
土地を売るときの注意点とは?不動産売却の流れに沿って徹底解説!
土地を売る際には、手続きや契約、調査など、さまざまな注意点があります。今回は、土地の売却を検討している人へ向けて、土地売却の前、活動中、売却後の3つの段階に分けて、押さえるべきポイントや失敗しないためのコツについて解説していきます。
目次
土地を売るときの注意点を把握し売却を成功させよう
土地売却を検討している人のなかには、「どのようなことに注意したらよいのだろうか?」「土地を売る前後でやるべきことは何だろうか?」と疑問を感じている方もいるのではないでしょうか?土地売却を成功させるには、段階ごとにポイントを押さえることが重要です。
そこで今回は、土地売却における注意点を、売却の流れに沿って売却準備中、売却活動中、売却後の3つの段階ごとに解説していきます。土地売却を検討している人はぜひ参考にしてください。
土地を売るときの注意点【売却準備中】
まずは、土地売却の準備中に注意すべきことを見ていきましょう。主な注意点は以下の7つです。
・住宅ローン残債の確認
・相場の把握
・必要書類の把握と収集
・売却にかかる費用の把握
・土地境界の明確化
・接道義務を満たしているかの確認
・相続登記の確認
1つずつ詳しく解説していきます。
住宅ローン残債の確認
住宅ローン融資を受けている場合、ローンを完済し抵当権を抹消しなくては土地の売却ができません。抵当権とは、金融機関(債権者)が住宅ローンの契約の際に不動産に設定するもので、債務者からの返済が滞った場合に、抵当権を設定した不動産を売却して優先的に弁済を受ける権利のことです。住宅ローンを返済中の土地の場合は、抵当権を外すために、土地を売却して得られたお金や自己資金を使って、ローン残債を完済する必要があります。
そのため、住宅ローンの残債額が、土地の売却で得られるお金だけで完済できるのか、売却代金だけで完済できない場合は、どのくらいの自己資金が必要なのかを確認しておかなければならないのです。
相場の把握
売却活動に入る前に、土地の売却価格の相場を把握しておきましょう。土地を売却する際には、不動産会社に査定を依頼して、どのくらいの金額で売却できそうなのか目安の金額を提示してもらうのが一般的です。ですが、相場を把握しておかないと、不動産会社から提示される査定額が妥当かどうかの判断ができません。そのため、自身でもおおよその相場を知っておく必要があります。
土地の相場を知るには、国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」や、過去に全国で取引された成約価格が調べられる「REINS Market Information」などがあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
必要書類の把握と収集
売却活動がスムーズに進むよう、必要書類を事前に把握し、用意しておきましょう。実際に、土地を売る際に必要な書類の一例は以下の通りです。
・登記済証もしくは登記識別情報
・固定資産税納税通知書
・住民票
・土地測量図・境界確認書
売却にかかる費用の把握
土地を売る際には、収入があるだけでなく、費用も発生します。そのため、売却にかかる費用を事前に把握し、資金計画を立てておくことが大切です。土地の売却でかかる費用は以下の通りです。
・仲介手数料
・測量費用
・印紙税
・譲渡所得にかかる税金
・登記費用
・司法書士報酬
・解体費用
それぞれの具体的な費用は以下の記事でご確認ください。
また、三井のリハウスでは、譲渡所得にかかる税金のシミュレーションサービスを提供しています。ぜひご活用ください。
土地境界の明確化
土地を売る前の準備として、その土地の境界を明確にした確定測量図を用意しておきましょう。確定測量図とは、その土地を囲む、道路や隣地などの全ての境界を定めた測量図のことです。これは後々、隣地の所有者や土地購入者とのトラブルを回避するために作成されます。境界をめぐっての争いがないことを意味するため、確定測量図の提出を条件とする土地購入者も少なくありません。土地売却をスムーズに行うという意味でも用意しておくとよいでしょう。
ただし、境界が明確でない場合には、土地家屋調査士に土地の測量を依頼し、確定測量図を作成してもらう必要があります。測量費用の目安は、地域や土地の広さによって大きく異なるため、複数の土地家屋調査士に見積もりを依頼しましょう。
接道義務を満たしているかの確認
売る予定の土地が接道義務を満たしているか注意する必要があります。建築基準法では、原則として幅員が4m以上の道路に敷地が2m以上接していなくてはいけません。これを接道義務といいます。この基準を満たしていないと、購入者がこの土地に新たに建築物を建てれません。このような再建築不可物件の土地は、資産価値が低くなり、売れにくいことが一般的です。土地を売却する場合は、改めて自身の土地が再建築不可物件でないことを確認しておきましょう。
相続登記の確認
相続した土地を売る場合、土地の相続登記を行わなくてはいけません。相続登記とは、土地の登記上の名義を、被相続人から相続人に変更することです。不動産の売却は所有者本人しか行えないので、相続した土地の名義が被相続人のままだと、土地は売却できません。そのため、必ず相続登記を済まし、自身の名義に変更しておきましょう。
なお、相続登記は、2024年4月1日より義務化されており、正当な理由なく3年以内に行わなければ、罰則として10万円以下の過料が課せられます。相続した土地を所有している場合や、今後土地を相続したら、売却の有無にかかわらず、必ず相続登記を行いましょう。
土地を売るときの注意点【売却活動中】
次に、売却活動中の注意すべきことを見ていきましょう。主な注意点は以下の通りです。
・媒介契約の種類を理解する
・手入れしておく
順番に見ていきましょう。
媒介契約の種類を理解する
土地を売る際、購入希望者を見つけてもらうために不動産会社を通して売却活動を行うのが一般的です。その際に仲介の役割を担う不動産会社と結ぶ契約を媒介契約といいます。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」があり、契約を結ぶ際には、このなかから自分に合った媒介契約を結ぶ必要があります。それぞれの特徴は以下の表の通りです。
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
自己発見取引 | ○ | ○ | × |
複数の不動産会社との契約 | ○ | ×(1社のみ) | ×(1社のみ) |
契約の期間 | 指定なし | 最長3か月 | 最長3か月 |
営業活動の報告義務 | 任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録義務 | 任意 | 媒介契約締結後7日以内 | 媒介契約締結後5日以内 |
手入れしておく
土地の印象をよくするために、売却前に手入れをしておくことがポイントです。たとえば土地を長期間放置していると、雑草が生えたり、知らないうちに何者かにごみを捨てられたりすることがあります。きれいに手入れをしておくことで、購入検討者に好印象を持ってもらいやすく、売却につながる可能性が高くなります。
土地を売るときの注意点【売却後】
土地売却後の注意点は以下の2つです。
・所有権移転登記や抵当権抹消登記を行う
・確定申告を忘れずに行う
順番に見ていきましょう。
所有権移転登記や抵当権抹消登記を行う
土地の売買契約後は、引渡しの際に所有権移転登記と抵当権抹消登記を行います。所有権移転登記は、物件の所有者が買主に変更になったことを示すためのもので、買主が行うのが一般的です。また、抵当権抹消登記は、住宅ローンの利用によって抵当権が設定されていた場合に、ローン残債の完済に伴って行うもので、売主が手続きをします。それぞれ買主や売主の手続きは、司法書士に依頼可能ですが、その場合は司法書士へ費用が発生する点に注意しましょう。
確定申告を忘れずに行う
土地を売って利益(譲渡所得)が出た場合には、一般的に譲渡所得税と呼ばれることもある所得税や住民税が課せられるため確定申告を行う必要があります。この場合、土地を売った翌年の2月16日から3月15日までの間に申告を行うのが一般的です。なお、利益を得たにもかかわらず確定申告を行わなかった場合、「無申告加算税」という税金が課せられる場合があるので、必ず期限内に申告するようにしましょう。
不動産の譲渡所得にかかる税金は、要件を満たしていれば特別控除を受けられる可能性があり、それによって納税する税額が抑えられたり、場合によっては免除されたりすることがあります。ただし、要件を満たしていても確定申告を行わないと控除を受けられません。また、利益ではなく損失がある場合でも、確定申告をすることで控除を受けられることがあるので、確定申告は必ず行うようにしましょう。
土地売却で失敗しないコツ
土地売却で失敗しないために、以下の2つのコツを意識してみましょう。
・余裕を持ったスケジュールを立てる
・実績のある不動産会社に依頼する
余裕を持ったスケジュールを立てる
土地を売る際には、余裕を持ったスケジュールを立てておきましょう。売却の期限に余裕のないスケジュールでは、万が一思うように購入希望者が現われなかったときに、売却できない焦りから売り出し価格を下げて、損をしてしまうケースも考えられます。そうならないよう、スケジュールに余裕を持たせて売却活動を行うことが大切です。
土地売却の期間は、一般的に3~6か月かかるといわれています。いつまでに売却したいという希望がある場合には、期限から逆算して売却活動を開始することを心がけましょう。
実績のある不動産会社に依頼する
実績豊富な不動産会社に依頼することも、土地売却を成功させるためのコツです。似た条件の土地を売却した実績はあるか、査定額に根拠はあるかなどを確認し、媒介契約を結ぶ不動産会社を決めましょう。加えて、担当者の対応など、サービスの充実度や宣伝力なども見ておくと満足のいく土地売却につながるでしょう。
土地を売る際は不動産会社に相談しよう!
ここまで、土地を売るときに気を付けたいポイントについて売却準備中、売却活動中、売却後の3段階に分けて解説してきました。土地売却では、なかでも事前準備を怠らないことが特に重要です。
土地を売る過程で分からないことや不安なことがあれば、信頼できる不動産会社に相談するのがおすすめです。三井のリハウスでは、豊富な実績や知見を持つ担当者が、親身にサポートします。また、土地の売却時に必要な査定も承っているので、お気軽にお問い合わせください。


監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。