離婚時に家が売れない!対処法やローンがあるケースについても解説

離婚が決まり、家を売りたい意志があっても、スムーズに売却に至らず困っている方も多いでしょう。この記事では、離婚時に不動産売却ができない原因や対処法についてご紹介します。

目次
  1. 離婚時に家が売れない原因
  2. 離婚で家を売りたいのに売却活動まで至らずに売れないケース
  3. 離婚で家の売却活動をしているのに売れないケース
  4. 離婚時に家が売れないときの対処法
  5. 離婚時にローンがある家を売りたいときの対処法
  6. 離婚時の家の財産分与はどうなる?
  7. 離婚時の家の売却でお困りの方は三井のリハウスへ
2024.11.02

離婚時に家が売れない原因

離婚時の不動産売却は、財産分与が絡むこともあり、通常の売却とは状況が異なることが多いのが一般的です。友好的な話し合いが難しい場合は、家が売れるまでに時間がかかったり、途中でもめたりすることもあるでしょう。

離婚で家を売るのは簡単ではないからこそ、売れない原因や売却時の注意点を把握し、適切な対処が大切です。離婚時に家が売れないケースは大きく2つに分けられます。「売却活動まで至らずに売れないケース」と「売却活動をしているのに売れないケース」です。それぞれ主な原因は、以下の表に記載されていることが挙げられます。

離婚時に家が売れないケース売れない原因
離婚で家を売りたいのに売却活動まで至らずに売れないケース・住宅ローンが残っている
・夫婦の意見が一致しない
離婚で家の売却活動をしているのに売れないケース・売り出し価格が相場と合っていない
・家の魅力を伝え切れていない

離婚時に家が売れないケースや対処法について詳しく見ていきましょう。

離婚した夫婦と家の模型と現金

離婚で家を売りたいのに売却活動まで至らずに売れないケース

離婚で家を売りたくても、下記のように売却活動まで至らないケースがあります。主な原因について解説していきます。

住宅ローンが残っている

住宅ローンの残債がある場合、不動産の引渡しの際に残債を完済していないと売却はできません。もし住宅ローンが残っている家を売りたい場合、引渡しまでにローンを完済しなければならないということです。そこで、売却を検討する前に、「住宅ローンの残債がどのくらいあるか」「家の売却でどのくらいの資金が得られそうか」を調べて、引渡しまでに完済が可能かを判断する必要があります。

家を売っても住宅ローンが残ってしまうオーバーローンの状態で、かつ自己資金でも補填できない場合、不動産を売却するのは難しくなるといえるでしょう。離婚時に住宅ローンが残っている家を売るケースについては、後ほど解説します。

夫婦の意見が一致しない

前提として、そもそも夫婦の意見が一致していなければ、家を売却することは難しくなります。特に、名義人がどちらか一方ではなく夫婦共有名義の場合、協力して手続きを進める必要があるためです。夫(妻)は家を売りたいのに妻(夫)は手放したくない場合や、売り出し価格について夫婦の意見が異なる場合は、売却の話が進みにくいでしょう。

●共有名義不動産の売却について詳しい記事はこちら

議論する夫婦

離婚で家の売却活動をしているのに売れないケース

夫婦の意見がまとまり、売却活動を行っているにもかかわらず、なかなか家が売れないケースもあります。考えられる主な原因は以下の通りです。

売り出し価格が相場と合っていない

当然ですが、家の売り出し価格は、相場より高過ぎると売れにくくなります。しかし、住宅ローンの残債がある場合、残債を完済するために相場価格より高い売り出し価格を設定して様子を見るというケースもあります。ただし、物件によほどの魅力がなければ買い手を見つけるのは難しいといえるでしょう。

反対に、相場より低過ぎても、買い手に「この物件には何か問題があるのでは?」と思われ、売れにくくなる恐れがあります。家の売却相場は、築年数や設備などの住宅自体の要因はもちろん、経済や市場の動向、季節によっても推移するので、注意深く見極め、適切な売り出し価格を設定することが重要です。

家の魅力を伝え切れていない

買い手は、複数の物件を同時に内覧していることがほとんどです。そのため、売主は自分が住んでいる物件のよさについて整理し、購入検討者にしっかり伝える必要があります。キッチン設備やベランダの有無、日当たりなど、アピールできる点をしっかりとまとめておきましょう。また、部屋が極端に散らかっていたり、汚れが目立っていたりすると、物件の印象が悪くなってしまう恐れがあります。物件本来のよさが伝わりやすいよう、整理整頓や掃除は念入りに行いましょう。

きれいな空と家

離婚時に家が売れないときの対処法

家を売りたいのにスムーズに進まないときは、以下のような対処法が考えられます。

・弁護士に介入してもらう
・空室・空き家にして売る
・値下げを検討する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

弁護士に介入してもらう

家を売却したいのに離婚協議で折り合いがつかないときは、弁護士に間に入ってもらう選択肢もあります。費用はかかりますが、専門知識やノウハウがある弁護士を通すことで、話し合いがスムーズに進む可能性が高いでしょう。特に、離婚時は当事者間での議論が円滑に進まない場合があるためです。また、夫婦で合意した財産分与、慰謝料などの支払い条件を記録する公正証書の作成においても、専門家の手を借りたほうが安心というメリットもあります。

空室・空き家にして売る

内覧を行っていても売却に結び付かない場合は、家を空室・空き家にした後に売却するという選択肢もあります。空室・空き家にすれば、生活感がなくなり、かつ部屋も広く見えるため売れやすくなる可能性があるでしょう。ただし、住んでいる物件を退去するには、物件の売却代金を手にする前に新居を購入するか、賃貸物件を借りる必要があるので、まとまった自己資金がある場合の選択肢の1つと捉えておくとよいでしょう。

弁護士に相談する様子

値下げを検討する

家の売却期間が長引くと、購入検討者から売れ残りのイメージを持たれることがあるので、できるだけ早い売却を目指しましょう。先述したように、売り出し価格が相場よりも高過ぎると家は売れにくくなります。まずは売り出し価格が適正であるかどうかを確認し、相場よりも高過ぎる価格で売り出している場合は、値下げを検討してみましょう。

しかし、何度も値下げすると、何か問題のある物件だと思われ、さらに売れにくくなる恐れがあるため、前もって値下げの下限を決めておくことをおすすめします。適切な売り出し価格を設定するには、市場の動向や購入者のニーズ、エリアや物件の状態など、さまざまな視点で総合的に判断する必要があります。そのため、売買のノウハウを持つ不動産会社への相談がおすすめです。

相談する男性

離婚時にローンがある家を売りたいときの対処法

離婚時に住宅ローンの残債がある家をどうしても売りたい場合、「住宅ローンが完済されている」「不動産に設定された抵当権の登記が抹消されている」という2つの条件を満たせば、売却できます

まず、住宅ローンの完済については、ローンの残債と家を売って得られるお金をもとに考えます。家を売って得られる金額が、ローン残債を上回っている場合は、ローンを完済してもなお、手もとにお金が残ることになり、この状態を「アンダーローン」といいます。アンダーローンの場合は、家を売って得たお金で住宅ローンを一括返済し、余った金額を夫婦で分けるのが一般的です。

反対に、家を売って得られる金額が、ローン残債を下回っている場合を「オーバーローン」といいます。オーバーローンの場合、家の売却代金だけでは抵当権を外すことができず、そのままでは家を売却することはできません。そのため、オーバーローンでも家を売りたい場合、下記のような対処法があります。

・残債の不足分に自身の預貯金といった自己資金を充てる
・住み替えローンを利用する
・任意売却を検討する

住み替えローンとは、旧居の住宅ローンの残債と新居の購入資金を併せて借り入れできる住宅ローンのことです。住み替えローンを利用すれば、オーバーローンでも今の家を売り、新居を購入することができます。ただし、借入額が高額になるため借り入れの審査は一般的な住宅ローンに比べて厳しいという傾向があります。

また、任意売却とは、債権者(金融機関)の了承を得て住宅ローンの残債がある家を売却する方法です。一定の条件はあるものの、一般市場で取引できるため、競売と比べると高い金額で売ることができます。ただし、任意売却後は、売却代金を充てても完済できなかった残債分の返済が必要です。また当分の間、融資が受けられなくなり、信用情報機関へ登録される可能性があります。そのため任意売却は、最終手段として検討しましょう。

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●マンション売却時に住宅ローン残債がある場合について詳しい記事はこちら

●住宅ローン返済中の家を売る方法について詳しい記事はこちら

家の模型と電卓

離婚時の家の財産分与はどうなる?

夫婦の婚姻期間中に購入した家は、離婚時に財産分与の対象となります。ただし、家を均等に分割することは難しいため、家を売却し現金化して分け合うか、夫婦のいずれか一方が所有して住み続け、一方は現金を受け取る方法を選択することになります。離婚の際の財産分与には原則として贈与税はかからず、不動産取得税もかかりません。ただし、離婚成立前に財産分与を行ったり、夫(妻)が妻(夫)に家を与えたりした場合は、これらの税金が課せられるため離婚のタイミングには注意が必要です。

なお、夫婦のどちらかが所有して家に住み続け、一方が現金を受け取るケースでは、マンションや一戸建てなど、物件の評価額を基準にして持ち家の価値を算出し、算出金額をもとに原則半分ずつ財産分与を行います。たとえば物件の評価額が4,000万円の場合、家に住み続ける側が、出ていく側に対して2,000万円の現金を支払うことになります。

●離婚時の財産分与について詳しくはこちら

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離婚時の家の売却でお困りの方は三井のリハウスへ

離婚時の財産分与にはさまざまな工程があり、離婚を決めた夫婦が冷静に話し合うのは難しい可能性があります。特に不動産における財産分与は、家を売却し、現金化したほうがスムーズにいくことが多いですが、そもそも夫婦間で売却の話がまとまらなかったり、住宅ローンの残債があるため思うように売却できなかったりする恐れもあります。

話を円滑に進めるためにも、まずは不動産会社に査定を依頼し、いくらで売れそうかを把握するのがおすすめです。いくらで売れそうか、その目安が分かれば、住宅ローン完済の計画を立てたり、財産分与の方法を考えたり、離婚に向けた家の売却計画をより具体化できるでしょう。また、売却が円滑に進むよう、実績が豊富で信頼できる会社に相談するのがおすすめです。

三井のリハウスでは、100万件を超える取引実績に基づく、精度の高い査定を無料で行っています。訪問査定や簡易査定だけでなく、その場ですぐに結果が分かるリハウスAI査定もご用意しています。不動産に関する幅広い相談に対応しておりますので、不動産売却をお考えの方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。