
土地の固定資産税はいくら?税金の計算方法や特例について分かりやすく解説
土地の固定資産税は毎年かかりますが、どのように課税されるのかよく分からない人も多いのではないでしょうか?この記事では、固定資産税の計算方法や、軽減できる特例、逆に高くなってしまうケースについて詳しく解説していきます。
目次
土地には固定資産税がかかる
土地を所有している場合は、「固定資産税」を、毎年納税しなければなりません。固定資産税は、毎年4~5月に送付される納税通知書に基づいて、一括・または1年分を4期に分割して納める必要があります。また、土地の所在地によっては「都市計画税」も同様にかかります。
土地を所有している方のなかには、固定資産税とはどのように課税されるものなのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、固定資産税の計算方法や、負担を軽減できる特例、反対に高くなってしまうケースについて解説していきます。
土地の固定資産税評価額とは
土地の固定資産税の仕組みを理解するにはまず固定資産税評価額について知る必要があります。なぜなら固定資産税の税額は、固定資産税評価額を基準にして決定されるためです。固定資産税評価額とは、土地や建物など長期にわたって保有・使用する資産(これらを固定資産と呼びます)の価値を評価したものです。これは、固定資産をどう評価するか定めた「固定資産評価基準」に基づき、各市町村(東京23区は都)によって決定されます。お住まいの地域の固定資産税評価額は、以下の方法で確認できます。
・公示地価から調べる
・課税明細書で確認する
・固定資産評価証明書を発行する
以下で1つずつ詳しく説明していきます。
公示地価から調べる
公示地価(地価公示価格)とは、国土交通省によって公表される、毎年1月1日時点における標準地の価格のことです。宅地の場合は、この公示地価の7割を目安に固定資産税評価額が定められます。そのため、固定資産税評価額を求めたいときは、公示地価に0.7をかけることで算出可能です。
なお、公示地価は、国土交通省のWEBサイト「不動産情報ライブラリ」で確認できます。
課税明細書で確認する
固定資産税評価額は、固定資産税・納税通知書の課税明細書で確認できます。納税通知書が届くタイミングは各自治体によって異なりますが、4~5月頃が一般的です。
固定資産評価証明書を発行する
お住いの自治体の担当窓口にて、固定資産評価証明書を発行することで固定資産税評価額を確認することも可能です。手数料や取得方法については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
●固定資産評価証明書に関する詳しい記事はこちら
3年ごとに評価が変わる
固定資産税評価額は3年ごとに価格の見直しが行われており、これは「評価替え」と呼ばれています。評価替えが行われる年度は「基準年度」と呼ばれ、2021(令和3)年度の次は2024年度です。土地の価格は3年間基準年度の価格を据え置くことが原則ですが、地価の下落などにより価格が適当でない場合は、価格の修正(下落修正措置)が行われることもあります。固定資産税の金額が変わっている可能性もあるので、確認しておきましょう。
土地にかかる固定資産税の計算方法
固定資産税は、以下の式を用いて算出できます。
固定資産税額 = 課税標準額 × 1.4%
課税標準額とは、税額の計算の基礎となる金額のことです。通常は固定資産税評価額と同じ金額になりますが、土地の場合は固定資産税評価額に対して、負担調整や特例による軽減措置がとられます。ここからは、固定資産税の負担調整と特例による軽減措置について詳しく解説していきます。
負担調整
負担調整とは、税負担の地域格差や、評価替えによって税負担が急激に大きくなる問題を解消するために行われているものです。具体的には、「負担水準(本年度の評価額に対する前年度の課税標準額の割合)」に応じて、課税標準額の引き上げや据え置き、引き下げなどを行います。負担水準の具体的な算出方法については、総務省のサイトを併せてご参照ください。
特例による軽減措置
実は、土地の固定資産税を軽減できる特例が存在します。特例による軽減措置については以下で詳しく見ていきましょう。
土地の固定資産税は軽減できる
土地の固定資産税は、要件を満たすと特例措置により、税額が軽減されます。固定資産税を軽減できる特例は以下の通りです。
・住宅用地の特例
・被災住宅用地の特例
ここからはそれぞれの特例について詳しく解説していきます。
住宅用地の特例
住宅用地の特例とは、住宅用地として利用されている土地の税金が軽減される制度をいいます。具体的な軽減の内容は以下の通りです。
住宅用地の区分 | 固定資産税の軽減内容 |
---|---|
小規模住宅用地 (住宅1戸につき200㎡以下の部分) | 固定資産評価額 × 1/6 |
一般住宅用地 (住宅1戸につき200㎡を超える部分) | 固定資産評価額 × 1/3 |
上記の対象となるのは、固定資産税が課税される1月1日時点で住宅用地である土地です。ただし、住宅用地とみなされるには要件を満たしている必要があり、家屋のない更地や建築途中の土地は対象外となることがあるので注意が必要です。
被災住宅用地の特例
被災住宅用地の特例とは、震災により滅失または損壊した住宅の敷地(被災住宅用地)について税負担を軽減する制度です。被災して住宅を取り壊した土地の場合、固定資産税が課税される1月1日時点では更地であっても、引き続き住宅用地であると見なされ、住宅用地の特例を受けられます。ただしこの制度を利用するには一定の要件を満たし、「固定資産税の被災住宅用地等申告書」により申告を行う必要があります。
上記2つの特例に関する要件の詳細は、お住まいの自治体のホームページや窓口でご確認ください。
土地の固定資産税が高くなる!
上記では、土地の固定資産税は特例を利用することによって軽減できることを紹介してきました。しかし一方で、固定資産税が高くなってしまうケースも存在します。特に注意しなければならないのは、建物を建てたままの状態で土地を放置してしまっている場合です。というのも、固定資産税は建物と土地に対して別々に課税されるためです。建物を建てたまま土地を放置していると、両方に税金がかかり、結果として負担が大きくなってしまいます。
また、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づいて特定空き家に指定されると、住宅用地の特例措置が利用できなくなってしまいます。特定空き家とは、以下の状態に該当する空き家です。※
・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
固定資産税の増額は、経済的に大きな負担となります。建物を建てたままで利用していない土地を持っている方は、できる限り早めに対応を検討しましょう。
土地にかかる固定資産税の計算シミュレーション
ここまで、土地にかかる固定資産税の仕組みや特例などについて説明してきました。しかし、それでも「実際にどれくらいの税金がかかるかイメージできない」という方も多いのではないでしょうか?そこで、ここでは土地にかかる固定資産税をシミュレーションします。条件は以下の通りです。
・固定資産税評価額 6,000万円
・敷地面積180㎡の住宅用地
・税率 1.4%
※負担調整については考慮しない
固定資産税を求める際、まずは課税標準額を求めます。上記でご紹介した通り、住宅用地の場合は特例を利用できるので、課税標準額が減額されます。今回は敷地面積が180㎡以下であり、小規模住宅用地に当てはまるため、課税標準額は固定資産税評価額の1/6である1,000万円になります。
次に、求めた課税標準額をもとに、固定資産税を計算していきましょう。固定資産税は標準税率が1.4%なので、計算式は以下のようになります。
固定資産税 = 1,000万円(課税標準額) × 1.4% = 14万円
このように、固定資産税はその基礎となる課税標準額を求めることで算出できます。気になる方は、下記の記事も参考に計算してみるとよいでしょう。
●固定資産税の計算方法に関する詳しい記事はこちら
固定資産税の負担を減らすためにも土地売却を検討しよう
今回は、土地にかかる固定資産税の計算方法や特例について解説してきました。しかし、土地と建物は別々に固定資産税がかかるうえに、建物が特定空き家に指定されると特例が適用できなくなるため、税金の負担が増えるケースも少なくありません。こうした、活用する予定のない土地の固定資産税が負担になっている方は、ぜひ一度土地の売却を検討してみてはいかがでしょうか?売却することによって、固定資産税の負担がなくなるうえ、まとまった資金も得られます。
三井のリハウスでは、豊富な取引実績に基づく高精度な査定や、売却サポートを通して、お客さま一人ひとりに寄り添った売却プランのご提案を行っています。「土地を売却したいけれど、どうしたらよいか分からない」「どこに相談したらよいか分からない」という方は、ぜひお気軽に三井のリハウスへご相談ください。
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※出典:「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」、国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001712338.pdf
(最終確認:2024年6月17日)


監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。