
土地売却の必要書類まとめ!提出のタイミングも解説
土地を売却したいとき、事前に必要な書類を把握しておくとスムーズに手続きを行えます。本記事では、土地売却で必要となる書類を、査定から売買契約、確定申告までのステップごとに詳しくご紹介します。
目次
土地売却における必要書類とは?
土地の売却を決断しても、「何から手を付ければよいか分からない」と戸惑う人もいるのではないでしょうか?土地の売却を進めていくうえで必要となる書類は多く、入手方法もさまざまであるため、書類の収集を難しい、煩わしいと感じることもあるでしょう。
しかし、裏を返せば、準備する書類を事前に知り、売却の手続きに先立ち余裕を持って用意することができればスムーズに取引できます。
土地売却に必要な書類は、以下の通りです。
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、各種健康保険証など)
・住民票
・印鑑証明書(3か月以内に発行のもの)
・登記済証(権利証)または登記識別情報
・固定資産評価証明書
・固定資産税納税通知書
・確定測量図
・筆界確認書・越境の覚書
・抵当権抹消書類
なお、査定から実際の売却までの間に必要な書類は、段階によって異なります。たとえば、査定では必ずしも上記に挙げた書類を用意する必要はありません。ただし、訪問査定では所有者情報や境界確定状況が分かる資料が手元にあれば、査定をスムーズに進めることができます。
このように、査定方法や段階によって必要な書類が異なるケースもあるため、それぞれのタイミングで必要な書類について理解しておくことが大切です。この記事では、土地売却の際に必要な書類について解説した後、確定申告に必要な書類や、書類を集める際の注意点についても併せて紹介しています。土地売却を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
土地売却の手順
土地売却の必要書類を知る前に、まずは前提として、土地売却のステップを確認しておきましょう。本記事では、土地売却のステップを以下のように分類したうえで、それぞれの書類がどのタイミングで必要なのか解説していきます。
・査定
・売買契約
・引渡し
なお、相続した不動産を売却したい場合は、査定を受ける前に、登記上自分の名義になっているかを確認しておきましょう。もしも自分の名義になっていなければ、速やかに相続登記を行い、自分の名義への変更が必要です。
●相続登記について詳しい記事はこちら
土地売却の必要書類一覧
土地売却の際には多くの書類が必要となり、入手方法や、使用用途もさまざまです。必要書類の取得場所や必要なタイミングは以下の通りです。
土地売却の必要書類 | 取得場所 | 必要なタイミング |
---|---|---|
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、各種健康保険証など) | 各自で取得 | 売買契約、引渡し |
住民票 | 市区町村役場 | 引渡し |
印鑑証明書(3か月以内に発行のもの) | 市区町村役場 | 売買契約、引渡し |
登記済証(権利証)または登記識別情報 | 売主が保有 | 査定、引渡し |
固定資産評価証明書 | 市区町村役場 | 引渡し |
固定資産税納税通知書 | 売主が保有 | 引渡し |
確定測量図 | 売主が保有(ない場合は測量会社に依頼) | 査定、引渡し |
筆界確認書・越境の覚書 | 売主が保有(ない場合は測量会社に依頼) | 引渡し |
抵当権抹消書類 | 銀行 | 引渡し |
本人確認書類
登記手続きを行う司法書士が本人確認をするために必要な書類です。運転免許証やマイナンバーカード、パスポート、各種健康保険証など身分証明ができるものを準備します。また、土地の名義人が複数いる場合は全員分用意する必要があるため注意しましょう。
住民票
住民票は、登記上の住所と名義人の現住所が異なる場合に必要な書類です。所有権移転登記を行う際に用いる印鑑証明書の住所は、売主の現住所と同じでなければいけません。そのため、住所が変更になったことを証明する書類として住民票が必要になります。
また、住所の変遷が住民票で確認できない場合は、戸籍の付票が必要となるので注意しましょう。
印鑑証明書
実印とは市区町村の役場で印鑑登録をした印鑑を意味し、印鑑証明書とは実印であることを第三者に証明できる書類のことをいいます。印鑑証明書は引渡日から3か月以内に発行したものが必要です。
登記済証(権利証)または登記識別情報
登記識別情報とは、物件の所有者であることを証明する書類です。権利書や土地権利書と呼ばれることも多いですが、不動産登記法の改正で現在では登記識別情報の名称で呼ばれます。この書類は、購入時に所有権を移転した際、法務局から交付され、所有者本人のみが保有する書類になります。
固定資産評価証明書
所有権移転登記の登録免許税を計算するために必要な書類です。固定資産評価証明書は、土地や建物といった固定資産の評価額を証明するもので、市区町村役場で入手できます。原則として売主(所有者)しか取得できません。
固定資産税納税通知書
固定資産税の精算金を計算するために必要な固定資産税の納税額や評価額が記載された書類のことです。固定資産税納税通知書は、毎年市町村(東京23区の場合は東京都)から送付されてくるため、最新の納税通知書を用意しておきましょう。
確定測量図
確定測量図とは、全ての境界が確定しているときのみに発行される実測図のことです。売買契約で確定測量図を引渡すことも条件となっている場合には、必須の書類となります。
筆界確認書・越境の覚書
筆界確認書とは、自分が所有している土地の境界が確定していることを、隣地所有者と締結する書類のことです。確定測量図がある場合には、全ての境界が確定していることを買主に示すことができるため、必ずしも必要な書類ではありません。また、境界確認書というものもありますが、筆界確認書とはっきり区別されたものではありません。「筆界」は登記された土地の境界を、「境界」は土地の境目自体を指す意味があります。そのため、一般に分筆登記や地積更正登記など法務局に提出する際は筆界確認書と呼び、売買などの当事者間で取り交わす際は境界確認書と呼びます。
越境の覚書とは、越境の有無や所有権、是正方法について隣地所有者と締結する覚書です。必須書類ではありませんが、木の枝や配管などの越境物がある場合には作成しておくことが望ましいといえます。
抵当権抹消書類
抵当権抹消書類は、抵当権の登記が残っている場合に必要な書類です。抵当権とは、債務者の住宅ローン返済が滞った場合に融資を行った金融機関がその担保物件から優先的に弁済を受けられる権利のことです。住宅ローンに抵当権が残っている場合には、引渡しと同時にローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。また、既に住宅ローンを完済していても、抵当権抹消登記を行わないと登記簿上に抵当権の記載が残ったままとなるため、注意しましょう。
抵当権抹消書類は、抵当権を設定した銀行が保有しているため、引渡しまでに銀行の担当者から司法書士へ渡してもらう必要があります。
また、これらのほかにも地盤調査報告書やアスベスト使用調査報告書など、追加で土地の情報を示す書類があれば用意しておくとよいでしょう。
●抵当権について詳しくはこちら
土地の売却後、確定申告するときの必要書類
土地を売った後にプラスの譲渡所得(売却益)が生じた場合は、税金が課せられるため確定申告を行う必要があります。譲渡所得とは、資金を譲渡または売却した際に生じる所得のことで、以下の計算式で求められます。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却価格) - 取得費(購入額) - 譲渡費用(売却にかかった諸経費)
原則、譲渡所得が発生しない場合には、確定申告を行う必要はありません。また、譲渡所得があっても一定の要件を満たす場合には、特別控除の軽減措置が適用され、納税額がゼロになるケースもあります。ただし、特別控除の軽減措置を受ける場合には、確定申告が必要になるので注意しましょう。
確定申告を行う際に必要な書類は以下の通りです。
確定申告の必要書類 | 取得場所 |
---|---|
確定申告書付表兼計算明細書(譲渡所得の内訳書) | 税務署、国税庁ホームページ |
確定申告書第一表 | 税務署、国税庁ホームページ |
確定申告書第三表 | 税務署、国税庁ホームページ |
登記事項証明書 | 法務局 |
売却時の売買契約書コピー | 各自で取得(提出は任意) |
購入時の売買契約書コピー | 各自で取得(提出は任意) |
仲介手数料、印紙税などの領収書 | 各自で取得(提出は任意) |
本人確認書類など | 各自で取得 |
不動産所得の確定申告については、以下の記事で詳しく解説しています。確定申告の方法や、かかる費用について知りたい方は併せてご覧ください。
●確定申告について詳しくはこちら
●譲渡所得税に関する記事はこちら
土地売却における必要書類の注意点
ここからは、土地売却に必要な書類を集める際の注意点をお伝えします。
早過ぎる準備に気を付ける
必要な書類を早めに準備しておくことは、不動産売却の手続きをスムーズに進めるうえで重要です。しかし土地の売却においては、準備するタイミングが書類ごとに異なるため、単に早く用意すればよいわけではありません。
たとえば、印鑑証明書は、引渡し日の3か月以内に発行されていなければなりません。このように書類の準備が早過ぎて、引渡し時に期限切れにならないようにしましょう。
登記済証(権利証)または登記識別情報は再発行できない
登記済証または登記識別情報通知書は、「所有権」を証明する重要書類のため、再発行ができません。ただし、これらの書類をもし紛失していても、早めに把握しておけば別の方法で売却することが可能です。
所有権を証明するには「事前通知」か「資格者代理人による本人確認情報提供」、「公証人による本人確認制度」のいずれかを利用します。
事前通知とは、登記所が郵送で本人確認のための問い合わせを行う制度のことです。手数料がかからず無料で完結できます。資格者代理人による本人確認情報提供は、司法書士などの資格者代理人に依頼して本人確認を行ってもらう制度です。事前通知とは異なり、司法書士への費用がかかります。公証人による本人確認制度は、公証役場に出向いて本人確認を行う制度で、公証人による書類策定に一定の費用が発生します。
所有権を証明するためのこれらの手続きは、時間を要するため、登記済証(権利証)または登記識別情報を紛失している場合には、早めに不動産会社に相談するようにしましょう。
境界が確定できない場合もある
隣地所有者が筆界確認書に押印してくれず、境界が確定できない場合もあります。そのようなときのために、何らかの方法で境界を確認した記録を残しておくと安心です。後々トラブルにならないようにする対処法として、「売主」「買主」「隣地所有者」との間で境界に関する合意書を締結しておきましょう。
土地を売るのに必要な書類を適切なタイミングでそろえよう!
今回は、土地売却に必要な書類についてご紹介しました。普段使うことのない専門的な書類が多く、集めるだけでも手間や時間がかかるため大変ですよね。しかし、スムーズに売却するには、適切なタイミングで書類を用意することが重要です。各段階で異なる書類を知り、早めにそろえておきましょう。
土地売却の際は信頼のおける不動産会社に依頼するのがおすすめです。三井のリハウスでは、100万件を超える豊富な取扱件数で得た経験から、お客さまのご希望に沿ったプランをご提案し、サポートします。土地売却をご検討中の方はお気軽にご相談ください。
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不動産鑑定士 竹内英二
株式会社グロープロフィット代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士をはじめとしたさまざまな資格を保有。不動産の専門家として、不動産鑑定やコンテンツのライティングなども行なっている。
https://grow-profit.net/