スラブとは?建築における機能や特徴を解説

建築におけるスラブとは、鉄筋コンクリート造の床を指す言葉です。この記事では、スラブの種類やメリットなどの基本的な情報について分かりやすく解説します。

目次
  1. スラブとは?
  2. スラブの種類
  3. スラブのメリット
  4. スラブを使った物件が適している方
  5. よくある質問
  6. 建築におけるスラブを理解して物件を探そう!
記事カテゴリ マンション 一戸建て
2024.06.14

スラブとは?

建築用語のスラブとは、鉄筋コンクリート造の床を指す言葉です。部屋における天井のことを指す場合もあり、その場合は「天井スラブ」や「屋根スラブ」と呼ばれます。なおその際、対称的な言葉として床のスラブを「床スラブ」と呼ぶこともあります。「厚板」や「石板」といった意味を持つ英語の「slab」が由来です。

コンクリートは、圧縮には強いが引っ張られることには弱いという特性があります。スラブは、コンクリートの中に格子状の鉄筋が埋め込まれた構造になっているのが一般的で、中に鉄筋を通すことで、補強し強度を上げることができます。

この記事では、スラブの種類やメリットなどについて分かりやすく解説します。

スラブを建設している図

スラブの種類

スラブにはいくつかの種類があり、主な種類は以下の通りです。

・土間コンクリート
・構造スラブ
・フラットスラブ
・二重スラブ
・片持ちスラブ

ここからは、各スラブの特徴を1つずつ解説します。

土間コンクリート

土間コンクリートは、厳密にいえばスラブではないのですが、形状が似ているため「土間コンクリートスラブ」と呼ばれることもあります。土間コンクリートは、かかる荷重を直接地盤に伝えるものであり、地盤が主として荷重を支えるため、土間コンクリート自体は高い荷重耐性を持ちません。ほかのスラブに比べるとコストを抑えやすい一方で、スラブのひび割れが起こりやすい点に注意が必要です。このことから、地盤が弱い土地に土間コンクリートを採用することは難しいといえるでしょう。

構造スラブの図

構造スラブ

構造スラブとは、柱や梁によって支えられることで、土間コンクリートに比べさらに強度が高いスラブのことです。スラブ自体の強度が高く、荷重耐性もあるため地盤の弱い土地でも建物の強度をあまり落とさず建設できます。

フラットスラブ

スラブが梁を介さず直接柱に接続されているものをフラットスラブといいます。梁が必要ないため、階層あたりの天井高を高くできたり部屋を広く見せられたりすることが可能です。また、梁がない分ほかのスラブに比べて厚みがあるため、遮音性が高まるというメリットも挙げられるでしょう。

しかし、梁がない故に注意しなければならないこともあります。1つ目は、地震の際にうまく力を逃せず、柱がスラブを損傷させてしまう「パンチング破壊」が起こる危険性です。そのため、地震が多い日本の建築物ではあまり採用されていません。2つ目の注意点は、大梁も小梁も用いずに強度を欠かさない設計をしているため、設計が複雑化するケースが挙げられます。

二重スラブ内の配管のイメージ

二重スラブ

二重スラブとは、2つのスラブを組み合わせて床あるいは天井とするものです。2つのスラブは重ねて密着させるのではなく、間に空間(配管ピット)が生まれるため配管や配線を格納することができます。また、遮音性や断熱性に優れている点も特長として挙げられます。

しかし、二重スラブの内部が太鼓の内部と似た構造になっているため、歩く音や家具を動かす音などの重量衝撃音が下の階に響きやすくなってしまう場合があります。その対策としては、二重スラブの内部を密閉せず、外界につながる隙間を設けることが有効です。

片持ちスラブ

片持ちスラブとは、建物の外側に突き出したスラブのことです。玄関や勝手口、バルコニーの雨よけとして活用されます。通常、突き出した方向に2m以下までであればスラブのみで耐性があると考えられます。仮に補強措置をせずに2mを超えて突き出したスラブを建設すると、たわみが発生するリスクがあるため注意しましょう。

スラブのメリットのイメージ

スラブのメリット

スラブは木造の床に比べてどのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットは以下の通りです。

・遮音性が高い
・荷重や振動に強く、歪みにくい

これらについても1つずつ詳しく説明していきます。

遮音性が高い

スラブは厚みがあるため、遮音性に優れています。特に重量衝撃音の対策に効果的で、重いものが発する「ドスン」という音が下の部屋に伝わるのを軽減することが可能です。また、軽量衝撃音を和らげるためには、遮音フローリングやコルクマットを敷くことで対策できます。スラブは、厚くなるほど遮音性を高めることができますが、その分スラブの重量が増し、補強にかかるコストが上がってしまう点に注意が必要です。

荷重や振動に強く、歪みにくい

木造の床が基本的には木材のみで作られているのに対し、スラブはコンクリートを主に使用し、さらに鉄筋を通すことにより補強しています。あらゆる方向にかかる力への強度を持つスラブは、人や家具によってかかる荷重や地震の振動に強く、歪みにくい特長を持ちます。

物件をおすすめする女性のイメージ

スラブを使った物件が適している方

スラブは遮音性に優れており、振動や荷重に強いというメリットを持ちます。これらのメリットを備えた物件をおすすめしたい方は、以下の通りです。

・防音対策を重視している方
・災害や地盤が心配な方

遮音性の観点では、家で楽器を演奏する方や、ペットを飼っている方、小さなお子さんがいる方などにおすすめです。また耐久性の観点では、ハザードマップを確認したうえで災害に備えておきたい方や、長く住み続けたい方などにおすすめします。

スラブについて疑問を抱く女性のイメージ

よくある質問

ここからは、スラブに関連して寄せられる質問に回答します。

物件のスラブの状況を調べる男性の図

気になる物件に使用されているか調べる方法は?

物件を探す際に、スラブが使用されているかということや厚さ、種類が気になる方は多いのではないでしょうか?各物件のスラブの使用状況は、竣工図や設計図に記載されています。また、各種図面は物件の管理組合や対応している不動産会社に問い合わせることで入手可能です。

●竣工図について詳しい記事はこちら

リノベーションやリフォームはできる?

リノベーションやリフォームをする際、スラブに変化を加えたい場合もあるでしょう。スラブにかかわるリノベーションやリフォームとしては、床材とスラブの間の空間をなくすことで、天井を高くすることが挙げられます。

なおマンションの場合、スラブは共用部分として扱われるため個人的にリノベーションを行うことはできません。

スラブについての理解が深まったイメージ

建築におけるスラブを理解して物件を探そう!

この記事ではスラブとは何かをはじめ、スラブの種類やメリットなどについて解説してきました。スラブとは鉄筋コンクリート製の床を指す言葉で、木造の床に比べて遮音性や耐久性に優れています。マンションや一戸建ての購入を検討していたり、土地を購入して新築一戸建ての建築を検討していたりする方は、快適で安全安心な物件の条件としてスラブを含む鉄筋コンクリート造を採用した物件を選んでみてはいかがでしょうか?

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。