築40年のマンションは売れない?不動産売却時のポイントや資産価値を解説

築40年を経過したマンションは売れにくいというイメージがあるかもしれませんが、ポイントを押さえれば売却は十分に可能です。この記事では、売却のコツや築40年のマンションの強みを詳しく解説します。

目次
  1. 築40年のマンションは売れる?
  2. 築40年のマンションはいつまで住める?
  3. 築40年のマンションが売れないといわれる原因
  4. 築40年のマンションを買い手が選ぶ理由3つ
  5. 築40年のマンションを後悔なく売るための注意点
  6. 築40年のマンションを売却するコツ
  7. 築40年のマンションの売却はプロに依頼しよう!
記事カテゴリ 売却 マンション
2024.12.23

築40年のマンションは売れる?

築40年を経過したマンションを所有している方のなかには、「築年数がたっているマンションは売れるのか?」と不安に思っている方もいるのではないでしょうか?結論からいえば、築年数が40年以上経過しているマンションでも売却は可能です。

今回は、築40年のマンションを所有している方や売却を検討している方に向けて、築年数が経過しているマンションが売れる理由や資産価値、売却時の注意点について詳しく解説します。

マンションの模型

築40年のマンションはいつまで住める?

築40年を経過したマンションでも、定期的な補修と管理を行うことで住むことが可能です。国土交通省の資料(※1)には、マンションの多くに当てはまる鉄筋コンクリート造(RC造)の構造体としての寿命(効用持続年数)は120年で、適切な延命処置を施すことで150年まで伸ばすことができると記載されています。

ただし構造や、建材・仕上げの質、配管・配線の劣化の進み具合によって寿命が左右されるため、上記の年数を待たずに建て替えるケースが多いと考えられます。

また、マンションの寿命を調べる際によく耳にする「法定耐用年数」という言葉がありますが、これは建物の物理的な寿命を示すものではないため、適切な管理を行っていればその先も長く住み続けられます。

マンションの点検

築40年のマンションが売れないといわれる原因

築40年を経過したマンションでも売却は可能です。しかし、一般的に築年数が経過するほど不動産は売却しにくくなるのも事実です。それでは、築40年を経過したマンションが売れないといわれる理由を以下で見ていきましょう。

外観の老朽化

築40年を経過すると、マンションの外観の老朽化が目立ち始めます。具体的な箇所は以下の通りです。

・外壁・外壁塗装の劣化
・鉄筋の露出および腐食

通常、マンションは一般的に12年から15年程度の周期で大規模な修繕が行われ、外観にも手が加えられますが、予算との兼ね合いから新築同様の状態に戻すことは難しいでしょう。

さらに、外観の老朽化だけでなく、デザインの問題も発生します。マンションのデザインには流行があり、数十年前のものは買い手に古い印象を抱かれる可能性もあります。

住宅設備機器が古い

築40年を経過したマンションでリフォームやリノベーションを行っていない場合、コンセント、インターホンなどの電気設備や、お風呂や洗面台、トイレ、キッチンといった水回りの住宅設備、給湯器、通信設備の老朽化が目立つようになります。なお、エレベーターやエントランスといった共用部分の設備も仕様が古くなりますが、これらは個人の一存で修繕できません。

加えて、築年数の経過によってマンションの老朽化が進むと、区分所有者が支払う修繕積立金も高額になる傾向があります。これに管理費や住宅ローンが加わると、負担に感じてしまう方も多いでしょう。

住宅ローンの融資が通らない可能性がある

金融機関によっては、住宅ローンの申し込みの際に築年数を条件に含むことがあります。ローンの借り入れ可能額は、申込者の収入やほかの借り入れ状況以外に、購入する物件が担保としてどの程度の価値があるかも考慮され決まるものです。築年数の古い建物は、担保としての評価が低くなるため、融資が通りにくくなる可能性があります。

耐震性が低い可能性がある

築40年を経過したマンションは、1981年(昭和56年)5月31日以前の基準である、旧耐震基準と呼ばれる基準をもとに建築されている場合もあるため、建物によっては耐震性が低い可能性もあります。現在は新たな耐震基準へと変わり、求められる強度も高くなっているため、旧耐震基準に基づいて建てられたマンションは、耐震性の観点から買い手に嫌厭される恐れがあります。

マンションの耐震補強

築40年のマンションを買い手が選ぶ理由3つ

先述した通り、築40年のマンションでも売却は可能です。その理由として、築40年を経過した物件はある一定層の買い手のニーズを満たしていることが挙げられます。買い手側のニーズにはどういったものがあるか、詳しく見ていきましょう。

公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会が2023年(令和5年)2月に公表した資料(※2)によると、住宅を購入する際に多くの人が重視するポイントは、1位から5位まで以下の通りです。

・購入金額
・周辺・生活環境がよい
・交通の利便性がよい
・日当たり・住宅の向き
・間取り(プラン・部屋数)

築40年以上の物件では、これらのポイントを押さえている物件が多く見られます。その理由は以下の通りです。

購入価格が新築や築浅と比べて安い

土地と違い、一戸建てやマンションは築年数がたつにつれて資産価値が下がる傾向にあります。そのため、築40年を経過したマンションは新築マンションに比べて購入費用を抑えることが可能です。

以下の表は、公益財団法人東日本不動産流通機構が調査した、首都圏中古マンションの2023年の平均成約価格を築年数ごとにまとめたもの(※3)です。この表によると、首都圏の築41年以降の中古マンション価格は、築0~5年の物件価格の3分の1を下回り、築年数が経過するほど、マンションの価格が低下していることが分かります。

築年数価格
築0~5年7,077万円
築6~10年6,655万円
築11年~15年5,932万円
築16年~20年5,509万円
築21年~25年4,887万円
築26年~30年3,344万円
築31年~35年2,303万円
築36年~40年2,672万円
築41年~2,260万円

このように、築40年のマンションは、築浅物件と比べて価格が安くなります。そのため、マンションの立地や周辺環境、利便性、老巧化の度合いによっては需要が見込め、売却できるといえるでしょう。

築年数によるマンションの価格推移

立地がよい

40年以上前は、現在よりも土地に余裕があったため、立地条件のよい土地にマンションを建設するケースが多くありました。交通アクセスがよいことに加え、現代のマンションより間取りに余裕がある場合もあり、好立地の家を購入できることは買い手にとって大きなメリットです。

買い手がリノベーションしやすい

先ほどの説明の通り、築年数がたったマンションは安く購入できる分、リフォームやリノベーションに費用をかけられます。そのため、買い手が好みの間取りにリノベーションしやすく、築40年を経過したマンションはリノベーションを希望する人からの需要が高いという傾向があります。

築40年のマンションを後悔なく売るための注意点

築年数が経過したマンションを売却する際には、いくつかの注意点があります。後悔しないためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。

売却前にリフォーム・リノベーションを行わない

売却前にリフォームやリノベーションを行い、費用を売り出し価格に上乗せすると、築年数が経過したマンションのメリットの1つである価格の安さが失われてしまいます。また、修繕後のマンションが買い手の好みから外れる場合は、売れにくくなる恐れもあるため、リフォームやリノベーションは不動産会社と相談して検討するようにしましょう。

最初から買取で売却しない

築40年のマンションを売却したい人のなかには、仲介では思うように売れないと考え、初めから不動産買取での売却を検討しているという方がいるかもしれません。不動産買取での売却は、買い手が不動産買取業者となるため、仲介で買い手を募って売却するよりも早く売却できる可能性が高いでしょう。

しかし、成約価格は仲介で売却する場合の約6~8割となってしまうことが想定されます。そのため、売却まで時間に余裕がある場合は、まずは仲介で売却を行うことがおすすめです。

築40年のマンションを売却するコツ

築40年を経過したマンションでも売却しやすくするコツは以下の通りです。

・耐震基準を満たしていることを買い手にアピールする
・ホームインスペクションを検討する
・場所を絞ってハウスクリーニングを行う

それぞれについて詳しくご紹介します。

マンション売却のポイント

耐震基準を満たしていることを買い手にアピールする

築40年を経過したマンションであっても、耐震基準適合証明書が発行されていれば安心して住めるだけでなく、税制上の優遇も受けられます。耐震基準適合証明書が発行されていると、住宅ローン控除の制度が適用される可能性があります。

●住宅ローン控除についてはこちら

ホームインスペクションを検討する

ホームインスペクションとは、住宅診断士をはじめとする資格所有者が第三者的な立場から、住宅の劣化状況の有無や修繕すべき箇所、費用などを診断してくれる有料の住宅診断のことをいいます。

特に築40年を経過したマンションを売却する場合は、ホームインスペクションを受けることで修繕すべき箇所や費用が明確になります。そうすれば、買い手は、傷の有無や修繕にかかる費用を把握したうえで安心して築年数の古いマンションを購入できるでしょう。

場所を絞ってハウスクリーニングを行う

売却時にハウスクリーニングをすることで、内覧時に買い手へ好印象を与えられる場合もあります。しかし、ハウスクリーニング代金は基本的に売主負担であるため、どこまでハウスクリーニングを行うかは予算や汚れの程度に応じて判断しましょう。特に、キッチンやお風呂などの水回りは経年劣化が目立ちやすい箇所であるため、不動産会社と実施するかを相談し検討するとよいでしょう。

水回りのハウスクリーニング

築40年のマンションの売却はプロに依頼しよう!

これまで、築40年を経過したマンションの売却について解説してきました。築40年のマンションにもニーズがあり、売却は可能ですが、物件のアピールの仕方に工夫が必要です。築40年のマンションを売却する際には、ぜひ参考にしてみてください。

三井のリハウスでは、100万件を超える豊富な取引実績をもとに、築年数が経過したマンションに最適な売却プランをご提案します。築40年のマンションの売却でお困りの方はぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。

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※1出典:期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について,国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001011879.pdf
(最終確認:2024年12月9日)

※2出典:9月23日は不動産の日「不動産の日アンケート」住居の居住志向及び購買等に関する意識調査,公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会・公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会
https://www.zentaku.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/03/2022-fudousan-anke-to.pdf
(最終確認:2024年12月9日)

※3出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)中古マンション成約物件、築40年超の比率は全体の18%,公益財団法人東日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/
(最終確認:2024年12月9日)

監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。