離婚を機に買ったばかりの家を売るには?新築を建てた直後に売却する際の注意点も解説

離婚に伴い、買ったばかりの家であっても売りたいという方もいるでしょう。というのは、離婚時の財産分与の際に不動産は売却して現金化したほうが平等に分けられるからです。本記事では、離婚に伴う不動産売却の際に確認しておきたい点をまとめて解説します。

目次
  1. 買ったばかりの家を売る理由の1つに離婚がある
  2. 離婚で買ったばかりの家を財産分与するには
  3. 離婚で買ったばかりの家を売るときの確認事項
  4. 買ったばかりの家を売るには離婚のタイミングも見極めよう
  5. 離婚のため、買ったばかりの家を売る際のポイント
  6. 離婚で建てたばかりの新築を売る際の注意点
  7. 離婚に伴い買ったばかりの家を売りたいなら、まずは不動産査定を
2024.11.19

買ったばかりの家を売る理由の1つに離婚がある

買ったばかりの家であっても、急な転勤や離婚などさまざまな理由で不動産売却を検討するケースがあります。離婚をきっかけにマイホームを売る場合、財産分与を行うために、住宅ローンの残債や家の名義、売却タイミングを確認することが必要です。なお、財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を離婚時に分配する制度で、預貯金や家具、家財、不動産、住宅ローンの残債などが対象になります。この記事では、離婚が原因で買ったばかりの家を売りたいと考えている方に向けて、売却前に押さえておきたい点を詳しく解説します。

離婚届と印鑑

離婚で買ったばかりの家を財産分与するには

離婚を理由に買ったばかりの家の財産分与を行う方法としては、「家を売却する」「どちらかが所有し、家に住み続ける」という2つの選択肢があります。家を売却する場合は、売却代金を2人で分けます。どちらかが所有し、家に住み続ける場合は、住み続ける人が家を出る人へ、その家の価値の半分のお金を渡すことが一般的です。

財産分与を行うにあたっては、家を売却するほうが離婚後の見通しが立てやすいでしょう。その理由として、不動産を売却して現金化したほうが財産を分割しやすいこと、残った住宅ローンに関連するトラブルの心配が減ることが挙げられます。

●離婚時の財産分与について詳しくはこちら

離婚時に必要な家の財産分与

離婚で買ったばかりの家を売るときの確認事項

家の購入にかかる費用は高額になるため、住宅ローンを組むことが一般的ですが、家を売却するためには住宅ローンを完済する必要があります。また、不動産が誰の名義になっているかによって売却の手続きが異なることもあります。そのため、買ったばかりの家を売る場合は、売却前に以下のことについて確認しておきましょう。

住宅ローンの返済見込みや連帯保証人の確認

住宅ローンを組んで家を購入した場合は、住宅ローンの残債に家の売却代金を充てて一括返済することで売却が可能になります。そのため、家の売却見込み額とローンの残債を比べて、売却が可能かどうかを見極めなければなりません。住宅ローンの残債と売却見込み額の比較により「アンダーローン」「オーバーローン」に分かれますので、それぞれの対処法について解説します。

アンダーローンの場合
アンダーローンとは、売却代金が住宅ローンの残債よりも多いことを意味します。家の売却代金を住宅ローンの一括返済に充てて、住宅ローンを完済して残った金額は、離婚に伴う財産分与で清算できます。

オーバーローンの場合
オーバーローンとは、売却代金よりも住宅ローンの残債のほうが多いことを意味します。オーバーローンの場合、売却代金で払えなかった残債は自己資金で支払うのが一般的です。

自己資金が調達できない場合はオーバーローンが解消されるまで、住宅ローンを支払い続けることとなります。離婚をして、共に暮らしていない状態でも、住宅ローンの債務者や連帯保証人になっている場合、返済義務は免れません。そのため、自己資金の投入による完済が難しく、資金繰りが苦しくなりそうなら、資金の目途がつくまで売却時期をずらすことも選択肢の1つに入ってくるでしょう。

家の模型と電卓とお金のイメージ

不動産の名義の確認

家や土地といった不動産には「名義」があります。「名義」とは不動産の「所有者」として登録されている人のことで、登記簿で管理されており、登記簿には所有者のほか、所在地や住宅ローンの抵当権の設定状況なども記載されています。なお、1つの不動産に所有者として1人が登録されていることを「単独名義」、所有者として複数の人が登録されていることを「共有名義」といいます。名義の状況によっては、売却の手続きが異なることもあるため、事前に確認しておきましょう。

単独名義の場合
不動産売却の際には、名義人本人の意志だけで物件を売ることが可能です。

共有名義の場合
売却には名義人全員の同意が必要となるため、夫婦2人の共有名義の場合は、双方の同意が必要です。なお、離婚後に手続きが複雑化しないように単独名義にする場合は、ほかの共有者から持分割合を購入する方法があります。

●共有名義の不動産売却について詳しくはこちら

不動産名義が記載されている登記簿

買ったばかりの家を売るには離婚のタイミングも見極めよう

不動産の売却価格は相場や金利、市況などさまざまな要素が影響を与えます。特に新年度前の2~3月は購入の需要が高まり、不動産の売却価格が上がることもあります。

●家を売るタイミングについて詳しくはこちら

買ったばかりの家を売るタイミングとして離婚前と離婚後のどちらが適しているかは人それぞれです。以下で家を離婚前に売る場合と離婚後に売る場合のメリットと注意点についてお伝えします。どちらのタイミングがより自分に向いているかを考えてみてください。

離婚前

買ったばかりのマイホームを離婚前に売る場合は、離婚前に相手とのさまざまなやりとりを済ませられます。急に相手と連絡が取れなくなるトラブルを防げたり、離婚後にスッキリとした気持ちで新生活を始められたりといったメリットがあるでしょう。離婚後に相手とできるだけ連絡を取りたくない方は離婚前に家の売却を検討することをおすすめします。

注意すべき点は、不動産会社の仲介を通して売却する場合、売却するまで平均3~6か月かかり、それまで婚姻関係が続くということです。不動産会社に買取を依頼する場合は平均1か月で売買契約を進められますが、成約価格が仲介の6~8割と低い傾向にあるため、こちらも注意が必要です。

離婚後

財産分与のため離婚後に家を売るメリットは、家の売却成立を待たずに速やかに離婚できることや、時間をかけて納得のいく売却活動ができることが挙げられます。離婚前に家を売ろうとすると、離婚を急ぎたいために売却条件を妥協してしまい、物件の適正価格よりも安く売ってしまうことがあるかもしれません。

一方で、物件の売却が完了するまでは、離婚した相手と相談しなければならない機会が多いことに注意しましょう。離婚後も相手と円滑にコミュニケーションを取れることが離婚後に家を売るための必要条件です。

離婚のため、買ったばかりの家を売る際のポイント

離婚をきっかけにした不動産トラブルは極力避けたいものです。次の3点を押さえて、円満に手続きを進めましょう。

トラブル防止の公正証書を作成する

離婚後の取り決めは、公正証書として書面に残すことをおすすめします。公正証書とは、法律に基づき、公証役場で公証人に作成してもらう公文書のことで、これに記載された内容に違反すると支払いの催促や差し押さえができる効力を持ちます。口約束には法的効力がないため、口約束のままではそれぞれの主張が異なるといったトラブルに発展する可能性があります。離婚の話し合いをする際は離婚協議書を作成し、それを公証役場に持ち込んで公正証書にするとよいでしょう。

離婚協議について記載した公正証書

慰謝料が発生するか確認する

離婚では慰謝料を請求できるケースが法律で決まっています。ドメスティック・バイオレンス(DV)、モラルハラスメント(モラハラ)、不貞行為(浮気や不倫)、悪意の遺棄(夫婦の同居、協力、扶助義務違反)などは「不法行為」と呼ばれ、これらによって相手が身体的・精神的苦痛を受けた場合は、慰謝料を請求できるケースに該当します。このとき、夫婦関係を破綻させた人のことを有責配偶者といいます。一方、「性格の不一致」などは原因がお互いにあると考えられるため、慰謝料は発生しないことが多いという点には注意が必要です。

建築中なら工事が終わってから売却するのも選択肢の1つ

買ったばかりの家が建築中の場合、夫婦の離婚を理由に工事の中断は難しいでしょう。家の建築工事と夫婦の離婚は別問題で、法的なつながりはないためです。仮に着工しているにもかかわらず中断した場合は出来高分の支払いが必要で、損害賠償を求められることもあります。建築中の家は完成を待って新築で売却し、その金額を財産分与する方法も選択肢の1つです。賠償、手数料、売却価格などを総合的に試算して判断しましょう。

建築中の家

離婚で建てたばかりの新築を売る際の注意点

新築の家は資産価値が高いものの、所有期間が5年以下だと譲渡所得にかかる税率も高くなることに注意が必要です。以下で詳しく解説します。

家は「新築」の価値が高い

「新築」とは、新たに建設された住宅で、未入居かつ建築が完了してから1年以内の建物のことを指します。新築の一戸建てやマンションは「新築プレミアム」として新築独自の価値が1~3割上乗せされているため、取引価格が高いのが一般的です。そのため、買ったばかりであっても入居していれば新築と同等の価格で売却するのは難しいでしょう。

なお、「築浅」は「中古」扱いのため「新築」ではありません。前述の通り一般的には「新築」よりも価値が下がります。なお、「築浅」とは「新築」とは異なり明確な定義がありません。不動産会社によって定義が異なりますが、一般的には、建築が完了してから1年以内で入居済み、または建築後5年以内といった建物を指します。

不動産売却にかかる税金

不動産売却に際して利益が出た場合には、譲渡所得にかかる所得税と住民税、2037年までは東日本大震災の復興特別所得税が発生することに注意が必要です。まず、所有期間5年以下の不動産を売却したときは短期譲渡所得、所有期間5年超のときは長期譲渡所得と見なされます。短期譲渡所得に課される税率(39.63%)は長期譲渡所得の税率(20.315%)の約2倍になるため、所有期間が短い場合は納税額が高くなります。

従って、長期譲渡所得になるのを待ってから売却するという考え方もあるでしょう。なお、譲渡所得にかかる税金については特別控除もあるため、要件を満たしていれば課税されない場合もあります。

●買ったばかりの家を売るときの方法や注意点について詳しくはこちら

離婚に際した不動産売却手続き

離婚に伴い買ったばかりの家を売りたいなら、まずは不動産査定を

ここまで、離婚に伴って買ったばかりの家を売るときに確認したいポイントを紹介してきました。離婚に際して買ったばかりの家を売りたくても何から始めたらよいのか分からず、不安な方も多いでしょう。そのような不安に直面したら、まずは信頼できる不動産会社に相談してみてはいかがでしょうか?買ったばかりの家がいくらで売れるのかを査定してもらうことで、離婚や離婚後の生活に向けた見通しも立てやすくなるでしょう。売却を検討する際には、買ったばかりの家の価値が落ちる前に早めの行動をおすすめします。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。