
リースバックを利用できない物件とは?具体例や注意点を解説
不動産売却方法としてリースバックを検討していても、場合によっては利用できないことがあります。たとえば、住宅ローンを完済できる見込みがなかったり、瑕疵があったりする物件はリースバックを利用できないのが一般的です。この記事では、リースバックを利用できないケースについて詳しく解説します。
リースバックを利用できない物件の特徴
リースバックとは、売却した持ち家を、買主から賃貸物件として借りることで、そのまま住み続けられるサービスのことです。このリースバックと混同しやすいサービスに「リバースモーゲージ」がありますが、リバースモーゲージとは、持ち家に住み続けながら家を担保に毎月の生活費を借りるサービスのことで、リースバックとは別物です。
リースバックは、不動産を売却し現金化するまでの時間を短縮できたり、売却資金の使い道に制限がなかったりといったメリットがあるので、まとまったお金を必要とする人からよく利用されています。資金を得ながら、もともと住んでいた自宅に住み続けられる点が魅力的ですが、「経済的問題」と「物件の問題」によっては、必ずしも利用できるとは限りません。
今回は、リースバックを利用できないケースや、実際にリースバックを利用する際のリースバック事業者の選び方について、詳しく解説します。また、リースバックを利用するときに気を付けなければいけないポイントについても、併せて紹介します。
●リースバックに関する詳しい記事はこちら
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リースバックを利用できないケース4つ
ここでは、リースバックを利用できない4つのケースについて見ていきましょう。
【ケース1】オーバーローンの物件
リースバックを利用できないケースの1つは、オーバーローンです。オーバーローンとは、物件の売却価格や価値よりもローンの残債が上回っていることを指します。実は、オーバーローンに限らず、住宅ローンを用いて購入した不動産は、残債を完済して抵当権を抹消しなければ原則として売却できません。そのため、リースバックでの買取査定額が住宅ローンの残債を下回り、自己資金を追加しても住宅ローンの完済が難しい場合は、リースバックの利用もできなくなることが一般的です。
●オーバーローンに関する詳しい記事はこちら
【ケース2】利用者の信用情報に問題がある場合
利用者の信用情報に問題があり、審査に通らない場合も、リースバックを利用できません。リースバックでの売却後は、物件を買い取るリースバック事業者と利用者が賃貸借契約を結びます。その際、リースバック事業者は、利用者が家賃の支払い能力を持っているかを審査するケースが一般的です。たとえば、借金やクレジットカードの支払いを滞納した履歴があると、家賃を支払う能力がないと見なされ、賃貸借契約を結べないことがあるため、注意が必要です。
【ケース3】大きな瑕疵がある物件
売却を希望している物件に大きな瑕疵がある場合、リースバックで事業者から家を買い取ってもらうことが難しくなります。たとえば、シロアリ被害による構造部の劣化、地震によるひび割れなどの物理的瑕疵、あるいは自殺や他殺といった心理的瑕疵など、生活に重大な影響を及ぼす瑕疵がある場合は、リースバックを利用しにくい傾向にあります。さらに、建築基準法を満たしていない物件も、リースバックを利用できないことが多くあります。建築基準法は、ときどき改正されることがあるため、売りたい物件が今の建築基準を満たしているか、確認しておきましょう。
【ケース4】共有者の同意が得られない場合
複数の名義人で共有している不動産は、名義人全員が同意しないと売却できません。リースバックも同様で、1つの物件に対して名義人が複数いる場合、名義人全員の同意を得る必要があります。そのため、共有不動産のリースバックを検討する際は、まずほかの名義人に相談することから始めるようにしましょう。
リースバック事業者の選び方
リースバックで不動産売却する際は、物件の買主であるリースバック事業者を慎重に選ばないと、売却後のトラブルにつながりかねません。リースバック事業者を選ぶ際に注目すべきポイントは、以下の通りです。
・適切な家賃設定ができるか
・丁寧に相談に乗ってくれるか
適切な家賃設定ができるか
リースバック事業者によって提示された家賃が高過ぎる場合は、注意する必要があります。リースバックにおける家賃相場は、買取価格と期待利回りをもとに設定する方法が主流です。
家賃 = 買取価格 × 期待利回り(6~8%) ÷ 12か月
適切な家賃を把握するために、複数の事業者に物件の買取額と家賃の見積もりを出してもらい、比較してみるとよいでしょう。上記の期待利回りはあくまで目安であり、物件がある地域や築年数、一戸建てかマンションか、といった条件によって異なります。結局のところ、個々の物件に応じて判断されるため、知識と経験がある事業者選びが大切です。
丁寧に相談に乗ってくれるか
こちらの相談に対して、リースバック事業者が丁寧に応じてくれるかにも注目しましょう。リースバック事業者のなかには、リースバックを利用しにくい物件であっても、利用できるようにするためにはどうするべきかをアドバイスしてくれる事業者もいます。こちらの事情にしっかりと寄り添ってくれるリースバック事業者を見つけることで、売却後の後悔を防げるでしょう。
リースバックを利用するときの注意点
リースバックには、メリットだけでなく注意点も存在します。最大の注意点は、仲介で売却した場合に比べて売却価格が2~4割ほど低くなる傾向があることです。また、仮にリースバックによる買取価格が高かったとしても、先述した家賃の計算式から分かるように、買取価格に応じて毎月の家賃は高くなってしまいます。売却によって十分な額のお金を得られなかったり、売却後、高額な家賃の支払いに苦労したりすることもあるので注意が必要です。
そして、リースバックによって自分の家に住み続けられるとしても、売却してしまうため、持ち家ではなく賃貸物件になります。今まで通りに家を自由に使えなくなる点は、リースバックの大きな注意点になります。
物件の価格を重視する方や住み替えを検討できる方は、仲介での売却がおすすめです。不動産会社を通し、一般個人に対して家を売却する仲介は、リースバックや買取よりも物件が高く売れやすい傾向にあります。そのため、多少時間がかかっても、できるだけ多くの売却代金を手に入れたい方は、リースバックよりも仲介を検討するとよいでしょう。
マイホームの売却をお考えの際は三井のリハウスへ
この記事では、リースバックを利用できない場合とその理由について解説してきました。リースバックは便利に感じるかもしれませんが、売却価格は市場価格の6~8割になることが多く、思いのほか資金が得られない場合もあります。また、リースバックを利用するには住宅ローンを完済しなければならず、残債の額によっては手元にお金が残らないかもしれません。住宅ローンの毎月の返済と家賃がほぼ変わらず、金銭的に苦しくなって退去するケースもあります。もし、リースバックしても退去の可能性が高いなら、仲介による売却を選択して住み替えたほうが賢明でしょう。
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監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。