専任媒介契約の期間内に家が売れない…更新や解除について解説

不動産売却の際の専任媒介契約の有効期間の上限は3か月であり、売却できないまま期限がすぎそうな場合は、更新するか、別の不動産会社への変更といった手段があります。この記事では、不動産売却時に仲介を依頼する際のルールや期限がすぎても売却できなかった場合の選択肢について分かりやすく解説していきます。

目次
  1. 専任媒介契約の有効期限は3か月
  2. 専任媒介契約のルール
  3. 専任媒介契約は期間中に解除可能?
  4. 専任媒介契約の期間満了後の選択肢
  5. 専任媒介契約の期間内に不動産を売却しよう!
記事カテゴリ 売却 マンション 一戸建て
2024.07.19

専任媒介契約の有効期限は3か月

マンションや一戸建て住宅、土地などの不動産を売却する際は、不動産会社に仲介を依頼して売却をサポートしてもらうことが一般的です。この際に取り交わす契約のことを媒介契約といい、契約の種類には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約があります。

なかでも、専任媒介契約や専属専任媒介契約の有効期間は、宅地建物取引業法で最大3か月と定められています。※1ただし、この期間はあくまで限度であるため、不動産会社は契約期間を3か月よりも短い期間に定めることも可能です。

また、一般媒介契約と違い専任媒介契約や専属専任媒介契約は、一度に複数の不動産会社と契約できませんが、なかなか売却できないからといって契約途中で解約すると、違約金が発生する恐れがあります

この記事では、特に専任媒介契約に焦点を当て、契約上のルールや、有効期限満了後の選択肢、違約金が発生するかどうかについて分かりやすく解説していきます。媒介契約の種類とそれぞれの特徴について知りたい方や、既に契約中の媒介契約の期間満了を控え、不動産会社の変更を検討している方はぜひ参考にしてください。

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専任媒介契約と地価変動率

専任媒介契約のルール

専任媒介契約には、売主(依頼者)と依頼した不動産会社の両者にルールが設けられています。守らなければならないルールについて、立場別に解説していきます。

売主に課されるルール

家の売主が専任媒介契約を結ぶうえで守らなければならないのは、同時に契約できる不動産会社は1社のみというルールです。

専任媒介契約は、1社との契約になるのでほかの不動産会社とは媒介契約を結べません。そのため、ある不動産会社と結んだ専任媒介契約の期間中に他社で売却を成立させた場合は既に専任媒介契約を締結していた不動産会社から売主に対して違約金の支払いを請求されることになります

なお、専任媒介契約では、専属専任媒介契約では禁止されている自己発見取引が可能です。自己発見取引とは、売主が自ら買主を見つけ、不動産会社を挟まずに個人間で売買契約を結ぶことです。しかし、個人間での不動産取引は手続きの手間や時間がかかるだけでなく、当事者同士のトラブルにつながりかねないため、自分自身で見つけた買い手でも不動産会社に仲介してもらうことがおすすめです。

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1社のみの契約

不動産会社に課されるルール

専任媒介契約において、不動産会社に課されるルールは以下の通りです。

・レインズ(指定流通機構)への登録
・売主に対する販売進捗の報告
・購入申込みがあったときの依頼者への報告

不動産会社は、物件情報の登録を、専任媒介契約の締結後7日以内(業者の休業日を除く)に行わなければなりません。レインズとは、国土交通大臣に指定された不動産流通機構が運営している、不動産会社のみアクセス可能な不動産情報システムのことです。レインズに物件情報が登録されると、サイトを通じて全国の不動産会社の目に留まるので、買主が見つかりやすくなるメリットがあります。なお、不動産会社には、物件情報をレインズに登録したことを示す「登録証明書」を売主に引き渡す義務もあります。

また、専任媒介契約の場合は、2週間に1回以上の頻度で業務の処理状況の報告をしなければなりません。報告する形式は宅地建物取引業法上、特に決められていませんが、国土交通省が作成した「標準媒介契約約款」の場合、文書または電子メールのうちいずれかの方法で報告しなければならないことになっています。なお、一般媒介契約では不動産会社の報告義務はなく、専属専任媒介契約では1週間に1回以上の報告が義務付けられています。

販売の進捗状況報告

専任媒介契約は期間中に解除可能?

専任媒介契約の期間中であっても、契約を解約(解除)することは可能です。ただし、解約理由によっては違約金がかかるケースがあるので注意しましょう。基本的には、不動産会社の活動内容が原因で解約する場合は、違約金はかかりませんが、売主の都合による解約は違約金がかかる場合があります。

違約金がかからない場合

違約金がかからない場合としては以下のものが挙げられます。

・不動産会社が宅建業法に違反する販売活動を行っている場合
・不動産会社が信義則に違反した場合

それぞれのケースについて具体例とともに詳しく解説していきます。

不動産会社が宅建業法に違反する販売活動を行っている場合
不動産会社が宅建業法に違反する販売活動や、不正行為を行っている場合は、解約しても売主は違約金を払う必要はありません。具体的には、レインズに登録しなかったり、決められた頻度で販売活動の報告をしなかったりなど、専任媒介契約をするうえで課される義務に従わなかったケースが挙げられます。

不動産会社が信義則に違反した場合
不動産会社が信義則に違反した場合も違約金を払わなくて問題ありません。また、専任媒介契約にかかる重要な事項について、故意もしくは重過失により事実を告げず、または不実のことを告げる行為をしたときも、違約金を払う必要はありません。

法律違反

違約金がかかる場合

売主の都合で、専任媒介契約の期間内に解約を希望する場合は違約金がかかる場合があります。たとえば、専任媒介契約の有効期間内に、依頼した不動産会社以外の不動産会社と売買契約を成立させたケースが挙げられます。違約金が発生するかしないかは、不動産会社によっても異なるので、契約前に確認しておきましょう。

専任媒介契約の期間満了後の選択肢

物件が売れないまま専任媒介契約が満了してしまいそうな場合、次の選択肢として基本的には以下の3つが挙げられます。

・別の不動産会社と媒介契約を結ぶ
・同じ不動産会社と別の契約方式で契約する
・専任媒介契約を更新する

それぞれの選択肢について詳しく説明していきます。

別の不動産会社と媒介契約を結ぶ

それまで専任媒介契約を結んでいた不動産会社の販売活動に不満がある場合、ほかの不動産会社に切り替えるために、専任媒介契約を更新しないことも1つの選択肢です。なぜなら買い手が付くかどうかは不動産会社の営業力が大きく影響するためです。次に契約する不動産会社は、実績豊富な不動産会社を選びましょう。

三井のリハウスでは、全国に広がるネットワークと豊富な販売実績を活用し、販売戦略をご提案いたします。媒介契約を結ぶ不動産会社にお悩みの方は、ぜひ三井のリハウスにご相談ください。

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どこの不動産会社にしようか悩む人

同じ不動産会社と別の契約方式で契約する

専任媒介契約から条件の異なる一般媒介契約に変更して、複数の不動産会社と販売活動を行うことで、買主が見つかる場合もあります。

3つの媒介契約の基本的なルールは以下の通りです。

項目専任媒介契約専属専任媒介契約一般媒介契約
複数社との契約不可不可
自己発見取引の可否不可
有効期間3か月以内3か月以内制限なし
※ただし、国土交通省が作成した「標準媒介契約約款」の場合、3か月以内
レインズへの登録契約締結から7日以内
(業者の休業日を除く)
契約締結から5日以内
(業者の休業日を除く)
義務なし
販売活動の報告頻度2週間に1回以上1週間に1回以上義務なし

よりこまめな活動報告が欲しい場合は専属専任媒介契約が、ほかの不動産会社とも媒介契約を結びたい場合は一般媒介契約がおすすめです。

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専任媒介契約を更新する

このまま販売活動を続けることで買主が見つかる見込みのある場合は、引き続き同じ不動産会社と専任媒介契約を更新するのも1つの選択肢です。ただし、媒介契約では自動更新の特約は付帯できないとガイドラインで定められているため、必ず更新手続きを行う必要があります。なお、更新は依頼者の申し出が必要です。

更新の手順としては以下の通りです。

[ 1 ] 専任媒介契約を結んでいる不動産会社から、有効期間満了後の方向性について確認がある
[ 2 ] 不動産会社に契約更新する旨を伝える
[ 3 ] 不動産会社の担当者から更新手続きの書類が渡される
[ 4 ] 書類に署名、捺印を記し、不動産会社に提出する

専任媒介契約の期間内に不動産を売却しよう!

この記事では、専任媒介契約の法律で定められた期間の上限や、契約をするうえで課されるルールについて解説してきました。専任媒介契約の期間中に家が売れなかった場合は、ご紹介した選択肢からご自身に合った方法を選びましょう。もし、媒介契約の種類に悩んでいたり、契約期間の満了を控え、不動産会社の変更を検討したりしている場合は、実績豊富な不動産会社に相談することをおすすめします。

三井のリハウスでは、100万件を超える取扱件数で積み重ねた知見を生かし、お客さまの売却を徹底的にサポートいたします。また、媒介契約を結んで取引を行った方を対象に設備・建物調査をはじめとした付加サービスもご用意しております。ぜひ一度三井のリハウスへご相談ください。

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※1出典:昭和二十七年法律第百七十六号 宅地建物取引業法,総務省
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000176
(最終確認:2024年7月11日)

監修者:三上隆太郎

株式会社MKM 代表取締役
大手ハウスメーカーにて注文住宅の受注営業、家業の建設会社では職人として従事。
個人向け不動産コンサルティング会社のコンサルタントやインスペクターを経験し、中古+リノベーションのフランチャイズ展開、資格の予備校にて宅地建物取引業法専属講師など、不動産業界に幅広く従事。
https://mkm-escrow.com/