仲介手数料の相場はいくら?決められた上限と計算方法を解説

不動産売買の際に支払う仲介手数料は、初期費用のなかでも金額が大きいものです。「自分の場合はいくらかかるのか」と、不安になる人も多いのではないでしょうか?そこで今回は、仲介手数料の目安や支払うタイミングについてご説明します。

目次
  1. 仲介手数料とはどんな費用?
  2. 仲介手数料の相場は?
  3. 仲介手数料はいつ支払う?
  4. 仲介手数料を安くできる?
  5. 納得のいく不動産売買に必要な費用
記事カテゴリ 売却 購入 費用
2025.07.16

仲介手数料とはどんな費用?

不動産会社は、不動産を売買する際や賃貸住宅の賃貸借をする際に、売主と買主、貸主と借主の間で契約事務を行います。その成功報酬として支払うのが、仲介手数料です

これから不動産の売買を検討している方や賃貸物件を借りる予定がある方のなかには、仲介手数料について「いくらかかるの?」「不動産会社によって金額の差はあるの?」「いつまでに準備しておけばよいの?」といった、不安や疑問を持っている方もいることでしょう。

仲介手数料は、売買契約や賃貸借契約が成立して初めて発生するもので、成立しなければ支払う必要はありません。また、仲介手数料は法律で上限額が定められているため、規定以上の金額はかからない決まりになっています。

仲介手数料の正しい知識を持てば、安心して不動産取引に臨めるでしょう。今回は、不動産を売買する場合の仲介手数料をメインに、その目安や支払うタイミングについて解説します。

●仲介手数料以外にかかる費用についてはこちら

不動産会社で物件を探す人

仲介手数料の相場は?

仲介手数料を把握するために、まず相場を知りたいと思う方もいるでしょう。賃貸物件であれば、仲介手数料は原則、「家賃1か月分+消費税」と定められています。不動産売買の仲介手数料も法律で上限が定められ、物件価格によって変動します。以下で詳しく紹介します。

仲介手数料には法律で定められたルールがある

不動産売買の仲介手数料は、宅建業法(宅地建物取引業法)という法律で上限額が定められています

仲介手数料の上限額は、物件価格によって異なります。簡易的に求められる速算式は、原則、以下の通りです。物件価格が800万円以下の低廉な空き家等は特例が適用されるため、後ほど説明します。

不動産の売買額が200万円以下の場合
物件価格(税別)×5%+消費税

不動産の売買額が200万円超~400万円以下の場合
「物件価格(税別)×4%+2万円」+消費税

不動産の売買額が400万円を超えた場合
「物件価格(税別)×3%+6万円」+消費税

仲介手数料を調べるためには、この上限額を参考にするとよいでしょう。売買する不動産が中古の一戸建てでもマンションでも、原則、上記の計算方法で算出できます。

なお、不動産会社が、上限額を超える仲介手数料を請求すると法律違反になります。契約する不動産会社の仲介手数料が適切かどうかを判断するためにも、上限額について正しい知識を持つことが大切です。

●仲介手数料の計算方法についてはこちら

電卓で仲介手数料の相場を計算する人

低廉な空き家等の仲介手数料は原則の上限を超える

2024年7月の改正により、「低廉な空き家等」といわれる物件価格800万円以下の宅地建物の仲介手数料については、一律で上限が引き上げられました。空き家だけでなく、居住中の建物・土地や区分所有建物も対象です。これを「低廉な空家等の媒介の特例」といいます。

特例の改正後は、最大33万円(税込)まで請求できるようになっており、売主と買主のどちらも対象です。ただし、不動産会社は媒介契約の締結に際して、依頼者に仲介手数料の上限額を説明し、合意を得なければなりません。

これまで空き家は低価格で取引されることが多く、その分仲介手数料も安くなっていました。この改正によって、仲介手数料の上限額が高くなったことで、不動産会社は低廉な空き家等の取引依頼に応じやすくなり、今後は全国で空き家流通がより活性化するものと期待されています。

仲介手数料には消費税がかかる

仲介手数料には、消費税が加算されます。その理由は、消費税の課税対象が「事業者が事業として行うもの」とされており、不動産売買の仲介も、不動産会社(事業者)が行う事業であるためです。

なお、「土地」「個人が売主である中古マンション」などの不動産の売買価格に消費税はかかりませんが、その場合でも仲介手数料には消費税がかかります。

早見表で仲介手数料の上限を確認する

仲介手数料は計算式を使って自分で計算することもできますが、簡単に仲介手数料の上限額がチェックできるように、物件の売買価格1,000万円~5,000万円までの仲介手数料について、上限額を早見表にまとめました。自分の物件の売買価格と照らし合わせて、確認してみましょう。なお、仲介手数料の上限額はあくまで「上限」であり、一律の定価ではありません。

●不動産売買における仲介手数料の上限早見表(下3桁繰り上げ算出)

売買価格仲介手数料(税込)売買価格仲介手数料(税込)
1,000万円39万6,000円3,200万円112万2,000円
1,200万円46万2,000円3,400万円118万8,000円
1,400万円52万8,000円3,500万円122万1,000円
1,500万円56万1,000円3,600万円125万4,000円
1,600万円59万4,000円3,800万円132万円
1,800万円66万円4,000万円138万6,000円
2,000万円72万6,000円4,200万円145万2,000円
2,200万円79万2,000円4,400万円151万8,000円
2,400万円85万8,000円4,500万円155万1,000円
2,500万円89万1,000円4,600万円158万4,000円
2,600万円92万4,000円4,800万円165万円
2,800万円99万円5,000万円171万6,000円
3,000万円105万6,000円

仲介手数料のブロック

仲介手数料はいつ支払う?

賃貸の場合は、賃貸借契約が成立した時点で礼金・敷金と一緒に支払うことが一般的です。不動産売買の場合は、売買契約締結時に手数料の半金を、物件の引渡し時に残りを支払うのが一般的です。ただし、仲介手数料を支払うタイミングは不動産会社によって異なる場合もあります。事前に不動産会社に確認しておくと安心でしょう。

また、仲介手数料は売主・買主に関係なく、売買契約が成立した時点で支払う義務が発生するものです。

売買契約を締結する人

仲介手数料を安くできる?

仲介手数料を「できる限り安くして負担を減らしたい」という場合、値引き交渉をすることはできるのでしょうか?

結論からいえば、交渉ができることもあります。ただし、先に述べた通り、仲介手数料は不動産会社に支払う成功報酬です。一般的な不動産会社では、不動産を売買するための営業活動や広告活動などにかかる費用として、妥当な価格設定を行っています。

つまり、納得のいく仲介をしてもらうためには、仲介手数料の値引き交渉は無理に行わないほうがよいといえるでしょう。なぜなら、販売の優先順位を下げられたり、広告費を削られたりする恐れがあるからです。もし「仲介手数料無料」「半額」と提示している不動産会社があったら、媒介契約や賃貸借契約を結ぶ前に、なぜ安くなっているのか理由を必ず確認するようにしましょう。

なお、不動産買取業者は、個人から住宅を買い取り、リノベーションして販売することがあり、こうした住宅を不動産買取業者から直接購入する場合は、仲介手数料が不要です。また、個人の売主から不動産を直接購入する場合も、不動産会社が仲介しないため、仲介手数料はかかりません。

仲介手数料の相場について話す夫婦

納得のいく不動産売買に必要な費用

仲介手数料は、売買価格によっては高額になることもありますが、意味のあるお金といえます。そのため、仲介手数料にこだわりすぎると、その分リスクが発生することもあるでしょう。

仲介手数料の安さにとらわれて、よい物件を見すごしたり、不動産会社を見誤ったりしないように注意することが大切です。

特に、売却のパートナーとなる不動産会社を選ぶ際には、担当者がこちらの疑問や不安に対して誠実に対応し相談に乗ってくれるか、また、似たような物件を高値で売却している実績があるかといった点を重視するようにしましょう。そうすれば、理想的な売却につながり、最終的な手取りも大きくなるはずです。仲介手数料だけにとらわれず、「納得のいく不動産売買」を大切に考えてみてください。

三井のリハウスでは、不動産売却に関するご相談を受け付けています。豊富な知見を生かし、売却プランのご提案やマネープランのアドバイス、無料査定など、不動産売却を幅広くサポートいたします。不動産の売却をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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宮原裕徳

株式会社ラムチップ・パートナーズ 所長。税理士。日本のみならず、東南アジアも含めた不動産にかかわる会計・税務に精通している。法人や個人向けに節税セミナーなども行っている。
https://www.miyatax.com/