家の価値を調べるにはどうすればいい?自分で計算する方法やその活用法

家の価値を調べるには、不動産会社の査定を通じて得た売り出し価格を参考にする、評価額のような公的な指標を用いて相場を把握するといった方法があります。今回の記事では、家の価値を確かめる方法や注意点、売却を成功させるためのポイントなどについてご紹介します。

目次
  1. 家の価値を調べることはできる?
  2. 【家の価値を調べる方法】公的な指標を参考にする
  3. 【家の価値を調べる方法】類似の取引事例から推測する
  4. 【家の価値を調べる方法】不動産会社に算出してもらう
  5. 指標やツールで家の価値を計算するときの注意点
  6. 売却を成功させるための事前準備のコツ
  7. 状況に合った方法で家の価値を確かめよう
記事カテゴリ 売却 マンション 一戸建て
2025.11.08

家の価値を調べることはできる?

「実家を相続する」「持ち家の売却を検討している」などの理由から家の価値を知りたい場合、さまざまな方法から調べることが可能です。たとえば、公的な指標を参考にしたり、類似する取引事例から推測したりといったやり方があります。ただし、そこで導き出された数字が必ずしも家の本当の価値を反映しているとは限りません。家の市場価値とは、物件固有の魅力や市場の動向、そして売却を任せる不動産会社の戦略と専門性によって左右される複雑なものだからです。

今回の記事では、家の価値を調べるための基本的な方法から、専門家の知見を最大限に活用して売却に導く方法まで解説します。なお、家の価値を手軽に知る方法として、不動産会社による無料査定があります。なかでも、AI査定はインターネット上で基本情報を入力すると、すぐに査定額(査定価格)が提示される査定方法です。三井のリハウスのAI査定は、これまでの膨大な成約データをもとに、精度の高い査定結果を算出します。土地・一戸建て・マンションいずれでもご利用いただけますので、ぜひお試しください。

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家の価値を調べる方法

【家の価値を調べる方法】公的な指標を参考にする

不動産の価値、特に土地の価値を知るうえで参考になるのが、国や自治体がWebサイトで公表している以下の4つの公的な評価額です。

・公示地価
・基準地価
・路線価
・固定資産税評価額

これらは、実際に売り買いが成立した価格を意味する「実勢価格」とは異なるものの、おおよその家の価値を推測する際には便利な目安となります。具体的には、公示価格(公示地価と基準地価)の1.1倍~1.2倍程度が実勢価格となるため、評価額を公示地価に換算し、そこから実勢価格を求めるのが一般的です。

調べ方としては、毎年自治体から届く納税通知書に記載されている固定資産税評価額から求める方法が最も手軽といえます。納税通知書がない場合は、インターネット上で分かる公示価格や基準地価をもとに算出する方法もあります。それぞれの算出方法について順番に見ていきましょう。

●公示価格についてはこちら

●評価額を調べる方法についてはこちら

公的な評価額

公示地価から求める

公示地価を1.1倍~1.2倍することで土地の価値の目安を調べられます。公示地価とは、国土交通省が3月に公表する毎年1月1日時点の土地の価格です。「適正な地価の形成に寄与すること」を目的に定められており、全国2万6,000か所の「標準地」を調査・鑑定して算出されます。

基準地価から求める

土地の価値の目安は、基準地価を1.1倍~1.2倍にしても求められます。基準地価とは、都道府県が主体となって9月に公表する毎年7月1日時点の土地の価格で、半年前に調査される公示地価を補完する役割があります。全国2万か所以上ある「基準地」を調査・鑑定し、公示地価では調査されない都市計画区域外も調査するのが特徴です。

路線価から求める

路線価が分かれば、土地全体の価値が算出できます。路線価とは路線(道路)に面した1㎡あたりの土地価格のことです。路線価は土地にかかる税金を計算する際の基準となり、相続税、贈与税などの計算に用いる相続税路線価と、固定資産税の計算に用いる固定資産税路線価の2種類があります。

相続税路線価から求める
相続税や贈与税を計算するときに使用する路線価を指します。毎年7月1日に国税庁が、その年の1月1日時点の路線価を公表する価格で、公示価格の約80%とされています。

固定資産税路線価から求める
固定資産税の計算をするときに使用する路線価を指します。3年に1度、市区町村が1月1日時点の路線価を4月ごろに公表する価格です。公示価格の約70%の価格とされています。

固定資産税評価額から求める

固定資産税評価額とは、土地や住宅といった固定資産の価値を表したものです。総務大臣が定めた固定資産税評価基準に従って市区町村が決定し、3年ごとに評価替えと呼ばれる価格の見直しが行われます。なお、宅地の固定資産税評価額は、地価公示価格の約70%であることが一般的です。固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税などを算出する基準として使われます。

【家の価値を調べる方法】類似の取引事例から推測する

自力で家の価値を調べる方法には、公的な指標を用いた計算に加え、以下のような方法があります。

・不動産情報ライブラリを利用する
・不動産ポータルサイトから推測する

それぞれの方法について順番に解説します。

不動産情報ライブラリを利用する

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」は、地図上で不動産に関する公的な情報を誰でも無料で閲覧できるWebサイトです。サイトの地図から知りたい場所をクリックするだけで、実際に行われた不動産の取引価格や公示地価が分かります。また、その土地の用途地域・建ぺい率・容積率といった都市計画情報、さらに洪水や土砂災害のハザードマップなどを手軽に確認できます。

ただし、これらの情報はあくまでも参考であり、法的な証明力はありません。また、最新情報でなかったり、地図上の位置が正確でなかったりする場合があるため、重要な手続きの際には十分に注意しましょう。

不動産ポータルサイトから推測する

不動産ポータルサイトで、ご自身の物件と似た条件(エリア、広さ、築年数、間取りなど)の物件がいくらで売りに出されているかを調べるのは、手軽で有効な方法です。現在の市場でどのような物件が競合になるのかを把握できます。

ただし、ここに表示されているのはあくまで売主が希望する売り出し価格であり、「成約価格」とは異なることも多いため注意が必要です。成約価格は買主との価格交渉を経て成立するため、売り出し価格よりも低くなる場合があります。

不動産サイトを確認する人

【家の価値を調べる方法】不動産会社に算出してもらう

自分でおおよその家の価値を調べることもできますが、不動産会社に査定を依頼することで、精度高く、より簡単に家の価値を知ることができます。不動産会社による査定は無料です。ここでは、不動産会社で扱っている3種類の査定方法について詳しくご紹介します。

AI査定で算出する

AI査定とは、AI(人工知能)を用いた家の査定方法です。家の情報やメールアドレス、名前を入力するだけで手軽に査定が行えるうえ、即時に結果が分かるのがAI査定のメリットです。ただ、必要最小限の情報にもとづいて査定を行っているため、ほかの査定方法に比べると精度がやや低い傾向があります。そのため、売却について具体的に決まってはいないものの、どのくらいの価格で売却できるのか目安を知りたいという方にはおすすめの査定といえるでしょう。

三井のリハウスでは、累計取引件数100万件以上の取引実績を用いた「リハウスAI査定」を行っています。営業担当者とのやりとりは発生せず、手軽にできる査定なので、手間をかけずにおおまかな査定額(査定価格)を知りたい方はぜひご利用ください。

●リハウスAI査定はこちら

●AI査定の記事についてはこちら

簡易査定で算出する

簡易査定は、各不動産会社のWebサイトや電話を通じて依頼できます。不動産会社の取引事例や公示価格のほか、査定依頼者が入力する物件の情報をもとに査定額を算出する方法です。次にご紹介する訪問査定に比べて結果が分かるのが早く、即日~3日程度で査定額を知ることができます。ただしAI査定同様、訪問査定に比べて査定の精度は低い傾向があるため、まだ売却の意思は固まっていないが、売却できそうなおおまかな額を知りたいという方におすすめの査定方法です。

●簡易査定についてはこちら

訪問査定で算出する

訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に物件を訪れ、直接物件の状態を見ながら査定を行う方法です。訪問査定では、建物の外装、内装なども評価対象に含まれます。実際に担当者が現地で見て査定するため、AI査定や簡易査定よりも精度が高いのがメリットです。AI査定や簡易査定に比べると不動産会社とのやりとりに手間がかかるため、売却の意向が高く、精度の高い査定額を知りたい方や不動産会社選びの参考にしたい方におすすめです。ただ、依頼してから現地調査の日程を決めて調査することと、調査後に結果が提示されるまで早くて2日~3日、遅い場合は1週間ほどかかってしまうなど、ほかの査定方法に比べて時間がかかる傾向があります。依頼を検討中の方は早めに不動産会社と日程を調整しておくとよいでしょう。

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家の価値を調べる

指標やツールで家の価値を計算するときの注意点

オンラインのツールや計算式を用いた方法は、あくまでおおまかな目安に過ぎず、不動産の妥当な市場価値を捉えるには不十分です。その理由には、不動産の個別性が関係しています。

不動産のなかでも建物の価値は、土地と比較して非常に複雑です。土地は経年劣化せず、公示地価や路線価といった公的な指標が存在するため価値の算定が比較的容易ですが、建物は一軒一軒が異なる個性を持ち、異なる経年劣化をたどります。

加えて、不動産には「定価」が存在せず、そのときどきの市場における需要と供給のバランスによって価値が決まります。たとえば、地域の再開発計画、新しい駅の開業、金利の動向といった要因は、常に市場に影響を与えます。そのため、過去のデータや指標をもとにした計算は、こうしたリアルタイムの市場心理や、競合物件の数、購入希望者の動向といった生きた情報を反映することが難しいのです。

売却を成功させるための事前準備のコツ

不動産売却の成功は、査定を依頼する前の準備から始まります。書類を事前にそろえておくと、担当者は物件の正確な情報を把握しやすくなり、より精度の高い査定をしてもらえる可能性があります。なお、査定時にはこれらの書類が全てそろわなくとも受けられるため、心配はいりません。自宅で保管していた場合などに出しておくとよいでしょう。

書類名内容入手場所
登記済証(権利証)または登記識別情報不動産の所有者であることを証明する重要書類自宅で保管
固定資産税・都市計画税納税通知書固定資産税評価額や税額が記載されている書類自宅で保管(毎年4月~6月ごろに郵送)
土地測量図・境界確認書土地の正確な面積や隣地との境界を示す図面自宅で保管、売却時になければ法務局や土地家屋調査士に依頼
確認済証・検査済証(一戸建ての場合)建物が建築基準法に適合していることを証明する書類自宅で保管、売却時になければ市区町村役所
間取り図・建物の図面物件のレイアウトや仕様が分かる図面自宅で保管
管理規約・長期修繕計画書(マンションの場合)マンションのルールや将来の修繕計画が分かる書類自宅で保管、売却時になければ管理組合・管理会社
印鑑証明書・実印契約や登記手続きに必要。発行後3か月以内のもの自宅で保管、売却時になければ市区町村役場

そのほか、査定時には、住宅ローンの残債を確認しておくことも重要です。なお、売却の際には、「登記済証または登記識別情報」「固定資産税・都市計画税納税通知書」「本人確認書類」などの準備が必要なため、不明な点は不動産会社に相談しましょう。

状況に合った方法で家の価値を確かめよう

家の価値は自身で調べることもできますが、売却を検討していて家の価値をより正確に知りたい方は、不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。特に、家の価値を知るうえで重要な指標となる実勢価格は変動が激しいため、自分で調べるよりも、不動産市場の動向に精通した不動産会社に調べてもらうほうが安心でしょう。

三井のリハウスでは、100万件を超える取引実績から得た知見を生かし、不動産査定や売却のサポートを行っております。お客さまの状況に合わせて複数の査定方法をご用意していますので、売却の意思が固まっている方だけでなく、まだ検討中の方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉

株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。