。実勢価格は、「不動産情報ライブラリ」内の「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」で調べるか、固定資産税評価額や公示価格を用いて算出することも可能です。
●実勢価格の算定方法についてはこちら
●不動産の相場価格の調べ方についてはこちら
●不動産情報ライブラリについてはこちら

資産価値が下がりにくい家とは?
資産価値が下がりにくい家は、物件そのものの基本性能や条件が優れているという特徴があります。特にマンションのような集合住宅では、階数も価値の下がりにくさに影響します。また、一戸建てでは住宅性能評価で高い基準を取得していると、価値が下がりにくくなります。ここでは、マンションと一戸建てそれぞれの特徴について詳しく解説します。
マンション
資産価値の下がりにくいマンションであるかどうかを判断するポイントは以下の通りです。
・エリア
・眺望や日当たり
・利便性
・階数
・管理、メンテナンス
人気のエリアであること
再開発が行われている街や景観が整備されているエリアは需要があるため、資産価値が下がりにくいといえます。また、人気の住宅街や「住みたい街ランキング」で上位になるような街は、不動産の資産価値も高くなるといえるでしょう。
眺望や日当たりがよいこと
窓やベランダから有名な建造物や美しい自然が見えるといった眺めのよい家の場合、資産価値が高くなる傾向があります。また、日当たりのよさも資産価値に影響します。一般的に、日当たりがよいとされる南向きの物件はマンションに限らず、人気がある傾向です。
利便性がよいこと
駅や都市部に近い物件ほど需要が高くなる傾向があり、資産価値も高くなります。なかでも、「駅近(えきちか)」といわれる駅から徒歩数分の距離にある物件は、単身世帯、ファミリー層共に人気のある物件です。
高層階であること
同じ間取りでも、最上階に近づくほど需要が高くなる傾向があるため、資産価値も高くなります。高層階のよさは、何といっても眺めのよさですが、採光性にも優れており、低層階と比較すると害虫が侵入しにくく、防犯性が高い点もメリットといえます。
管理やメンテナンスがきちんと行われていること
マンションの場合は、定期的な管理やメンテナンスがされていることも、資産価値を決めるうえで重要な要素です。定期的に手入れを行うことで、家の老朽化を防ぐことにもつながるでしょう。
●マンションの査定についてはこちら

一戸建て
一戸建てもマンションと同様に、立地や利便性のよさが価値に影響します。資産価値を決める具体的なポイントは以下の通りです。
・エリア
・利便性
・土地の形状
・機能性
人気のエリアであること
マンションの場合と同様に、一戸建て周辺が人気のエリアであればあるほど、資産価値が高くなる傾向があります。ファミリー層が暮らす一戸建ての場合は、周辺の治安や子育てのしやすさ、学区の良否といった点も大切になるでしょう。
利便性がよいこと
一戸建ての場合も、利便性のよい物件であれば、需要は高くなります。ターミナル駅や都市部にアクセスしやすいといった特徴がある物件は、需要が多く、資産価値も高くなるでしょう。
土地の形状がよい
一戸建ての場合は、土地の状態も資産価値を左右する重要な判断基準です。住宅を設計する際には、土地の形状が大きく関係します。整形された土地であれば、有効に活用できる面積が多くなり、資産価値も高いといえるでしょう。
機能性の高い住宅
「災害に強い」「断熱性が高い」など、特定の性能に優れた住宅を、高性能住宅と呼びます。高性能住宅は、安心して長く暮らせることや省エネルギー性などから、資産価値は高くなります。
●一戸建ての査定についてはこちら
不動産の資産価値を算出する方法は?
資産価値を算出する方法には、「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3つがあります。それぞれの算出方法について、具体的に見ていきましょう。
取引事例比較法
取引事例比較法とは、対象とする不動産と似た条件の不動産が過去に取引された事例をもとに資産価値を求める方法です。この方法は、土地やマンションの資産価値を求める際によく用いられます。対象となる不動産と条件の近い不動産を複数選んで坪単価を算出し、売却を対象としている不動産の広さを乗じることで資産価値を導き出せます。
エリアによって、過去の取引事例が数多く存在する場合は、より近隣でかつより新しい事例を参考にするのが一般的です。
売却予定の方であれば不動産会社に依頼して無料査定を行ったり、不動産ポータルサイトで現在売り出し中の類似物件と比較したりする方法が考えられます。また、REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)や、不動産情報ライブラリなどを用いたりして相場を調べるのがよいでしょう。
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原価法
原価法とは、対象とする建物を、同条件で再建築した場合に必要となる再調達原価をもとに価格を算出する方法です。原価法で求めた価格は、積算価格と呼ばれ、以下のような計算式で求められます。
積算価格=再調達原価-減価修正
減価修正とは、経年劣化による価値の減少を表したものです。積算価格は、建物の耐用年数にもとづいて減価修正を行い計算します。
収益還元法
主にアパートや賃貸マンションなどの賃貸物件の不動産評価を求める際に用いられるのが、収益還元法です。収益還元法は、対象となる物件が将来的に生み出すと見込まれる収益をもとに、不動産の資産価値を計算する方法をいいます。収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法」の2種類があります。
直接還元法
直接還元法とは、次にご紹介するDCF法より簡単に適用できる算出方法で、「1年間の純収益」を「還元利回り」で割って求める方法です。1年間の純収益とは、年間の家賃収入から、管理費や固定資産税などの経費を差し引いた額をいい、還元利回りとは、対象となる投資物件から回収できる1年間の収益の割合を表します。直接還元法は、以下の計算方法で求められます。
不動産価格(収益価格)=1年間の純収益÷還元利回り
それでは、具体的に数字を入れて計算してみましょう。条件は以下のように設定します。
・家賃15万円
・年間経費20万円
・利回り5%
この条件の場合、1年間の純収益は、15万円×12か月-20万円=160万円です。従って、この不動産価格は160万円÷5%=3,200万円となります。
DCF法
DCF法とは、Discounted Cash Flow(ディスカウントキャッシュフロー)法の略で、直接還元法と比較すると複雑な方法とされます。この方法は、空室や家賃下落などのリスク要因を価格に反映しやすい点が特徴です。

プロに相談して不動産の資産価値を把握しよう!
売却や不動産投資を検討するうえで、所有している不動産の資産価値を把握することは非常に重要です。売却を検討していて不動産の資産価値を知りたい場合は、不動産査定を受けましょう。不動産会社による査定は無料で受けられます。
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不動産鑑定士 竹内英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/





