
リースバックのメリットとデメリットとは?家賃についても分かりやすく解説
リースバックとは、自宅を売却して資金を確保し、買主から借りる形で住み続ける方法です。リースバックにはメリットもありますがデメリットも多く存在するため、この記事ではメリットとデメリット、後悔しないためのポイントについて解説します。
目次
リースバックのメリットとデメリットを知ろう
不動産を売却したいと思ったときに、リースバックを検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか?まとまった資金を手に入れつつ、慣れた我が家に住み続けられることや引越しの手間もかからないことは、リースバックならではの魅力です。
しかし、リースバックにはさまざまなメリットと同時に多くのデメリットも存在するため、利用に際しては十分な理解と確認が必要です。ここでは、リースバックのメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
住まいのリースバックとは?
リースバックとは、所有している資産を一度売却して資金を得た後、買主から一定期間借りる契約を結び、売却後も継続して使用することを指します。なかでも近年利用者が増加しているのは、自宅を売却して利益を得ながら、その後も買主から借りる形で住み続ける、住まいのリースバックです。
まとまった資金が手に入るうえ、慣れ親しんだ生活環境も保てることから、住まいのリースバックは「自宅は手放したくないが、老後の生活資金やローン返済に悩みを抱えている人」に向いているといえるでしょう。
リースバックを利用する際のメリット3つ
リースバックを利用する際の主なメリットは、以下の3つです。
・短期間で資金を得られる
・慣れた家にそのまま住み続けられる
・ランニングコストが少なくなる
各メリットのポイントについて詳しく見ていきましょう。
短期間で資金を得られる
リースバックでは不動産会社が買主となるため、売却活動の必要がなく、早めに資金を得られることがメリットの1つです。一方、通常の不動産売却では仲介会社を通じて買主を探すのが一般的で、売却までにかかる期間は、3か月程度といわれています。
家族の医療費や子どもの教育費など、大きな資金を早急に用意したい場合には、通常の売却よりもスピード感のあるリースバックが効果的といえるでしょう。
ほかにも、自宅を利用して資金を得る方法として「リバースモーゲージ」という仕組みがあります。自宅を担保に生活資金を借り入れて、契約者が死亡した際に担保である自宅を売却し、借入金を返済するという流れです。
ですが、リバースモーゲージには貸付金の使用用途や限度額、対象物件が限られるなどのルールが存在します。一方、リースバックで得た資金には使用用途の制限がなく、短期間で手に入れることができるのは、リースバックの最大のメリットであるといえるでしょう。
今の住宅にそのまま住み続けられる
住み慣れた家に継続して住めるのも、リースバックを利用するメリットの1つです。売却後に引越しする必要がないため、手間や費用がかからず、生活環境の変化によるストレスも避けられます。
さらに、そのまま住み続けられるので、周囲に自宅を売却したことを知られる心配もありません。リースバックは自宅を不動産会社に直接売却するシステムなので、チラシや物件サイトに販売情報を出さずに済みます。そのため、我が家の売却を周囲に知られたくないという方にとっても、リースバックは適しているといえます。
ランニングコストが少なくなる
リースバックを利用して自宅を売却すると、定期的に発生していたさまざまな支払いを大幅に抑えられるというメリットもあります。
土地や建物を保有していると、毎年課税される固定資産税や都市計画税に加え、火災保険料や修繕費なども負担しなくてはなりません。しかし、リースバックを利用して売却すれば、それらを支払う責任は新たな所有者に移行されるため、従来かかっていたランニングコストの多くはゼロになります。
リースバックを利用する際のデメリット5つ
ここまではリースバックのメリットについて紹介してきましたが、リースバックには多くのデメリットも存在しています。リースバックを利用する際の主なデメリットは、以下の5つです。
・家賃がかかる
・売却価格が安くなる
・買戻し金額が高くなる
・契約期間に制限がある
・家の所有権がなくなる
それぞれのポイントについて、詳しく解説しましょう。
家賃がかかる
リースバックは先述の通り、一度売却した不動産を買主から借りる形で利用し続けるサービスです。その結果、固定資産税や、都市計画税の納税義務は買主に移りますが、代わりに家賃が発生することになります。家賃の支払いができなくなると、一般的な賃貸契約と同じように退去させられてしまう可能性もあるため注意しましょう。
売却価格が安くなる
リースバックでの売却価格(買取価格)は、仲介会社で売却する場合の60~70%程度になることが多く、高値で売却したい場合はデメリットになるといえます。
リースバックでは借主の退去後にその物件を再販売することが一般的であるため、再販売した際に利益が残るよう売却価格を低めに設定しているのです。この価格設定は不動産会社によって異なるため、複数の不動産会社を比較してから決めるとよいでしょう。
買戻し金額が高くなる
リースバックには、一度売却した自宅を将来的に再購入できる仕組みがあります。ですが、買戻しの金額は不動産会社が設定するため、売却時の取引価格よりも高くなる可能性があります。
買戻しの価格は、買い手である不動産業者が取引価格に諸経費や利益を上乗せして、売却価格の1.1~1.3倍になるのが一般的といわれています。
契約期間に制限がある
不動産の賃貸借契約には、借主が希望すれば更新可能である「普通借家契約」と、貸主側によって契約期間が定められている「定期借家契約」の2つがあります。リースバックで交わされる賃貸契約の多くは定期借家契約であり、住める期間に制限が設けられています。これもデメリットの1つといえるでしょう。
定期借家契約では、貸主との合意がなければ契約更新もされないため、期間が満了すると借主は退去しなければなりません。そのため、長期間住み続けたい方は、事前に必ず契約期間や契約内容を確認し、希望を伝えてみましょう。
家の所有権がなくなる
リースバックを行うと、家の所有権が買主に移ることもデメリットといえます。
まず、所有資産ではなくなるので、子どもに相続したり、家を担保にローンを借り入れたりすることはできなくなります。
また、売却後は賃貸住宅の借主として居住するため、新しい所有者である不動産会社のルールに従わなければなりません。たとえば、リフォームやリノベーションを行いたいと思った場合は、所有者の許可を得る必要があります。基本的には今まで通りの生活を送れることがほとんどですが、どのような制約が付くかを事前にきちんと確認しておきましょう。
リースバックは家賃が払えなくなる?
リースバックを利用する際、特に検討が必要なのは家賃です。「リースバックで賃貸契約をする場合の家賃はどれくらいなのか」「無理なく払い続けられるのか」といった点に不安を感じる方も多いでしょう。
リースバック後の家賃は、自宅の売却価格や期待利回り、周辺の家賃相場によって決定されることがほとんどです。つまり、売却価格が高額になれば毎月の家賃も高くなり、家計にとって大きな負担となる可能性が出てきます。安心して住み続けるためには、借主として払い続けられる額の家賃を想定したうえで、自宅の売却価格を決めるとよいでしょう。
●家賃相場について詳しくはこちら
リースバックは何年住める?
リースバックで賃貸契約を結んだ家には、どれくらいの期間住むことができるのでしょうか?
先に述べた通り、リースバックのほとんどは定期借家契約です。そして、定期借家契約のほとんどが契約期間を2~3年と定めており、期間満了時には借主に退去を命じるというのが一般的です。つまり、リースバックで住むことができる期間は2~3年と考えてよいでしょう。
しかし、定期借家契約であっても、契約期間終了時に貸主と借主双方の同意があった場合は、再契約という形で住み続けられる場合もあります。あるいは、借主の希望に応じて更新可能な普通借家契約で契約できれば、長期間住み続けることも可能です。
ただし、全ての不動産会社が普通借家契約に対応している訳ではないので、不動産会社に確認をしておきましょう。
リースバックのメリット・デメリットを理解して後悔のない選択を!
これまで解説してきたように、リースバックの大きなメリットは、住み慣れた家に住み続けながら、まとまった資金を獲得できることです。そのため、資金を確保したい、しかし長年住んだ家は手放したくないという方にはおすすめの方法といえるでしょう。
しかし、売却価格によっては高額な家賃がかかったり、住める期間が制限されていたりとデメリットも多く存在するため、利用する際には長期的な視点に立って検討することをおすすめします。
三井のリハウスでは、100万件を超える豊富な取引実績で培ったノウハウをもとに、資金の利用目的やその後のライフプランに沿った、お客さまにとって最適な売却プランをご提案します。
全国規模で店舗を展開しているので、地域に根ざした売却活動も可能です。資金調達のために不動産売却をご検討の方は、ぜひ一度三井のリハウスにご相談ください。


監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。