
固定資産税はいつ払う?納付の方法やタイミング、都市計画税との違いを解説
固定資産税とは、所有している土地や建物(固定資産)に課される税金のことです。支払いは、年4回に分けて行う方法と、一括で支払う方法があります。この記事では、納付書が届くタイミングや納付方法、都市計画税との違い、税金の軽減措置などについて詳しく解説します。
目次
そもそも固定資産税とは?
固定資産税とは、土地や建物などの不動産にかかる税金で、固定資産を所有する人に毎年納税義務が発生します。土地や家屋が所在する市町村(東京23区の場合は東京都)に納める地方税であり、事業のために使う機械や設備、パソコンやコピー機などの償却資産も固定資産税の対象です。
都市計画税との違い
固定資産税と都市計画税は、課税対象に違いがあります。都市計画税とは、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てるための税金(目的税)です。原則、市街化区域内にある土地や家屋に対して毎年課されるもので、徴収された税金は道路や公園、水道、電気などの整備に使われます。なお、市街化区域とは、既に市街地として栄えている場所や、今後市街化が優先的かつ計画的に進められる地域を指します。
計算方法
固定資産税の税額は、固定資産課税台帳に登録されている固定資産税評価額をもとに課税標準額を算出し、そこに標準税率を乗じて算出します。
固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)
通常、固定資産税評価額と課税標準額は同一額ですが、軽減措置が適用された場合、課税標準額が低くなることもあります。また、固定資産税評価額は3年に一度評価が見直され、令和6年度が基準年度と呼ばれる評価替えの年に当たりました。なお、各市町村(東京23区の場合は東京都)は標準税率をもとに固定資産税の税率を決定するため、それぞれ異なる場合があります。
●固定資産税評価額についてはこちら
●固定資産税の計算方法についてはこちら
固定資産税はいつ支払う?
固定資産税は、納付通知書の案内が毎年4月~6月ごろに送付され、年4回に分けて納めるのが一般的です。納期限は自治体によって異なりますが、第1期の支払いは、通常4月~6月で、1年分の一括払いを選択することもできます。
2024(令和6)年度の、代表的な自治体における年4回の支払い時期は以下の通りです。
地域 | 第1期 | 第2期 | 第3期 | 第4期 |
---|---|---|---|---|
東京23区 | 6月 | 9月 | 12月 | 翌年2月 |
横浜市 | 4月 | 7月 | 12月 | 翌年2月 |
名古屋市 | 4月 | 7月 | 12月 | 翌年2月 |
大阪市 | 4月 | 7月 | 12月 | 翌年2月 |
福岡市 | 4月 | 7月 | 12月 | 翌年2月 |
仙台市 | 4月 | 7月 | 9月 | 翌年1月 |
上記のように、支払い時期は自治体によってばらつきがあります。納期限をきちんと把握し、年間を通して家計管理を考えることが大切です。固定資産税の支払い時期や納期限は、各自治体のホームページで確認できます。
固定資産税は誰が支払う?
固定資産税の納税義務者は、1月1日の時点で土地や建物(固定資産)を所有している人です。これは、固定資産税が確定する賦課期日が1月1日のためで、誰が支払うべきか迷うパターンとして、以下の2つが考えられます。
・不動産を相続した場合
・不動産を売却した場合
次でそれぞれ詳しく解説していきます。
不動産を相続した場合
不動産の所有者が亡くなり、相続手続きが済んでいれば、不動産を相続した新しい所有者が固定資産税を支払います。
もし遺産分割の手続きを終えていない場合は、故人が生前に納めるはずだった分の固定資産税を、法定相続人全員が連帯して支払う義務があります。その際、法定相続人の代表者を決めて代表者が相続人全員からまとめて徴収して納税するのが一般的です。たとえば、1月1日以降に不動産の所有者が亡くなり、9月1日に遺産分割協議が行われたケースでは、その年の納税義務は相続人全員にあり、翌年からは不動産を相続した新しい所有者となります。
●相続登記についてはこちら
不動産を売却した場合
固定資産税の納税者は、1月1日時点の所有者です。その年の納付書は1月1日時点の所有者宛に送られますが、1年の途中で不動産を売却したときは、売主と買主で話し合い、負担割合を決めるのが一般的です。その場合、固定資産税額を日割りで計算し、引渡し前の分は売主が、引渡し後の分は買主が支払うことが一般的です。
売主と買主の負担割合は、起算日を基準に決定します。起算日は、固定資産税の賦課期日である1月1日、もしくは国の会計年度に合わせて4月1日を採用するのが一般的で、どちらを採用するかは地域によって異なります。売買契約書に起算日が明記されていないと、後になって売主と買主がもめることもあるため、売買契約の際に必ず確認しておきましょう。
●不動産を相続する流れについてはこちら
●不動産売却後の固定資産税についてはこちら
固定資産税の支払い方法
固定資産税は、主に以下の方法で支払えます。
・現金払い
・口座振替
・クレジットカード決済
・電子マネー決済
・ペイジー決済
・スマートフォンアプリ決済
現金払いは、各市町村役場(東京23区は都税事務所)や金融機関の窓口、コンビニエンスストアなどで納税する方法です。また、自動で引き落とされる口座振替は、窓口に行く時間がない人におすすめの方法で、納付期限をうっかりすぎてしまうことも防げるでしょう。
クレジットカード決済や各種ネット決済は、自治体によって対応していない場合があります。また、クレジットカード決済には手数料が発生し、たとえば東京都の場合は、1万円までは37円、以降1万円ごとに75円(共に消費税別)がかかります。電子マネーやスマートフォンアプリ決済についても、自治体によって利用できないことがあるため、自治体のホームページで最新情報を確認しましょう。
なお、納付期限をすぎると、自治体によっては現金払いのみに支払い方法が限定されることもあります。あらかじめ、自治体のルールを把握しておきましょう。
固定資産税の支払いを忘れたらどうなる?
固定資産税を滞納すると延滞金が発生します。延滞金の割合は自治体によって異なり、納期限の翌日から1か月までと、1か月を超えた日から延滞金の税率が変わるのが一般的です。延滞金は、延納期間が長くなるほど高くなるため、早めに納税することが重要です。
固定資産税を納期限までに支払わず、かつ自ら役所に相談や申告をしない場合、自治体は地方税法に従って督促状を発行し、納期限後20日以内に該当者に発送します。ただし、条例で発送期日を延長している自治体もあるため、詳しくは自治体のホームページで確認する必要があります。また、督促状の発行から10日が経過すると、財産調査が行われ、給与や預貯金を差し押さえられる恐れがあります。
なお、固定資産税の納税者は、固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある場合、納税通知書の交付を受けた日から3か月以内であれば固定資産評価審査委員会に審査の申し出が可能です。
固定資産税の軽減措置
固定資産税には、いくつかの特例措置があり、一定の基準を満たすと税額を軽減できる可能性があります。
主な軽減措置としては以下のものがあります。
・住宅用地の特例措置
・新築住宅に係る税額の減額措置
・認定長期優良住宅の特例措置
1つずつ見ていきましょう。
住宅用地の特例措置
「固定資産税等の住宅用地特例」とも呼ばれ、住宅用地とは、居住のための家屋が建っている敷地全体を指します。面積によって2つの区分(種類)に分けられ、固定資産税および都市計画税について以下のような軽減措置が適用されます。
住宅用地の区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
小規模住宅用地 (200㎡以下の部分) | 6分の1に減額 | 3分の1に減額 |
一般住宅用地 (200㎡を超える部分) | 3分の1に減額 | 3分の2に減額 |
上記は、居住用の家屋がある土地のみに適用され、住居が取り壊されて更地になっている場合や、居住目的以外で利用されている土地は適用外となるため注意しましょう。
新築住宅に係る税額の減額措置
新築住宅にも固定資産税の特例措置が適用され、2024(令和6)年度の税制改正により、2026(令和8)年3月31日まで延長されました。建物(家屋)にかかる固定資産税の減額割合は以下の通りです。
比較項目 | 一戸建て | マンション (3階建以上の耐火・準耐火建築物) |
---|---|---|
床面積の条件 | 50㎡以上280㎡以下 | 50㎡以上280㎡以下 |
減額割合 | 2分の1に減額 | 2分の1に減額 |
減額期間 | 3年間 (認定長期優良住宅なら5年間) | 5年間 (認定長期優良住宅なら7年間) |
ただし特例措置を受けるには、上の表の通り、居住部分の床面積の条件を満たす必要があります。加えて、店舗併用の住宅の場合は、居住部分の床面積が全体の2分の1以上ないと適用されません。
また、認定長期優良住宅を新築した場合、減額期間は、一戸建てならば5年間、マンションならば7年間に延長されます。
認定長期優良住宅の特例措置
家屋に対して一定の耐震リフォーム、または一定の省エネリフォームをして、増改築による長期優良住宅の認定を取得した場合、固定資産税の減免措置を受けられる可能性があります。これは、国が実施するリフォーム促進税制の1つで、長期優良住宅化リフォームとも呼ばれ、2026(令和8)年3月31日までに行われたリフォームが対象です。
リフォーム促進税制には、耐震リフォームや省エネリフォーム、バリアフリーリフォームなどがあり、いずれも要件を満たせば固定資産税の減額が適用される可能性があります。さらに、リフォーム促進税制の複数のメニューは併用が可能で、住宅ローンの有無にかかわらず利用できます。詳しくは以下のサイトを見てみましょう。
●住宅リフォームにおける減税制度についてはこちら
固定資産税をいつ払うか確認しよう!
固定資産税の納税義務は、1月1日時点での土地、建物(固定資産)の所有者にあります。不動産を相続したときや、1年の途中で不動産を売却し、所有者が変更になった場合について、それぞれの納税義務者や負担割合を確認しておくことが重要です。事前の情報収集と対策が、税金の滞納や相続人同士のトラブルの回避に役立ちます。
また、放置されている不動産も、所有しているだけで固定資産税がかかります。相続した家が空き家になっている場合や、今後使う予定がない土地を所有しているなどの場合は、税金対策として売却を検討してみてはいかがでしょうか?
三井のリハウスでは、不動産売却に関する相談を承っており、豊富な経験と実績を持つ担当者が、お客さま一人ひとりの悩みに合わせた対応を行っております。まずは無料査定から、ぜひご利用ください。
●無料査定のお申し込みはこちら
●リハウスAI査定はこちら


監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。