家を売るには?注意点やコツを解説
家を売るときには、事前にやるべきことを理解しておくことが大切です。しかし、初めての家の売却では何をしたらよいのか分からず戸惑うことも多いでしょう。今回は、家を売ることを考え始めた人が知っておくべき、売却方法や注意点などを解説します。
目次
家を売るなら、情報収集から始めよう!
家を売ると決めたら、売却方法の種類や、おおまかな流れを理解することから始めましょう。以下は家を売る流れを示した図解です。

さらに、家を売るのに最適なタイミング、手続きのなかで売主が負担する費用や必要書類についても知っておくと、家の売却をスムーズに進められるでしょう。
家を売る方法は?
家を売る方法には、主に「仲介」「買取」「個人売買」の3つがあります。それぞれの特徴を押さえて、自分に合った売却方法を選びましょう。
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| 仲介 | 不動産会社に買主を探してもらう方法 |
| 買取 | 不動産買取業者に直接買い取ってもらう方法 |
| 個人売買 | 不動産会社に依頼せずに、自分で買主を探す方法 |
仲介
仲介とは、不動産会社に買主を探してもらう方法です。希望条件に合わせて買主を探してくれるため、買取や個人売買と比較すると、自分の希望に近い価格で家を売却できる可能性が高いでしょう。また仲介は、不動産売買のプロである不動産会社が売却活動をサポートしてくれる安心感がある点も魅力といえます。
しかし、仲介で売却をする場合、ほかの方法と比較すると時間がかかる傾向がある点には留意しましょう。

買取
家を売る方法として、不動産買取業者に直接買い取ってもらう方法があり、これを「買取」といいます。買取では、不動産買取業者自体が買主になるので、購入希望者を募ったり、買主の購入決定を待ったりする必要がありません。そのため、仲介と比較すると短期間での売却が可能です。
しかし、買取の場合、仲介の方法で家を売る場合に比べて売却価格が低くなる傾向があります。
●不動産買取についてはこちら

個人売買
仲介や買取と比較すると一般的ではないものの、「個人売買」という形で家の売却を行うことも可能です。個人売買は、不動産会社に依頼せずに、自分で買主を探す方法です。そのため、仲介手数料は発生しません。また、自分のペースで納得のいくまで売買活動を行えます。
しかし、個人売買では、複数の書類作成や手続きを売主自身が全て行わなければならず、専門知識も必要です。そのため、初めて不動産を売買する人にとっては難しい方法といえるでしょう。
家が売れやすいタイミング
家が売れやすいタイミングは、季節と築年数から考えることができます。市場の状況を踏まえつつ、家の価値が高いうちに売却を検討するのがおすすめです。
季節
1年のうち最も家が売れやすいタイミングは、一般的に不動産売却市場の繁忙期である1月~3月とされています。
家を売却するには、仲介の場合、一般的に3か月~6か月程度かかります。2月~3月に売却したい場合は、逆算して10月ごろには売却活動依頼の準備を始める必要があるでしょう。売却を検討し始めたら、可能な限り早めに動くことをおすすめします。
築年数
家の売却には築年数も大きくかかわってきます。高い価格で売れやすいのは、一般的に築20年までです。築20年を超えると売れないということではありませんが、建物は古くなれば古くなるほど価値が減少していきます。そのため一戸建ては、築20年をすぎると建物の価値がゼロに近くなるとされています。
●家を売るタイミングについてはこちら

家を売る基本的な流れ
ここでは、家の売却方法として一般的な仲介を例に取り、家を売る手順について見ていきましょう。仲介による売却の流れは、おおまかに以下の6つのステップに分けられます。
1.事前準備
2.査定
3.売却活動
4.売買契約
5.決済・引渡し
6.確定申告
1.事前準備
家を売る際に必要な準備は、「希望条件を整理する」「相場を調べる」「住宅ローンの残債を確認する」「必要書類を準備する」の4つです。まず、いつまでに、どのくらいの価格で売りたいかといった希望を整理するため、売却相場を調べます。住宅ローンの残債がある場合は、売却益で返済できそうかどうかを確認しましょう。また、登記事項証明書、固定資産税納税通知書、間取り図、確定測量図などの必要書類も用意しておくと、スムーズに売却しやすくなります。
2.査定
家の売り出し価格を決定するために、不動産会社に査定を依頼します。査定には、Webで情報を入力するだけで家の推定価格が分かる「AI査定」や「簡易査定(机上査定)」と、不動産会社の担当者が現地に出向いて詳細に調査したうえで査定額を算出する「訪問査定」の3種類があります。
なお、査定結果が出るまでの期間は、AI査定だと即日、簡易査定は数日以内、訪問査定の場合は早ければ2日~3日、遅くとも1週間程度です。売り出し価格は提出された査定額をもとに決定します。
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3.売却活動
査定を依頼した不動産会社のなかから仲介を依頼する会社を選び、媒介契約を結ぶと売却活動がスタートします。媒介契約の種類によって契約内容が異なるため、自分に合ったものを選びましょう。売却活動では、一般的に仲介を依頼した不動産会社の広告を通じて購入希望者を募ります。売主が売却活動で行うことは、内覧の準備・対応などです。内覧の対応は、不動産会社の担当者におまかせすることも可能です。
●媒介契約の種類についてはこちら
4.売買契約
売主は、不動産会社を通じて購入希望者からの購入申込書を全て受け取り、そのなかから買主を決定します。購入申込書の内容に問題がないようなら、売主、買主、不動産会社が立ち会い、契約書への署名押印や手付金(前金)の受領など、売買契約を行います。
5.決済・引渡し
売買契約が締結されたら、決済と引渡しです。一般的には、売買契約の2か月後~3か月後に行われます。決済では売買代金の残金を受け取るほか、固定資産税や、マンションの場合は管理費・修繕積立金といった、売却する家に関する金銭の清算を行います。これらの決済が済んだら、物件の鍵と関連書類の引渡しを行って終了です。
売却活動から決済・引渡しまでにかかる期間の目安は、3か月~6か月程度です。
6.確定申告
家や土地などの不動産を売って得た譲渡所得がある場合は、確定申告が必要です。確定申告を行う時期は、家を売った翌年の2月16日~3月15日(土日や祝日の場合はその翌日)の間です。
●マンション売却の流れについてはこちら
●不動産売却時の確定申告についてはこちら
家を売る際に必要になるお金
家を売却する際は、不動産会社への仲介手数料や登記費用といった諸費用と、印紙税や譲渡所得税などの税金が必要です。
家を売るときにかかる諸費用
家を売るときには、一般的に不動産会社や司法書士に支払うお金など、諸費用が必要です。主なものは下記の通りです。
仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼した場合は、仲介手数料を支払わなければなりません。仲介手数料の料金設定は会社によって異なりますが、法律によって上限が定められています。また、仲介手数料は事務所の見やすい場所に掲示するよう義務付けられているため、媒介契約前に確認をしておきましょう。
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登記費用
不動産の所有者変更(所有権移転)や住宅ローンの担保(抵当権)を抹消するなどの、土地や建物について法務局の不動産登記簿に登記を行う費用です。
登記手続きは自分で行えますが、司法書士へ依頼するのが一般的です。司法書士へ登記手続きを依頼する場合、司法書士へ報酬を支払う必要があり、金額は依頼する司法書士事務所によって異なります。
●登記費用についてはこちら
また、そのほかの諸費用としては、引越し代や住宅ローンの残債などがあります。住宅ローンを一括返済する場合、金融機関によっては繰り上げ返済の手数料が必要になることがあるので、事前に確認しておきましょう。
売却で課される税金
家を売った際は、印紙税のほか、譲渡所得が発生した場合にかかる税金を納付する必要があります。
| 税金 | 金額の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 1万円~3万円※1,000万円超~1億円までの物件で軽減措置の場合 | 売買契約書に貼る印紙代 |
| 所得税・住民税など | 譲渡所得の14.21%~39.63% | 譲渡所得にかかる税金 |
印紙税
印紙税とは、売買契約書をはじめとした課税文書に対してかかる税金で、文書に収入印紙を貼り付けることで納税します。税額は、文書に書かれている金額に応じて変化します。なお、印紙税は、2014年4月1日から2027年3月31日までの間は軽減措置が適用されます。
譲渡所得にかかる税金
家を売ることにより譲渡所得を得た場合、その譲渡所得に対して「所得税」「住民税」「復興特別所得税(2037年12月31日まで)」などが課税されます。譲渡所得とは、マンションや住宅などの建物や土地などの不動産を売却したことで発生した利益のことです。
譲渡所得にかかる税金の額は、譲渡所得に対して一定の税率をかけることで算出されます。この税率は、売却した家の所有期間によって異なります。
●売却にかかる税金についてはこちら
家を売る際の必要書類
家を売る際には、準備するべき書類がいくつかあります。具体的には、以下の一覧表の通りです。なお、全ての書類を準備する必要はなく、状況によって必要書類は異なります。また、準備しておくとよい程度の書類もあるため、以下の重要度を確認したり、不安があれば不動産会社に直接相談したりするとよいでしょう。
| 項目 | 内容 | 重要度 |
|---|---|---|
| 登記済権利証または登記識別情報通知 | 不動産の所有者を明確にするための書類 | 〇 |
| 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書 | その年の固定資産税の税額や不動産の価格が記載された書類 | 〇 |
| 確定測量図、境界確認書 | 隣接する土地の所有者とその境界を明確にする書類 | 〇 (土地の売却も行う場合) |
| 登記簿謄本 | 土地の面積や建物の構造、所有者などが記載されている書類 | △ |
| 地積測量図 | 法律によって定められた方法で作成された測量図 | △ (土地の売却も行う場合) |
| 建物図面 | 建物の敷地と建物の位置関係が記載された図面 | △ |
| 公図 | 土地の形状や位置などを表した地図 | △ |
| 購入時の売買契約書 | 物件を取得する際にどういった条件で購入したかを表す書類 | △ |
| 購入時の重要事項説明書 | 物件に関する権利や条件など重要項目が記載された書類 | △ |
| 建築設計図書 | 建物の設計図面 | △ |
| 住宅性能評価書や耐震診断報告書 | 建物の性能や安全性を評価した書類 | △ |
| リフォームの実績が分かる書類 | リフォームの箇所や時期などが分かる書類 | △ |
| 管理費・修繕積立金の記載書類 | 管理費や修繕積立金の額が分かる書類 | △ |
| 本人確認書類 | 運転免許証やパスポートなどの本人を証明する書類 | 〇 |
| 実印 | 売却する本人の実印 | 〇 |
| 印鑑証明書 | 各市区町村で登録している印鑑の証明書 | 〇 |
| 住民票または戸籍の附票の写し | 住民登録している市区町村での住民票の写し、本籍のある市区町村での戸籍の附票の写し(登記簿謄本と現住所が異なる場合) | 〇 |
| マンションの管理規約 | マンションに居住するにあたっての規約が書かれている書類 | 〇 (マンション売却時) |
| 総会議事録 | 1年に1度行われる総会の議事録(直近3年分) | 〇 (マンション売却時) |
| 長期修繕計画 | マンションの長期的な修繕計画に関しての情報が載った書類 | 〇 (マンション売却時) |
| 管理に係る重要事項調査報告書 | マンション購入に際して、買主に説明が必要な事項をまとめた書類(管理費や専有部分の使い方などが載っている) | 〇 (マンション売却時) |
| 建築確認済証 | 建物の工事を行う前にその計画が建築基準法に適しているかを証明する書類 | 〇 (一戸建て売却時) |
| 検査済証 | 建物が建築基準法に沿って建てられたことを証明する書類 | 〇 (一戸建て売却時) |
〇…必要な書類
△…あるとよい書類
家を売る前から売った後までの注意点
家を売る際は、以下の一覧表のように時系列に分けて注意しておきたいポイントがあります。
| 家を売るおおまかな流れ | 注意点 |
|---|---|
| 売却前 | ・担当者に査定額の根拠を聞き、信頼できる不動産会社を選ぶ ・不動産会社との媒介契約の内容を検討する |
| 売却活動中 | ・内覧はお客さまを招くように対応する ・売買契約書の内容を精査する |
| 売却後 | ・引渡し前にやっておくべきことを怠らない ・買主に渡す書類や鍵を準備する ・売却で利益が出たら確定申告を忘れない ・売却で損失が出たら特例の要件を確認する |
家を売る前は仲介を依頼する不動産会社や、その不動産会社と結ぶ媒介契約の種類を慎重に検討し、売却活動中は購入希望者へ丁寧な対応を心がけ、売却後は必要な手続きを忘れずに行いましょう。
売却前
家の売却前とは、事前準備と査定の段階にあたります。気を付けたいポイントは以下の2点です。
担当者に査定額の根拠を聞き、信頼できる不動産会社を選ぶ
不動産会社の査定を受けたら、その価格に至った根拠を確認しましょう。自分でも「不動産情報ライブラリ」や「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」などを活用して不動産の相場を確認しておくと、提示された査定額が適正なのかを判断しやすくなります。担当者が誠実に対応してくれるかを確認して、信頼できる不動産会社を選びましょう。
不動産会社との媒介契約の内容を検討する
不動産会社と結ぶ媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。これらのなかから、売却目的や売却する物件に合うものを選びましょう。一般媒介契約の特長は、複数の不動産会社に仲介を依頼できるという点です。専任媒介契約や専属専任媒介契約は、一般媒介契約と違って1社としか仲介の契約ができませんが、売主への報告義務やレインズへの登録義務があり、サポートが手厚いというメリットもあります。
| 比較項目 | 複数社との契約 | 売主自らが買い手を見つけた場合の取引 | 契約期間 | 不動産流通機構(レインズ)への登録義務 | 売主への業務報告の頻度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | ○ | ○ | 指定なし ※原則3か月 | 任意 | 任意 |
| 専任媒介契約 | × | ○ | 3か月以内 | 契約締結日の翌日から7営業日以内 | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介契約 | × | × | 3か月以内 | 契約締結日の翌日から5営業日以内 | 1週間に1回以上 |
●媒介契約の種類や違いについてはこちら
売却活動中
売却活動中とは、媒介契約後から売買契約前の売却活動の段階にあたります。このとき留意したいのは、買主候補者への対応、実際に話した内容が売買契約書に反映されているか確認するといった営業的なポイントです。
内覧はお客さまを招くように対応する
購入希望者に内覧へ来てもらうときには、印象よく対応しましょう。購入希望者は、物件の状態や売主の人柄などを見ています。部屋が整理整頓されていなかったり、売主の印象が悪かったりすると、物件を買う気持ちが薄れてしまうかもしれません。
片付けや掃除を徹底することはもちろん、臭いにも気を付けて、お客さまを招くような気持ちで対応しましょう。
売買契約書の内容を精査する
買主が決まり、売買契約書を取り交わす前は、契約内容を隅々までチェックするようにしましょう。売買契約書には、売却する不動産の価格や引渡しの日程のほかに、買主と相談のうえ決めた内容など細々としたことが記されています。買主と口頭で取り決めた内容があったとしても、売買契約書に反映されていないと無効になってしまいます。こうした漏れや誤りがないよう、契約締結前までに内容を精査しておくようにしましょう。
売却後
売却後とは、決済・引渡しのステップにあたります。主な注意点は以下の通りです。
引渡し前にやっておくべきことを怠らない
売買契約が成立した後、売主は物件の引渡しの前に以下の作業を行う義務があります。
・住宅ローン完済の手続き
・契約時に定められた設備の修復や撤去
これらの作業を行っておかないと、買主とのトラブルにつながる恐れがあります。違約金を請求されることもありますので、必ず行うようにしましょう。
買主に渡す書類や鍵を準備する
引渡しの際には、関係書類や鍵の全てを買主に渡す必要があります。漏れがないようにしっかり準備しておきましょう。
売却で利益が出たら確定申告を忘れない
家の売却で利益が出る場合は、売却する翌年に確定申告をしなければいけません。家の売却で利益が出た場合、譲渡所得が発生し、その所得に対して所得税・住民税・復興特別所得税などの税金が発生するためです。譲渡所得で発生した税金は、給与とは別に課税される所得のため、自ら確定申告をする必要があります。ただし、確定申告を行うことで、家の売却益3,000万円までなら特別控除を受けられたり、所有期間が10年にわたる物件を売却した場合には、軽減税率の特例を受けられたりすることがあります。
売却で損失が出たら特例の要件を確認する
家の売却で利益が出なかった場合、税の控除や還付などの特例を受けられる可能性があります。ただし、特例を受けるにはさまざまな要件をクリアしている必要があるうえ、確定申告をしていることが前提になるので注意しましょう。
家を高く、早く売るコツは?
家をできるだけ高く、早く売るコツは、相場を把握して適切な売り出し価格を設定し、実績のある不動産会社に仲介を依頼することです。売却実績が豊富な不動産会社であれば、独自のノウハウと丁寧なサポートにより、安心して売却活動ができます。加えて、内覧の際に購入希望者が物件によいイメージを持つように、自身でもできる範囲で対策するのがおすすめです。
相場を知る
家を高く売るためには、売却相場を知っておくのがコツです。相場を知っていれば、高過ぎることも安過ぎることもない適切な売り出し価格を設定できます。ちなみに、売主が設定した売り出し価格と、買主と交渉して決定する成約価格には差が生じるのが一般的です。そのため、あらかじめ値下げ交渉にも応じられる幅を考慮して、不動産売却価格の相場感をつかむことが大切です。
都市部の平均価格は2,000万円~5,000万円程度
まず、相場の参考として都市部の一戸建ての平均価格を見てみましょう。
公益財団法人不動産流通推進センター(※1)の調査によると、2025年7月時点での東京都の一戸建ての平均価格は約6,000万円、神奈川県が約4,000万円、千葉県、埼玉県が2,500万円前後となっており、首都圏の平均は4,000万円程度です。また、大阪府、兵庫県を中心とする近畿圏の平均価格は2,000万円台前半です。
このように、家の価格は地域によって大きく差があることが分かります。次は、都市部以外の地域や、より細かい条件で家の相場を調べる方法を見ていきましょう。
家の相場を調べる方法
家の相場は、不動産会社サイト、チラシやインターネット広告、不動産ポータルサイトや不動産情報ライブラリなどで調べられます。
これらの方法で分かる売り出し価格や成約価格は、「建物+その建物が建っている土地」の総額であることにも注意して、相場をチェックしてみてください。
●マンション売却の相場についてはこちら
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信頼できる不動産会社を選ぶ
パートナーとして信頼できる不動産会社を選ぶことは、高く、早く家を売ることにつながるため、以下のようなことを意識して選びましょう。
・売却する物件と似た条件の物件の売却実績があるか
・担当者が親身に話を聞いてくれるか
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家の印象をよくする
成約率を高くするために、家の印象をよくすることが大切です。部屋の片付けやハウスクリーニングのほか、備え付けの設備のメンテナンスも行っておきましょう。また、「ホームステージング」と呼ばれる、部屋にセンスのよい家具や小物などを並べてモデルルームのように演出することも、場合によっては有効です。
●査定をする際の掃除についてはこちら

価格を少し高めに設定しておく
売り出し価格は、査定価格よりも少し高めに設定しておくことをおすすめします。なぜなら、購入希望者から値下げ交渉を打診され、価格の調整をする可能性があるからです。ただし、売り出してから途中で値上げをすると購入希望者に不信感を与えてしまうので、あらかじめ価格調整を念頭に置いて売り出し価格を設定することが大切です。売主1人で判断するのは難しいので、不動産会社と相談しながら売り出し価格を決めることをおすすめします。
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買取も検討する
売却を急いでいる場合は、買取を検討しましょう。買取の場合は、買い手を探す手間が省けるので、売却までスピーディーに行えます。加えて、不動産買取業者が直接買い取る場合は、仲介のように手数料が発生しないのが一般的です。
ただし、買取の場合は、仲介で売却する場合と比較すると成約価格が6割~8割程度に下がってしまう点には注意が必要です。価格が下がる主な理由は、再販するために不動産買取業者がリフォームやハウスクリーニングを行う費用がかかるためです。
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このような家を売りたいときはどうする?
これから売ろうとする家に特有の事情がある場合、それを考慮して売却活動を進める必要があります。たとえば、相続した家や住宅ローンの返済がまだ残っている家を売却する場合などの注意点をお伝えします。
相続した家を売りたい
相続した家の場合、家の所有者を被相続人から相続人に変更する必要があります。そのため、登記人が変わったことを示す「相続登記」が必要です。相続登記は、2024年4月に義務化され、土地と建物それぞれに必要になるので注意しましょう。
また、相続した物件によっては、3,000万円の特別控除といった何らかの軽減措置の利用条件に当てはまる可能性もあります。相続した家を売る場合は、売却にかかる税金や軽減措置についてもしっかり調べておくことが重要です。
●相続した不動産の売却についてはこちら
残債がある家を売りたい
住宅ローンの残債がある家は、住宅ローンを一括で完済し、抵当権の抹消手続きをしなければなりません。
住宅ローンの残債を一括返済して家を売却するためには、家の売却で得られた資金や手持ちの資金でローンを完済するか、新たにローンを組む方法もあります。ただし、新たにローンを組む場合は、緻密に返済計画を立てないと破産してしまう可能性があるため注意が必要です。
また、住宅ローンの返済ができない場合は、「任意売却」によって売却できる可能性もあります。任意売却は、住宅ローンの支払いが厳しい場合に、債権者である金融機関の了承を得て物件を売却する方法です。売却額や自己資金を利用しても返済が厳しい場合、金融機関に相談すると任意売却として抵当権を抹消して売却できることがあります。
●任意売却についてはこちら
●ローン中の家を売る場合についてはこちら
古い家を売りたい
古い家を売る際には、そのままでは売却しにくいこともあるため、以下の4つの方法から状況に合った売り方を選びます。
・古家がある土地として売る
・更地にして土地を売る
・家をリフォームして売る
・不動産会社に買い取ってもらう
古い家を売る際の方法については下記の記事で詳しくご紹介しています。
●古い家の売却についてはこちら

認知症の親が持っている家を売りたい
親が認知症によって「意思能力」を失っている場合は、一般的に不動産の売却は行えません。意思能力とは、自分の行為がどういった結果になるのかを理解する能力を指します。
しかし、認知症の程度によっては、売却できる可能性があります。たとえば、軽度の認知症で、意思能力があると判断されれば、本人の身体的な能力に問題があり、不動産会社に直接行けない場合でも、代理人によって売却を行うことが可能です。なお、代理人を立てる際は、本人が「この人を代理人として任命します」という意思表示ができることが前提です。
家を売却するにはある程度の時間を要するため、親の状況を考慮して早めに動き出すようにしましょう。
売却理由別のポイント
売却したい理由は人によりさまざまで、その状況によって注意したいポイントがあります。ここでは3つのケースについてご紹介します。
離婚による財産分与のため
夫婦が離婚によって家を売る場合、どちらかが住み続けるか、売却するかを決める必要があります。住宅ローンの残債が残っている場合は、返済方法についても検討しなければなりません。財産分与の請求期限は離婚の正式成立から2年間になるため、早めに話し合うことがポイントです。
●財産分与についてはこちら
住み替えのため
住み替えのために家を売る場合は、売却先行か購入先行かを選択することになります。売却先行とは、今の住まいを売ってから新しい住まいを購入することです。売却先行を選択した場合、家を売ったお金を購入資金に充てられるというメリットがあります。一方、購入先行は、新しい住まいを購入してから今の住まいを売ることをいいます。こちらは資金に余裕があり、新居をじっくり探したい人におすすめの方法です。
今住んでいる家の住宅ローンが残っている場合は、家の売却益や自己資金で住宅ローンの一括返済ができるか判断しなければなりません。できない場合は、旧居のローンを返済しながら新居のローンも支払う二重ローンとなるため、2つのローンを今後支払っていけるかどうかの判断が必要です。スムーズな住み替えを行うために、事前に綿密な資金計画を立てましょう。
●住み替えについてはこちら
●住み替えローンについてはこちら
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すぐ現金が欲しいため
家を売ってすぐに現金が欲しいという場合は、不動産買取業者に買取をしてもらうことで、家を短期間で現金化できます。不動産買取業者と直接価格を交渉し、双方が合意すればすぐ契約に進めるため、現金を早く必要とする人に向いているでしょう。ただし、成約価格は市場の相場よりも安くなるため、注意が必要です。
また、資金を手に入れたいものの家には住み続けたいという場合には、「リースバック」という方法もあります。リースバックとは、一度持ち家を売却し、その後は賃貸として同じ家に住み続ける方法です。
●リースバックについてはこちら
不動産売却は慎重かつスマートに
家を売ろうか迷っている人のなかには、まだ売却の流れをつかめていない人も多いでしょう。また、初めて家を売るときには不安がつきものです。自分で調べても解決できない場合は、不動産会社にぜひ質問や相談をしてみましょう。プロのアドバイスを参考にすることで、自分に合った売却方法や売却のタイミングが見つかる可能性が高まります。
家の売却を成功させるためには、頼れる不動産会社を選ぶことが要といってもよいでしょう。また、税金に関する疑問や不安があれば、税理士やファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめです。
三井のリハウスでは、長年の経験による豊富な実績を生かし、お客さま一人ひとりの状況に合わせた最適な売却プランをご提案します。査定から売却活動、売買契約の手続きまで、一連のプロセスを丁寧にサポートするため、複雑な手続きも安心して進められます。まずはお気軽に無料査定にお申し込みください。
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※1出典:公益財団法人不動産流通推進センター「指定流通機構の物件動向(令和7年7月)」
https://www.retpc.jp/wp-content/uploads/reins/bukken/bukken2507.pdf
(最終確認:2025年9月30日)

村田洋一
らくだ不動産 不動産コンサルタント。宅地建物取引士、行政書士。消費者にとっての最良の不動産取引を目指し、多岐にわたる不動産トラブルの相談を受ける。
https://www.rakuda-f.com/





