
家を売却して赤字になった場合はどうする?損しないために使える特例や赤字対策を解説
家を売却して赤字が出てしまった場合、特例が適用されれば金銭的な負担を抑えられます。今回の記事では、損を減らせる特例や、そもそも売却時に赤字にならないための対策を詳しく解説します。
目次
家の売却で赤字(マイナス)になってしまうケースとは?
家の売却における「赤字」とは、購入したときの価格よりも売却したときの価格が安くなってしまうことを指します。赤字が出てしまうケースには、主に以下の4つが挙げられます。
・家の状態が著しくよくない
・立地がよくない
・不動産市場が低迷している
・売却活動が十分ではない
上記のほか、「売却価格は購入価格を上回っていても、売却代金で住宅ローンの残債を払いきれなかった」「仲介手数料や印紙税といった売却にかかる諸費用がかさんだ」といった理由から、トータルで見ると赤字になることもあります。
赤字になっても確定申告をすることで税金を減らせる
家の売却で赤字が出てしまった場合でも、要件を満たしていれば確定申告をすることで「損益通算」と「繰越控除」によってほかの所得から赤字を差し引くことができます。これにより節税が可能となり、金銭的な負担を抑えられます。では、損益通算と繰越控除とは何か、以下で詳しく見ていきましょう。
損益通算
損益通算とは、譲渡損失(今回の場合、家の売却で出た赤字)が発生した場合に、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得などほかの所得から控除することです。つまり、譲渡損失が出た場合の所得税は、給与所得や事業所得などから譲渡損失を差し引いた所得をもとに計算した分を支払えばよいことになります。損益通算の適用を受けることで、所得税を節税できるのです。
繰越控除
前述した損益通算で、ほかの所得よりも譲渡損失のほうが上回った場合、1年間の所得からは控除しきれなくなります。その場合、繰越控除を利用することで、その後の最大3年間にわたりマイナス分を損益通算できます。これは、一度の損益通算で課税所得から損失を引ききれない場合に適用されます。
たとえば、所得が400万円の会社員が家の売却により1,600万円の譲渡損失が出た場合、その年の所得税は損益通算のため0円となります。そして、次の年以降もこの3年間の繰越控除を利用することで、4年間は所得税を支払う必要がありません。また、住民税も2年目以降から3年間ゼロになります。
損益通算と繰越控除について解説しましたが、これらが適用される特例はいくつかあり、その特例ごとに利用するための条件が異なります。それぞれの特例の内容やその条件については、次項以降で解説します。
●不動産売却時の確定申告について詳しい記事はこちら
家の売却で赤字になった場合に使える特例
家の売却で赤字になってしまった場合でも、税金が控除される特例を利用することで、金銭的な負担を減らせます。使える特例は主に以下の2つです。
・マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
・特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
それぞれ簡単に解説します。
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
この特例は、マイホームの買い換えで売却額よりも新居の値段が上回った場合に適用できます。この特例を利用することで、譲渡損失をほかの所得から控除できます(損益通算)。さらに損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
この特例は、住宅ローンの残債が売却額で払いきれない場合に適用されます。上述の、売却額よりも取得額が上回る場合に発生する譲渡損失が損益通算の対象となるのではなく、あくまで住宅ローンの残債が売却額を上回った部分が損益通算の対象となります。
これらの2つの特例に共通するのは、損益通算と繰越控除ができる点です。適用要件を満たしている場合は、特例を賢く利用して、家の売却で生じた赤字を補い、金銭的な負担を軽減しましょう。
家を売却して赤字が出た際に使える2つの特例の条件
ここからは、先述した家を売って赤字が出てしまったときに使える2つの特例について、適用を受けるための条件(要件)をそれぞれご紹介します。
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
特例の主な要件は以下の通りです。
・5年を超えて所有していたマイホームの買い替えである
・所得が3,000万円以下である
・売却する相手が親子や夫婦など特別な関係にあたらない
・旧居売却の前年1月1日から翌年12月31日までの間(3年以内)に新居宅を購入する
・新居宅の床面積が50㎡以上ある
・新居宅を購入した年の翌年12月31日までに入居する
・新居宅を購入した年の12月31日時点で新居宅について償還期間10年以上の住宅ローンがある
詳しい要件については以下のサイトをご確認ください。
●マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例についてはこちら
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
特例の主な要件は以下の通りです。
・5年を超えて所有していたマイホームの売却である
・住宅ローンが10年以上残っている
・売却する相手が親子や夫婦など特別な関係にあたらない
・売却額が住宅ローンの残高を下回る
・2025(令和7)年12月31日までに売却を行う
ただし、合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ適用ができません。特例の適用を受ける際には、あらかじめ上記の条件を確認しておくとよいでしょう。
詳しい要件については以下のサイトをご確認ください。
●特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例についてはこちら
家の売却で赤字にならないためのコツ
そもそも家を売るなら、なるべく赤字になるのは避けたいものです。赤字にならないために覚えておきたいコツは、主に以下の3つです。
・高めの売り出し価格を検討する
・売り時を見極める
・契約する不動産会社を慎重に選ぶ
以下、それぞれ詳しく解説します。
高めの売り出し価格を検討する
赤字にならないために、売り出し価格を少し高めに設定することを検討しましょう。これは、売却時には購入希望者からの価格交渉が行われることが多いためです。初めからやや高めの売り出し価格を設定しておけば、交渉に応じやすくなり、値引きの負担も抑えられます。
また、売却期間に余裕があって売り急いでいない場合も、高めの売り出し価格を設定して待つことがおすすめです。ニーズがあれば、希望価格での売却がかなう可能性もあります。しかし、あまりに相場からかけ離れた金額だと売れなくなってしまうため、不動産会社と相談しながら価格を決めることが重要です。
●売り出し価格についての詳しい記事はこちら
売り時を見極める
需要が高く、高額で売れる時期に売却することもコツの1つです。たとえば、新年度や新学期が始まる前の2月~3月や企業の決算期後、人事異動の機会が増える9月~10月が、不動産の需要が高まる時期とされています。ただし、物件の特徴やエリアの状況によっても売り時は変わるので、プロである不動産会社に相談してみるのがおすすめです。
加えて、所有する家の相場価格を調べることも、売り時を見極める参考になります。物件の相場価格を調べるには、不動産情報サイトを調べたり、不動産会社に相談したりするのが一般的です。また、近隣の売買実績や公示価格を参考にするのもよいでしょう。相場価格の調べ方については以下の記事をご覧ください。
●不動産の相場についての詳しい記事はこちら
契約する不動産会社を慎重に選ぶ
契約する不動産会社を慎重に選ぶことは、最も重要なポイントです。売却活動のパートナーとなる不動産会社は、家を高値で売却できるかどうかを左右する重要な存在だからです。たとえば、不動産会社による売却プランや販売活動次第で、結果が大きく変わることも考えられます。豊富な実績と経験のある不動産会社を見極めることが必要です。
三井のリハウスでは、豊富な取引実績と全国にわたる店舗網を生かし、納得のいく売却を実現するお手伝いをしております。信頼できる不動産会社をお探しの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
●不動産売却のご相談はこちら
家の売却ならまずは三井のリハウスへ
家を売って赤字になってしまった場合は、特例を賢く利用して金銭的な負担を減らしましょう。また、事前に対策をすることで赤字を回避することも可能です。そのなかでも、売却活動のパートナーである不動産会社選びは非常に重要です。豊富な実績があり、信頼のおける不動産会社を選びましょう。
三井のリハウスでは、家の売却に関するご相談を承っております。100万件以上の取引実績にもとづいた売却プランのご提案や資金計画のアドバイスなど、不動産売却に関する幅広いサポートを行います。経験と実績ともに豊富な担当者が丁寧に対応しますので、家の売却についてお悩みの方は、まずは無料査定から、お気軽にご相談ください。
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不動産鑑定士 竹内英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
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