リースバックの家賃が払えないとどうなる?滞納した場合の流れも解説

リースバックの家賃が払えなくなった場合、家には住み続けられず、賃貸借契約の解除により退去となる可能性があります。今回の記事では、リースバックの家賃が払えなくなる原因や退去時の流れ、併せて検討したい売却方法について解説していきます。

目次
  1. リースバックとは
  2. リースバック後、家賃が払えなくなる原因
  3. リースバックで家賃が払えないとどうなる?
  4. リースバックを検討する際にすべきこと
  5. 【高い?】リースバックの家賃設定
  6. リースバックの家賃が不安なら売却を検討しよう
記事カテゴリ 売却 マンション 一戸建て
2024.07.12

リースバックとは

住まいのリースバックとは、自宅をリースバック事業者(不動産会社が一般的)に売却した後、その業者と賃貸借契約を結ぶことで、売却後も自宅に住み続けられる方法です。急にまとまったお金が必要になる場合、その資金調達方法としてリースバックを利用する人もいます。また、最近では住宅ローンを払えなくなったことにより、金融機関の許可のもと任意売却を用いてリースバック事業者に自宅を売却した後、賃貸として住み続ける人もいます。

リースバックは用途が制限されないまとまった資金を手に入れられるというメリットがありますが、その一方で主に以下の3点に注意する必要があります。

・買取価格が仲介で売却する場合の6~8割程度になる
・引越し費用や税金などの負担は減っても、家賃の支払いは発生する
・定期借家契約の場合は2~3年程しか住めない

今回は、リースバックした後、家賃が払えなくなる理由や、払えなくなった場合の流れについて解説します。また、「リースバックを検討しているが、家賃が払えなくなった時のことが心配」といった方に向けて、ほかの売却手段についてもご紹介していきます。

リースバックについて詳しい記事はこちら

家賃の交渉

リースバック後、家賃が払えなくなる原因

リースバックした後、家賃が払えなくなる理由は、主に以下の4点が挙げられます。

・リストラや失職
・給与の減額やボーナスカット
・事業の失敗
・病気やケガ

それぞれについて詳しく見てみましょう。

リストラや失職

勤務先からのリストラや倒産による失職に伴って、収入が断たれることで家賃の支払いに支障を来す恐れがあります。さらに、「転職したものの、以前より給与が低い」「定年前の早期退職で、年金の受給開始まで期間が空いている」といった場合についても、家賃の支払いが大きな負担となる場合があります。

給与の減額やボーナスカット

経済状況や社会情勢などによって、勤務先の業績が芳しくない場合、給与が減額されたり、ボーナスが支給されなかったりする状況になることもあるでしょう。給与が減っても家賃は変わらないため、家賃の支払いに支障を来すことも考えられます。

お金がなくて家賃が払えない借主

事業の失敗

リースバックによって得た資金を起業資金として活用した場合、事業が安定するまでの収入は不安定となり、家賃の支払いに支障を来す恐れがあります。また、必ずしも事業が成功するとは限らず、失敗すれば収入が途絶えてしまうということも考えられるでしょう。

病気やケガ

自身の病気やケガによって働けなくなり、所得が減少すると、リースバックで家賃が払えなくなるリスクが出てきます。また、家族の病気やケガによって介護が必要になり、働けなくなる場合も考えられます。

介護の必要がなくても、家族の病気やケガで高額な医療費の負担が増えることで、支出がかさみ家賃が払えなくなるケースも想定されるでしょう。

このように、十分な蓄えがない状況でのリースバックでは、有事の際に家賃の滞納に陥る恐れがあります。

自身の経済状況に不安を感じたままリースバックを検討している場合は、併せて仲介による売却も検討してみましょう。なぜなら、仲介による売却は、一般的にリースバックよりも高値で取引されることに加え、引越し先の家賃の負担額は自ら次第である程度自由に決められるからです。

三井のリハウスでは、豊富な取引実績を生かした高精度な査定をもとに、お客さまのライフスタイルに合わせた最適な売却プランをご提案いたします。ぜひ一度、お問い合わせください。

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資金不足で悩む男

リースバックで家賃が払えないとどうなる?

リースバックの家賃が払えない場合、具体的には以下の順序で退去への手続きが進むことになります。

・家賃の督促
・内容証明郵便の通知
・契約解除通知の送付
・退去

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

家賃の督促

家賃を滞納した場合、借主やその保証人に対して、賃料を早急に支払うよう電話や督促状によって伝えられます。家賃の未払いが1~2か月程度であれば、即日退居となる恐れは低く、この時点でなるべく速やかに支払えば問題とならないことが一般的には多いです。

内容証明郵便の通知

督促状にて支払いの催促を受けても家賃を支払わなかった場合は、内容証明郵便が送られてくることになります。内容証明郵便とは、確かに差出人(貸主=リースバック事業者)から届け人(借主=家賃滞納者)に送ったという事実と、その郵便物の内容(家賃支払いの督促)が担保される郵便のことです。

郵便局が、いつ・どのような内容の文書が、誰から誰宛に差し出されたかを謄本として保管しているため、法的な争いに発展した場合に、送られた日付やその内容を貸主(リースバック事業者)が証明できます。

内容証明郵便で送られてくる書類には、設定された期日までに支払いがない場合に賃貸借契約を解除する旨や、その後の法的な措置などについて記載されています。

家賃滞納

契約解除通知の送付

内容証明郵便での通知に記載があった期日までに滞納分の家賃が払えない場合は、契約解除通知が送られてきます。こちらの通知には具体的な退去日が記載されており、一般的に滞納して3か月が経過すると届くようになっています。

退去

契約解除通知を受け取った場合は、通知に記載があった日付までに退去しなければなりません。もし期日までに退去しなかった場合は、貸主(リースバック事業者)との間で民事裁判に発展することになります。

連帯保証人がいる場合、連帯保証人も巻き込んだ大きなトラブルに発展することもあるため、この段階まで及んでしまったら速やかに退居するしかありません。なお、保証人の代わりに家賃保証会社を通して契約している場合は、家賃が滞った段階で、保証会社がリースバック事業者に立て替えることになりますが、家賃保証会社からすぐに借主へ家賃返済の督促状が送付されます。この後の流れは、連帯保証人を通して契約している場合と同様です。

リースバックを検討する際にすべきこと

リースバックの利用は、以下のポイントを参考にしながら検討しましょう。

ほかの資金調達方法も検討する

前述の通り、リースバックの場合はリースバック事業者による買取価格が仲介で売却するよりも2~4割程度安くなってしまいます。よって金額を重視する場合、リースバックは適していないといえるでしょう。そのため、資金調達が目的でリースバックの利用を検討している場合は、ほかにも仲介による売却や金融機関のローンなども視野に入れて検討するのがおすすめです。

なお、シニア向けにはリバースモーゲージ型住宅ローンという資金調達方法があります。これは、家を担保にまとまったお金を借り入れる方法で、毎月利息のみを返済し、契約者の死亡後には、担保としていた住宅を売却して借り入れていた元金を返済する仕組みです。ただし、リバースモーゲージ型住宅ローンの場合は、資金使途が制限されるため注意しましょう。

それぞれの資金調達方法のメリットと注意点をよく理解して、自身にとって最適な方法を選択してくださいね。

不動産会社に相談する女性

家賃の支払いに余裕を持たせる

リースバック事業者と賃貸借契約を結ぶ際、支払い続けられる家賃設定になるよう交渉をすることが大切です。なぜなら、前述の通り家賃設定が生活水準と合っていないと滞納につながるためです。

リースバックの仕組み上、家賃を下げれば、その分、受け取れる売却代金も少なくなる恐れがあります。ですが、支払える自信のない家賃設定により結局退去となることだけは避けたいため、支払い続けられる家賃かどうか自身の収入と相談しながら検討してみましょう。

【高い?】リースバックの家賃設定

リースバックによる年間の家賃は、リースバック事業者が買い取った物件価格と、それに見合った期待利回り(利益率)をもとに設定されます。期待利回りとは、投資金額に対して、見込める1年間の収益率のことです。リースバックの家賃設定は、具体的には、以下の計算式の通りになります。

年間の家賃 = 物件の買取価格 × 期待利回り(%)
月々の家賃 = 年間の家賃 ÷ 12か月

よってリースバックでの買取価格が上がると月々の家賃も高くなる仕組みになっています

なお、期待利回りは、売却物件の立地や築年数によって左右されますが、最終的には不動産会社が決定します。一般的に6~8%程度となり、都市部では低い傾向、地方や郊外では高い傾向にあります。

リースバックの家賃について詳しい記事はこちら

家賃の値上がりを示すブロック

リースバックの家賃が不安なら売却を検討しよう

これまでリースバックについて、家賃が払えなくなる理由や、家賃が払えない場合に起こること、リースバック以外の資金調達方法などについて解説してきました。

リースバックは、用途を問わない資金が無利子で手に入るというメリットがある一方で、相場より低い売却金額や割高な家賃といった注意点もあるため、慎重に検討すべき売却方法といえるでしょう。

今の家に住み続けることにこだわりがない場合、仲介による売却をおすすめします。なぜならほとんどの場合、リースバックよりも売却金額が高くなるからです。なお、仲介による不動産売却を検討する際は、不動産会社選びが重要です。

三井のリハウスでは、豊富な取引実績と全国に幅広く展開するネットワークを生かして、お客さまの売却活動をサポートいたします。売却にまつわるご相談に限らず、その後の買い替え(住み替え)についてのご相談にも担当者が親身に寄り添って対応いたします。仲介による不動産売却をご検討の際は、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。