土地の測量費用はどちらが払う?負担額の相場や節約方法などを解説

土地の測量にかかる費用は、売主の負担になるのが一般的です。なぜなら、売主は売却前に土地の境界を明示する義務があるからです。今回の記事では、測量したほうがよいケースや費用相場、コストを抑える方法について解説します。

目次
  1. 土地売却の測量費用は「売主」負担が一般的
  2. 測量が必要になるケース3つ
  3. 測量費用の相場
  4. 測量費用を抑える方法2選
  5. 測量を依頼するうえでの注意点
  6. 測量が必要なら三井のリハウスへ
記事カテゴリ 売却 費用 土地
2025.07.16

土地売却の測量費用は「売主」負担が一般的

土地の売買にあたって、面積や境界を明確にするための測量が必要になったとき、費用は売主の負担となるのが一般的です。法律で明確な定めはありませんが、売主に課せられた不動産の引渡し義務の一環として、売主には境界の明示義務があります

測量費用は原則、売主が負担する一方で、買主が払う例外的なケースも存在します。代表的な例は以下の通りです。

・不動産買取業者に直接買い取ってもらう場合
・土地を売り出す前に買主が現れ、その買主から測量を依頼される場合

このような場合は、売主と買主との間で費用の交渉に至ることもあります。こうしたケースでは、測量費用は買主が費用の一部または全額を負担することもあります。

測量した土地の境界イメージ

測量が必要になるケース3つ

不動産売買において、原則、売主は境界標を明示して土地の売却範囲を買主に示さなければいけません。なお、境界確定は決済・引渡し時までに行えばよいとされています。そのため、売りに出す時点で境界が未確定でも売却活動を始められます。

測量したほうがよいケースの具体例は、以下の通りです。

・隣地や道路との境界が確定していない場合
・土地を分筆して一部を売る場合
・境界標がない土地を売る場合

順番に詳しく解説します。

隣地や道路との境界が確定していない場合

隣地や道路との境界が確定していない場合は、確定測量が必要です。売買契約では、原則、決済までに売主の責任と負担において、資格ある者(土地家屋調査士や測量士)の測量によって作製された土地の確定測量図を交付しなければならないとされているためです。確定測量図とは、隣地や道路との全ての境界が確定しているときに発行される実測図を指します。

土地を分筆して一部を売る場合

土地を分筆する場合にも、確定測量が必要です。分筆とは、1つの土地を複数の土地に分けて登記することをいいます。そのため、土地の一部だけを売りたい場合には、分筆をするために確定測量を行います。

測量が必要になった土地のイメージ

境界標がない土地を売る場合

確定測量図があったとしても、現地の境界標(土地の境界点の目印として設置される標識)がないケースがあります。境界標がない場合には、原則、土地家屋調査士や測量士に依頼し、測量などによって、新たに境界標を設置することが必要です。

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測量費用の相場

測量にかかる費用は、「確定測量」と「現況測量」のどちらかによって異なります。なお、測量だけでなく地積更正の登記までお願いしたい場合は、土地家屋調査士に依頼します。

確定測量は、隣接する全ての土地との境界について、隣接地所有者や道路管理者(市や県、国など)と現地で立ち会い、各境界点の確認を行います。合意した各境界点に境界標を設置してから測量を行い、「境界確認書」を作成します。確定した境界を図面にまとめたものが「確定測量図」です。

主に、土地の売買や分筆登記などのケースで実施します。費用は35万円~80万円程度と、現況測量よりも高めになることが一般的です。費用が高い分、境界が確定していることからトラブルを未然に防げるというメリットが見込めます。

一方、現況測量は、現況の土地・構造物等を調査し、把握した土地の現況を図面化するものです。建物の新築や外構工事などの際に、敷地の面積をおおまかに把握する目的で行われます。そのため、費用は10万円~20万円程度と、確定測量よりも安く抑えられるでしょう。

測量費用のおおまかな内訳は、以下の表の通りです。

費用項目内容
事前調査費用登記事項証明書、公図、地積測量図などの資料調査や隣接地の所有者の調査などにかかる費用
測量業務費用土地を測量する作業にかかる費用(人件費、機材使用料など)
書類作成費用測量結果をまとめた測量図や報告書などの書類作成にかかる費用
境界確定費用隣接地の所有者立ち会いのもと境界を確定する費用、道路・水路などの官有地と接している場合は官公庁にて確定手続きをする費用

なお、隣接地が「民有地」か、国や自治体が管理する「官有地」かによって費用が異なる点に注意が必要です。官有地の場合、国や自治体の担当部署と協議をしてから境界を確定するため、手続きが煩雑で時間がかかり、費用もケースによって異なります。他にも、隣接する土地の所有者数や広さ、形状などによっても費用が変わるでしょう。

土地の測量にかかる費用のイメージ

測量費用を抑える方法2選

確定測量は精度が高く境界を明確にできる一方で、高額な費用がかかることもあります。費用を抑えるためには、主に以下の2つの方法があります。

・複数の測量会社に見積もりを依頼する
・確定申告時に譲渡費用として経費計上する

それぞれ順番に説明していきます。

複数の測量会社に見積もりを依頼する

測量費用は、測量会社によって料金体系が異なるため、金額に差が出ます。複数の会社に見積もりを取り、内容や費用を比較検討したうえで、適正な価格やサービスの会社を選びましょう。

単純に価格を比較するのではなく、見積もりの内訳に不要な作業が含まれていないかや、過去の実績、担当者の対応などを総合的に判断することが重要です。

土地の測量に使うトランシット

確定申告時に譲渡費用として経費計上する

土地を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、確定申告が必要です。その際、測量費用を譲渡費用として経費計上することで、課税対象となる譲渡所得が減り、結果的に所得税と住民税の負担を軽減できます。つまり、測量費用そのものは変わりませんが、トータルでの節約効果がある方法です。測量費用の領収書は必ず保管し、確定申告の際に忘れずに計上しましょう。不明な点があれば、税務署の担当者や税理士に確認することをおすすめします。

測量を依頼するうえでの注意点

確定測量の場合、隣接地との境界確認や行政との協議などに時間がかかります。内容にもよりますが、3か月~6か月程度の期間がかかると考えておきましょう。土地の売却を考えている場合は、スケジュールを鑑みて、早めに測量を始めることをおすすめします。

また、境界確定には隣接地を所有する方との協力が不可欠です。日頃から良好な関係を築くことが、スムーズな境界確定につながります。

さらに、測量費用や引越し代など、売却にあたって必要な費用もあらかじめ準備しておきましょう。

土地に埋められた金属標

測量が必要なら三井のリハウスへ

ここまで測量費用は売主と買主のどちらが払うのか、必要になるケースや相場について解説してきました。売りたい土地の売却範囲が明らかでない場合、売主は原則、測量などによって境界を明確にする義務があります。しかし、測量には一定の期間や費用がかかり、隣接地所有者などの立ち会いが必要な点にも注意しなければなりません。

測量が必要な土地の売却は、実績のある不動産会社の仲介のもとで進めるのが賢明です。三井のリハウスでは経験豊富な担当者が、測量の手配から査定、売却活動、売買契約の締結までトータルにサポートします。所有している土地の売却を考えている方は、お気軽にご相談ください。

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不動産鑑定士 竹内英二

株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/