
マンション売却を築年数ごとに比較!高く売るコツや後悔しないタイミングを解説
マンションを売る際に、築年数が売却価格に影響を与えるのでは?と気になる方も多いでしょう。今回はマンション売却を検討している方に向けて、築年数ごとの販売のポイントや、より高く売るためのベストタイミングなどをご紹介します。
目次
マンション売却価格と築年数の関係性は?
マンション売却を考えるとき、築年数による売却価格の相場が気になる方も多いのではないでしょうか?「どのくらいの築年数で売るのが最適なのか」「古くても売れるだろうか」など、知りたいことも多いですよね。
一般的にマンションの売却価格は、築年数が経過するにつれて下落する傾向にあります。マンションの売却価格は土地と建物を合わせた資産価値で決まり、土地の資産価値は年数の経過による減少はありませんが、建物は経年劣化するため、築年数が経過するほど資産価値が減少します。
以下の表は、東日本不動産流通機構によって行われた2022年度の調査で、中古マンションの平均的な成約価格の㎡単価を築年数ごとに示した表です。※1築年数が古くなるに従って建物の㎡単価が低くなっていることから、築年数が経過するほど資産価値が下がることが分かります。
中古マンションの成約状況
築年数 | 価格 | 面積 | ㎡単価 |
---|---|---|---|
築0~5年 | 6,638万円 | 63.09㎡ | 105.21万円/㎡ |
築6~10年 | 6,193万円 | 66.05㎡ | 93.76万円/㎡ |
築11年~15年 | 5,543万円 | 69.41㎡ | 79.86万円/㎡ |
築16年~20年 | 5,250万円 | 70.94㎡ | 74.01万円/㎡ |
築21年~25年 | 4,290万円 | 69.29㎡ | 61.91万円/㎡ |
築26年~30年 | 2,832万円 | 63.54㎡ | 44.57万円/㎡ |
築31年~ | 2,193万円 | 56.25㎡ | 38.98万円/㎡ |
上記のデータを見ると、築年数が経過した中古マンションは売却できないのではないかと不安になる方もいるかもしれません。しかし、築年数が古いマンションでも、コツやベストなタイミングを押さえれば、売却が可能です。まずは、築年数ごとの売却のコツや注意点についてご紹介します。
マンション売却は築年数30年超でも成約している
以下の図は中古マンションの成約件数を、築年数ごとの割合で表示したものです。※1
中古マンション築年帯別成約比率
実績年 | 築0~10年 | 築11~20年 | 築21~30年 | 築31年~ |
---|---|---|---|---|
2020年 | 23.7% | 30.4% | 18.4% | 27.5% |
2021年 | 23.8% | 27.5% | 19.1% | 29.7% |
2022年 | 23.7% | 26.3% | 18.5% | 31.5% |
上記表が示すように、中古マンションの全成約件数のうち多くを占めるのは、築30年超の物件です。築30年超の物件の成約件数は、2020年は27.5%、2021年は29.7%、2022年は31.5%と、全体の3割前後にも上ります。築年数が古いからといって必要以上に不安に思うことはなく、売却できる可能性は十分あるといえるでしょう。
マンション売却のベストタイミングとは?
需要が高い傾向にあるマンションの特徴の1つに、築年数が11~20年が経過していることが挙げられます。理由としては、築年数11~20年のマンションは、外観や設備などの劣化が目立ちにくい状態でありながら、新築の物件よりもリーズナブルな価格で購入できるためです。
また、売主としてはこの時期、既に住宅ローンの返済が10年を超えているため、残債額が少なく、アンダーローンになりやすいというメリットもあるでしょう。アンダーローンとは、住宅ローンの残債額がマンション売却時の成約価格を下回ることを指し、この場合、自己資金を使用せずに売却できる可能性が高くなります。
一方で、築年数が数年しか経過していない築浅物件の場合、住宅ローン返済が進んでいないため残債が多いだけでなく、マンションの売却価格は少なからず下落するため、オーバーローンになってしまう可能性があります。オーバーローンとは住宅ローンの残債額がマンション売却時の成約価格よりも大きい状態のことで、不足分は自己資金で補う必要があります。
さらに、先ほどご紹介した中古マンションの成約状況によると、築20年を超えた物件は、築20年以下の物件と比較して、売却時の成約価格が、購入時の価格を大きく割る傾向にあります。
こうしたことから、ある程度ローンを返済して、かつ需要も高い、築11~20年が中古マンション売却を検討したいタイミングといえるでしょう。
築年数ごとのマンション売却のポイントや注意点
マンション売却の際のポイントや注意点は築年数によって異なります。ここではそれぞれの築年数ごとに詳しくご紹介しましょう。
築5年以下の築浅の場合は税金が高くなる
築5年以下の物件は流通量が少なく希少性が高いので、成約につながりやすい傾向にあります。また、築年数が浅いことにより建物の資産価値も比較的高いため、購入価格に近い価格で売却しやすいというメリットがあります。
ただし、築5年以下のマンションを売る際は、売却のタイミングによって税率が異なることを押さえておきましょう。マンション売却の際、「譲渡所得」と呼ばれる売却利益が生じた場合には、税金がかかり、譲渡所得にかかる税率は、マンションの所有期間が5年以下か5年を超えているかで大きく変わります。
売却する年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合の譲渡所得は「短期譲渡所得」、5年を超えている場合は「長期譲渡所得」に該当します。短期譲渡所得の場合、所得税と住民税の合計は39.63%、長期譲渡所得の場合は20.315%と、所有期間が5年以下か、5年を超えるかで税率に約2倍近い差があるため、注意が必要です。譲渡所得にかかる税率について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
●譲渡所得にかかる税率についてはこちら
長期譲渡所得とは?短期譲渡所得との違いや計算方法、税金を抑える方法について解説
築11~20年の中古マンションは修繕費も考慮する
築11~20年のマンションを売却する際は、大規模修繕が完了したタイミングも検討してみるとよいでしょう。国土交通省が定めた長期修繕計画作成ガイドラインによれば、一般的に築12~15年あたりで大規模修繕を行うケースが多いとされています。大規模修繕によってマンションの共用部分の設備が修繕されたり、外観がきれいになったりすることで印象がよくなり、売り出した際に買い手が付きやすくなります。一方、大規模修繕工事の実施が見込まれる築年数近辺は、月額の修繕積立金が値上がりしやすく、買い手が付きにくいこともあるため、大規模修繕の時期を調べておくとよいでしょう。
築21~30年の中古マンションはリフォームや値下げも検討
築21~30年のマンションは、外観や設備に古さが目立ち始めるタイミングです。ハウスクリーニングやリフォームを行うなど、見た目をよくする工夫を行うことで売却しやすくなるでしょう。このような出費は予算的に厳しいという方は、売り出し価格を下げることも1つの手段です。スムーズな成約につなげるために、検討してみるとよいでしょう。
築30年超の中古マンションでも売却は可能!
中古マンションの成約状況からも築30年超のマンションの成約価格は、築浅物件の半額以下となる場合が多くなりますが、先述したように成約物件の割合が大きい築年数でもあります。築年数が経過しているからといって売却を諦める必要はないでしょう。
また、売却のポイントとして、覚えておきたいのが大規模修繕のタイミングについてです。築30年を超えると、再び大規模修繕が行われることが多いため、買主は、購入後の修繕積立金の値上がりを気にする場合があります。マンションの管理自治体の修繕積立金額がどのくらいあるかを確認し、修繕積立金がある程度まとまった額で積み立てられている場合は、売却時にアピールするとよいでしょう。
築年数が古くても売れるマンションの特徴
マンション売却を検討している方のなかには、築年数の古いマンションを売却できるのか不安な方も多いのではないでしょうか?ここでは、そのような方に向けて築年数が経過していても売却しやすいマンションの特徴をご紹介します。
新耐震基準を満たしている
築年数が古いマンションであっても、「新耐震基準」を満たしていれば購入希望者にとって安心です。1981年6月1日以降に建築確認証が発行されたマンションであれば、新耐震基準を満たしたマンションに該当します。
新耐震基準を満たしていれば耐震性に問題がないことが証明でき、買主に建物の耐久性をアピールできるでしょう。また、2022年に住宅ローン控除の特例が改正され、これにより、以前は対象外だった昭和56年以前に建築されたマンションも、「耐震基準適合証明書」を取得することで、住宅ローン控除を受けることが可能になりました。住宅ローン控除について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
●住宅ローン控除についてはこちら
住宅ローン控除はいつまで利用できる?税制改正後の変更内容や申請方法も解説!
人気エリアにある
先述したように、マンションを売却する際は築年数が経過するほど、成約価格が下落する傾向にあります。しかし、人気エリアにある物件は、築年数が古くても、例外的に高く売却できることがあります。
まずは自分の住んでいる地域の相場を確認してみることがおすすめです。三井のリハウスのホームページでは、ご自宅周辺エリアの詳しい売却相場や、そのエリアで実際に成約した物件の売却価格について知ることができますので、ぜひご活用ください。
●三井のリハウスホームページはこちら
マンション売却で築年数が不安なら不動産会社に相談しよう
ここまで、マンション売却において築年数が売却価格に与える影響や、築年数ごとの売却のポイントについてご紹介してきました。現在、首都圏の中古マンションの成約㎡単価は上昇し続けています。※2中古マンションが売却しやすい市況であるといえるため、売却を検討している方は、不動産会社に査定を依頼してみるのがおすすめです。
三井のリハウスでは、累計100万件の実績に基づいた精度の高い無料査定を行っておりますので、「自宅マンションが一体いくらで売れるのか」と売却を判断したい場合でも、ご遠慮なくお問い合わせください。
●リハウスAI査定はこちら
●売却をご検討中の方はこちら
※1出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年),公益財団法人 東日本不動産流通機構
(http://www.reins.or.jp/)
(最終確認:2023年11月20日)
※2出典:首都圏不動産流通市場の動向(2022年),公益財団法人 東日本不動産流通機構
(http://www.reins.or.jp/)
(最終確認:2023年11月20日)


監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html