
リースバックは住宅ローンの残債ありでも利用できる?返済に困ったときの対処法を解説
リースバックの利用を検討する際、住宅ローンが残っていても利用できるのかと疑問に思うことがあるかもしれません。今回は、住宅ローンの残債ありでもリースバックは利用できるのか、残債ありで利用するメリットや注意点について詳しく解説します。
目次
リースバックは住宅ローンの残債ありでも利用できる?
リースバックとは、マンションや一戸建てなどの自宅を売却し、まとまった資金を調達した後、賃貸という形でもとの自宅に住み続けるサービスを指します。売却先は主に不動産会社で、売却先の買主と売買契約および賃貸借契約を結ぶという仕組みです。売却によって調達した資金は、個々の事情に応じて自由に活用できます。
リースバックは住宅ローンの残債があっても原則利用可能ですが、細かい条件や注意点があるので、この後詳しく見ていきましょう。
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アンダーローンなら利用できる
リースバックを住宅ローンの残債ありで利用するには、アンダーローンの状態であることが基本です。アンダーローンとは、住宅ローンの残債が家の売却金額を下回っていることを指します。つまり、自宅の売却価格から売却にかかる諸費用を差し引いた金額が、住宅ローンの残債を上回っていれば、リースバックを利用できると考えてよいでしょう。
オーバーローンだと基本的に利用できない
オーバーローンとは、住宅ローンの残債が家の売却金額を上回っていることを指します。自宅の住宅ローン残債がオーバーローンの状態なら、リースバックは利用できないと考えたほうがよいでしょう。
オーバーローンの不動産をリースバックで売却する場合、売却金額で相殺できない住宅ローンの残債は、自己資金での完済が求められます。住宅ローンの完済ができなければ抵当権を外せないので、基本的にリースバックは利用できません。従って、オーバーローンの自宅をリースバックで売却するのは困難というのが現状です。
●抵当権に関する詳しい記事はこちら
なお、オーバーローンで住宅ローンを完済できない場合以外にも、リースバックを利用できないケースはあります。たとえば建物に瑕疵(不具合や欠陥)がある、再建築不可物件である、土地や建物の共有持分者全員の同意が得られない、などの問題がある場合、リースバックの利用は難しいといえるでしょう。
住宅ローンの残債ありでもリースバックを利用するメリット
アンダーローンの状態でリースバックを利用したい場合は、リースバックのメリットと注意点をしっかりと把握してから具体的な検討に入ることをおすすめします。リースバックの主なメリットは以下の通りです。
・まとまった現金を調達できる
・住み慣れた家に、賃借人として住み続けることができる
1つずつ見ていきましょう。
まとまった現金を調達できる
リースバックを利用して一戸建てやマンションなどの自宅を売却すると、大きな資金を手にすることができます。また、一般の個人から買い手を募るのではなく、不動産会社といった買主が既に決まっています。そのため、通常の不動産売却に比べると、まとまった現金の調達に時間がかからないことも、リースバックのメリットです。
住み慣れた家に、賃借人として住み続けることができる
リースバックによる売却後は、新たな家主となる買主と賃貸借契約を結び、家賃を支払う形でそのまま住むことができます。慣れ親しんだ場所に居続けられるため、生活環境の変化によるストレスを感じなくて済むでしょう。また、新居探しや引越しも不要になることで、時間や労力、コストの削減ができます。
住宅ローンの残債ありでもリースバックを利用する場合の注意点
リースバックの利用には、ここまでご紹介したメリットがある一方、注意点もあるため、後悔しないようにしっかりと理解しておきましょう。主な注意点は以下の通りです。
・自宅の買取価格(売却価格)が市場価格よりも安くなる可能性が高い
・買取価格(売却価格)が高くなると家賃の金額も高くなる
・いつまでも住み続けられる保証はない
・買い戻す場合は売却時の価格よりも割高になることが多い
1つずつ見ていきます。
自宅の売却価格が市場価格よりも安くなる可能性が高い
リースバックで自宅を売却する際の価格は、買い取る不動産会社ごとに違いはあるものの、通常の不動産売却による価格と比較して、20~40%ほど安くなる傾向があります。現金化のスピードは通常の不動産売却よりも早いのですが、手に入る金額が大きく下がることは想定しておきましょう。
買取価格が高くなると家賃の金額も高くなる
リースバックの利用時に自宅が高値で買い取られた場合、賃借人として支払う家賃が相場よりも高くなることがあります。リースバック後の家賃は家主である買主によって決められますが、一般的な家賃の計算式は以下の通りです。
家賃 = 「買取価格(売却価格) × 期待利回り(6~8%) ÷ 12か月」
上記の式が示すように、家賃は不動産の売却価格と、その物件が1年でどれくらいの収益を上げるかを見込んだ期待利回りのかけ算で算出するため、売却価格が高いほど家賃も高くなってしまうのです。
いつまでも住み続けられる保証はない
家賃を支払っていれば、リースバックで売却した家にずっと住み続けられるかというと、必ずしもそうではありません。
賃貸の契約には「定期賃貸借契約」と「普通賃貸借契約」があり、「定期賃貸借契約」は契約期間の満了後に契約更新できない場合が多く、速やかな退去を求められます。一方「普通賃貸借契約」は、賃借人の希望に沿って契約を更新できるのが一般的です。ただし、賃借人の契約違反、家賃の滞納、建物の老朽化などにより、退去を要求されるケースもあるので注意しましょう。
買い戻す場合は売却時の価格よりも割高になることが多い
リースバックで売却した不動産を買い戻す際の価格は、売却価格の1.1~1.3倍になるといわれています。
これを踏まえると、たとえば2,000万円で売却した家を買い戻すには、2,200万~2,600万円程度必要になると想定できます。ただし、リースバックで売却した家を買い戻す際は住宅ローンを組めないことが多く、さらに住み続けるには毎月の家賃も納めなければなりません。金銭的な負担が大きくなるため、将来的に買い戻したいと考える場合は、時期と一括払いの金額を想定して資金計画を早めに立てましょう。
リースバックを断られた!対処法3つ
自宅がアンダーローンの状態であっても、実際にリースバックを利用するためには、リースバック事業者の審査を通過しなくてはなりません。しかし審査項目は多岐にわたり、場合によっては審査を通過できずリースバックの利用を断られることもあります。そのようなときはどう対処すればよいのでしょうか?主な方法は以下の3つです。
・ほかのリースバック事業者に相談する
・通常の不動産売却をする
・任意売却を検討する
詳しく見ていきましょう。
ほかのリースバック事業者に相談する
最初に相談したリースバックの事業者と条件面で折り合いがつかず断られた場合は、別の事業者を探してみましょう。会社ごとに細かい条件は異なるため、他社なら契約可能という場合もあり得ます。また、事業者を選ぶ際は、自宅のあるエリアに強いかどうかも判断材料の1つとなります。特定のエリアに強い事業者なら、相場を踏まえた適正な査定額や家賃が提示されるでしょう。
ただし、いずれかのリースバック事業者に売却できたとしても、住み続けられる保証はないことや、家賃の支払い義務があることに変わりはありません。リースバックを利用する際は、くれぐれも慎重に判断しましょう。
通常の不動産売却をする
住宅ローンの残債がアンダーローンの状態なら、リースバックではなく、通常の不動産売却がおすすめです。通常の不動産売却を行うと、リースバックのように賃借人として住み続けられないため、新しい住まいを探す必要はありますが、市場に見合った適正価格で売却できる可能性が高いのは大きな魅力といえます。
多くの人が利用している一般的な方法なので、まずは経験と実績の豊富な不動産会社へ通常の査定を依頼してみましょう。
任意売却を検討する
住宅ローンの残債がオーバーローンの状態で、足りない分を補う自己資金が用意できないと、通常の不動産売却やリースバックは実行できないことが一般的です。住宅ローンの返済が厳しいけれど、競売で自宅を手放すことは避けたいという場合、選択肢の1つとして任意売却を検討してみましょう。
任意売却は、住宅ローンを組んでいる金融機関に相談して了承が得られれば、抵当権を抹消してもらい、売主の希望をある程度聞き入れてもらいながら市場で売却するという仕組みです。しかし、金融機関の了承を得て抵当権を抹消してもらえても住宅ローンの残債が減るわけではなく、不動産売却後も返済は続きます。また、競売開札日の前日までに売却できなければ競売にかけられるといったリスクも存在するため、任意売却は最後の手段と捉えておくとよいでしょう。
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ここまで、リースバックを住宅ローン残債ありの状態で利用する際のメリットや注意点を解説してきました。リースバックには、比較的短期間でまとまった資金が手に入るといった利点がある一方で、住み続ける限り家賃が発生したり、ずっと住み続けられる保証がなかったりするなどの注意点が存在します。焦って決断せず、信頼できるプロに相談するのがおすすめです。
相談先は、経験や実績が豊富であることはもちろん、個々の事情を理解して親身なアドバイスをくれる不動産会社を選びましょう。
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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。