
実家売却で後悔しないためには?失敗しない売却のコツを解説
高齢の親が亡くなったり、施設に入居したりすることをきっかけに、実家の売却を考える人もいるのではないでしょうか?この記事では、実家売却で後悔しがちなポイントや、後悔しないための対策、実家を残しておくリスクについて解説します。
実家を売却して後悔する人もいる
実家の売却を検討するきっかけとして、一般的に以下の2つが考えられます。
・住まなくなったとき
・相続したとき
住まなくなったとき
実家に住む親が高齢になると、子ども世代と同居するために引越したり、施設に入居したりすることがあります。居住者がいなくなったタイミングで売却を考える人は多いでしょう。
相続したとき
親が亡くなって実家を相続した場合、遠方にあって管理が難しいこともあるでしょう。この場合も、実家売却を検討するきっかけになります。特に相続人が複数いる場合、不動産を均等に分割するのは難しいため話が難航する恐れがあります。そのため、不動産を売却して現金化し、分けるという最もシンプルな遺産分割方法を選ぶ人もいるでしょう。
実家売却で後悔した理由
実家売却は、手続きや心情の面において、通常の売却とは異なる部分があります。後悔につながる主なケースを見ていきましょう。
罪悪感が大きかった
家族にとって心の拠り所である実家を、決心が固まらないまま売却したことで、「親に申し訳ないことをした」といった罪悪感を抱く人もいるでしょう。また、先祖代々受け継いできた建物や土地を、自分の代で手放すことに対して後ろめたさを感じてしまう場合もあります。
寂しいと感じた
親の死をきっかけに実家を相続して売却した場合、大切な人を亡くした悲しみも重なり、大きな喪失感を抱く人もいます。家を売ることで思い出が一切なくなってしまうような気持ちになり、後悔をしてしまいがちです。特に注文住宅のような、こだわりを持って建てた家を売却する場合は、一層つらいと感じる人もいるでしょう。
売却に時間がかかった
家の売却をスタートしてから成約に至るまでの期間は、平均して3~6か月程度とされています。さらに、実家を相続したときは、相続の手続きも加わるためより多くの時間がかかります。売却前の家にある雑貨や遺品などの片付けに加えて、長期にわたり慣れない手続きを行うことは大きなストレスであり、「こんなに大変だとは思わなかった」と思う人も多いでしょう。
高い税金がかかった
実家を売却したときは、想像以上に税金を支払わなければならないことがあります。まず実家を相続する場合は、相続税がかかることがあります。相続税には基礎控除があり、控除しきれなかった分のみに課税されますが、なかには基礎控除をオーバーし、相続税額が高額になるケースもあります。
また、売却の際にかかる税金で、高額になりがちなのが、プラスの売却益が発生したときにかかる所得税や住民税です。これらの税金は譲渡所得税と呼ばれることもあり、築年数が経過した実家の建物に価値はなくても、土地の価値が上がっていれば発生することが考えられます。
●相続税について詳しい記事はこちら
●相続した不動産の売却時にかかる税金について詳しい記事はこちら
家族や親族の仲がこじれた
相続した実家を売却するときは、相続人全員の合意が必要となり、1人でも反対していると売却できません。一般的に相続ではもめ事が起きやすいうえに、たとえ家族仲がよい場合でも、実家の相続をきっかけに関係が悪くなってしまうケースもあります。
実家売却で後悔しないためのコツ
実家売却で後悔しないためには、以下のような対策を事前にしておくことが大切です。
・相続について話し合う
・節税の知識を得る
・実家の売却方法を決める
なお、実家をはじめとする不動産売却でよくある失敗事例については、下記の記事も併せてご参照ください。
●不動産売却の失敗事例について詳しい記事はこちら
相続について話し合う
相続人が複数いる場合は、意見が割れてしまうことで物件の売却に時間がかかったり、売却を中断せざるを得なかったりすることもあります。実家の相続は、デリケートな問題であるからこそ、親が生きているうちに話し合っておくことが大切です。
節税の知識を得る
先述の通り、実家を売却する際には税金がかかります。ただし、税額を抑えるための特例(特別控除)があり、適用されれば大幅な節税が期待できます。
まず1つめが、「居住用財産(マイホーム)の3,000万円特別控除」です。実家に居住している、もしくは居住者が転居して3年が経過する年末までに実家を売却する場合、要件を満たせば譲渡所得から3,000万円が控除される可能性があります。
● 「居住用財産(マイホーム)の3,000万円特別控除」について詳しい記事はこちら
もう1つが、「空き家に係る譲渡所得の特別控除」です。居住者が亡くなったことで空き家になった実家を相続して売却する場合、譲渡所得から3,000万円が控除される可能性があります。こちらの控除は、居住用財産(マイホーム)の特別控除に比べると要件が厳しいため、詳細を確認しましょう。
●「空き家に係る譲渡所得の特別控除」について詳しくはこちら
実家の売却方法を決める
実家を売却することは決めていたとしても、いざそのときになると決心がつかず、手続きが遅れてしまいがちです。特に実家を相続する場合は、多くの手続きを踏むことになります。主な手続きは弁護士や司法書士に任せられますが、自分でも不動産相続についてある程度知識を得ておくとスムーズです。
●不動産を相続する手続きと流れについて詳しい記事はこちら
実家を残しておくリスク
実家を売るか否かは大きな問題なだけに、後回しにしがちですが、放置しておくことのリスクもあります。主なリスクについて見ていきましょう。
自分で管理する必要がある
実家を売却しないリスクの1つが、自分で管理する必要が出てくることです。特に、実家に誰も住まない場合は、管理のために誰かが通う必要があり、時間と労力を割かなければなりません。防犯カメラを設置したり、管理業者のサービスを利用したりする方法もありますが、金銭的負担が大きくなるといえます。
維持費がかかる
建物や設備が劣化してくると、大規模な修繕工事、リフォームが必要になることもあります。庭木の刈り込みや屋根の修理、外壁のメンテナンスなど、業者に頼む場合は、数万~数十万円がかかります。また、老朽化が進むと建物の価値は下がっていき、売却価格も落ちていく傾向にあるため、後に売却しても維持費を回収できず、結局は損してしまう恐れもあるのです。
固定資産税がかかる
建物や土地などの不動産を所有する限り、人が住んでおらず、空き家だったとしても、固定資産税はかかり続けます。気を付けたいのは、管理が行き届かず「特定空き家」※に指定されると、住宅用地特例の適用から外れてしまい、固定資産税の軽減が受けられない可能性があることです。税負担が重くなるのであれば、売却してしまったほうがよいといえるでしょう。
災害で倒壊する恐れがある
地震や台風などの自然災害が起きたとき、建物の一部が壊れたり、倒壊したりする危険もあります。築年数が経過している場合は、現行の耐震基準を満たしていない可能性もあり、万が一倒壊してしまった場合は、修繕や解体の費用が必要になります。実家が遠方にある場合はすぐに対応できないため、近隣住民に多大な迷惑をかけてしまうリスクもあることを覚えておきましょう。
実家売却で後悔しない第一歩は査定から
実家は家族にとって大切な場所ですが、固定資産税はかかり続けるため、空き家となるのであれば早めに売却するほうがよいでしょう。納得のいく形で実家を売却するためには、日頃から親、兄弟姉妹で話し合っておくことに加えて、信頼のおける不動産会社を選ぶことが大切です。
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※出典:―空き家対策ってなに?―空き家は、放置せず、「仕舞う」・「活かす」で住みよい街に。,国土交通省 アキヤリバース
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/index.html
(最終確認:2024年5月9日)


監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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