
底地の買取相場は?売却価格を左右するポイントや注意点を解説
底地(借地権や地上権が設定されている土地)の買取相場は、更地にした土地の1~5割程度となることが一般的です。この記事では、底地の買取相場に影響を与える要素や売却時のポイントについて解説していきます。
底地の買取相場はどのくらい?
底地の買取相場は、土地を更地として売る場合の価格(更地価格)の1~5割程度と、相場の幅が広い点が特徴です。というのは、底地の買取には、借地人との借地契約の種類や残りの契約期間、売却先が大きく影響するからです。
そもそも底地とは、借地権や地上権など、第三者がその土地に建物を所有する権利が設定された土地のことで、借地権とは建物を建てるために土地を借りる権利を意味します。更地価格より底地の買取価格が低い理由は、この借地権によって土地の使用に制限がかかっているためです。
賃借人との借地契約によって借地権が設定されている期間中は、地主は立ち退きを求めたり、新たな建物を建てたりすることはできません。つまり、底地とは土地の所有権自体は有しているものの、土地を自由に活用できる状態ではないため、買い手側にとって普通の更地より価値が低いと見なされるのです。
この記事では、借地契約の種類によってどのように底地の買取価格が変動するのかに加え、底地を売却する方法や注意点などを解説していきます。
底地の買取相場は借地契約によって変動する
底地の買取相場は、借地人との契約の種類によって異なります。以下の2つのケースが代表的です。
・普通借地権
・定期借地権
順番に解説していきます。
普通借地権
普通借地権を締結している底地は、後述する定期借地権の場合よりも買取価格が低い傾向にあります。その理由は、定期借地権と比べて地主側のメリットが少ないという特徴にあります。
普通借地権は、定期借地権と比べて借地人の権利が手厚く保護されている契約です。たとえば、普通借地権には最低でも30年間の契約を結び、以降は最低でも10年(初回の更新のみ最低20年)ごとに契約を更新する定めがあり、地主はよほどの理由がない限り更新を拒絶することはできません。
従って、長期間にわたって借地に用途が限定され、借地以外の土地活用手段を選択することも難しいという理由から需要も低くなる傾向にあるのです。
定期借地権
定期借地権の場合、普通借地権よりも高い価格で売却できる可能性があります。なぜなら定期借地権は、原則として借地権の存続期間が決まっているので、期間終了後は地主が希望する土地活用方法を選択できるからです。
この場合、借地人との残りの契約期間が買取相場に影響を与える要素となります。契約の更新をしない定期借地権の契約を結ぶためには、50年以上の期間での契約の締結が条件です。そのため、「あと数年で定期借地権の契約が終了する底地」と「定期借地権の契約を締結したばかりの底地」では買取相場が異なります。
底地の買取相場は売却先によっても変動する
先述の通り、底地の買取相場は契約している借地権の種類によっても変動しますが、同時に売却相手によっても変動します。
売却先としては以下の3つが一般的です。
・借地人
・第三者
・買取専門業者
順番に見ていきましょう。
借地人
借地人に対しては、ほかの売却先と比べ比較的高い価格で売却できる可能性があります。というのも、「長く住み続けたいけれど、残りの契約期間が短い」「将来的に土地も含めて自分の資産にしたい」といったように、借地人が土地を買い取りたい理由は複数あり、第三者や業者よりも需要が見込めるからです。
実際、借地人に売却する場合の相場は更地の5割程度となっており、底地の売却先のなかでは比較的高水準の買取相場となっています。
借地人との底地の売買では、個人間取引による法的トラブルや信頼関係の悪化を防ぐためにも、不動産会社に仲介の依頼をおすすめします。仮に売買が成立しなかったとしても、借地人との信頼関係を損なわないよう、誠実で丁寧な対応をしてくれる不動産会社を選びましょう。
第三者
第三者への売却は、3つの売却先のなかで最もハードルが高いといえるでしょう。なぜなら、借地権の設定により土地を自由に使用できないことはもちろん、地代収入があるとはいえほかにも高い利回り(利益率)や自由度を持つ不動産投資方法はあるため、魅力的な選択肢に見えにくいからです。
売却相場は更地の1割程度となり、借地人への売却と比べると見劣りする点はあるでしょう。その水準のなかでもなるべく高い金額で売却するためには、多くの買主候補の目に留まる方法を選択することが重要です。第三者に売却したい場合は、全国的なネットワークで買主候補を探してくれる大手不動産会社に仲介を依頼しましょう。
買取専門業者
借地人や、第三者への売却が難しい場合、専門業者に買取を依頼するという選択肢もあります。専門業者への売却はスムーズな売却が期待できる一方で、高値での売却は難しく、買取相場は更地の1~1.5割程度となります。
底地買取の注意点
底地の買取を依頼する際に注意したい点は以下の3つです。
・信頼できる業者に依頼する
・契約内容をよく確認する
・相続の前に売却を検討する
順番に解説していきます。
信頼できる業者に依頼する
底地の売買は通常の不動産売買と比べると事例数が少ないため、売却には豊富な取引経験と高い専門性が必要となります。買取専門業者に依頼することも選択肢の1つですが、高値での売却は難しいかもしれません。
先述の通り、最もよい条件での売却が期待できる売却先は借地人であるため、「なるべく高値で売却したい」という方は、不動産会社に仲介してもらい、借地人へ売却するのがおすすめです。借地人との信頼関係を維持するためにも、対応が誠実で説明が丁寧な、信頼できる不動産業者に売却を依頼しましょう。
●売却のご相談はこちら
契約内容をよく確認する
先述の通り、借地権には普通借地権と定期借地権の契約があります。定期借地権の場合は、借地期間が終了してから更地として売るほうが、高く売れる可能性があります。借地期間が残り少ない場合は、契約期間満了後に更地にしてから売却するのがおすすめです。
相続の前に売却を検討する
将来的に底地の相続が発生しそうな場合は、相続の前に売却を検討するのも一案です。一般的に、底地の時価よりも相続税評価額のほうが高くなる傾向にあり、底地を売却して現金で相続するより、底地のまま相続するほうが相続税の負担が大きくなる可能性があります。ただし、相続財産の状況や基礎控除によって相続税が発生しないこともあるため、底地として相続するのか、売却して現金で相続するかは、税理士といった専門家に相談して決めると安心です。
なお、相続税評価額とは相続税を計算するために評価された資産価値のことです。底地の相続税評価額は、更地価格を基に評価する場合、更地価格から借地権価格を控除して求めます。借地権価格は、路線価図に表示されている借地権割合を利用して求めることが可能です。
●相続税評価額について詳しい記事はこちら
底地を手放したいなら不動産会社に相談
これまで、底地の相場に影響を与える要素や、買取価格の目安、売却時の注意点などについてご紹介してきました。底地は更地にして売る場合よりも相場が安く、買い手も限定的であるという特徴があるからこそ、なるべくよい条件で売却するためには借地人への売却か、契約期間が満了になるのを待って更地にしてから売却することが望ましいでしょう。
三井のリハウスでは、豊富な取引実績と地域に密着した対応で、不動産の売買をサポートいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
●三井のリハウスへの売却のご相談はこちら
●店舗検索はこちら


監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。