離婚時の財産分与で家を売らないとどうなる?ローンがある場合の注意点を解説

離婚時に持ち家があるなら、売却がおすすめです。住宅ローンが残っていたり、その名義人が家に住まなかったりすると、財産分与は複雑になります。本記事では、家を売らない場合の注意点や、売らないメリットについて解説します。

目次
  1. 離婚時の財産分与で家を売らないとどうなる?
  2. 離婚時の財産分与で家を売らないリスク
  3. 離婚時の財産分与で家を売らないメリット
  4. 離婚時に家のローンが残っている場合の注意点
  5. 離婚時の財産分与において家を売らない場合の注意点
  6. 離婚で家を売るタイミング
  7. 離婚時の財産分与の前にまずは査定を!
2024.07.02

離婚時の財産分与で家を売らないとどうなる?

離婚時の財産分与をスムーズに行いたい場合は、持ち家は売却することをおすすめします。なぜなら、売却することで住宅という財産を現金化できて分割しやすいほか、残った住宅ローンの支払いをめぐるトラブルの心配も減らせるからです。

そもそも、財産分与とは離婚時に、夫婦の財産(共有財産)を分割することを指します。夫婦が共働きであったか、どちらかが専業主婦(夫)であったかを問わず、夫婦の財産は原則2分の1ずつになります。というのは、財産分与は夫婦が共同生活を送るなかで形成した財産(婚姻中に得た収入や財産)がその対象となり、不動産や自動車など名義が夫婦どちらか一方であっても、婚姻中に購入したものは夫婦共有の財産と見なされるからです。

離婚時の財産分与の際に、持ち家を売却しようか迷っている方もいるでしょう。そこで今回の記事では、離婚時の財産分与において、家を売らない場合の注意点やメリット、財産分与時の注意点やよくあるトラブルについて解説します。

離婚時の財産分与で家を売らないでよいか悩む女性

離婚時の財産分与で家を売らないリスク

離婚時の財産分与において、家を売らないときに注意したい点は以下の2つです。順番に解説していきましょう。

・財産分与の難航
・家に住めなくなる恐れがある

財産分与の難航

財産分与は、財産を原則半分ずつに分与するため、一方が家に住み続ける場合、他方に対して家の価値の半分に相当する現金もしくは物品を渡さなければなりません。家や土地などの不動産は、財産分与のなかでも大きな額を占めることから、独身時代の貯金(特有財産)を含めても、相当する現金や物品を相手方に支払うことが難しい場合もあります。

また、現金以外の財産を相手に渡したくても、相手が納得しない可能性も考えられます。たとえば家財や自動車は不要であり、財産は現金で欲しいと思っているような場合、話の折り合いがつかず、家を売らざるを得ないこともあります。

離婚時の財産分与でもめる夫婦

家に住めなくなる恐れがある

たとえば、住宅ローンが残っている家に離婚後も住み続けるのは妻、しかしローンの名義人は夫のままという場合、夫がローンの支払いを滞納すると自宅が競売にかけられ、妻は家に住めなくなることがあります

また、離婚後に住み続けるのは妻(夫)でも、不動産の名義人が夫(妻)の場合、名義人は相手方の許可なく家を売却できてしまいます。ということは、相手方と十分な認識のすり合わせができていない場合や事前に取り決めを交わしていない場合には、家の所有者が変わって突然家に住めなくなる危険性もあります。

また、住宅ローンにおける名義変更は原則できません。離婚後に住み続ける人と住宅ローンの名義人が異なっていて名義変更したい場合は、住宅ローンの残債額をほかの金融機関で新たに借り換えすることで可能です。ただし、収入やほかの借り入れ状況によってはそもそも借り入れができない場合もあります。

離婚時の財産分与で家を売らないメリット

離婚時の財産分与で家を売らないメリットは、離婚後も環境を変えずに生活できることでしょう。学校に通っている子どもがいる場合、転校させることなく、現在の学校に通わせることができます。

また、引越しにかかる費用や、敷金・礼金などの費用を抑えることもできます。とはいえ、先述した複数のリスクを考慮すると、特段住む地域にこだわらないのであれば、売却し、現金化したほうが財産分与はスムーズです。

離婚後も家に住み続けるシングルマザー

離婚時に家のローンが残っている場合の注意点

離婚時に住宅ローンが残っている場合、売る・売らない、どちらの場合でも注意すべきポイントがあります。まずはオーバーローンなのかアンダーローンなのかを把握する必要があるでしょう。

オーバーローンとは、住宅ローンの残債が家の売却代金を上回っていることで、自己資金を追加投入しなければ住宅ローンが完済できない状態のことです。もう一方のアンダーローンとは、住宅ローンの残債が家の売却代金よりも少ない状態のことで、売却代金を充てれば住宅ローンが完済できます。家を売る場合と売らない場合、それぞれの注意点を見ていきましょう。

家のローンの現状を確認

売らない場合

アンダーローンの場合は、家の売却想定代金から、住宅ローンの残積額を引いた金額が財産分与の対象になります。家にそのまま住み続ける人が、売却想定金額の半分を他方に支払います。

オーバーローンの場合は、残債を夫婦で分担して負担することになります。住宅ローンの名義人がそのまま家に住む場合は、他方から毎月決められた金額を支払ってもらうというケースもあります。住宅ローンの名義人が家に住まない場合は、名義人に引き続きローンを払ってもらい、住む側が毎月決められた金額を名義人に支払います。

家を売らない場合は、自身の家がオーバーローンなのかアンダーローンなのか、事前に確認しておきましょう。

売る場合

アンダーローン状態の家を売る場合は、売却代金で住宅ローンの残債を支払って残った額を夫婦で分け合います。オーバーローン状態で、完済するための追加の資金が調達できない場合は、オーバーローンが解消されるまでの間、双方で住宅ローンを支払い続けるのが通例です。

離婚時の財産分与において家を売らない場合の注意点

離婚時の財産分与で、家を売らず、住宅ローンの名義人と家に住む人が異なる場合、金融機関へ相談する必要があるので注意しましょう。というのも、住宅ローンは、一般的に契約者がその家に住むことを条件に組むものです。金融機関に相談せず、契約者本人が家に住んでいない状態で住宅ローンの支払いを続けると、規約違反と見なされ、ローンの一括返済を求められる恐れがあります。そのため、離婚を機にローンの名義人が家を出ていく場合は、今後も返済し続けることが可能な旨を速やかに伝え、金融機関の了承を得ておくことが賢明です。

離婚後のローン返済について銀行に報告

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離婚で家を売るタイミング

離婚を機に家を売りたい場合、そのタイミングはいつがよいのでしょうか?離婚前と離婚後、それぞれにメリットや注意点があります。具体的に見ていきましょう。

離婚前

離婚前に家を売ってしまえば、相手と離婚後に連絡を取り合う必要がなくなります。一般的に、離婚後に連絡が取りにくくなると、家の売却がスムーズに進まなくなる恐れがあるため、特に相手と積極的な連絡を避けたい場合は離婚前の売却がおすすめです。ただし、家が売却できるまで婚姻関係が続く点には注意が必要です。

離婚後

離婚後に家を売るメリットは、時間をかけて納得のいくまで売却活動ができることです。一刻も早く離婚したいという気持ちから、離婚前に家の売却を急ぐあまり、納得のいく金額で売却できなかったというリスクを避けられます。ただし、売却のために相談しなければならないことが多くあるため、離婚後も相手と円滑なコミュニケーションが取れる場合におすすめです。

離婚時の財産分与の前にまずは査定を!

これまで、離婚による財産分与において、家を売らない場合はどうなるのかについて解説しました。トラブルを防ぐ観点からも、離婚時は家を売却し、現金化したほうが財産分与はスムーズにいくといえるでしょう。

家を売らないにしても、今住んでいる家がどれほどの価値があるのか把握しておくことで、財産分与の見通しが立ちやすくなります。そのためにも、まずは不動産会社に査定を依頼してみてはいかがでしょうか?

三井のリハウスでは、豊富な取引実績と幅広いネットワークによって、お客さまが納得できる、スムーズな売却をサポートいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。